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  • 2021.01.08 (最終更新日:2022.04.06)

「薬剤師を辞めたい」と思ってすぐ辞めるのはNG?迷ったときの考え方

目次

薬剤師が辛くて辞めたいと思った理由は?

薬剤師 薬剤師が辛くて辞めたいと思う理由はたくさんあります。その理由を分析してみましょう。

人間関係が辛い

どんな仕事も、人間関係が辛いことはあります。薬剤師の場合は社内だけに限らず患者さんとの人間関係もあるのです。それに加えて、上司の人柄なども関係してきます。上司や患者さんと合わなくても、ほかに心の拠り所があればまだ精神的にも楽です。

ほかの心の拠り所とは定期的に人事異動のある職場や、パートや看護師と関わる機会がある職場。人事異動が行われていれば「あと半年で異動するし、少しくらい我慢しよう。」と思えます。上司と合わなくても、楽しく話せる相手がいればストレスを溜めるだけにはなりません。

しかし、勤務先が個人経営であったり、勤務中に移動する空間が限られていたりするのならほんとうに大変。そのような職場で、上司が合わないノリを求める人物である場合、こちらが無理に合わせるしかなくなります。

上司と合わない状況に対してあなたは、「言いたいことは山ほどある。けれども、それを言ったことにより居場所がなくなったら困るから我慢しなければならない。」と考えるでしょう。我慢し続けていると精神的に辛くなり、薬剤師を辞めたいと思うようになります。
当コラムでは、職場の悩みに関する情報を発信しています。上司と合わないことは、仕事でストレスが溜まる大きな原因の1つですよね。以下のコラムも合わせてご確認ください。

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人手不足による過重労働が辛い

薬剤師に限らず、現在は多くの業界で人手不足です。薬剤師を必要とする職場は、ほとんどが薬剤師不足に悩んでいます。働く人数が足りず募集をかけても人材が集まらないとなれば、人数が足りなくても回すしかありません。

人数が足りない中で無理に回していると、サービス残業や過重労働が発生するのです。人手不足の原因は少子化だけに限りません。突然の、介護による退職や寿退社も人手不足になる原因の1つです。

管理薬剤師は、1つの店舗で一定時間以上勤務する必要があります。法律ではっきりとその時間が決まっているわけではありませんが、1週間におよそ40時間以上だと言われていますよ。管理薬剤師が足りない店舗では、勤務時間の調整が難しくなるのです。一定時間以上の勤務を守ろうとした結果、1人の薬剤師が長時間労働しなければいけなくなります。

会社が不正をしたときに、そのしわ寄せが薬剤師にいく例も少なくありません。データを改ざんしたり、記載が必須の情報の書き漏れだったり、さまざまな不正があります。お伝えした通り、薬に関することには法律が関わりますので、不正が発覚すれば罰金が生じるかもしれないのです。会社の不正によって薬剤師の仕事量が増える例もあるのですね。

教育体制が整っていなくて辛い

教育体制が整っていないことも、薬剤師が辛いと感じる原因の1つです。会社の教育体制が整っていないことは、人手不足が原因でもあります。そのため、先の「人手不足による過重労働が辛い」と通じるものがありますね。

きちんと教育されず、フォローされず仕事を続けてきた結果、慣れるどころか限界を感じてしまい退職を選ぶ例もよくあるのです。教育を受けていないのに1人で担当する時間があったり、質問をしても教えてもらえなかったり。新人で仕事を始めて、このような現場に勤務していたら辛く感じるのも当然です。

「薬剤師を辞めたい」と思ったときに考えること

薬剤師 薬剤師として働いている職場が辛いと、すぐに「薬剤師を辞めたい」と思いがちです。しかし、ほんとうに「薬剤師」を辞めたいのでしょうか?

本当に薬剤師を辞めたいのか?

職場環境が悪い中で働き続けて、何度もミスを繰り返すと「もう薬剤師を辞めたい」と悩みます。何度もミスをして、周囲から否定の言葉を繰り返されているうちに自分は仕事ができない人間なんだ、と思い込むようになるわけです。

自分は仕事ができないと思っていても、職場環境が変化すると仕事ができるようになる例もあることを忘れてはいけません。周囲から否定の言葉を繰り返されてミスばかりしていた人が、できることを褒めてくれる環境に移ってみたら仕事ができるようになることもあるのです。

何度もミスを繰り返す人に対して追い詰めるような態度の職場と、仕事に慣れたころに褒めてくれる人がいる職場。この2つの職場なら多くの人は、後者の方が精神面も安定した状態で働けるのではないでしょうか。

褒めてもらえると、やる気やモチベーションが向上します。仕事ができない人間だといじめられビクビクしながら働き続けると、当然ながらモチベーションは低下するのです。

少しミスをしてしまっても、皆でフォローし合う体制ができている職場なら、心にゆとりができますよね。仕事内容は変化がなくても、職場環境が変化したことにより働きやすくなることもあるのです。

