• 健康経営
  • 2021.06.07 (最終更新日:2022.03.26)

中小企業が行っている健康経営事例6選

目次

中小企業でも注目されてきている健康経営

健康経営を率先して行っているのは大企業というイメージを持っている経営者も多いかもしれません。大企業は中小企業に比べると、これまでと違う経営方針をとるだけの資金源があるため、始めやすいのではないかというイメージがあるからです。

ですが実は中小企業の方が、健康経営に対して真面目に取り組んでいる企業が多いのが事実です。2021年度の健康経営優良法人に認定された企業数も2020年度に比べると、伸び幅も企業数も大企業よりも多くありました。とくに2021年度からは、ブライト500というものもできたため、特に優秀な健康経営をしている企業がどこなのかもわかりやすくなっています。今回は、中小企業の6つの健康経営の事例をご紹介します。

従業員と向き合う環境づくりを徹底した株式会社現場サポート

コミュニケーション この企業では人との関係性を重要視した取り組みを行っています。

・良好な社内の人間関係を構築
 ⇒社内のSNSで同僚社員に対する仕事上の感謝の言葉を1か月に1回は発信するように推奨し、社長は毎日感謝の言葉を1回は発信するように徹底しています。社長が毎日行うことで、社員も1か月に1回以上であればと行いやすい環境づくりをしている点も重要です。社内でポジティブな発言をSNSを通して行うことで、社員が前向きな気持ちになりやすいというのも利点です。

・社員による社長への提案機会の提供
 ⇒すべての社員が2か月に1回、10分間の社長面談をすることを義務化。この面談では、社員が仕事環境について説明をしたり、職場環境の改善の提案などをしています。この制度によって、テレワークや研修制度の拡大が行われたという実績もあります。

・長期疾患社員のサポート
 ⇒精神疾患になった場合でも、働き続けられるような環境づくりを作っています。例えば、収入を保証しながら業務の負担軽減を図るなど、会社の決まり事として作っていることが重要です。

の3点が特に優れたポイントです。これらのことを行いながら、風通しのいい社風を作っていっています。

個人の考えを尊重する社風に変えたライフネット生命保険株式会社

保険 この会社では、これまで日本の企業の多くができなかったことを前向きに変えていっています。

・がんの治療と就業の両立支援
 ⇒2017年から、がんを患った同僚に自分の特別有給休暇を寄付できる仕組みを作っています。また復職後に12日かんの特別有給休暇と半年間月5万円のてあてをかいしゃがおこない、復職した従業員が安心して働ける仕組みづくりを行っています。

・副業と兼業を推奨
 ⇒副業や兼業を国は勧めているものの、実際の企業で取り入れているところは少ないのが現状です。ですが、この企業では社外で得た知識や経験によって得た知識は従業員の成長に繋がり、本業にもプラスになるという考えで、会社自らが推奨しているのが特徴です。現在1割の従業員が個人事業主として仕事を併せ持っています。

・定年も人事も年齢フリー
 ⇒この制度はとても珍しいように思うのですが、60歳や65歳になったら定年退職、という決まりを定めておらず、定年退職の年齢は本人が会社から期待されている能力を発揮できていると思っているうちは働き続けられるというシステムです。また役職には人気があり、同じ部署での部門長は原則3年までとなっており、その間に後任を育てられるように求められています。

の3点がこの会社の特徴です。個人がどうしたいのかという主体性を何よりも大事にしています。

一人一人の働き方を尊重する医療法人社団明和会 大野浦病院

病院 こちらの病院では、その人がどうしたいのかという考えを何よりも大事にしています。

・選べる勤務形態
 ⇒職員の中には「もっと稼ぎたい」「もっと成長したい」と思っている人もいます。そういう人に向けて、「標準型」の勤務制度に加えて、勤務日数などが異なる「ワーク重視型」「準ワーク重視型」「夜勤選任型」という3つの働き方を追加し、職員が自由に選べるようになっています。働き方は年に1度変更できるものの、職員の健康に問題がある場合には承認できない場合もあります。

・「法人認定マスター制度」の実施と副業の解禁
 ⇒法人認定マスター制度とは、業務の質の高さを認定するものです。キャリアアップの指針を示し、業務能力の底上げを実現しています。また病院内で得た知識を外部に展開することが職員の視野を広げることに繋がるのではないかと期待し、副業も解禁しているのが特徴です。

・間接業務の削減
 ⇒職員には患者対応を中心に行ってもらいたいという病院の意志で、間接業務にはどんなものがあるのかを洗い出し、同法人グループ会社と連携して業務の効率化を図っています。これによって、職員の残業時間を削減させることにも成功しています。

