• 健康経営
  • 2020.03.02 (最終更新日:2022.03.26)

受診勧奨の取り組み

目次

受診勧奨をすることで従業員の健康状態をさらに探るためのもの

本項目は、経営者及び担当者が、自社の従業員の労働環境や健康課題を把握した上で、各従業員(及びその家族)が自身の健康状態を把握・改善するために、事業主(経営者)の法的義務である「定期健康診断の実施」に加えて、再検査・精密検査等の受診勧奨、がん検診等の任意検診を受診しやすい環境を整えているかを問うものである。
引用:健康経営優良法人 2020(中小規模法人部門)認定基準解説書

受診勧奨の取り組みは、健康経営優良法人認定基準の第三項目「制度・施策実行」の中にある4つの項目のうちの1つです。健康経営有料法人に認定されるためには、この4つの項目のうち2項目を達成する必要があります。そのため、必ずしも「受診勧奨の取り組み」をしなければいけないというわけではありませんが、健康を測る上での基本ですので達成したい項目ともいえます。

受診勧奨の取り組みとはどういうもののことをいうのか

受診奨励 受診勧奨と聞くと、通常の定期健康診断を受けるように勧奨すればいいのかと思われがちですが、通常の定期健康診断への勧奨はこの項目には当てはまりません。

この項目を適合させるには下記のどちらかを満たす必要があります。

1つ目は定期健康診断等の結果、再検査や精密検査が必要とされた従業員に対して、受診を促すための取り組み又は制度を作っていることです。定期健康診断を行っていることは既に前提となっており、その結果を受けた後にどうするのかということを重要視しています。

2つ目は従業員に対し、がん検診等、任意検診の受診を促す取り組み又は制度があるかどうかです。定期健康診断は一般的な基本項目しか健診することができません。オプションをつけて企業側で折半したり、年齢制限を設けて受けさせるなどの措置を図っているかを見ています。

この2つのどちらかを行うことで、ようやく受診勧奨をしているとみなすことができます。

この項目では除外される健診は?

定期健康診断 定期健康診断以外にもこの項目では除外される健診があります。それは、婦人科健診・検診、妊婦健診等の女性の健康に特化している受診勧奨です。女性の健康に特化したものが含まれないのは、この項目以外で「⑫女性の健康保持・増進に向けた取り組み」というのがあり、そちらに含まれるためです。

受診勧奨の適合例と不適合例

何に対して受診勧奨をすれば適合になるのかがわかりづらいと思いますので例をあげさせていただきます。

■適合例 2つ

①【再検査、精密検査、要治療の従業員への受診勧奨】
・受診勧奨のため対象者に個人宛通知
・再検査、精密検査、治療に要する時間の出勤認定や特別休暇認定付与
・再検査、精密検査、治療の費用補助(金額の一部補助も可)
・再検査、精密検査、治療の従業員に対して受診報告の義務化

②【がん検診、任意検診の受診勧奨】
・従業員に対して個人に届く方法(個人宛通知や文書回覧など)での周知
・がん検診等、任意検診に要する時間の出勤認定や特別休暇認定付与
・がん検診等、任意検診の費用補助(金額の一部補助も可)
・定期健康診断に種々の検診をオプションとして付加できる医療機関と契約

引用:健康経営優良法人 2020(中小規模法人部門)認定基準解説書

■不適合例 1つ

・医学的に効果が確認されていない民間の検査等の実施の推奨
・健保組合や社員会や親睦会等の従業員有志による費用補助
→事業者の関与が見られない場合は不適合とする
引用:健康経営優良法人 2020(中小規模法人部門)認定基準解説書

となっています。
基本的には医学的に効果が確認されている検査に対して事業者側の関与が認められれば、この項目に当てはまると言ってもいいでしょう。

受診勧奨の取り組みに関する疑問

受診奨励の取り組み ここでは受診勧奨の取り組みに関する疑問をご紹介します。

Q:「事業者の関与が見られない場合は不適合」とあるが、保険者による費用補助は適合か。
A:加入している保険者が費用補助を行っていることのみでは不適合です。従業員に対し保険者の費用補助を周知するなど、事業者としてのなんらかの関与が必要です。

現在のところとりあげられている疑問は1つですが、何が適合で何が不適合なのかの判断が、やはり難しいところといえるでしょう。

健診は受けるだけではなく結果に対してどう行動をするのか

健康診断 定期健康診断を受けることは大切ですが、それだけではわからないことがありますし、定期健康診断を受けた後の結果を見てどう行動するのかということも大切です。

健康経営を考えるうえで、本当に従業員に健康でいてほしいと思うのであれば、改善策をどう打ち出すのかにも目を向けてほしいというのがこの項目だと思います。ぜひ従業員の健康を守るために検討してみてはいかがでしょうか?

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