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  • 2021.06.14 (最終更新日:2022.03.26)

健康経営とは何なのかを改めて知ることが大事

目次

健康経営とは難しいものなのか

健康経営 難しい 健康経営とはどんなものですか?と聞かれて、具体的にこういうものですと答えられる人はどれだけいるでしょうか。大枠として、健康経営とは「従業員の健康を考えた経営です」と答えられる人はいるかもしれません。ですが、従業員の健康を考えた経営とはどういうものなのでしょうか?

ぼんやりとした輪郭でしか判断ができていないので、核心をついた健康経営を行うことはできません。

日本でも健康経営を行う企業が増えてきましたし、「健康経営」という言葉が浸透し始めた2016年、2017年頃以前から、健康経営のようなものを行っていた企業だってあります。ですが、施策として「〇〇を行っているから、うちは健康経営をしている」と一言でいえる施策をしている企業は少ないように思います。

健康経営とは、きっとこういうものだから、Aの施策、Bの施策、Cの施策、Dの施策と次々に行っていき、気が付いたら周りから「あの会社は健康経営をしている素晴らしい会社だ」と言われるようになっている。というほうが、多いのではないでしょうか。

実際、よくある話なのですが、健康経営が浸透する前から健康経営のようなことをしてきた会社は、付き合いのある協会けんぽの担当者から「〇〇さんの会社、すでに健康経営をしているじゃないですか。だったら、健康宣言をして健康経営優良法人に認定してもらいましょうよ」という言葉をかけられることがあります。つまり、本人はそれが健康経営だと思っていないということです。当たり前のようにしていたことが、いつの間にか「健康経営」という難しい言葉になっていて、それが評価される時代になったのです。逆に言うと、健康経営に対して身構えなくても、経営者の気持ち一つで簡単にできてしまうのが健康経営ともいえます。

ただし、健康経営の気持ちがないまま経営を続けてきた企業にとっては、多少ハードルの高いことなのかもしれません。

健康経営とは従業員を大切にすること

社員 想い 健康経営といえば、従業員を大切にすること、従業員の健康を守ることが経営理念の基本。この感覚は、一定数の経営者からすれば当たり前のことだと思っている人も多いはずです。その感覚を持っていないという経営者は、従業員を自分の会社の手ごまぐらいにしか考えていないからです。ですが、そういった感覚であっても、これまでは社会は問題視せず、むしろその考えを持たないと経営はうまくいかないと信じられてきた背景もあります。

それが超高齢化社会が目前となった今、健康寿命を延ばして働いてもらわないと社会が回らなくなるという考えに行きつき、健康寿命を延ばすためには若い時から「健康」に関心を持つ必要があるという流れになりました。そして、「健康」を意識して働いている人と、「健康」ではなく「成果」のみを意識して働いている人とでは、1人当たりのパフォーマンスにも変化があることがわかってきました。

従業員を大事にすることは、会社を大事にすることと同じだという考えを持っていた昭和時代の会社の経営者もいましたが、従業員を大事にすることでパフォーマンスが上がるというところまでは見ていなかったのでしょう。従業員を大事にする経営者がいる企業は、業績の良い悪いは置いておいて、ホワイト企業と呼ばれ重宝されていました。ですが、世の中が不景気になり、従業員を大切にしているだけでは、売り上げが伸びず、借金を背負うことになると気づき、従業員を大切にしていた経営者もだんだんと成果主義に代わっていったのです。

健康経営の考え方として、当時「甘い」と思われていた従業員を大切にしている経営者と、現在の健康経営では何が違うのでしょうか。それは従業員を大切にするというのを多角的な目で見ていなかったというのが一番の問題点だと思います。職場にはたくさんの課題があります。昔の「従業員を大切にしている経営者」は、職場のコミュニケーションという面では、何も問題がなかったかもしれません。ですが、「健康」というテーマのもとだと、職場のコミュニケーションがいいだけでは、健康経営にはならないですし、方向性がずれているので、実は本当の意味での「従業員を大切にしている経営者」ではないのです。

では健康経営とは何なのか、健康経営とは何がいいのかを改めて細かく見ていきましょう。

健康経営とは従業員の健康を考えること

健康を考える 健康経営とは「従業員を大切にすること」「従業員の健康を考えること」という風に伝えてきましたが、具体的にはどういうことなのかがいまいちわからないという方もいるかもしれません。特に健康経営で言うところの「健康」は、「え?そんなことまで考えるの?」というところまでの健康です。

