• 健康経営
  • 2021.05.24 (最終更新日:2022.03.26)

今こそ意味のある働き方改革&健康経営を

目次

法律に従うだけの働き方改革は無意味

落胆 政府が働き方改革を行い、労働基準法など様々なことが法律として変えられていきました。その中でも、経営者も従業員も頭を悩ませたのが長時間労働の禁止です。これによって残業時間が決められてしまい、どんなに忙しい状態であっても早出も深夜労働もできなくなってしまいました。

経営者からすれば、国に残業時間を制限されても納期があるんだから守っていたら間に合わないと頭を悩ませ、従業員からしても残業時間分の給料をあてにしていたのに残業代が出なくなると頭を悩ませています。それぞれに思惑があるのですが、残業時間に制限がかけられたため、無駄な残業をしている従業員への支払いをしなくてよくなったため経営者にとってはメリットもあります。ただ、従業員にとっては何もメリットはありません。なぜなら、残業時間の制約ができても、会社は以前と同じ分量の仕事を振ってくるため、サービス残業をして仕事をしなければいけない人が出てきたからです。もちろん、お金目当ての残業をしていた人は、残っていても意味がないので帰るようにはなりましたが、本当に残業が必要な人はいい迷惑です。これまで、ややブラック気質な会社が働き方改革によって残業代を付けられなくなったので、本当のブラック企業になったというところも少なくないでしょう。

なぜこんなことになっているのでしょうか?国の政策が間違っていたということでしょうか?

ですが、ブラック企業になってしまった原因は国の問題が半分と経営者の問題が半分です。もちろん従業員もただの被害者ではありません。経営者と同じく従うだけだったのであれば、従業員本人にも問題はあります。

働き方改革は「法律だから守る」だけでは、成立しないからです。

働き方改革で国がしたかったこと

国会 働き方改革を国が行った理由は、働き手を追い詰めるためでもなく、経営者を苦しめるためでもありません。日本の未来を考えて作った法律です。

日本の人口は年々減少傾向にあり、超高齢化社会になるのにも時間の問題だと言われています。医療体制は確立されていたとしても、高齢者が増えると病院に行く人口が増えます。寿命と健康寿命は別物ですので、寿命が長くなっても健康でなければ動くことができません。介護対象が増えると、その方たちの世話をするのは医療従事者だけではなく、その家族も行います。人口が減少しているということは、兄弟が少なかったり一人っ子だったりする家族が多いということなので、子どもが親の面倒を見るとなると、彼らはその間働くことができなくなってしまうのです。

ただでさえ人口が減少しており、働き手が減っているというのに、介護で働けない人が増えてくると、いよいよ経済を回すことが難しくなってしまいます。そんな未来にならないために考えたことの一つが「働き方改革」です。

国が働き方改革で、まず手を打ったのが今働いている人の将来を守るための法律です。若い時は、多少の無茶をしても体力でなんとか持ちこたえることができますが、年齢が上がってくるとそれも難しくなってきます。そのため、若いうちから無茶をしないように長時間労働を始めたとした、体にとって良くないことをしないような法律を決めました。長時間労働を何年も続けていて、60歳を超えても健康でいられるのかというと微妙なところです。働き手の労働時間を制限し、ちゃんと休憩時間、睡眠時間を確保させることで、健康寿命も伸ばしていこうと考えました。

十分に休憩をし、十分に睡眠時間をとっていると、体は自己回復力が働き病院いらずの健康的な体を手に入れることができます。そうなれば、健康寿命を延ばすことができ、その人たちが後期高齢者になっても健康でいることができ、彼、彼女たちの子どもも介護で時間をとられることなく、働くことに集中することができるようになるのです。また、休憩時間・睡眠時間を確保できた生活を送っていると、自然とストレス値も下がっていきますし、マンパワーも上昇し、短い時間でも多くの仕事をこなせるようになるという特典もあります。そうなれば、経営者も短い時間でこれまでと同じ生産量を確保できますし、残業代を支払わなくてもよくなり一石二鳥です。

さらに会社の業績が上がれば、残業代も少なくなった従業員たちの給料を上げることもできます。

働き方改革は、巡り巡ってすべての人が幸せになることのできる法律なのです。

働き方改革の表面しか見ないのはなぜなのか

疑問 ではなぜ、働き方改革の表面しか見えていない経営者や働き手が多いのでしょうか。それは、国がなぜこの改革を行ったのかの説明を働き手の立場に立ってしていないからです。国の方針としてこう決めました、今後はこの指示に従ってくださいということは言っていますが、働き方改革を行うことでどんなことが起き、どんな結果を迎えられるのかということをわかりやすい言葉で説明をしていれば、経営者や働き手の理解も高まりますが、政治家同士で話すような一般の人向けの言葉で話をしていないので、理解は進みません。

