• 健康経営アドバイザー
  • 2021.10.29 (最終更新日:2022.03.26)

健康経営優良法人2022年変更点について(大規模法人部門)

目次

ご準備はお済みでしょうか?

健康経営 2022年の認定に向けてもう準備はお済みでしょうか?2022年度健康経営優良法人認定要件が発表されました。これから健康経営をスタートさせて認定を目指す企業も継続認定を目指す企業にも必見の内容になります。

健康経営とは、経済産業省の定義によると「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」です。

従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。実際に健康経営に取り組むと、次のようなメリットが得られます。
  • 従業員の心身の健康維持・増進
  • 労働生産性や業績の向上
  • 優秀な人材の確保・採用力の向上
  • 企業ブランドイメージの向上
  • 医療費の削減
  • 離職率・定着率の改善
  • 従業員エンゲージメントの向上
  • 従業員の安心感や満足感につながる
上記だけでなく、健康経営に取り組むことは、世界共通の目標であるSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)にも貢献できます。
SDGsには17のゴールがありますが、健康経営はSDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」の取り組みにつながるでしょう。さらに社内に浸透・定着することで、目標5「ジェンダー平等の実現」目標8「働きがいも経済成長も」の2つに関しても達成が期待できます。sdgs

変更点のポイント

  1. 申請プロセス改善
  2. 保険者との連携
  3. 新型コロナ対応
  4. 喫煙対策
  5. スケジュールの変更
  6. 認定要件の変更について

1.申請プロセス改善

申請業務 健康経営の担当者の悩みと言えば、認定申請業務の負担が多いことです。また通常の業務と合わせて健康経営の業務を行っていくことは片手間ではできない内容です。
今回の申請プロセスの改善により、担当者の方の負担減となる部分もあります。例えば、申請が電子化になったことで紙媒体の提出が必要なくなります。申請プロセスの負担が減ることにより、さらに本来必要である健康経営への施策に注力することが可能となります。電子化
変更点は以下の通りです。
①申請認定フローの効率化
申請認定手続きの効率化を図るために、従来の紙媒体による提出や押印が必要なくなり、申請書契約書の電子化を行いフローの効率化が見直されました。
事務局により保険者への確認・法人にエビデンス調査を行い、認定審査されたのち認定通知書が送付されます。

2021年→法人:健康経営度調査に回答
申請書・誓約書作成【紙媒体・押印必須・申請書類郵送必須】

2021年→健康経営度調査に回答
申請書・誓約書作成【押印無し・完全電子化】押印

②調査票の簡略化と評価尺度の透明性の向上
回答負担の軽減のため、2022年の認定では設問を176問に削減されます。評価の精度を高めるべく毎年設問数が増加してきたが、適切な評価が難しい質問や相対的に重要性が低い説明を中心に削減を行う方針となりました。
  • 優良法人2017年124問
  • 優良法人2018年159問
  • 優良法人2019年167問
  • 優良法人2020年180問
  • 優良法人2021年198問
  • 優良法人2022年176問

回答にあたってデータ集計等の負担が大きいアンケート設問(各区分の健康投資額)や大方の企業が対応している設問(データの活用)などは削除して簡略化される予定です。(健康経営に取り組み始めた時期や各区分の健康投資額などアンケート設問など)また顕彰制度の評価尺度の透明性を向上させるために内訳毎に配点の開示を検討しています。設問
 

2.保険者との連携

特定保健 保険者と連携を推進するため①年齢が40歳以上になる従業員の健診データの提供②特定健・診特定保健指導の実施率を問う設問が追加されます。

①年齢が40歳以上になる従業員の健診データ提供

前回までは大規模法人部門では要件とされていませんでしたが、必須項目の設問として追加されます。
設問Q31.主な保険組合と保険者に対して40歳以上の従業員の健康検診データを提供していますか(ひとつだけ)
◆健康診断のデータとは労働安全衛生法その他の法令に基づき自社が保存している健康診断に関する記録特定健診に含まれる項目を記録した写しのことを指します。
  1. データは提出済
  2. データは未提出だが、提供について保険者の同意済み
  3. 40歳以上の従業員がいない
  4. データの提供について保険者に意志表示をしていない➡不適合

②特定健診特定保健指導の実施率

新たに追加設問として特定健診・特定保健指導の実施率を問う設問が追加されます。設問で把握していると回答した場合、2019年または2018年度の実施率も問われる形になります。

保険者単位の実施率が加算対象の場合は足切りをし、それ以上の評価をしていなかったのですが、法人単位の実施率に応じて加点方式で評価されます。(実施率を把握していない場合は不適合)
設問Q47.主な健康保険組合との保険者が実施する特定健康診査及び特定保健指導の実施率を把握していますか(ひとつだけ)
◆40歳以上75歳未満の被保険者被扶養者が対象です。
  1. 自社単位で値を把握している
  2. 自社単位では把握していないが、保険者全体の値は把握している
  3. 40歳以上の従業員がいない
  4. 把握していない

