• 健康経営
  • 2021.07.22 (最終更新日:2022.03.26)

健康経営優良法人2021ホワイト500の取組事例からみる健康経営

目次

ホワイト500はただ上位500というだけではない

サラリーマン 経済産業省が認定をしている健康経営優良法人には大規模法人部門と中小規模法人部門があります。現在は、それぞれの部門にはさらに難易度の高いホワイト500とブライト500も作られました。これらはそれぞれの部門の上位500企業にだけ認定されるものです。ただ、上位500に入っていたとしても、通常の健康経営優良法人の認定を得られる条件よりも厳しくなっている部分があります。通常の健康経営優良法人の認定では選択になっている箇所が必須になっていたりするということです。つまり、上位500企業というだけではなく、健康経営優良法人の認定要件よりも厳しい条件をクリアしたうえでの上位500企業ということです。

ホワイト500やブライト500を狙うということは、それだけ健康経営についても深い考えを持って取り組んでいるということになるでしょう。今回は、そんな健康経営優良法人2021ホワイト500に選ばれた企業の健康経営の取組をご紹介します。

JTBの健康経営は一般のお客様も健康にするためのもの

JTB JTBが掲げる健康経営は段階を踏んで、自社内だけで収まることを目標としていません。社内での健康経営を浸透させると、従業員が「イキイキ」してきて心身の健康や前向きなコミュニケーションが生まれ、企業としての生産性の向上や組織の活性化に繋がります。通常であればここまでが健康経営の考え方なのですが、JTBはさらにその上の目標を持っており、それが「お客様の『イキイキ』=企業価値の向上」。ここまでを明確に示しています。

また充実すべき「4つの健康」として、「健康なカラダ」「健全なココロ」「働きやすい職場」「オープンなコミュニケーション」とわかりやすく示しているため、どういったことをすれば健康経営になり、従業員、企業、お客様がイキイキとしていくのかを考えています。
 

実際の取り組みの紹介

健康アプリ全従業員対象で取り組んだ「健康100日プロジェクト」。従業員に健康に対する意識向上を目的にしたプロジェクトです。アプリを使い、ランダムでチーム編成をして、チーム目標、個別目標を立てて100日間健康活動を行うというもの。実際にこれまで話したことのなかった役員と新人がいるチームができるなど、コミュニケーションの輪も広がっています。プロジェクト終了後も、チームになった人たちで引き続き関係が続いています。

こういった取り組みの他には、「紅白健康合戦(60日間を区切った健康イベント)」「禁煙7★チャレンジ(7週間、7つの習慣を実施するもの)」「ウォーキングイベント」「減量キャンペーン(週1回体重を計って減量した分だけインセンティブがもらえる)」「健康インセンティブポイント(健康活動をポイント化する)」といったものがあり、期間を区切って全員で楽しむことを軸に健康活動に取り組んでいます。

世界の人々の健康に貢献する大塚製薬株式会社の考え

大塚製薬 大塚製薬では健康宣言として「世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する」ということを掲げています。社員を健康にし、社員の家族も健康にし、その家族が接している人々も健康にし、健康の輪を広げることを健康経営の目標としています。2017年から健康経営に取り組み、2020年3月に代表取締役社長が交代してからも同じく健康経営を続けています。

また健康経営を行う際には「健康管理の促進」「健康維持・増進」「働きやすい環境の整備」というように項目を分け、目的をはっきりとさせてから取り組みを行っています。
 

実際の取り組みの紹介

セミナー「健康管理の促進」では、人間ドック受診助成や無料健康相談などを行い、「健康維持・増進」では健康セミナー、社員食堂でのカロリーや栄養成分の見える化・低カロリー食の提供をしたり、禁煙の促進、ウォーキング大会、健康教室、過度な飲酒の促進などがあります。特に大塚製薬独自のものとして、ポカリフレッシュというものがあり、オフィスや工場でインストラクターの指示の元、毎週内容が異なる8分間の体操(ポカリフレッシュ)を週に1回実施しているというものです。2020年度はリモートワーク中でもできるようにとオンラインで行っていました。もう一つ独自のものとして、大塚オリジナル「エクササイズビデオ」があります。オフィス、工場、リモートワーク中でもできるようにと、ストレッチ、筋肉トレーニング、ポカリダンスなど多種類を用意したビデオを作り社員が見られるような仕組みをとっています。
「働きやすい環境の整備」では、労働災害ゼロへの取組や長時間労働の是正があります。長時間労働を避けるためにWork Life Balance Day(自分のために「何か」をするため、早く帰る日を自らが決める)ということをしている事業所もあります。
 