働き方改革は、これかの日本に必要な改革だということだけでは、政治家の絵空事だと言われたり、官僚は一般市民の気持ちを知らないと言われたりして、拒絶の形から入るので、働き方改革の何がすごくて、自分たちにとっても素晴らしいものなのかがわからないのです。

ただこれまで企業はお金を稼ぐところ、仕事をするところ、商品を生み出すことが正義とされていたので、従業員の健康が第一という考え方は中々浸透しづらいという問題もあります。だから働き方改革が行われたときに、経営者はしわ寄せを従業員に押し付けました。働き方改革の本質が、従業員を大切にするということだとは、思いもしなかったからです。

そのため、残業をさせるなと国が言えば、従業員に残業をしていたように見せるな、でも納期は守れと言って、サービス残業を平気でさせています。本来なら、残業させるなと国が言えば、経営者はどうすれば従業員に残業をさせずに、以前と同じような生産力をはかればいいのかを考えるはずです。そうやって考えていくうちに、働き方改革とは何だったのかを考えるようになり、従業員を大切にすることが自社にとってもプラスになることに繋がっていると気づける経営者も増えたでしょう。

ですが実際は、そういった経営者は微々たるもので、国が本当にしたかったことに気づけないところが多く、よりたくさんのブラック企業を生み出してしまったのです。

健康経営の考えを取り入れれば理解が早まる

ひらめき 働き方改革への理解が高かった経営者もいます。それは「健康経営」を理解していた経営者です。健康経営は、従業員の健康を大切にしながら経営をするという考え方。つまり、働き方改革の本質と似ている経営方針です。

健康経営にすでに取り組んでいた企業や、健康経営の存在を知っていた経営者は、働き方改革が始まった時に、ようやく時代も追いついてきたと感じたことでしょう。実際、国も働き方改革を打ち出した頃に、健康経営優良法人の認証制度を作り、健康経営を行う企業をバックアップしてきました。2017年度から認証制度が始まり、2021年度まで順調に健康経営優良法人の認定企業の数は伸びて来ています。企業の数は伸びているのですが、認証するための規定は2017年度よりも2021年度の方が厳しくなっているのが特徴です。つまり健康経営を考えている企業は、認証の水準が上がっていても乗り越えられるだけの健康経営への理解が深まっていると言ってもいいでしょう。

実際に、健康経営を行っている企業と健康経営を行っていない企業では、段階的に働き方改革の法律が決まって行ったときにも、感じ方に差がありました。健康経営を行っている企業は働き方改革で決まった法律に対して何の違和感を持つこともなく、生産に影響を与えることなく受け入れることができました。ですが、健康経営を行っていない企業は、働き方改革への批判をし、国は国民を見ていないと言って拒絶しながら、従業員を圧迫しています。そして従業員自身も経営者が悪いとは思わず、国が悪いと思っているのです。自分の健康を考えてくれている法律に対して悪態をつくというのは、それだけ自分の健康に興味を持っていないということでしょう。

ですがこういう人は、意外と多いというのが問題です。

これからの日本の仕事の在り方とは

将来 これからの日本の仕事の在り方とは、まず経営者が働き方改革への理解を深め、健康経営に切り替えていくことが大事です。企業が健康経営に切り替えていけば、会社方針として従業員に対し自身への健康への関心を持ってもらうように教育を行うようになるため、従業員自身も働き方改革への理解が深まり、反発心を持たずに仕事に打ち込めるようになります。

経営者、従業員ともに健康に関心を持つようになってくると、必然的に健康寿命が延びてきます。健康寿命が延びるということは、高齢化社会になった時に医療のひっ迫を抑えることができ、高齢者になったとしても働き続けることができますし、これまで介護に追われていた年代が健康寿命が延びることによって介護をしなくてよくなり働けるということです。

働き方改革の中には、労働時間の自由化や非正規雇用と正規雇用との格差の廃止などを行っています。働き手の健康を考えるということが、これからの時代どれだけ大事なことなのかということを理解できる人が増えれば増えるほど、日本の経済を回しやすくなります。こういった未来を迎えるためにも、経営者は働き方改革や健康経営への理解を深めていく必要があるのです。

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