• 健康経営
  • 2021.06.01

働き方改革のロードマップを今だからこそ改めて考える

目次

働き方改革の実現をするために考えられたロードマップ

ロードマップ働き方改革の法案ができた際には、どうやって働き方改革を行っていくかのロードマップも作られました。一番初めに考えたのが「働く人の視点に立った課題」そして次が「検討テーマと現状」、最後は「対応策」です。この対応策が実際の政策になっています。

では最初の「働く人の視点に立った課題」から見ていきましょう。これは3項目に分けて課題を出しています。
・処遇の改善(賃金など)
・制約の克服(時間・場所など)
・キャリアの構築

これらの観点を働く人の視点で考えた時に、どうしていきたいのかを考えたものが下記です。
1、仕事ぶりや能力の評価委に納得して、意欲を持って働きたい
2、ワークライフバランスを確保して、健康に柔軟に働きたい/病気治療、子育て・介護など、仕事を無理なく両立したい
3、ライフスタイルやライフステージの変化に合わせて、多様な仕事を選択したい/家庭の経済事情に関わらず希望する教育を受けたい

という課題が働き方改革を考えた時に出てきた働く人の視点は、こういうものではないのかという意見のもとでてきたものです。中には実際の数字をもとに判断をしているものがあります。
例えば2の項目の中だと、若者が転職をしようと思う理由「労働時間・休日・休暇の条件が良い会社にかわりたい」という項目が、2009年では37.1パーセントだったのに対して、2013年では40.6パーセントに上昇していました。またテレワークを実施したいと思っていると答えたのが2017年時点で30.1パーセントという数字が出ていたり、副業を希望する就業者は約368万人もいたことがわかっています。

突拍子もないことを勝手に考えて働く人の視点として「課題」にしたわけではなく、一応数字も元に考えられたものであるということがわかります。では実際に、「検討テーマと現状」、と「対応策」についても見ていきましょう。

9つの検討テーマと現状とは

検討テーマ働く人の視点に立った課題から枝分かれしてできたのが9つの項目です。
・処遇の改善(賃金など)から枝分かれしたもの
1、非正規雇用の処遇改善
2、賃金引上げと労働生産性向上

・制約の克服(時間・場所など)から枝分かれしたもの
3、長時間労働の是正
4、柔軟な働き方がしやすい環境整備
5、病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障がい者就労の推進
6、外国人材の受け入れ
7、女性・若者が活躍しやすい環境整備

・キャリアの構築から枝分かれしたもの
7、女性・若者が活躍しやすい環境整備 ※制約の克服と重なっている項目
8、雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実
9、高齢者の就職促進

以上の9つの項目が「検討テーマと現状」です。これらも数字をもとに考えられたもの。例えば4番だと、テレワークを導入していない企業は2017年時点では83.8パーセントもありました。ですが、緊急事態宣言下では企業の70パーセントにテレワークをするようにということが言われていました。これがどれだけの企業が努力をしなければいけなかったのかがわかりますよね。他にも副業を認めていない企業は2017年時点では85.3パーセントもありましたが、これも法律が変わったことでだいぶ緩和されてきています。

他の項目も見ていきましょう。例えば5番だと、がんと診断された後無職になった人が29パーセントいたり、育児と仕事の両立ができず25.2パーセントの人が退職をしていたり、介護休業取得者がいた事業所は1.3パーセントとあまりにも低い数字だったりもします。自身の病気や育児・介護が原因で仕事ができなくなった人の多さがわかります。また障碍者雇用義務のある企業のうち約3割が実際には雇用を行っていないというデータもあり、改善すべき点が多くあるのが現状です。
7番も見てみましょう。正社員だった女性が結婚等で退職した後に再就職した時の雇用形態は正規雇用が12パーセント、非正規雇用が88パーセントという結果が出ていたり、就職氷河期世代(1970~1984年に生まれた世代)の完全失業者+非労働力人口が42万人(2017年時点)という数字が出ていたりします。
9番は65歳以上の就職率が22.3パーセントと低い数字になっていることから検討テーマとして挙げられています。

このように数字に基づく考察から、「働く人の視点に立った課題」と「検討テーマと現状」が作られ、これらの対策をするために作られた対応策を、次の項目区で詳しく見ていきます。

