• 健康経営
  • 2021.07.01 (最終更新日:2022.04.06)

仕事にも影響する夏バテの対策とは。朝食の摂り方を考えて

目次

夏バテについて

夏

夏バテの原因とは

今までは暑さで体力を失い、食欲が低下する状態のことをまとめて「夏バテ」と呼んでいました。しかし近年、夏バテはますます複雑になっています。自分が困っている夏バテの原因を知らないまま対策すると、逆効果になるかもしれないので、気をつけて下さい。高温多湿が原因の発汗不調は、夏バテにも見られる症状です。身体が体温を調節するために発汗が必要ですが、高温多湿だと汗を出せないので、環境に合わせにくくなり疲労へ繋がります。

猛暑に対応するために、職場や車内ではとても低い温度設定にして、冷房を入れています。職場では肌寒くてカーディガンでも羽織りたいぐらいなのに、一歩外に出ればむせ返るような暑さです。5月の中旬ぐらいになれば暑くなるので、これでは体がついていけないこともよく分かります。外回りの仕事が日中に何度もあれば、猛烈な暑さと肌寒さの中を行ったり来たりする必要があるわけです。

暑さで食欲がないからといって、よく冷やしたジュースばかり飲んでいるのも、胃腸に負担をかけるため良くありません。夏に仕事のパフォーマンスが低下するのは、胃腸の調子を崩したからということも考えられます。夏バテの原因は暑さだけに限らず、胃腸の冷えも原因になります。

夏バテによる症状とは

夏バテによる症状には、主に以下のものがあります。
  • 食欲の低下
  • 憂鬱さを感じることや何もする気が起きないなどのメンタル不調
  • 肩こり
  • 下痢や胃もたれなど内臓の働きの低下
  • 睡眠不足
夏に仕事をしていると、体がだるくて仕方がなかったり明らかに食欲が落ちたことを実感したりすることがあると思います。このような人の中には、何もする気が起きなかったり憂鬱で人と接したくなかったり、メンタルの不調を来している人も多いです。これらの症状は自律神経失調状態の可能性が高まります。特に近年の梅雨は気候の変化がすさまじいので、自律神経に大きな負担をかけており、普段より多くの人が夏バテになりやすいです。

冷房の効いた職場に1日いる場合でも、血行不良によって内臓の働きを低下させることや、肩こりなどを引き起こす可能性があります。また冷たい飲料を一気飲みする習慣がついていると、下痢や胃もたれの引き金になるのです。あるサッカー選手も、身体を壊さないように練習中も冷たいものを避けていました。その方は基本的に温かいものか常温のものを飲むようにして、一旦口に含んでからゆっくりと飲むようにしています。身体の調子を維持するために、常に細かいところまで注意していたわけです。

夜になっても気温が高いままのことを「ヒートアイランド現象」といいますが、これが都市部で問題になっています。暑さで眠りが浅くなったり眠れなかったりするので、疲れが取れにくくなるわけです。睡眠は身体や脳を休める働きがあるので、仕事の作業効率に影響します。

夏バテの対策について①

水

こまめに水分を取ること

大量に汗をかくことにより水分と塩分が減少することは、ご存知の方も多いと思います。速やかに水分と塩分を補わなければ、汗が止まって体温が上がる熱中症の危険が高まるのです。脱水は喉のかわきを感じたときに、すでに始まっていると言われていますので、少量でもいいのでこまめに水分を摂ってください。外出時や就寝前は、特に汗をかいて水分が減少しやすいです。コップ1杯程度の水分を摂ることを意識してください。

大量に汗をかいて同時に塩分も減少するときは、適度な塩分・糖分の摂取が必要ですが、いずれも摂り過ぎは注意が必要です。最近味のついた透明の飲料をよく見かけますが、種類によって砂糖をたくさん含んでいます。「なんとなくこちらの方が体に良さそうだから。」と感覚で選ぶのではなく、成分表示も参考にしてください。

バランスの良い食事を心がけること

「バランスの良い食事を心がけること」これは本当に良く聞く話ですが、仕事が忙しいとなかなか実現するのが難しいです。タンパク質が大事だとは分かっているけれど、良質なタンパク質が一体何なのか分からない人も多いと思います。バランス良くアミノ酸を含むタンパク質の事を、良質なタンパク質と言います。タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されているわけです。アミノ酸をバランス良く含んでいると、身体の中で上手に循環し余分な老廃物が減少します。たとえば肉・魚・卵・乳製品などが良質なタンパク質を含んでいます。