社外向けの取組

社外向けには「健康社長」というコミュニティサイトを作り、健康経営を学んだり、コミュニティを作ったり、企業や自治体の健康経営の取組事例をしれたり、自社の健康経営度がわかるシステムがあったりなど、健康経営の輪を広めるための活動も行っています。健康経営を自社だけにとどめない考えを持って取り組んでいると言えるでしょう。

働き方改革としての健康経営を行うサントリー食品インターナショナル株式会社

サントリー サントリーは2014年に健康づくり宣言を行い健康推進体制を強化し、2016年から健康管理最高責任者となり健康経営を始めています。健康への考え方は、ただ病気ではないではなく「心身ともに健康で、毎日元気に働き、やる気に満ちている」状態でいることです。

またサントリーでは健康経営を行うだけではなく、働き方改革と連動させて行っているところも特徴の一つ。働き方を大きく見直したうえで、公私の充実を図ることが必要不可欠だと会社が社員に対して思っているというのは大きなところではないでしょうか。さらに、社員の健康を考えるだけではなく、社員の家族の健康支援も行っています。例えば、「心の相談・電話相談窓口」「SOS総合窓口」「法律相談」などは社員の家族からの相談も受け付けています。社員の家族の人間ドック受診に対する補助制度もあり、サントリーに勤めているだけで、その家族も心身ともに健康になっていく仕組みづくりができています。

では健康経営としてどのような形で行っているのかというと、まず大枠として働き方改革があり、その下に健康診断・ストレスチェックがあり、その下に生活改善と心のケアがあるという考えです。生活改善では「食事」「運動」「休養」の3本柱を、心のケアでは「セルフケア」「ラインケア」「カウンセリング」の3本柱を置き、それぞれの対策をとっています。
 

実際の取り組みの紹介

ラジオ体操サントリーの実際の取り組みとしては「サントリーヘルスマチャレンジ プログラム」があります。サントリーが指定したプログラムにチャレンジをするごとにヘルスマイレージがもらえ、貯まったポイントを商品と交換できる仕組みです。プログラム内容の一例として「ラジオ体操(毎日)」「40歳未満 特定保健指導基準該当者に対してオンラインで保健指導を受ける」「健康セミナー(社外講師によるもの。時間栄養学などを行っています)」「卒煙サポート(3か月で卒煙できるように禁煙外来、見守り隊からの応援を受けられる)」「ウォーキングイベント(1か月の歩数で競い合う)」「オンラインフィットネス」「ヘルスマ通信(健康コラムを屋維新したり動画を配信したりする)」などがあります。

またヘルスケアルームがお台場オフィスと大阪オフィスにあり、国家資格を有するヘルスキーパーがマーサー時や指圧をしてくれる場所も用意しており、年間約2900名が利用しています。

Sawayakaチャレンジで健康経営を行うコカ・コーラ ポトラーズジャパン株式会社

コカ・コーラ コカ・コーラでは「Road to 100」を掲げて健康経営にのぞんでいます。「Road to 100」、つまり100歳になっても元気な体でいられることを目指しているということです。健康経営は会社で働いている時に健康状態でいられること、という風に考えている人もいますが、コカ・コーラは、たとえ定年退職をした後でも健康な老後を過ごせる体づくりを目指しています。100歳でも健康でいられるためには、働き盛りの時にどういったことをして生活をすればいいのかを考えるというのは、とても意味のあることです。

コカ・コーラの健康経営の基本方針は「安心な就業環境の整備」「自身の健康に向き合う機会の充実」「健康リスクの改善(早期発見・早期治療)」「多様な働き方の推進」「健康なライフスタイルの促進」の5つです。
 

実際の取り組みの紹介

マラソン大会健康経営の実際の取組として「健康なライフスタイルの促進」を詳しく見てみると、コカ・コーラではSawayakaチャレンジというものを行っています。これは運動・禁煙・休息(リフレッシュ)・食事・睡眠(メンタル)の5つのカテゴリーに分類して改善を行うというものです。

例えば、運動習慣改善サポートとしては、社内クラブ活動の部費を補助したり、スポーツクラブ利用費用の補助、マラソン大会等スポーツイベントを開催したりしています。他にもSawayakaウォークを開催し、コカ・コーラアプリを使って、オリジナルウォークキャンペーンを開催し、様々な形で従業員の運動習慣を増やす取組を行っています。運動習慣に対する取り組みを行うのにも理由があり、社内アンケートで運動習慣に課題があると感じている従業員が74.3パーセントという数字を出したからというのもあります。

やみくもに健康にいいだろうから行うのではなく、今、従業員が何を感じているのか、何に困っているのかを調査したうえで、従業員の不安を解消するのも健康経営の一つです。中には、従業員自身が気づいていない健康課題もあるため、それらを探していくのも企業の務めといえるでしょう。
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