19の対応策で働き方改革を成立させる

働き方改革先ほどの項目であげた9つの項目をさらに19の対応策で示したのが、下記のものです。

①同一労働同一賃金の実効性を確保する法制度とガイドラインの整備
②非正規雇用労働者の正社員化などキャリアアップの推進
③企業への賃上げの働きかけや取引条件改善・生産性向上支援など賃上げしやすい環境の整備
④法改正による時間外労働の上限規制の導入
⑤勤務間インターバル制度導入に向けた環境整備
⑥健康で働きやすい職場環境の整備
⑦雇用型テレワークのガイドライン刷新と導入支援
⑧非雇用型テレワークのガイドライン刷新と働き手への支援
⑨副業・兼業の推進に向けたガイドライン策定やモデル就業規則改定などの環境整備
⑩治療と仕事の両立に向けたトライアングル型支援などの推進
⑪子育て・介護と仕事の両立支援策の充実・活用促進
⑫障害者等の希望や能力を活かした就労支援の推進
⑬外国人材受入れの環境整備
⑭女性のリカレント教育など個人の学び直しへの支援や職業訓練などの充実
⑮パートタイム女性が就業調整を意識しない環境整備や正社員女性の復職など多様な女性活躍の推進
⑯就職氷河期世代や若者の活躍に向けた支援・環境整備の推進
⑰転職・再就職者の採用機会拡大に向けた指針策定・受入れ企業支援と職業能力・職場情報の見える化
⑱給付型奨学金の創設など誰にでもチャンスのある教育環境の整備
⑲継続雇用延長・定年延長の支援と高齢者のマッチング支援

この19の項目については、2017年度から2027年度までのロードマップが作られており、ほとんどのものが2021年度までに改正法の施行をしています。その後は、PDCAを回しながら、年度ごとに見つめなおし、数字を見て微調整をかけて2027年度が終わるころまでには目標とする数値までもっていくということが、2017年に決められました。

さらにここでは、働く人の視点に立った課題を再度見つめなおしたものが書かれており、それに対しての具体的な施策も書かれています。例えば「⑥健康で働きやすい職場環境の整備」であれば、働く人の視点に立った課題としては、長時間労働者の割合が欧米各国に比べて多いため、仕事と家庭の両立が困難になっているとし、週労働時間が49時間を超えている労働者は2014年の数値で言うと、アメリカが16.6パーセント、イギリスが12.5パーセント、フランスが10.4パーセント、ドイツが10.1パーセントに対して、日本は21.3パーセントという数値になっているということが書かれています。それに対して具体的な施策として、「長時間労働の是正等に関する政府の数値目標の見直し」「メンタルヘルス・パワーハラスメント防止対策の取組強化」「監督指導の徹底」「労働者の健康確保のための取組強化」の4つが挙げられています。

このように19の項目に対して施策方法が書かれているので、どのようにすればいいかに悩むことがないようになっています。

ただ全体像と、どうしてこの施策を行っているのかの理由を経営者や労働者が理解していなければ、ただ決められたことをしているだけになってしまい、思ったような効果が得られないという問題も抱えているのです。

働き方改革と方向性が似ている健康経営

働き方改革ロードマップを通してみていく事で、働き方改革とは何なのか、どういう未来を想定して、この法律ができたのかが見えてきたのではないかと思います。働き方改革のロードマップの中には、健康経営を重なる部分があるというのも注目すべき点です。働き方改革は「一億総活躍社会の実現に向けて」を目指したもの。それを実現するには、働き手の健康寿命は今よりも長い方がいいということです。働き手の健康寿命を延ばすのであれば、若いうちから働き手自身が健康のことを考える必要があります。もちろん、企業も働き手が健康を維持・増進できる環境づくりをしなければいけません。この考え方が、「健康経営」です。

働き方改革を追求していく中で、健康経営は必須の考え方です。ただ健康経営では囲い切れていない部分が働き方改革の中には含まれているので、「一億総活躍社会の実現に向けて」を現実のものにするためには、2本の柱として考えていく必要があります。

これまで経済重視だった日本の企業で、従業員の健康重視の企業が増えていくでしょう。ですが、従業員の健康を重視していても、経営難に陥ることはありませんし、売り上げが下がるということもありません。正しい考えのもとで、試行錯誤しながらも健康経営に真面目に取り込んでいくと、最初の方こそ環境を整えるために資金を使うことにはなりますが、それを挽回できるだけの売り上げを作ることができるようになっていきます。

日本で健康経営優良法人の顕彰制度ができたのは2017年でした。それから4年がたち、認証されている健康経営優良法人は右肩上がり伸びてきています。ホワイト500やブライト500など、大規模法人、中小規模法人でも特に優秀な企業を選ぶ制度もできてきているので、これから健康経営を始める企業は、どの企業を参考にすればいいのかがわかりやすい状態になっていると言えるでしょう。
ぜひ、健康経営で成功している企業を参考に健康経営を始めてみてください。

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