• 健康経営
  • 2021.03.22 (最終更新日:2022.03.26)

今だからこそ求められる健康経営を行うホワイト企業

目次

企業の在り方は常に変わっていく

経営者 時代が変わるにつれて企業の在り方は変わってきました。一昔前は世襲制だった企業も、今では一部の古い体質の企業などだけで、それ以外では血縁者が後を継ぐということは行っていません。また一昔前は、終身雇用が当たり前でしたが、今は終身雇用制を取り入れている企業はほとんどありません。

このように企業の在り方は変わってきています。昔の在り方が完全に悪かったというわけではないのですが、どういった方法にもメリットデメリットがあるのは当然で、どの立場から見てもメリットしかないという方法はないといえるでしょう。

また経営の方法も変わってきました。戦前は使い勝手のいいものをというのと、小さな区域内で作られてきていた伝統的なものを重んじる傾向がありましたが、戦後は物資が回らなくなり、大量生産を行うようになりました。その後、物資が溢れてくると、また希少価値のある高価なものを作る企業や、変わらず大量生産を行う企業などがあり、企業によってその性質が変わったという傾向もあります。さらにその後、IT革命も起き、仕事の幅も大きくなり、それぞれが自分に合った職種は何なのかということを模索するようになりました。

これは、農家の家に生まれたらずっと農家。武士の家に生まれたらずっと武士だった時代から考えると、大きな変化ですよね。

そして今、企業として求められているのが、働き手を大事にするという経営方針です。

企業が従業員を大事にしてこなかった時代

残業 企業が従業員を大事にしなくなった時代は、リーマンショックが起きた1991年頃から始まりました。それまでは終身雇用制が一般的だったため、経営者も従業員のことを家族のように思っていましたし、従業員も会社が家族というように感じられる企業が多く、どんなに残業があったとしても、会社のために頑張ろうとしている従業員が沢山いたのが、1991年より前です。

終身雇用制だと信じていた会社が次々と倒産し、会社の為にがむしゃらになって働くのは違うと従業員は思うようになり、会社の在り方について考えるようになりました。ですが、経営者は従業員の心境の変化に気づかず、「私たちは家族だよな?」という仮面をかぶりながら、いつの間にか地主が奴隷に指示を出すようなイメージで働かせるようになっていきます。

そんな時代が続き、パワハラという言葉が生まれ、企業の悪質な実態が暴露されるようになってきました。

では、企業が従業員を大事にしないというのは、どういうことかというと、例えば、遅くまで残業が続いているのに放置をしていたり、従業員が休みを取りにくい環境のままにしていたり、サービス残業を無理やりさせていたりなどです。こういうことを続けていると、従業員は年齢を重ねるたびに不健康度が増していきます。

精神的に問題を抱えて仕事ができなくなったり、過労がたたって倒れてしまったりということを引き起こし、そのツケがいずれ経営者に回ってきます。仕事中に大きなミスを犯したり、倒れたりすると企業側がその分の補填をしなければいけなくなるからです。さらに、そうやって倒れた人をみた従業員が、同じようにはなりたくないと思い離職していくことに……。こうして、慢性的な人材不足になり、企業として成り立たせるために、さらにブラックなこと(パワハラなど)を行い負のスパイラルへと向かうことになるのです。

この流れを変えるために提唱しているのが、従業員を大事にする企業です。

従業員を大事にするというのはどういうことなのか

仕事量 従業員を大事にしない時代が十数年続いたせいか、「従業員を大事にする」というのがどういうことなのかを理解していない経営者も数多くいます。パワハラがダメ。不当労働がダメ。サービス残業がダメ。なら、それを行わなければいいのか、というとそれだけでは足りません。不当労働やサービス残業に関しては、上司や経営者が「やれ」と言わずに従業員が勝手にやっている分には文句はないだろうという企業もありますし、「それぐらいでパワハラと言われてもねぇ。個人の受け取り方の問題じゃないの?」と言って、真正面から向き合わない経営者もいます。そういった経営者は、自分がどれだけ従業員に対して圧力をかけているのかということにも気づいていない場合もあり、より悪質です。

またお金さえしっかり払っていれば、どんなに働かせていても問題ないだろうという考え方も、今では通用しなくなっています。「健康経営」という言葉が示しているように、従業員を大事にするということは、お金を払えているかどうかではなく、従業員の健康のことを考えているのかというところが判断の基準になっているためです。

これまでも福利厚生や健康診断などで、従業員の健康のために行ってきていると言える経営者もいるかもしれませんが、「健康」は表面的なものだけでは従業員を健康にすることはできません。従業員を大事にすることを考えるのであれば、経営者自身が「健康」について学ばないと経営改革は進まないでしょう。

健康経営を行うことで何が生まれるのか?