このような例が多いですから、本当に薬剤師を辞めたいのか?について今一度考えることは大切ですよ。

職場を変えない場合のデメリットを考える

つぎに、職場を変えない場合のデメリットについて考えます。薬剤師が職場を変えずに働き続けると、幅広い知識が得られなくなる可能性があるのです。新卒から働き続けて転職経験のない薬剤師が職場にいることもありますよね。

同じ職場に勤務し続ける人は、自分が専門的に関わってきた薬の知識は豊富です。しかし、それ以外の分野のことになると初心者同様の知識しかない人もたくさんいます。

長年薬局で働いてきたので薬局のことはよく分かるものの、病棟業務などは初めて経験するという人もいるのです。同じ職場にずっとい続けるのも選択の1つではありますが、経験できることの幅が狭くなる可能性も考えておくといいでしょう。

薬剤師を辞めなければキャリアを積み重ねられる

働く場所や働き方は変化しても、「薬と接する」との根本的な部分は変化しないのが薬剤師の仕事です。薬剤師を辞めなければ、どこに転職をしてもキャリアを積み重ねられるというわけですね。

上司や先輩から、「とりあえず3年は同じ会社で働き続けた方が良い」と言われた経験はあると思います。しかし、どこでもキャリアを積み重ねられる薬剤師ならその必要がないのです。

複数の職場を経験することにより、薬に関して多角的に捉えられるようになります。別の勤務先で働いたときに、前にいた職場での経験が役に立つこともあるのです。
以下のコラム内に、新人が「とりあえず3年働き続けよ」と言われる理由や、辞めた方が良い人の例を紹介しています。合わせてご覧ください。

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薬剤師の転職先候補の特徴について

病院 ここでは、薬剤師の転職先を一部紹介いたします。

調剤薬局

調剤薬局は、薬剤師の転職先でとくに多いものです。薬局により営業時間は異なるものの、シフト制で週40時間労働のところが多くあります。薬局の規模により、異動が発生することもありますよ。

調剤薬局の特徴は大きく分けて2種類ありますので、それによって働く環境も異なるのです。門前型と面分業と言いますが、2種類の違いはどこの病院の処方箋を扱うかということ。

門前型・・大学病院等の門前にあり、1つの病院からの処方箋を扱うことが多い。
面分業・・病院を特定しない。さまざまな地域に存在する調剤薬局が、さまざまな病院の処方箋を扱う。

近年は在宅医療が増えているため調剤薬局で働く薬剤師の活躍の場が増えています。しかし、それは業務内容が幅広くなっているということでもあります。門前型の病院等では、医師の診察時間に営業時間が左右されるので注意が必要です。

病院

病院や診療所では、新卒採用が盛んではありませんでした。けれども、平成24年に報酬に関する改定が行われたことにより、新卒採用が増えています。病院に勤務する薬剤師は、調剤薬局と比較して医療の現場でチームの一員として働くことが多いです。業務内容は幅広く大変ではありますが、やりがいを感じている薬剤師もたくさんいますよ。

病院薬剤師の仕事は、救急救命業務や治験業務があるのが薬局薬剤師との大きな違いです。集中治療室で治療にあたるのは主に医療従事者ですが、病院薬剤師も患者さんの命を守る一員。薬の準備や投与方法も間違えれば命に関わりますので、病院薬剤師であってもミスは許されません。

近年、昔と比べて優れた薬が登場しています。喜ばしいことではある反面、副作用や投与法へさらに気をつけなければいけなくなったわけです。服薬指導は、そのときだけの指導ではありません。これまでの副作用や既往歴を尋ねたうえで、服薬が始まれば正しく服薬できているかを確認します。病院薬剤師は大変ではありますが、業務内容は病院ならではの治療に従事していると身にしみて分かりますよ。

ドラッグストア

現在、医療費が増加している影響により国民の関心は予防医療に向いています。増えていく競合に対抗すべく、ドラッグストアは調剤事業に注力を始めました。登録販売者の資格の登場によって、ドラッグストアに勤務する薬剤師の役割がはっきり分かるようになっています。お互いが、それぞれの領域を侵害しないようになったわけです。

そのためドラッグストアに勤務する薬剤師の仕事は、患者さんの安全を専門的な知識を使って守る、地域に貢献できる仕事なのですね。ドラッグストアの多くは、100以上の店舗を展開しています。