もちろん体の健康だけではなく心の健康も、企業が考えなければいけないところです。従業員の健康を考えるうえで、取り組みやすいのが「体の健康」です。ただ、体の健康を考えるうえで、心の健康も同時に行っていかないと、従業員に「健康とは」という意思が伝わらないので、両方を同時に行うことをお勧めします。

例えば「体の健康」であれば、従業員全員に健康診断を受けてもらうのは当然ですが、食育を行ったり、社食があるのであれば健康にいい食事に変えたり、スムージーなどを売店で販売したり、社内にある自販機に体に良い飲料水を入れるようにしたりなど「食」での面でサポートです。他にも「睡眠」でのサポートであれば、睡眠時間を確保できるようにしたり、睡眠の質を上げるにはどうすればいいのかの教室を開いたり、睡眠によって何が変わるのかということを教えたりというのも、健康経営の一つです。あとは「運動」の面でのサポートもありますし、他にも例を挙げればきりがないほどあります。

健康経営での目的は、あらゆる面での従業員一人ひとりの健康を考えることです。そして、従業員一人ひとりが自分の「健康」について考えるように仕向けるのも企業の責任です。従業員個人が「健康」について考えるようになってくると、家族がいる人であれば、家族の「健康」も考えるようになるでしょう。また企業によっては、すでに行っているところもありますが、自社の従業員が「健康」について考えるようになると、今度は会社がある地域に住んでいる人の「健康」を考えるようになったり、会社の製品を購入する人の「健康」を考えたり、会社とやり取りのある企業の人の「健康」を考えたりするようになります。

こうやって「健康」について一人ひとりが考えるようになり、その輪が広がっていくというのが健康経営の特徴です。

また従業員一人ひとりが「健康」について考えるようになるためには、先ほども書きましたが、「体の健康」だけではなく「心の健康」にも注目しなければいけません。大まかに言うと、心の健康度合いが高い職場の方が、従業員や役員たちの気持ちが従業員に伝わりやすくなっているので、「健康」を浸透させるためにも注力してください。

健康経営で変わってくること

健康経営 変化 では、昔の経営者と従業員の仲がいいだけの企業の経営方針と、今の健康経営の違いはというと、会社の利益に還元されてくるものが全く違うということです。経営者と従業員の関係性がいい企業では、従業員は風通しのいい環境のため働きやすさを感じています。そのため従業員の定着率はいいのですが、それだけです。売り上げが伸びている間は、従業員にも給料に還元されるので、みんなで楽しく仕事ができますが、売り上げが落ち込んでくると挽回しようとがむしゃらになって共倒れという結果に。ですが、健康経営だとそうはなりません。

健康経営を行っている企業の経営者と従業員の関係は、先ほど挙げた例と同じく関係性は良好なところがほとんどです。ですが、違いは経営者がまず「健康」についての意識を持っているということ。経営者が「健康」の意識を持っていると、従業員に対して自分の体を大事にするように伝達され、これまでないがしろにしていたプライベートの充実も図るようになります。そして、従業員の心と体の健康状態が良くなってくると、従業員一人ひとりのパフォーマンスが上昇してきます。それはどんな職種でも、言えることです。

従業員のパフォーマンスが上がってくると、新しい事業を始めたり、短時間で素晴らしい製品を作り出したり、企業にとって嬉しいことが舞い込んできます。売り上げが伸びてくると、今度は企業が従業員に対して給料面でも還元をするようになるので、さらに従業員は「健康」を意識しながら、仕事に集中していき、自分の能力を思う存分発揮していくことができるのです。
さらに従業員の企業に対する満足度も上昇するため、従業員の退職率も下がり、さらに従業員が周りの人に自社の話をするため、口コミだけで優秀な人材を手に入れることもできるようになります。そうなると、求人コストを抑えることができるようになり、求人関連で使っていた資金を別のところに回すことができるというわけです。この他にも、「健康経営をしている」ということで、メディア露出が増えて広告宣伝費を削減できたり、健康経営を通して他社と共同で開発を行ったり提携を結んだりということもできるようになります。つまり健康経営は、業績が伸び悩んでいる企業を救うための経営方法でもあるということです。

経営者が「健康」について考えるか考えないかだけで、こんなにも大きな差が生まれます。「健康」であることは、誰にとってもプラスになることです。この先も、健康経営を行う企業は増え続けていくでしょう。

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