• 健康経営
  • 2020.12.14 (最終更新日:2022.03.26)

労働安全衛生法を守って健康経営を考える

目次

労働安全衛生法はそもそもどうして生まれたのか?

経営者であれば、絶対理解しておかなければいけないのが労働安全衛生法です。労働安全衛生法は高度成長期を迎えた日本で機械化が進み、扱いになれていない機械の導入によって使い方を誤り、毎年労働災害での死者が数千人と出ていたことをきっかけとして作られました。

労働環境を整えるための法律ということです。ですが、2020年の今は当時問題となっていたこと以外でも、労働災害で亡くなったり病気になったりするようになったため、もっと幅広い問題を扱うようになりました。

それは働き方改革とともに、さらに内容が変わってきたといえるでしょう。

長時間労働に対する考え方

長時間労働 長時間労働廃止を国が企業に訴えかけていますが、これも労働安全衛生法の中に含まれています。若いうちは長時間労働をしていても、それほど問題はないと思っていませんか?
ですが、記憶にも新しい大手企業で長時間労働が原因で死亡したという事例もありますし、長時間労働が原因でストレスをため、精神的に壊れてしまう事例もあります。

そういったことが起きていてもなお、長時間労働を企業が従業員に対して禁止と言わないのはなぜでしょうか?
健康経営云々の問題ではなく、経営者が従業員を人として見ていないからです。

また、長時間労働をして不調を訴える人は「弱い人だ」という認識を持っている世代もまだいるのが現実です。長時間労働をすれば、不調を訴えるのは当たり前だという認識をそろそろ持ちましょう。

また、不調を訴えなかったとしても、無理がたたって40代、50代、60代、定年退職後にすぐに倒れてしまうということもあり得る話です。

これまでは、そういったことに無関心な経営者が多くいましたが、そろそろ人と人の関係として、仕事も見ていく時代になっています。

労働安全衛生法で必要なこと

産業医 この法律で定められていることは大きく分けると4つあります。
・危険防止装置
・安全衛生教育措置
・就業に必要な措置
・労働者の健康保持や健康増進のための措置

この中の一番初めにある「危険防止措置」の意味を拡充して現在に至っています。また、危険防鼠措置の中には健康障害の防止措置もありました。これは健康経営につながるものとも言えますが、この法律ができたのは高度成長期時代だったため、有毒なものを扱う企業が従業員に指導もせずに作業させていた背景からできています。
現在は、有毒なもの有害なものを扱う際には、その従業員が資格を持っていないと扱えないようにしていますが、そう考えると日本の昭和初期の企業というのは今では考えられないことを行っていたのだと思い知らされます。

また、常時50人以上の従業員がいる企業では、産業医を1人以上設置しなければいけないというのも、この法律の中に定められています。産業医の扱い方、産業医の権威なども最近の法律でどんどん広がっており、働き方改革によって健康経営を知らず知らずに行っている企業が増えてきているのが現状です。

労働安全衛生法に基づいて企業がしなければいけないこととは

先ほどは、この労働安全衛生法で必要なことを書きましたが、今度は具体的に企業がしなければいけないことについても触れていきたいと思います。

しなければいけないことは、
・産業医の選任
・衛生委員会・安全衛生委員会の設置
・衛生管理者の選任
・健康診断・ストレスチェックの報告
の4つの項目については、事業場に50人以上の従業員が常時いるのであれば必ずしなければいけないことです。これらのことが、現時点でできていない場合は何かしらの罰則が与えられる可能性があります。

健康経営は従業員を人として見る経営の仕方でもある

経営 今回は労働安全衛生法を中心に見てきましたが、この法律で定められていることを真面目に行うことで、以前のような企業の在り方ではダメだということが見えてきます。今一度、経営者として従業員の命と向き合ってみるのもいいのではないでしょうか。

また健康経営になかなか踏み切れないでいた経営者は、国で定められている労働安全衛生法や働き方改革で何を行おうとしているのかの真意を考えながら企業を整えていくと、その先に健康経営が見えてくるかもしれません。

まずは労働安全衛生法を守って、その中で従業員の健康を見つめなおすこと。そして、これからの時代にあった経営方法を探していくと、必然的に健康経営にたどり着くということもあるでしょう。今一度、経営の在り方を考えてみてください。

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