• 健康経営アドバイザー
  • 2021.06.23 (最終更新日:2022.03.26)

健康経営優良法人・ホワイト500(大規模法人部門)をくわしく解説

目次

大規模法人の評価制度「健康経営優良法人・ホワイト500」って?

健康経営 健康経営とは「従業員の健康こそが収益性の高い会社を作る」といった考え方から生まれた経営手法が健康経営です。健康経営に関わる支出を、将来的な発展や利益向上のための「投資」と考え、経営的視点で実践して企業収益を高めることが目的です。
労働人口が減少する中で人材を安定的に確保するために「会社の戦力として働いてもらうためにいかに従業員に健康を持続してもらうか」が現在の健康経営への取り組みのニーズの高さとなっています。優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」し、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができる認定制度があります。その中で「健康経営優良法人」「健康経営優良法人ホワイト500」について解説します。

健康経営優良法人認定制度とは?

経済産業省 経済産業省が設計した顕彰制度が「健康経営優良法人認定制度」です。
健康経営優良法人認定制度は、職場の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに特に健康経営を実践している優良な大企業や中小企業等の法人を認定する制度です。
健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康権利を経営的な視点で考え戦略的に取り組んでいる法人」として、社会的な評価を受けやすい環境が整備されています。

健康経営優良法人には、大規模法人部門と中小規模法人部門があります。「大規規模法人部門」では規模の大きい企業や医療法人を対象とし、「中小規模法人部門」では中小規模の企業や医療法人を対象としています。大企業と中小企業がそれぞれの構造に合わせた認定基準評価されるため中小企業にも取り組みやすいしくみになっています。健康経営優良法人認定制度大規模法人の健康経営優良法人には、グループ会社全体や取引先、地域の関係企業、顧客、従業員の家族などに健康経営の考え方を普及していく「トップランナー」の一員としての役割が求められ、中小規模法人の健康経営優良法人に対しては自社の健康課題に応じた取り組みを実践し、地域における健康経営の拡大のために取り組み事例を発信する役割が求められます。

健康経営優良法人認定制度・大規模法人部門(ホワイト500)とは?

経済産業省がすすめる日本健康会議による「健康経営優良法人認定制度(大規模法人部門)」にて、調査結果の上位500法人にのみ与えられる認定が「ホワイト500」です。「健康経営優良法人認定制度」とは、健康経営度調査という経済産業省がおこなう調査に回答したのちに判定を受け、基準を満たした場合にその認定を受けられる制度です。
※健康経営度調査:従業員の健康管理に関する取り組みやその成果を把握するために経済産業省が毎年秋に行っているアンケート調査。上場企業には必ず調査票が配布されています。

「健康経営優良法人・ホワイト500」認定のよるメリット

ワークライフバランス 健康経営優良法人認定は、経済産業省が発行している国から認定された「ホワイト企業 」のマークです。この認定は1年ごとに認定を受けなければなりませんがホワイト企業として外部にアピールすることができるマークとなります。認定以降の変化としては、以下の取り組みの成果があります。
  • 自社の健康経営の取り組みに更なる推進
  • 従業員の健康に対する意識向上
  • 他者からの健康経営に関するヒアリング等の依頼
  • 顧客や取引先に対する企業イメージの向上
  • 時間外労働の減少(労働時間の適正化)
  • 有給休暇取得率の向上
  • 社内コミュニケーションの活性化
  • 従業員の仕事満足度・モチベーションの向上
「自社内での意識の高まり」が最も高く、「企業イメージの向上」「コミュニケーション等の向上」「労働時間適正化や有給休暇取得率の向上」が共通して上位を占めています。
認定によって取り組みの成果が得られたことがわかります。

大規模法人の定義とは?

健康経営優良法人「大規模法人企業」の定義は下記の通りです。
  • 卸売業        101人以上
  • 小売業        51人以上
  • 医療法人・サービス業 101人以上
  • 製造上その他     301人以上
大規模法人部門(ホワイト500)の申請については、まず業種別に定義された従業員数を満たしているかがポイントになります。

健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定を受けるには

認定をうけるには
  1. 大規模法人部門に該当していること
  2. 認定要件や誓約事項を満たしていること
  3. 「健康経営度調査」に回答する
  4. 健康経営度が上位50%に該当すること
  5. 保険者と連盟で日本健康会議認定事務局へ申請
  6. 認定審査を受け、認定を受ける

ステップ1:健康経営度調査票入手方法

原則として調査票を電子媒体で配布しており調査票を入手するには、調査委託先からご案内する専用URLにアクセスの上、各企業専用ID等を入力する必要があります。上場企業は調査受け付け開始時に調査依頼票が送られます。非上場企業は昨年度回答した企業・法人およびすでに調査票発送依頼を行った企業・法人には受け付け開始時調査依頼状等案内が発送される一方、その他の企業・法人は調査開始時に所定のメールアドレスまで連絡し、専用URL・ID・パスワードを発行する必要があります。
参照:健康経営度調査について(METI/経済産業省)

ステップ2:基準の適合状況の判定を受け取り申請資格を得る

健康経営度調査に回答すると結果をサマリーしたフィードバックシートが返却され、認定基準に適合している場合は申請書類が同封されます。「認定基準適合」と判定され健康経営度が上位50%に該当する場合に限り申請資格を得られます。

