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  • 2021.03.18 (最終更新日:2023.06.23)

ワークライフバランスの取りやすい職種とは|現状や課題も解説

目次

就活をはじめたばかりの人や、これからはじめようとしている皆さんは、「ワークライフバランスが実現できる職種に就きたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。今回はワークライフバランスの取りやすい職種をご紹介します。

また、ワークライフバランスについての理解を深めていただくために、ワークライフバランスの現状や注目されている理由についても詳しく解説していくので、仕事とプライベートを両立させたいという人は、ぜひ最後までお読みください。

ワークライフバランスの現状や課題

家庭 働き方改革の増進に伴い、ワークライフバランスが重要視されています。しかし仕事と生活を理想のバランスで調和させている人は、どの程度いるのでしょうか。

ワークライフバランスの現状について

近年ワークライフバランスを重視する動きが広まっていますが、その現状はどうなのでしょうか。調査研究の結果に基づいて確認します。ワークライフバランスと一言で言っても、何を重視したいかは人により異なるのです。調査結果の28ページによると、多くの人が仕事よりも家庭生活を優先したいと考えていることが分かります。しかし実際はどうでしょう。同調査の29ページを見ると、理想よりも仕事の優先度が高いことが分かるのです。このことから、現在多くの人が家庭よりも仕事を優先せざるを得ない状況だと分かりますよね。労働者のほとんどが「ワークライフバランスの実現なんて不可能では」と考えてしまうことも、この現状を見れば理解できます。

参照:個人アンケート調査結果より

ワークライフバランスが注目されているのはなぜか

会社への帰属意識が強い日本において、なぜワークライフバランスが注目されるようになったのでしょうか。お気づきの通り日本は世界でもワークライフバランスの取り組みが遅れています。かといって労働生産性が高いのかと言われればそうではないので、効率の悪さが浮き彫りになったのです。労働生産性とは取り入れた資源に対してどれだけ生み出すことができたかということ。取り入れた資源とは採用した労働力などを指し、生み出すものとは利益や付加価値などを指します。労働投入量に対して利益などの成果が多ければ、労働生産性が高いということです。

少子高齢化による労働人口の減少が進み、労働の価値観が変化している中で、今まで通りの働き方を続けていくのは無理があります。たとえば、女性なら妊娠・出産時でも休暇制度が整っていれば続けやすくなるのです。親の介護で辞めるしか考えられなかった人も、職場にサポートする制度があれば続けながら介護ができます。多様な働き方を選べる社会を目指すために、ワークライフバランスが重視されているのです。

ワークライフバランス導入の課題とは

ワークライフバランスには、労働者にも会社にもメリットがあります。労働者が業務に集中できるようになれば生産性の向上に繋がるからです。とはいうものの両者にメリットがあるからと言ってすぐに実現できるものではありません。ここでは、会社側の視点でワークライフバランスの課題を見てみます。

会社は現在まで、多くの労働者が家庭との両立を諦めることにより成長してきました。サービス残業や長時間労働が当然のようにあって、過労による体調不良や自殺が後を絶たない状況にまでなったのです。仕事とプライベートを両立することからかなり距離のある会社が、突然「ワークライフバランスを重視してください」と言われてもどこをどう変えればいいのか分かりません。たとえるのなら、30年間日本から出たことの無い人に突然「今日から海外で生活してください」と言うぐらい難しいことだと思います。ワークライフバランスに配慮するためには、1つのことに取り組めばいいわけではないのです。そのためほかの会社が行っている取り組みが自分の会社に合うとは限らないところも、導入が難しいところだと言えます。

日本の会社では長時間労働やサービス残業を前提として、労働者を採用する傾向にあるのです。労働者のワークライフバランスを重視すれば必然的に労働時間が減るため、生産性が下がるリスクを恐れます。また、同じ人じゃないと仕事内容が分からない事例が多いことも問題です。この事例を防ぐために複数の担当者を作る会社もありますが、まだまだこの傾向は多いと言えます。労働時間の減少とワークライフバランスの重視がイコールになっている現状では、積極的に取り入れるのは難しいのです。

ワークライフバランスの取りやすい職種とは

経理職 ワークライフバランスの取りやすい職種には、どんな職種があるのでしょうか。

経理職

経理職は会社のお金を管理しているため、忙しいイメージをお持ちの方もいると思います。しかし月次や年次の予定をある程度把握できるのが、経理職の特徴。月次や年次の予定から仕事量を予想すれば、スケジュール管理がしやすくなります。基本的に経理職はほかの職種と同じで1日8時間勤務ですが、繁盛期がありますので残業の発生する時期があるのです。繁盛期や閑散期を見極めてフレックスタイム制を導入している会社もあります。

経理職で月末よりも忙しいのは月初めです。請求書や売上などの金額は各部署から月末に報告されます。月初めの第5営業日までに、金額にミスがないかどうかを確認したうえで帳簿を作るのです。毎月10日には源泉所得税の納付もあります。月末になると、月末の振り込みや請求書作成などで忙しくなるのです。それでは、経理職の閑散期はいつでしょうか。月の中旬こそが、経理職の閑散期と言えます。月初めや月末の忙しさに対応するために、リラックスしたり家庭の時間を持ったりと、プライベートを充実させるのです。