3.新型コロナ対応

コロナ 健康経営では、企業の経営において従業員とのワクチン接種に対する支援を含め新型コロナ対応は業種規模にかかわらず重要であると考えます。以下の4つのポイントが重要視され、評価されます。
  1. 非常事態下の事業継続体制
  2. 接触回避
  3. 職場環境整備
  4. ワクチン接種
Q58.新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた対応策としてどのような取り組みを行っていますか(いくつでも)
(a)感染者が発生しても従業員の健康と事業継続を両立させるために定めた事業継続計画の内容
(b)感染予防のための対応策
①人との接触を避けるための対応で柔軟な勤務ルールの整備
②職場の環境整備出社を余儀なくされる従業員への配慮
③従業員等のワクチン接種に対する支援

また前回の認定では、新型コロナウィルスの急速な拡大に伴い、健診や具体的施策(イベント等)に関して臨時的に救済措置を設けていました。国内での感染拡大から1年以上が経過した今、健康経営に取り組む法人の多くがコロナ禍でも代替手段により取りみ組を継続している状況に鑑み、今回からは救済措置を撤廃する方針とされています。

4.喫煙対策

喫煙対策 喫煙に対する取り組みは新型コロナウィルスの影響も考慮し、さらに厳しくなっています。喫煙対策に対しては後進国である日本は、国そして企業の協力を経て喫煙対策を推進する必要があると考えられています。
2019年に「受動喫煙対策に関する取り組み」を必須項目に追加し、さらに「従業員の喫煙率を下げる取り組み」を認定要件の選択項目に追加されました。企業として従業員の健康を増進する施策として喫煙対策はかかせません。

設問Q61.従業員の喫煙率を下げるためにどのような取り組みを行っていますか(いくつでも)
◆喫煙者が現時点でいない場合であってもその状態を維持するために何かの取り組みを行っていることが認定要件の適合条件です
◆作業場の喫煙対策は含みません
  1. たばこの健康影響についての教育・研修を行っている
  2. 喫煙率を下げることを目的とした継続的な保健指導を行っている
  3. 喫煙外来療費を補助している
  4. 禁煙補助剤の無償支給や購入費支給を行っている
  5. 禁煙達成者に対する継続的なインセンティブの付与を行っている
  6. 非喫煙者に対する継続的なインセンティブの付与を行っている
  7. 喫煙に関する社内ルールを整備している(就業時間中禁煙、喫煙可能な時間の制限など)
  8. 喫煙を促す社内イベントを実施している(禁煙月間、禁煙デーなど)
  9. 喫煙を促すアプリを提供している
  10. その他
  11. 特に行っていない禁煙

5.スケジュールの変更

令和3年スケジュール表 申請・認定フローの見直し等に伴い健康経営認証制度のスケジュールの変更予定されていますのでご注意ください。令和3年度10月中での申請締め切り、2022年2月に内定通知の予定となっています。

6.認定要件の変更について

健康保持 今回の変更点で注目すべきポイントは、新設された「喫煙率低下に向けた取り組み」と「健康保持・増進を目的とした導入施策への効果検証を実施」です。健康経営の取り組みをより精度の高い物にするために認定基準もより高度なものと変わってきています。
健康経営銘柄等のトップランナーにおいては、自社従業員に対する健康経営の取り組みにとどまらずSDGsやESG投資に関連して社会全体への付加価値を考慮する動きも見られています。
こうした動向の調査を目的として企業活動や商品サービスを通じた社会全体の健康への寄与に関する設問も設けられます。自由記述式として評価項目にはされませんが、より広い観点で健康経営を捉えていく必要性が出てきています。社会全体
ホワイト500認定の条件として、健康経営度調査において開示の意向を確認する設問も設け、評価結果(フィードバックシート)及び一部設問の回答内容について「開示可」とし、開示不可の場合は評価結果が500位以内であってもホワイト500ではない優良法人認定となります。このように健康経営の情報開示の促進を図っています。

2022年認定要件変更点

評価項目:評価項目①~⑯のうち13項目以上(優良法人)
評価項目:評価項目②~⑯のうち13項目以上(ホワイト500)
評価項目:【新設】喫煙⑯喫煙率低下に向けた取り組み
評価項目:健康保持・増進を目的とした導入施策への効果検証を実施必須化認定基準

まとめ

優良法人 引き続き認定を目指す企業もこれから健康経営を始める企業も、認定要件を確認して取り組み実践をすることをおすすめします。健康経営の取り組みを通じて、従業員の健康増進・モチベーション向上等を通じて企業の業績・価値の向上はもちろんのこと社会全体への働きかけにもつながります。ぜひ優良認定法人やホワイト500を目指してはいかがでしょうか。
出典元:令和3年度健康経営顕彰制度について
Facebookシェア twitterシェア Lineシェア
Facebookシェア Twitterシェア Lineシェア

関連マガジン

問い合わせ
各種取材やサービスに関することなど、
お気軽に問い合わせください。