• 健康経営
  • 2021.06.08

健康経営優良法人2022の要件案から見えること

目次

健康経営優良法人2022で特に注目すべき点は

喫煙健康経営優良法人の認定要件は、毎年同じ内容ではありません。企業での健康経営がPDCAを回しながら改善を重ねていくように、認定要件もPDCAを回しながら改善されてきています。ただ認定要件の場合は、世の中の情勢や肉体と精神の健康に関する人の状態を見て、こういった項目を追加することでさらに健康に対する意識が高まるのではないかと健康会議で話し合って変更が加えられています。

健康会議で話し合った結果をネット上でアップしたりもしているので、年度ごとにどんなことを話し合い、どんな数字を見て判断しているのかを見てみるのも面白いかもしれません。

そんな中で、健康経営優良法人2022の要件案が3月に発表されました。大規模法人、中小規模法人ともに新しい項目が追加され、中小規模法人では健康経営優良法人2021からできたブライト500に関する項目も追加されています。

まずは共通項目として注目をしたいのがタバコに関する項目です。次の項目から詳しく見ていきましょう。

受動喫煙対策ではなく喫煙対策が組み込まれるようになった

受動喫煙タバコは身体に悪いと言いながら、タバコを吸うことは本人の自由意志ということで健康経営優良法人の要件項目にはこれまで入っていませんでした。タバコの項目が以前からあったように感じている人は、おそらく「受動喫煙対策:受動喫煙対策に関する取り組み」と混同しているのでしょう。

この受動喫煙対策は、タバコを吸っている人を対象としてはいますが、タバコを吸っていない人にタバコの煙を吸わさないということがメインで行われてきたものです。そのため、喫煙所を作ったり、企業の敷地内は禁煙にしたり、企業によって様々な取り組みが行われてきました。中には、受動喫煙を減らすために、喫煙者を減らす運動を行っている企業もありましたが、すべてではありません。あくまで、喫煙者ではない人を守るための項目でした。この項目は、従業員の心と体の健康づくりに向けた具体的対策の中にあり、初めは選択項目でしたが、今では必須項目となっています。

それが健康経営優良法人2022の認定要件(案)の中に初めて「喫煙対策」ができました。これは大規模法人部門、中小規模法人部門ともに同じです。従業員の心と体の健康づくりに向けた具体的対策の中に「喫煙対策:従業員の喫煙率低下に向けた取り組み」が選択項目としてできたのです。現在は選択項目となっていますが、いずれ必須項目になる可能性もあります。

タバコに対しての対策は、どこの企業でも行ってきていることですが、今後は従業員の喫煙率低下の数値を追う必要が出てきます。また受動喫煙対策では企業が分煙に力を入れることで、投資や決まり事を作るだけで比較的簡単にできたのですが、喫煙対策となると従業員にタバコが体に与える害にはどういうものがあるのかということを伝え、喫煙者にも自分の健康と向き合ってもらう必要があります。タバコを吸っていない人に副流煙を吸わせないようにするよりも、タバコを吸っている人に禁煙をしてもらうという方がハードルは高いということです。

企業は従業員に対して、これまで以上に自分の体のことに目を向けてもらえるように、しなければなりません。また喫煙対策が健康経営優良法人の認定要件の中に入ることで、まずは経営者や役員たちの禁煙が進むと思われます。

中小規模法人にだけ加えられた健康経営優良法人2022の要件変更案

健康診断 結果大規模法人と中小規模法人で共通した変更点は喫煙対策でしたが、健康経営優良法人2022では中小規模法人の方のみに変更が加えられている部分があります。まず1点目が「4.評価・改善:健康経営の評価・改善に関する取り組み」が必須項目になったことです。この項目は、健康経営優良法人2021の時に増えた項目で、その時は選択項目とされていました。健康経営優良法人2020までは「4.評価・改善:保険者へのデータ提供(保険者との連携) :(求めに応じて)40歳以上の従業員の健診データの提供」が入っていました。ですがこの内容は、健康経営優良法人2021の際に、「4.評価・改善」から「2.組織体制」へと移動し必須項目となっています。そういった流れがある中で、「健康経営の評価・改善に関する取り組み」が今回、必須項目となったわけです。