年次で見ると、決算書を作成する時期が繁盛期にあたります。3月から4月が繁盛期にあたるのは、3月に決算を行う会社です。これは会社の決算時期によって異なります。また、年末調整に関する仕事が増加する12月も忙しい時期です。年次で見たときに閑散期となる月は、8月から10月の間。こちらも会社の決算の時期によって変わりますので、注意してください。年間を通して繁盛期を予想しやすい経理の仕事は、仕事と生活のリズムを大事にして働きたい人に向いているといえます。

社内SE

SEと言えば残業時間が長いのにそれに見合った給料をもらえない、激務な仕事の代名詞のようなイメージの人も多いことでしょう。会社にもよりますが社内SEはそこまで激務になりにくいのです。社内SEは自社のシステム開発や運用をする仕事ではありますが、その業務内容は多岐に渡ります。社内システムの開発や運用だけをしているように考えられますが、それだけではありません。会社にはさまざまな部署がありますから、それぞれに合ったシステムを設計します。また、社員が利用するパソコンに不具合が発生したさいに、対応を求められることも多いです。

社内SEは社内で完結する仕事ですから、クライアントとの連携が不必要。無茶な納期で仕事を依頼されることがないわけです。また、仕事の成果が分かりやすいとの特徴もあります。そのため仕事だけじゃなくプライベートの充実もできますが会社によるので、気になる会社の情報収集を行うことが大切です。

秘書・受付

秘書は社長や役員など、高い役職の人の業務をサポートする秘書。スケジュール管理から電話、メール応対から資料作成まで、幅広い業務をこなす必要があることから、「上司の予定によって左右されやすいのでは?」「残業が多そう」というイメージを抱く人もいるでしょう。

所属する企業の就業規則によって異なりますが、秘書は基本的に1日8時間程度の勤務時間となります。担当する上司によって仕事のスタイルは変わってきますが、朝早く仕事をする上司の場合は秘書の出勤時間も早くなりますし、お客様との会食が多い上司の場合は退社時間が早くなるでしょう。

このような話を聞くと、上司によっては退勤時間が遅くなる可能性もあるので、ワークライフバランスを保つのは難しいのでは?と思う人もいるかもしれません。しかし、特定の部署や秘書室などに配属されるグループ秘書であれば、複数人の秘書が1人の上司を受け持つので仕事を分担することができますし、希望の勤務時間に合わせた働き方がしやすいです。

また受付は施設の営業時間に合わせて勤務します。退勤時間間際に急な来客がない限り、表向きの営業時間が終了すると同時に業務は終了するため、プライベートの時間を確保しやすいでしょう。

製造業

大手企業の工場などは、残業が少ない傾向にあります。労働者のシフト管理が細部までシステム化されているからです。もちろん突然の残業がゼロというわけではありませんが、1時間未満で終わることがほとんど。閑散期は定時で帰宅することも夢ではありません。ただし、気をつけたいのが中小企業の工場です。少人数で働いているので、納期が近づけば残業が発生します。残業代がつけばやる気が上がることに繋がりますが、サービス残業が蔓延している工場もあるのです。最近は残業による規制が厳しくなりつつあるので、サービス残業が蔓延するような工場は少しずつ減っています。

ワークライフバランスを重視して就活する方法とは

面接 就職 ここでは、ワークライフバランスを重視して就活する方法や注意点を解説します。

自分の理想のワークライフバランスを考える

ワークライフバランスとは仕事と生活の調和ですが、理想のバランスは人によって異なります。生活が最大の優先事項だから残業は絶対にしたくない人もいれば、週休2日制なら多少の残業はしても良いと考える人もいるのです。

口コミやブログを参考にするときでも、「これを書いている人はどのような考え方の人なのか」にまで注目するのがいいでしょう。重視しているのが残業時間ではなく、福利厚生や勤怠時間の人もいます。自分の希望している条件を掘り下げて、整理してください。

自分の現状を理解する

希望している条件を整理する以外に大事なことが、自分の現状を理解することです。理想と現実にどれだけ差があるのかを可視化すれば、何を重視して就職先を探せば良いのか分かりやすくなります。ワークライフバランスが良好な状態とは、状況の変化や本人の希望に合わせて働き方を選択できることです。家族と過ごす時間や趣味の時間を維持しながら、本人の状況に合わせて働き方を変えられれば、ワークライフバランスが良好な状態だと言えます。

仕事を早く終わらせても帰宅しやすかったり有給休暇が取りやすかったりすることも、注目したい要点です。ワークライフバランスが良好だと、健康維持や仕事のやる気にも繋がるので、どちらも良い影響を受けます。対してワークライフバランスが悪いとは、どんな状況なのでしょうか。具体的には家庭で過ごす時間を諦めて仕事に集中することが言えます。身体に負担がかかる仕事のため休日は寝て過ごしてしまったり、早く帰宅しても持ち帰りの仕事があったりすることもあるのです。