ステップ3:主たる保険者との連名で申請する

主たる保険者との連名により申請書類を健康経営優良法人認定事務局へ申請します。健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定基準の5つのフレームワーク要点は以下のようになります。
  1. 経営理念(経営者の自覚)
  2. 組織体制
  3. 制度・施策実行
  4. 評価・改善
  5. 法令遵守・リスクマネジメント
認定基準は毎年変更されています。すでに2022年毛健康経営優良法人(大規模部門・ホワイト500)認定要件の見直しが下記のように検討されています。

「喫煙」に対する見直し

2021年必須項目→受動喫煙対策「受動喫煙対策に対する取り組み」必須項目
2022年検討項目→受動喫煙対策「受動喫煙対策に対する取り組み」必須項目に
追加してさらに喫煙対策「⑯従業員の喫煙率低下に向けた取り組み」を検討中

2019年に「受動喫煙対策に関する取り組み」が必須項目となりましたが、「喫煙対策⑯従業員の喫煙率低下に向けた取り組み」を追加することを検討しています。さらに「喫煙対策」を必須項目とする喫煙対策を強化する狙いです。これにより企業はますます「喫煙対策」に対して強化を求められることになります。世界でも受動喫煙対策においては遅れをとっている日本。健康経営を通じて企業は「受動喫煙対策」と「喫煙率低下」をどのように捉えたらよいかが2022年の認定のポイントとなります。喫煙
2022年8月に認定要件が決定される予定となっています。2022年認定に向けて早めに年間計画を練る必要があります。
変更については経済産業省の優良法人認定制度のホームページにて確認ください。
経済産業省HP:健康経営優良法人認定制度(METI/経済産業省)
大規模法人部門2022年認定要件(案)

ホワイト500と大規模優良法人の認定要件の違い

ホワイト500と大規模優良法人の認定要件の違いの特徴は、認定要件の「1.経営理念(経営者の自覚」①トップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること]が必須項目となります。これは、自社の関連会社や取引先など収益事業外で普及拡大活動を行っているか、また取引先の健康経営や従業員の健康状態等について取引先への把握・考慮がなされているかどうかという内容です。
  • ホワイト500は、認定要件の①が必須となり、②~⑯のうち13項目以上 
  • 大規模部門は、認定要件①~⑯のうち13項目以上
認定要件項目は以下の通りです。
トップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること
②定期検診受診率(実質100%)
③受診勧奨の取り組み
④50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施
⑤管理職又は従業員に対する教育機会の設定*「従業員の健康保持・増進やメンタルヘルスに関する教育」については参加率(実施率)も測っていること
➅適切な働き方実現に向けた取り組み
⑦コミュニケーションの促進に向けた取り組み
⑧病気の治療と仕事の両立の促進に向けた取り組み(⑮以外)
⑨保健指導の実施及び特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み*「生活習慣予備軍者への特定保健指導以外の保健指導」みついては参加率(実施率)を測っていること
⑩食生活の改善に向けた取り組み
⑪運動機会の増進に向けた取り組み
⑫女性の健康保持・増進に向けた取り組み
⑬従業員の感染症予防に向けた取り組み
⑭長時間労働者への対応に関する取り組み
⑮メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み
従業員の喫煙率低下に向けた取り組み(2022年検討中)

ホワイト500と大規模優良法人の認定要件の違いは、認定要件の選択項目数と必須項目の違いがあります。ホワイト500の企業は、調査結果の上位500法人にのみ与えられる認定ですので認定要件の項目の取り組みををすべて満たすことが近道となります。こういった認定要件の数々は健康経営を行う際の指針となります。これからホワイト500の認定を目指す企業は、自社の現状を把握し課題を見つけていく上での手助けとなることでしょう。

まとめ

健康経営優良法人 健康経優良法人(大規模法人部門)の認定を受けるには、業種別に定義を満たす必要がありなおかつ認定要件をクリアする必要あります。そしてさらに健康経営優良法人の上位500のに選ばれた企業が「ホワイト500」です。ホワイトの認定要件は健康経営優良法人と比べると難易度がややあがります。健康経営優良法人もホワイト500の認定も毎年認定を受けなければなりません。そのため毎年企業としてどのように健康経営に取り組むのか常に自社の課題を把握してブラッシュアップすることが自社の強みになあります。
健康経営に関する様々な施策を専門家(産業医や保健師、看護師、管理栄養士、健康運動指導士など)の支援を受けることは、認定成果につなげるため有効な施策となります。
さらに、自社の課題の把握から実践支援では健康経営エキスパートアドバイザーなどの専門家のアドバイスは効果的です。
健康経営優良法人やホワイト500の認定により企業のイメージ向上、ブランド力や企業の知名度が上がることで、競合他社よりも消費者の目を引き、販売促進につながります。企業が従業員の健康に投資することで、従業員は安心して働くことができる環境を提供する事につながります。企業としては労働生産性の向上や従業員の安心感はやる気につながり、売上の向上が期待ができます。健康経営優良法人・ホワイト500認定により特定の金融機関が認定企業に対してのみ実施している金利優遇措置が受けられたり、地方自治体によってはインセンティブが授与されたりするメリットもあります。
健康経営優良法人やホワイト500の特徴やメリットを理解して、認定を目指してみてはいかがでしょうか?
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