タンパク質を含むものには野菜類や穀類などもありますが、アミノ酸のバランスが良くないのです。アミノ酸の量と一緒に、体の中でタンパク質が利用される割合も低下してしまいます。年齢が上がるにつれ、肉や魚などの動物性食品由来のタンパク質を避けがちです。動物性食品由来のタンパク質は調理の面倒さや脂っこさ、固さがあるため億劫に感じます。だからと言って植物性食品由来のタンパク質ばかり摂っていると、体の中で利用される割合が低下してしまうわけです。近年動物性食品由来と植物性食品由来のタンパク質では、身体に対する機能の面でも異なることが分かってきました。このことを踏まえ、同じタンパク質でもバランスに気を配ることが大切です。

夏バテの対策について②

味噌汁

軽く汗ばむような運動をすること

汗をたくさんかくと夏バテしますが、冷房の効いた部屋にずっといることがいいわけではありません。冷房の効いた部屋に長時間いることは、汗をかく能力が低下します。熱中症の危険があるので炎天下での激しい運動は避け、軽く汗ばむ運動をするのがおすすめです。気温差により乱れた自律神経が、軽い運動によって活発になります。運動すればエネルギーを使うので、睡眠の質が向上したり食欲が促進したりすることも期待できます。

夏バテの対策には有酸素運動がおすすめです。有酸素運動として代表的なものはウォーキングやジョギングです。その他にはスクワットや踏み台昇降、ヨガなどもあります。筋トレやストレッチの要素も含むラジオ体操も、全身を使う適度な運動です。ラジオ体操は血行促進に繋がり、身体全体をほぐせます。

いずれも軽い運動だからといって、やりすぎは禁物です。長時間やればやるだけ効果的なものではありません。無理をせず、自分の体調と相談しながら行ってください。熱中症の危険があるので、気温が低下する朝方や夕方に運動します。また体調不良のときや夏バテの症状が悪化したときにまで、無理に行う必要はありません。倦怠感が強いときは、休むことを優先しましょう。

リラックスできる時間を増やすこと

夜遅くまで仕事をすることや激しい運動をすることは、細胞から疲労因子を発生させて疲労することが分かっています。本格的に暑くなるこれからの季節は、さらに身体が疲労しやすいですし、熱中症になりやすいです。細胞から疲労因子が発生しないように注意して、なるべくリラックスできる時間を確保してください。心身ともに疲れやすい時期なので、いつもより交感神経と副交感神経の切り替えに気をつけて、休むことを意識します。

スマホを長時間触ると、眼精疲労から頭痛や肩こりを起こしやすいです。また情報を仕入れる量が多すぎることによって脳疲労の状態になり、集中力や記憶力の低下に繋がります。集中力や記憶力は、仕事に直接関わるものです。ストレスも溜まりますから、なるべくスマホを触るのは必要最低限にしてください。

味噌汁を飲むこと

一日中冷房の効いた部屋にいる方は、食事で温かい飲み物を摂ることを意識しましょう。タンパク質だけではなくカルシウムやミネラル、ビタミンB2などを含んだ味噌汁は、夏バテの予防におすすめです。、夏バテで不足する栄養を補えたり身体を温めたりするので、海草類やきのこ、ショウガなどが入っているとさらに良いです。
 

夏バテの対策になる朝食の摂り方とは

スイカ 夏

きちんと主食を摂る

エネルギーの摂り過ぎに気をつける必要はありますが、エネルギーの不足にも注意が必要です。体重の増加と同様に、体重が大きく減少することにも注意してください。大切なエネルギー源になるのは主食なので、炭水化物を抜くダイエットはおすすめしません。炭水化物だけに限らず、食物繊維も足りなくなります。炭水化物を摂ることは、生活習慣病や免疫力の低下を防ぐことに繋がるわけです。

手軽に摂りやすいのでシリアルやパン、ごはんが主食として好まれます。食べ過ぎに注意したいのは、砂糖を使うシリアルやパンにつけるトッピングの量です。ジャムやバターの塗りすぎに気をつけてください。低GI(食品に含まれる糖質の吸収度合い)である全粒粉のパンや胚芽精米などを選ぶのがおすすめです。一般的な小麦粉は小麦の胚乳を挽いたものですが、全粒粉とは表皮を入れて全て挽いたもののことを言います。芽が成長することに必要な胚芽やふすまなどにはビタミンやミネラルが含まれているので、全粒粉のパンにするだけでそれらの栄養が摂れるわけです。朝食は意識しなければ継続が難しくなるので、準備に負担がかからないものを選んでください。

具沢山の温かい汁ものは朝食にも最適

温かい汁ものは、朝食にも最適です。しかし朝から汁ものを作るのが、億劫な人も多いことでしょう。火が通りやすい葉物類やきのこ類を活用したり入れるだけで調理が完結する乾燥わかめを使ったりすれば、簡単に作れます。前日の夜から次の日の朝ご飯を作っておけば、温めるだけで朝食が用意できるのです。