また中小規模法人部門には、健康経営優良法人2021からブライト500が新しく創設されました。健康経営優良法人2021の時にはなかったのですが、健康経営優良法人2022からは、ブライト500に選定されるための最低ラインが設定されることになります。中小規模法人部門で健康経営優良法人と認定されるためには、「3.制度・施策実行」項目の中の「従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討」の3項目中2項目、「健康経営の実勢に向けた基礎的な土台づくりとワークエンゲイジメント」の4項目中1項目、「従業員の心と体の健康づくりに向けた具体的対策」の8項目中4項目で合計7項目を実行していれば健康経営優良法人に認定が下りますが、ブライト500では7項目では足りません。「3.制度・施策実行」の中の選択項目は全部で15項目あり、そのうちの13項目ができていないとブライト500には選ばないという案が出ているのです。

健康経営優良法人2021でブライト500に選定されるのは、中小規模法人部門での上位500社とされていましたが、健康経営優良法人2022からは上位500に入っていても、「3.制度・施策実行」で最低でも13項目がクリアできていないと選定されないということになるため、もしかすると健康経営優良法人2022ではブライト500に選定される企業数が500を切る可能性もあります。ただ、制限が強くなった状態でブライト500に認定された企業は、上位500社というだけではなく、健康経営をあらゆる方面で努力している企業ということになるため、認定された時の周りからの評価は上がるでしょう。

健康経営をするために必要なことを示すのが顕彰制度

健康 家族健康経営を行っていない企業が何をしたらいいのかが迷った時には、健康経営優良法人の認定要件を見ると、何をしたらいいのかがわかりやすいといえます。大規模法人部門の認定要件も中小規模法人部門の認定要件も似ているのですが、中小規模法人部門の要件の方がわかりやすいように感じます。特に、現在「必須」となっている項目は、健康経営を行う上では最低限必要な個所です。大項目が「1.経営理念(経営者の自覚)」から「5.法令遵守・リスクマネジメント(自主申告)」まであり、上から順番に行っていくと健康経営をしやすいといえます。

「3.制度・施策実行」の項目では、何を目的に行ったらいいのかが書かれているのでわかりやすいのですが、どうすればその目標にたどり着けるのかというのは、試行錯誤で行っていくしかありません。ですが、健康経営は自社だけで完結するものではなく、自社で行っている健康経営を発信して、周りと協力し合って行っていくという側面もあります。そのため、@健康経営の取り組みに関する地域への発信状況」という項目も、認定要件としては重要なポイントとして設定しています。特に、ホワイト500やブライト500に認定されている企業は、その認識が強いため、自社の健康経営をどのような形で行っているかの事例を詳しく発信しているのが特徴です。

健康経営優良法人の認定が始まったばかりの頃は、企業の健康経営の事例を探すのに時間がかかったり、実際にアポイントを取って担当者に話を聞かなければわからなかったのですが、今は少しネットで検索をするだけで事例はいくつでも出てくるようになりました。詳しく自社の健康経営を紹介している企業もあり、すぐに行動にうつせそうなものもあります。

健康経営は日々の積み重ねという面もあるため、健康経営1年目の企業と健康経営5年目の企業とでは、従業員への「健康」への関心度にも違いはありますし、経営者も従業員もどちらにも特がある健康経営を行えるのに差が出てしまいます。ですが、5年前よりも今の方が健康経営を始めやすいというのも事実です。

「健康」に気を遣うことが、何に対してマイナスになるのかと考えてみると何もありません。ただ長生きをするだけでは、親族に迷惑をかけることもありますが、健康寿命が延びることに対しては、誰もが笑顔になれることです。そう思うと、仕事でもプライベートでも健康でいようとする人を一人でも増やすことのできる健康経営は、やはり広めるべきものだという回答にしかならないのではないでしょうか?

もし健康経営に踏み出し切れていない経営者がいるのであれば、そのことを考えてみてほしいと思います。

健康経営優良法人の認定要件は変わり続ける

健康づくり健康経営優良法人の認定要件は2022も変更案がすでに出されていますが、来年になれば健康経営優良法人2023の認定要件の変更案もおそらく出されるでしょう。認定要件は毎年度微調整を繰り返しています。実際に健康経営優良法人の認定を貰おうとしている企業から出される資料を基にして、この程度までできている企業が多いのであれば、ここを強化しようという話が出たり、現在の世間の様子を見て、ここを強化した方が「健康」を意識してもらえるのではないかという話が出たりしているのだと思います。

健康経営優良法人の認定基準は改善され、年々厳しくなってきているのですが、それでも応募企業数も認定企業数も毎年右肩上がりです。そして健康経営優良法人の顕彰制度ができてから、まだ10年も経っていません。健康経営でできることは、まだまだあるのではないかと思うと、この先の健康経営優良法人の認証制度から目が離せないといえるでしょう。

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