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  • 2021.08.09 (最終更新日:2022.04.06)

介護からの転職を考えている人へ。辞める理由や向いている職業など紹介

目次

介護職を辞める理由で多いものとは

辞める 退職

仕事内容がハードで体力的に厳しい

介護職は世間的にも、きつい仕事のイメージがあります。しかし、介護業界全体の離職者だけが際立っているのではありません。短期間で退職する人が多いので退職者自体が多い感覚になっていると言えます。1日や一ヶ月など短期間で退職する人は、どのような理由が多いのでしょうか。

介護が未経験の新人に、難しい内容の介護をさせることは少ないです。ところが、あらかじめ想像していた介護の仕事と異なっていたり、介護の現場に居合わせたりして、予想以上にハードだと驚きます。働いてみれば「どれだけ疲れるのか」が分かりますから、この時点で「自分には続けられない」と感じるわけですね。経験者の場合は、今までの職場と方針の違いに戸惑って退職する人や、人間関係が原因で退職する人がいます。後者の人は、新しい職場で人間関係に違和感を覚えると、速やかに退職するのです。

身体を痛める人が多い介護職では、何十キロもある年配の方の体を持ち上げます。また、1年中稼働している施設で働いていると、不規則な勤務形態となり体調不良になります。ハードな仕事であるにもかかわらず長期休暇が取りにくいので、しっかり休めないのが課題です。

ハードなのに収入が少ない

ハードなのに収入が少ないのも、介護職の退職者が多い一因です。介護士の場合平均月収は24万程度ですが、あくまでも平均なのでこれより少ない人も多く、ほかの職業と比べて低いのが現状。ボーナスがあってもそれほど上がらずに、カツカツの暮らしをしている人も少なくないでしょう。そのため、家庭を持っている人が「家族を養えない」と思って転職をすることもあります。介護職の人が「本当ならこれぐらい必要だと思う」と感じる収入は、雇用形態を問わず現在より高い金額であり、割に合わないと考える人がたくさんいるのです。

人間関係で悩む

人間関係と一口に言っても、介護職の場合その悩みは特に深いです。なぜなら、職場の人と関わるだけではなく、利用者やその親族、看護師などさまざまな人がいるからですね。新人に対して年配の職員がいじめ行為をするケースが多くありますが、余裕のない現場だから起こりやすいと考えられます。また、どこの職場でも職員による権力争いが発生するので、介護職から転職する例もあるのです。自分は真摯に取り組んでいるのに、非協力的で大雑把な仕事をする看護師にストレスを感じることもありますよ。利用者の親族との人間関係が難しい場合や、利用者から悪口を言われてストレスを受ける場合も。介護士の人間関係は1つではないからこそ、さまざまな悩みに直面するわけです。

このようにたくさんの課題を抱えている介護業界ですが、働き方改革を実施している例もあります。当コラムでは、働き方改革について情報発信をしています。以下のコラムも合わせてご覧ください。

おすすめコラム
介護業界の働き方改革について。取り組み事例や仕事の楽しさを解説

他の業界に転職するメリットは何か

キャリア 転職には労力が必要なので、メリットがなければ行動しにくい人もいるのではないでしょうか。ここでは、介護職から他の業界に転職するメリットを解説します。

キャリアを身につけられること

介護職でもキャリアを身につけられます。しかし、日々同じことを繰り返しているので将来に疑問を感じる場合も多いです。転職先が専門職なら、キャリアアップをしたり経験を積んだりできます。お伝えした通り介護職は給与の水準が低いので、転職すれば収入が上がりやすいです。収入が増えれば仕事のやりがいも増えますし、大きなメリットだと言えます。

休みやすいこと

土日祝日を問わず働き、休日出勤もある介護職。ほかの業種の人と休みが合わないので、休日に友人や家族と過ごせない場合も多いです。カレンダー通りの休日が貰える職種なら、ほかの仕事の人とすれ違うことが少なくなります。そのため、休日に会いたい人と会ってリフレッシュできるでしょう。

生活リズムが整うこと

夜勤のある施設の場合、生活リズムが乱れて心身共に不調を招きます。不規則になりにくい職種へ転職すれば、生活リズムを整えられるわけです。乱れた生活リズムを元に戻すには、なるべく同じ時間に就寝と起床をする必要があります。また、起床してから日光を浴びれば、体内時計を正常に戻しやすくなるのです。この生活を維持するためには、生活リズムが乱れにくい仕事を選ぶ必要があります。