の3点がこの病院の特徴です。病院側が職員にどうなってほしいのかが明確になっているため、職員側も働きやすい環境になっています。

女性が働きやすい環境を作り出した株式会社ランクアップ

女性 働き方 業種柄女性の働き手が多いこの会社では、女性にとって働きやすい環境づくりを積極的に行っています。

・子育て期間中のサポートを充実
 ⇒時短勤務を取り入れている会社は多いのですが、この会社では突発的な出来事に対応できるように1~6時間の間で自由に時間休をとることができる制度を作っています。また、ベビーシッター補助制度も導入して子育てサポートを会社としても行っているのが特徴です。

・定時退社の徹底と勤務時間の長短を加味しない人事評価
 ⇒残業をするなといっても人事評価を受ける時には、長時間働いている人の方が評価が高いという風習が昔はありましたが、それを完全に撤廃したのがこの仕組みです。また時短勤務や時間休を取る社員とフルタイム社員の労働時間・業務量の隔たりをなくすことで、双方のストレスも軽減させています。

・コロナ禍でも対応可能な勤務制度の導入
 ⇒こちらの会社では2020年2月から在宅勤務を開始しています。業務の優先獣医や進捗を確認する「アクションプランシート」を活用したり、「スーパーフレックス制度」を導入したりして、時代や子育て中の社員が働きやすい環境を作っています。

の3点が、この会社の特徴です。特に女性が働きやすい環境づくりにおいては見習う点が多い会社ともいえます。

自分で自分の働き方を考えられる有限会社ジャム

企業の歯車として働くのではなく、どうやってしごとをするのか、何をすればいいのかを自分で考えることができるように取り組んでいる企業です。

・ホラクラシー型の組織
 ⇒情報を全員で共有し、チームでの意思決定が必要な場合はチームリーダーを中心に決めますが、それ以外のことは個人の意思決定ができるようになっているため、采配できるものが大きいといえます。またパート従業員であっても幹部やチームリーダーになることが珍しくなく、まとめることのできる人が人の上に立つ仕組みづくりをしているのが特徴です。

・ダイバーシティ経営
 ⇒国籍、人種、性別、年齢で人を区別せず、従業員が伸び伸びと自分の能力を発揮できる環境を会社が作ってくれています。また、お互いをニックネームで呼び合うことを推奨し、従業員同士の垣根をなくしているのも特徴です。さらに外国人従業員は講師業務のみというところも多いのですが、この会社では人事や教材開発も担っています。

・徹底したIT化
 ⇒2000年からクラウドを導入し、社内の情報を全員に共有し、従業員の対応力を向上させてきています。またメーリングリストで情報を共有しているので、作業日報が存在していないのも特徴の一つです。

の3点が、この企業が行っている施策です。これによって、自分で考えること、責任感を持つことを意識して働ける環境になっています。

従業員が笑顔になれる職場環境を整えているアルファフードスタッフ株式会社

会議 この企業で働いていてよかったと思えるような環境づくりを徹底して行っている会社です。

・休日日数の増加と育児休暇取得の推進
 ⇒これまで月に2日ほど休日出勤をしている社員がほとんどだったものを、月に1日に減らし、2018年9月からは完全週休2日制を実現させました。育児休暇に関しては、2016年での取得率は25パーセントでしたが、2020年には100パーセントになり、この年に初めて男性社員も取得するようになりました。

・部署をこえた情報共有体制とプロジェクトチームの構築
 ⇒ビジネスチャットツールを導入して、部署をこえた情報共有体制を構築して、風通しのいい社風になっています。また社内外の課題解決を進めるプロジェクトチームの結成を促し、部署をこえたチームを作ることで全社一体で改革を進めていく風土を作っています。

・地元の労働力を生かす工場作り
 ⇒地元の住宅街に工場を設立し、主婦や高齢者が働きやすい環境と働く時間帯を模索しています。また工場で働くすべてのパート社員には社会保険が整備され、正社員と同じく1年以上勤務すると年2回の賞与も支給される仕組みづくりを作っています。

の3点が、この企業の特徴です。様々な立場の従業員たちが働きやすい環境を常に考え整備されています。

健康経営は中小企業だからこそ始めるべき経営方法

健康経営は従業員の健康を考えたり、従業員が働きやすい環境を作ることに目を向けた経営方法です。健康経営は施策を打ち出すのに資金がかさむからできないと思っている経営者もいますが、資金をかけずに行える施策もあります。
どうすれば従業員が働きやすい環境になれるのかを今一度考えてみませんか?

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