アフターファイブ 健康経営を行うこととホワイト企業がイコールなのかというと、ほぼそうです。ただホワイト企業ではない場合に健康経営の認定を1度得ることができたとしても、連続して取得するのは難しいでしょう。というのも、健康経営優良法人の認定内容は、年々厳しくなってきているからです。

年々厳しくなってきているなら、健康経営優良法人の認定を得られる企業は減ってきているのではないかと思いますよね?ですが、逆です。認定を得ている企業は年々爆発的に増えてきています。それだけ企業の経営者たちは、「健康経営」に注目を集めています。

ただ「健康経営」という言葉はあっても、どういったことが起こるのかということはまだおぼろげです。経済産業省が健康経営優良法人の認定を始めた2017年から4年が過ぎ、「健康経営を行うなら、まずはこういったことから始めよう」ということは、ずいぶんと色々な企業が言い始めてきています。そのおかげで、健康経営を始めることに対してのハードルは低くなってきたと言えるでしょう。

ですがその先に何があるのか、ということが見えていない企業も多いのではないでしょうか。「言われたとおりに行動してみたけれど、これで何が変わったんだろう?」というのは当然のことです。「健康」のために行動をしても、すぐにはその効果を実感することができないからです。未来の自分の為に行っているともいえます。例えば、A地点で行動を変えることによって、60歳になったときに持病を抱えることになるか、ならないかが変わるとしても、A地点にいる人にはわかりませんし、60歳になったときに持病を抱えなかったという結果を得られても、それがA地点で行動を変えたからだとは判断できません。A地点で行動を変えていなくても、もしかしたら60歳になっても持病を抱えなかったかもしれないからです。

このように、「健康」のために取り組んだとしても本人もわからないので、他人である経営者から見て、その変化を感じることが難しいという側面は否めないのです。

ただ、健康経営を行うことで、従業員の意識が変わっていき、会社に対する信頼に変化が出てきます。すぐに効果が表れなかったとしても、健康経営を行うことで「何か」は生み出さていると実感できるでしょう。

選ばれる企業になるためのホワイト企業

オフィスビル もう一つの問題が、この「選ばれる企業」です。一昔前までは、企業が人材を選ぶ時代でした。ですが、仕事の幅は増え、会社の数も非常に増えて、人材不足で悩む企業が増えています。それに対して人はというと、少子化が進み働き手の人数が減ってきているうえに、介護や育児などによって、時短でしか働けない、在宅でしか働けない人が増加しているため、求職をしている人口は減ってきています。そのため、募集をかける企業の方が多いので、求職者が企業を選ぶ時代に入ってきているというのが現在です。

求職者が企業を選ぶようになってくると、ワンマン企業は選ばれませんし、ブラック企業も選ばれません。昨今の新型コロナウイルスによって、「健康」への関心が高まっている今、大企業・中小企業というくくりで企業を見ているわけでもなく、給料の高さを見ているわけでもなく、企業が従業員にとってどれだけのことをしてくれるのかというところを見ている求職者が増えています。

若手が欲しい、能力のある人材が欲しいと思っているなら、ホワイト企業を目指すのが一番の近道です。また実際に、健康経営を行っている企業では、採用コストが下がったというデータも出ています。

健康経営で従業員とともに発展していく企業になる

健康経営で特出すべき点は、生産性が伸びてくるというところです。健康経営を始めたからといって、すぐに効果が出るものではありませんが、健康経営を続けることである一定のところから、右肩上がりになることがあります。
それがなぜなのかというと、企業が従業員の健康を管理することで、偏った食事をしなくなり、睡眠時間も確保するため、誰もが本来の力を十分に発揮できるようになるからです。生き生きとした職場環境では、従業員同士のコミュニケーションも活発になり、新しいアイデアが生まれます。初めは仕事とは関係のないことだったとしても、それが仕事と結びつくようになってくると、新しい事業として成り立つことも……。健康経営を行うことで、従業員と企業とが協力し合って、会社が発展していく未来は意外と早くに訪れるかしれません。

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