成果に繋がりやすいこと

仕事を頑張っても成果に繋がらなければ、モチベーションが低下します。介護職は人件費がかかるうえ、報酬を自由に決められないので収入が上がりにくいと言われているのです。効率的に経費を管理するなどしてコスト削減に取り組んでいる施設もありますが、職員の給与に反映されにくいのが現状ではないでしょうか。同じ職場で働き続けても昇給がないと、仕事を続ける意味が分からなくなる人もいるでしょう。ところが介護職以外の業界なら、臨時ボーナスを貰えたり利益に比例して昇給したりする例もあります。

他の業界に転職して失敗した事例とは

落ち込む 失敗 介護業界から転職するのは、必ずしもメリットばかりではありません。ここで、転職して失敗した事例も確認しておきましょう。

プレッシャーに耐えられなかった

「給与が高いから」と介護から営業の仕事に転職する人がいます。ところが営業の仕事は、成果主義で数字に追われるので重圧に耐えられない場合もあるのです。肉体労働が少なくなって体力的な負担は減少したものの、今度は精神的な辛さを味わうことになります。研修で学んでも、お客さまへの具体的な交渉の仕方が分からないので、仕事の進め方で悩むわけです。大変な仕事を経験すると「これ以上大変なことは滅多にないだろう」と考えてしまう人もいるでしょう。しかし、転職前にきちんと仕事内容を調べてから転職しなければ、失敗を招きます。

あまり働き方の変化を得られなかった

介護職から飲食業界へ転職する場合、どちらも働き方はシフト制です。「生活リズムが崩れるような働き方には慣れているから」と考えて、シフト制で働く職種に転職する人はいます。でも慣れているというのはつまり、これまでの働き方と大差がないことでもあるのです。そのため、働き方が似たり寄ったりで、転職した意味が分からなくなる可能性があります。

はじめての転職で未経験の業界なら、想像だけで仕事内容を考えてしまいがちです。調査せずにイメージだけで決めつけると、「予想とは違う」と困惑します。混乱しただけならまだいいですが、転職を繰り返すことになっては元も子もありません。飲食業界と言っても接客スタッフだけではなく販売促進や研究開発があるように、さまざまな職種があります。業界だけではなく希望の職種について深く調べると、仕事内容に対しての理解が深まるでしょう。

業界によって介護のスキルを活かせない

「国家資格を持っているから転職で有利だろう」と考える人は多いのではないでしょうか。ところが、介護業界からほかの業界へ転職するのなら、国家資格であってもあまり有利に働かない可能性が高いです。別の業界や職種に転職するときは、その業界や職種が求めているスキルを知りましょう。また、次の仕事が決まらなければ気持ちが焦ってしまいます。焦ると冷静な判断が難しくなり、自分に向いていない職種を選択することもありますから、注意してください。これは介護業界に限らず、どの職種からの転職にも言えます。

介護職が活かせる強みとは

介護士 介護職を経験した人が、転職で活かせる強みは何でしょうか。

コミュニケーション能力

多くの企業が求めるコミュニケーション能力があるのは、介護職を経験した人の強みです。利用者個人に合わせた声掛けや会話をしたり、歩み寄るための努力をしたりした経験が身についているのではないでしょうか。たとえば「耳が遠い利用者のために、声掛けを工夫しましょう」「この人はちょっと頑固な性格だから、こういう風に話しかけましょう」など、1人1人に合わせて工夫をしてきたことと思います。コミュニケーション能力は、さまざまな業界で武器になるのです。

精神・体力面の強さ

介護職ではさまざまな介助を行うので、精神・体力的に強くなります。逆に、強くないと務まらないと言えるでしょう。また、人によって抵抗を感じる内容の仕事を続けた結果、精神が鍛えられます。施設によって1日で30人ほどの介助を行いますので、自信を持って精神・体力面をアピールできるはずです。

介護の仕事を始めたころは慣れないきつさに参ってしまいますが、乗り越えると自信に繋がります。そのうち、利用者とのコミュニケーションを楽しむ余裕が出てきて、介護の楽しさを味わえるのです。利用者のおむつ交換などを続ければ、「仕事だと割り切る」精神の強さが身につきます。介護職は精神・体力面がどちらも鍛えられるわけです。

観察力があること

観察力を養えたことも、介護職を経験した人の強みです。利用者の様子を毎日観察していれば、少しの変化でも気づけるようになります。利用者に不調があれば上司に報告する必要がありますが、中には身体の不調を伝えられない人もいるわけです。そのような人の不調にいち早く気づくために、日ごろから表情やしぐさを観察しています。毎日の経験によって磨かれた観察力は、ほかの職種でも活かせることでしょう。