休日出勤や残業の増加で、夫婦や子どもとの時間が減ってしまいます。これでは仕事と生活が調和しているとは言いにくいですよね。ワークライフバランスが悪い状態だと言えるのです。理想のワークライフバランスと比較しながら、自分の今の状況を振り返ってください。

会社が公表している情報を見るときの注意点

会社が公表している勤務時間などの情報が活かせます。このとき気をつけたいのは、それらの情報は会社全体の平均だということです。配属された部署や時期など、勤務時間が変わる事情は多くあります。未経験の職種なら、仕事に慣れるまで残業時間が多くなる可能性があるのです。面接のときに確認しておくことは、就職後に不満を感じないために大切ですよ。

ワークライフバランスの取りやすい企業の探し方

経済産業省や厚生労働省が認定している企業に注目する方法がおすすめです。経済産業省は健康経営を増進していて、優良な健康経営を行う企業を顕彰する「健康経営優良法人認定制度」を運営しています。
当コラムでは、健康経営について情報発信をしています。以下のコラムも合わせてご覧ください。

おすすめコラム
健康経営に係る顕彰制度について

個人の健康問題は自己責任だというのが、今までの考え方でした。しかし労働者の健康を守ることは自社のメリットにも繋がるので、健康経営の一環としてワークライフバランスの充実を考える会社が出てきています。そのため健康経営優良法人に認定されているかどうかは、ワークライフバランスを重視する人が就職先を選ぶときの目安になると言えるのです。以下のコラムでは、会社がどのような取り組みを行えるのか紹介しているので、合わせてご覧ください。

おすすめコラム
個人のワークライフバランスは企業が考える時代に。そしてその方法とは?

ワークライフバランスの取り組み事例について

ワークライフバランス ここでは、実際にワークライフバランスに取り組んでいる事例を見てみましょう。ある会社では短時間で質の高い仕事をすることを目標として、働き方改革専門のプロジェクトチームを立ち上げました。社内へ周知する方法として、働き方改革に関する情報をやり取りする掲示板を設置しています。育児は出産前後だけが忙しいわけではなく、子どもの成長に合わせた忙しさがあるもの。そんな育児や介護に関するさまざまなニーズに対応するために、複数の制度を用意しているのが特徴的です。

たとえば2歳まで育児休業を利用できたり、小学校入学までベビーシッターの費用補助などがあったりします。中学校就学開始時まで時短勤務や時差勤務の選択ができますから、これだけ制度が整っている会社は珍しいのではないでしょうか。

また、男女それぞれの働きやすさを追求する会社もあります。女性の活躍に向けて、女性社員を育成するための研修を実施しているのです。女性だけに限らず男性社員の育児休暇取得も考えており、制度の開始後およそ1年で、育児休暇の取得率が上がりました。同社では車内にワークライフバランスの考え方を浸透させるために、さまざまな取り組みをしています。長時間労働削減のために労働時間を可視化して、長時間労働をしている労働者へ業務分担の指示を出したり注意喚起を出したりするのです。

厚生労働省が中小企業を対象に行っている制度に「ユースエール認定制度」というものがあります。ユースエール認定制度は若者の雇用や育成に積極的で優良な企業を認定する制度です。認定された企業は若者の採用や育成に関する助成金が増えたり、広告などに認定マークが使用できたりします。

そのため今まで以上に若者の働きやすい環境を作りやすくなるのです。どちらの認定制度にも、認定されるためには基準があります。そのため認定制度の基準を確認すれば、ワークライフバランスに対応してもらえる会社なのかを考えるうえで、ある程度の目安になるわけです。

就職するときに注意することとは

ワークライフバランスを重視して就職するときに注意することは、面接時に誤解のないように伝えることです。採用担当者によっては、「仕事よりも生活を重視しているのではないか。」と考えられてしまいます。

たとえば月に10時間程度なら残業のできる人でも、残業自体をしたくない人だと採用担当者に捉えられてしまい、評価の下がる例があるわけです。ワークライフバランスを重視していても仕事のやる気はあるのに、まったくやる気がないと捉えられるのは少し違いますよね。ワークライフバランスの価値観は人によって違いますから、そのことを考えながら伝える必要があります。

まとめ

ワークライフバランスの現状や職種をご紹介しました。

  • 仕事より生活を重視したい人は多いが、現状は真逆になっている
  • 会社や部門ごとに忙しさは異なるので、一概にワークライフバランスを求めやすい会社だ、とは言えない
  • ワークライフバランスは仕事と生活の調和であるため、人それぞれバランスは異なる
ワークライフバランスを実現したくても、自分自身の理想を分かっていなければ就職活動を進められません。具体的に理想を書き起こして、譲れない条件などを考えてみましょう。これが、理想の職場で働くための第一歩です。
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