ですから、異動によって地元で働ける可能性もあるのです。福利厚生の充実した企業も多いので、ワークライフバランスを重視している方に向いている勤務先と言えます。

薬剤師の転職で注意するべきこととは

転職 薬剤師の転職で注意すべきことを紹介いたします。

自分の能力を過大評価しないこと

薬剤師は仕事内容が一緒だから、どこでも働けると思い込むのは要注意。ここまで読んでいただいた方なら、その理由が分かることと思います。病院に勤務する場合と薬局に勤務する場合とでは業務内容が大きく異なります。そのうえ専門的に関わった分野以外のことに対しては、初心者同然の知識しかないことも多いからですね。

未経験の分野については、何も分からないということも起こり得る世界。慌ただしい職場なら気軽に質問もできず、転職を繰り返すことになります。薬剤師は1度就職したら勉強しなくて良い仕事ではないのです。

転職先の条件に注意すること

薬剤師に限ったことではありませんが、転職先の条件に注意してください。求人には、「ブランクOK」「未経験OK」など魅力的な情報が掲載しています。しかし、ブランクや未経験がOKでも仕事をしやすい環境だとは限らないのです。

勤務先が新人教育制度の整っている大手の薬局であるのなら、比較的安心でしょう。しかし、中途採用を受け入れた経験が少なかったり、規模の小さな薬局であったりする場合、教育制度が整っていないこともあります。

そのような条件下では、働きながら仕事を覚えていくしかありません。働きながら仕事を覚えるやり方は、人により不安や重圧を感じやすくなります。すると、また「辞めたい。」と思うようになり、転職を繰り返す原因になるのです。

配属先で仕事を教えてくれなくて困っている人は、以下のコラムも合わせてご確認ください。こちらでは、仕事を教えない人の心理も紹介しています。仕事を教えてくれないのは、会社や相手が原因のことも多いです。けれども、自分が原因となっている例も少なからずありますよ。

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未経験の転職では大手チェーンがおすすめ

前項のことを踏まえると、未経験の転職では大手チェーンを選ぶのがおすすめです。ここでの未経験とは、病院薬剤師から薬局薬剤師に転職するなど、勤務先が異なるという意味。この場合は、薬剤師自体の経験があっても、覚える仕事内容が多いので研修制度が整っている大手チェーンが向いているわけですね。

転職時に健康経営を実施する企業を確認してみよう

運動 健康 当コラムでは、さまざまな理由で転職を考えた人に向けて「健康経営に取り組む企業について調べてみる」ことを提案しています。

社員の健康課題に企業が取り組むことは、両者にメリットがあるとする考え方。それが、健康経営です。健康に関することだからと言って、運動することや健康診断を受けることを呼びかけるだけではありません。

たとえば、社員のやる気がなくなってしまうと、いずれ生産性の低下に繋がります。やる気がなくなる原因は、1つだけではありません。
  1. ワークライフバランスが考慮されずに、人生の大半が仕事ばかりになっている
  2. 風通しの悪い職場で、新入社員の地位が低い
  3. 仕事が平等に評価されない
人生の大半が仕事ばかりの状態では、休日の楽しみ方や休み方を忘れることが多いです。休むべきときに休めないことは、業務の効率悪化に繋がるわけですね。

なりふり構わず働き続けていると、気づけば人生のほとんどは仕事をしていた、ということになるかもしれません。
以下のコラムでは、仕事だけの人生を送ると失うものやデメリットを紹介しています。合わせてご覧下さい。

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健康経営に取り組む企業の多くでは、上辺だけではなく根本的な原因に着目して取り組みを行っています。

ワークライフバランスに関する取り組みの一環として、男性が育児に参加するように呼びかける企業もありますよ。育児休暇の取得率向上を目指す企業は多いです。そんな中で、男性の育児参加を促す取り組みは珍しいのでは、と思います。

音楽が脳や心に与える影響に注目して、仕事中と休憩中に異なる音楽を流すことにより効率化を図る会社があります。仕事中に音楽を聴いてはいけないと考えていた人も多いですよね。これは、かなり斬新な発想だと言えます。

ワークライフバランスを重視する人、仕事中の働きやすさを重視する人。転職先に求めるものはいろいろありますよね。健康経営のことを何も知らなければ、このような取り組みをしている企業があることを知る機会が減るのです。当コラムや企業の公式Webサイトを読んで、健康経営のことを学ぶのもおすすめですよ。

まとめ

薬剤師自体が辛くて辞めたいのか、今の職場が辛くて辞めたいのか。そこを見極めなければ、転職しても失敗を招くことになります。薬剤師の転職先はいろいろありますので、転職先ではどのような仕事をするのか前もって知っておくのもおすすめですよ。

そうすれば、仕事内容で理想と現実のギャップが発生することを防げます。精神的に辛さを感じたときは視野が狭くなりがち。勢いだけで行動するのではなく、自分の状況をしっかり分析することが転職成功のカギとなります。感情的にならずに深呼吸をして、落ち着いた行動を心がけましょう。
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