協調性があること

協調性があるのも、介護職の強みの1つ。介護施設を例に挙げると、ケアマネージャーをはじめ看護職や事務職などと協力が必要です。毎日ほかの職種と協力しながら仕事をしていると、知らず知らずのうちに協調性が身についています。たとえば、体調が優れない利用者のことをケアマネージャーに報告したり、調理員に伝えて食事を食べやすくしてもらったりしてきたのではないでしょうか。働きながらたくさんの関係者とコミュニケーションを取ってきた結果、協調性が自然に身についています。

介護からの転職で向いている仕事とは

メーカー 製造業

メーカー職

メーカー職はモノを製造する職種ですが、その中でも介護に関する商品を製造する職種が向いていると言えます。なぜなら、実際に介護の現場で働いた経験があると、利用者の立場に立って商品を製造できるからです。利用者だけではなく、スタッフや親族の立場にも立てるので、現場が求めている商品を製造しやすいと言えるでしょう。

新しい商品の開発や既存製品の改良を行うのは、研究開発になります。市場を分析して新しい商品の提案を行うのは、商品企画です。メーカー職に転職する場合は、「どのような製品のどこの段階を作っているのか」「その企業は独自の技術を持っているかどうか」を理解しておきましょう。介護の現場で働いた経験のある人は、介護関係のメーカー職で経験を活かせます。

介護営業職

介護職の経験がある人に向いていると言えるのは、介護関係の営業職です。1番の理由は、メーカー職と同じように現場の事情やスタッフの気持ちが分かるから。施設の利用を検討している人たちは、非常に細かい部分まで聞いてきます。自分や自分の家族がお世話になる施設ですから、詳細が気になるのは当然のこと。「ごはんが食べられない日はどうするのか」「お風呂の時間は何時なのか」「どのようなレクリエーションがあるのか」等、気がかりなことはたくさんあります。利用者は質問のたびに言葉に詰まる営業より、すらすらと答えられる営業の方が信頼しやすいのです。

また、悩みを解決してもらうより一緒に悩んで考えてくれる人を求める利用者はたくさんいます。親身になって寄り添ってもらえれば、安心感を得られるのです。介護職を経験した人なら、「利用者がどういう内容で悩み、どういう風に関わって欲しいのか」がよく分かっていることと思います。介護職を経験していれば、スタッフの気持ちも利用者の感情も理解しているはずです。精神的に強い人なら、介護関係の営業職に挑戦してみてはいかがでしょうか。

介護事務

介護保険等、介護に関わる事務作業を行うのが介護事務の仕事です。保険に関する専門知識やパソコンのスキルが必要ですが、重労働ではないうえに前職の経験が活かせる特徴があります。介護事務では、最低限のワード・エクセル操作が必要不可欠です。来客対応や電話応対を任せられるのでコミュニケーション能力も大切ですが、前職で養っているでしょう。

介護事務は特別養護老人ホームやデイサービスなどの施設のほか、訪問看護ステーションや福祉用具レンタル事業者など、さまざまな就職先があります。他の業種の事務では、基本的に利用者と直接関わることはありません。しかし、利用者と直接やり取りする機会があるので、感謝される機会もあるのが介護事務の特徴です。ケアマネージャーのサポート業務などもありますから、介護現場を支えるやりがいも感じられます。

ホワイト企業に転職するためにできること

会社 オフィス 転職を考えているとき、多くの人は「ホワイト企業に転職したい」と思うのではないでしょうか。しかし、たくさんの情報があるので、何を参考にすればいいのか分からないこともあります。ホワイト企業かどうかを知るには、自身でその定義をしっかり決めてから「採用情報のページを確認する」「口コミを確認する」など、いろいろな方法があります。そんな中で、1つの目安となるのが「健康経営優良法人に認定されているかどうか」です。

健康経営優良法人認定制度は経済産業省が運営しており、認定基準が定められている制度です。そのため、自分の中で決めたホワイト企業の定義と認定基準の内容を照らし合わせれば、目安となります。当コラムでは健康経営について情報発信しています。
以下では、健康経営優良法人2020の情報が確認できますので、合わせてご覧ください。

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健康経営優良法人2020は6204法人が選出されました

まとめ

介護職からの転職について解説しました。転職を考えるのなら、全く異なる業界の異なる職種より、介護職と関りのある職種の方が強みを活かして働きやすいです。介護職がハードで辛いと感じる場合、身体を壊す前に転職に向けて動くことをおすすめします。
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