水分やミネラルを果物で摂る

ビタミンの補給としてもおすすめですが水分補給の意味でも、生の果物を摂るようにします。果物は食後のデザートに摂る人が多いと思いますが、朝食にしたり水分補給にしたりするのも向いているのです。これからの時期は、リコピンやカロテンが含まれたスイカが活躍することでしょう。酵素やビタミンを摂るために、なるべく新鮮な果物を選びます。熱処理をした果物のジュースは、酵素やビタミンをほとんど含んでいないうえに、血糖値を上げる問題があるわけです。

生の果物を食べるとき、冷蔵庫で冷やしたばかりのものを食べると身体が冷えます。身体が冷えることを防ぐために、常温に戻すかおよそ50℃のお湯で果物を洗ってください。生のものを食べれば、身体が冷えると考える人がいます。酵素が増加して代謝が良好になるので、冷えの原因にはなりません。冷えの原因は、血液が詰まって毛細血管にまで循環しなくなるからです。血液が詰まる原因は酵素不足なので、酵素をたくさん含む生の果物が悪いということはありません。

働く社会人の夏バテは働き方改革が原因か

仕事

働く社会人の多くが夏バテを実感している

養命酒製造株式会社が、働く社会人に向けて夏バテに関する調査をしています。全回答者1,000名に夏バテを感じているかどうか聞いたところ、このような結果になりました。
  • 12.5%が「非常に感じている」と回答
  • 45.1%が「やや感じている」と回答
  • 57.6%が「感じている」と回答※上記の数字の合計
夏バテの症状は、働く社会人のおよそ6割が感じているわけです。年代別に見ると30代女性が多いことが分かります。仕事や家事・育児に追われる30代女性の多くは、疲労を感じているのです。

夏バテと胃腸の不調の原因は働き方改革なのか

同社は夏バテと胃腸の不調の原因についても、調査しています。働き方改革の影響として挙がっていることが、自分の職場や仕事の環境に当てはまるかどうか尋ねました。当てはまると回答した割合を細かく分析すると、以下の結果になったわけです。
  • 31.2%の人が「残業ができなくなり収入が減った」と回答
  • 29.4%の人が「仕事量は減らないのに残業を減らせと言われている」と回答
  • 21.6%の人が「残業できない部下・後輩の分まで仕事をしている」と回答
  • 19.9%の人が「残業ができないので昼食時間を削って仕事している」と回答
  • 13.4%の人が「残業ができないので、仕事を持ち帰っている」と回答
上記は働き方改革の大きな課題として挙がっているものです。また仕事を持ち帰っている人のうち67.2%が胃腸の不調を感じると答えました。一緒に働くと夏バテが悪化するタイプとして挙がっているのは常に否定的な人や上から目線の人、悪口ばかり言う人でした。女性の場合は気分で態度が変わる人、やたらネガティブ思考な人なども挙がっています。これらの特徴は、以下のコラムでも紹介していますので、合わせてご覧ください。

おすすめコラム
職場で好かれる人と嫌われる人の特徴。嫌われているか確かめるには

嫌いな人が上司になることや、上司の指示がよく変わる場合は、一緒に働くと食欲不振になってしまう人として挙がっています。業務の効率化が進んでいない職場で働き方改革のしわ寄せを受けている従業員が、胃腸の不調を起こしていると考えられます。

社食サービスで従業員の健康維持を試みる会社

社食 現在社食サービスが充実しています。従業員の健康維持を目的として、社食サービスを充実させる会社があるのです。ある化粧品会社では健康経営を実施しており、その一環として社食サービスを充実させています。社食メニューにサラダバーを用意しており、女性の従業員に人気です。同社には「副菜バー」のほかお味噌汁やサンドイッチ、フルーツなどもあります。従業員からは、2種類選べないので美味しいメニューが被ってしまうと困る、と評価を貰っています。このような会社なら、日々仕事に追われていても社食で健康維持ができるのです。
健康経営では、従業員の健康を管理することは自社の戦略の一環だと考えます。「会社が戦略の一環として健康管理を行う」と聞くと、良いイメージを持たない人もいるかもしれません。しかし上記の事例のように、独自のアイディアを用いて従業員のためになる取り組みを行っている会社もあるわけです。当コラムでは健康経営について情報発信をしています。健康経営に取り組むメリットは会社にとってたくさんありますし、会社にとってのメリットはそこで働く従業員のメリットでもあるのです。以下のコラムも合わせてご覧ください。

おすすめコラム
健康経営とは? 企業にとってのメリットと取り組む方法

まとめ

夏バテの対策について解説しました。夏バテは働く社会人にとって、悩ましい問題です。しかし注意するべきことは日ごろから気をつければいいことがほとんどなので、難しいわけではありません。夏バテ対策のために新しい習慣を取り入れるのではなく、今までの習慣を見直すことによって解決する可能性があります。
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