• 健康経営
  • 2021.11.17

健康経営におけるフレイル対策とは?介護離職との関連についても解説

目次

フレイルと介護離職者の関係

辞職届企業を経営している皆さんにも、残ってほしい人ほど辞めていってしまうなど介護離職で頭を悩ませてはいませんか?
厚生労働省の雇用動向調査によると、1年間に約10万人が介護を理由に離職していることがわかっています。高齢化により深刻な問題になりつつある介護離職です。
働き盛りの40代から介護離職が増加つつあります。女性は約8万人と男性より多い傾向となっています。

介護離職の要因となっている「フレイル」をご存じですか?

フレイルは要介護状態になる前段階であり、そこから回復・改善できる状態です。
早めに対策をすれば、要介護状態に陥るリスクを減らせます。
介護離職を防ぐために国としても様々な取り組みが行われています。しかし介護離職者は増え続けている現状です。
介護離職者を出さないために企業としての取り組みが必要になってきます。
そこで今回は「フレイル」について紹介させていただきます。

介護離職によるデメリット

退職介護離職のデメリットについて、従業員側、企業側それぞれの視点で説明しましょう。

従業員のデメリット

  • 収入がなくなる
  • 経済的な不安を抱える
  • 再就職が難しい
  • 社会的な接点が少なくなる
  • 精神的に追い込まれやすい

企業側のデメリット

  • 雇用が安定しないのが最大のデメリットです。
  • 企業にとって退職者がでるということはどんな理由であっても損失です。
  • 代わりの人材を探す費用
  • 人材の教育や研修費
  • 人材に関わるコスト費用の発生

介護離職は、会社にとっても従業員にとってもデメリットがあることがわっています。
しかし人は必ず「老化」するものです。

個々や社会が「老化」とどのように向き合っていくかが大切ではないでしょうか。
ここからは要介護の前段階となる「フレイル」について詳しく説明します。

フレイルとは?

フレイルフレイルとは、「加齢により心身が老い衰えた状態」のこと意味し、健康的な状態から要介護に移る中間的な段階です。
フレイルは、早く介入して対策を行えば元の健常に戻る可能性があります。
高齢者のフレイルは、生活の質を落とすだけでなく、さまざまな合併症も引き起こす危険がある要注意です。

フレイル基準(Friedの基準)

フレイルの統一された評価基準はなく、下記のFriedらの評価基準が一般的に用いられています。3項目以上該当➡フレイルと判断

1項目または2項目該当➡プレフレイルと判断(プレフレイルとは、フレイルの前段階の状態です。)

Friedの5項目基準

  1. 体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
  2. 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
  3. 歩行速度の低下
  4. 握力の低下
  5. 身体活動量の低下

フレイルの原因

フレイルは、加齢による衰えや意欲・判断力低下だけではなく、社会交流の機会が減少するなど社会的側面もあります。
加齢に伴う活動量の低下と社会交流機会の減少
  • 身体機能の低下(歩行スピードの低下)
  • 筋力の低下
  • 認知機能の低下
  • すぐに疲れてしまう、疲れやすいことや活力の低下
慢性的な管理が必要な疾患(呼吸器病、心血管疾患、抑うつ症状、貧血)にかかっていること
  • 体重減少
  • 低栄養
  • 収入・教育歴・家族構成など

フレイルサイクル

身体的⇔精神心理的⇔社会的

身体的フレイル:ロコモティブシンドローム・サルコペニア(*)

精神心理的フレイル:老人性うつ・軽度認知障害
社会的フレイル:孤独・閉じこもりなど

フレイルを構成するものは、身体的・精神的・社会的の3つの要因が影響し合っています。
予防・対策には3つの要因を総合的に働きかける必要があります。

(*)ロコモティブシンドロームとは、運動機能が低下し骨折のリスクが高まる為要介護や寝たきりのリスクが高い状態になること。
(*)サルコペニアとは、筋肉量が減り、からだの機能が低下した状態のこと。サルコペニア(筋力の低下)がフレイル(虚弱状態)につながるなど、ふたつの状態はお互いに関連し合っています。

フレイルを予防するには

予防フレイルを予防するには、生活習慣病予防をしながら、運動機能・認知機能の低下を防ぎ、社会的に関わりを保ち続けることが大切です。
フレイル予防の6つのポイント
栄養・運動・口腔ケア・持病のコントロール・感染症予防・社会とのつながり

栄養

低栄養は、フレイルを起こす最大の要因です。食事は活力の源となります。バランスのとれた食事を3食しっかり摂取することが大切です。
ポイントは、筋肉の元となるたんぱく質をどれだけ摂取できるか、ということがポイントになります。

筋肉量を維持するために、たんぱく質を摂取し、筋肉を構成する栄養素を意識する必要があります。

運動

生活習慣病を予防や運動機能を維持のためには、日常生活で運動習慣を取り入れることが大切です。
特に筋力や筋肉量は、サルコペニアの状態になっても、適切な運動や栄養摂取により比較的短い期間で取り戻しやすいといわれています。
ロコモティブシンドロームを予防する方法によっても、足腰の筋力を向上・維持し、バランスを保つことで、フレイルを予防・進行につながるでしょう。

口腔ケア

加齢とともに歯が抜けるなど噛みづらくなると、硬い食材が食べられなくなったり、口の中でうまく飲み込める状態にできなくなったりすることがあります。
食べづらくなるにつれ、食べるのが嫌になり低栄養を起こすこともあります。
口腔ケアにも気を配り、食べる機能を低下させないようにすることが大切です。

持病のコントロール

持病のコントロールをして、悪化させないことが重要です。
持病の治療がうまくいかず、行動が制限されたりさまざまな症状が現れると、体を動かしたがらなくなったり、身体機能が低下してしまうこともあります。

感染症予防

高齢者は免疫力が低下していることが多く、インフルエンザや肺炎にかかりやすいといわれています。インフルエンザワクチンなどを接種することや免疫力を高める体作りをしておくことが大切です。

社会とのつながり

高齢になると、社会的地位や家族構造の変化や家族・友人を喪失することで、気力や活気が失われてしまうこともあります。
外出する機会や気力が失われ、家に閉じこもりがちになると、身体的フレイルへと進行することも少なくありません。
人との関わりを保ち続けることは、身体的、精神心理的フレイルの進行予防になります。

栄養・身体活動・社会参加を見直すことで活力に満ちた日々を送ることが大切です。
フレイルの予防は日々の習慣と結びついています。

介護離職を出さないために企業が取り組むべき対策

企業の対策介護離職者を出さないために企業はどんなことに取り組むべきでしょうか。
具体的な取り組みをご紹介します。

介護をオープンにできる職場環境

介護離職人の約5割の人は「本当は仕事を続けたかった」ということが調査によりわかっています。今の職場環境では、介護と仕事が両立できず辞めざるを得なかったとも答えています。
介護をしていることを隠さなくてもいい環境を整えることが大切です。
相談できる体制や機会を提供することもひとつでしょう。
従業員が独断で「辞めるしかない」という判断を防ぐことにつながります。

利用できる介護制度の周知

離職せずに両立できるという選択肢を後押しすることが大切です。
制度を利用しやすい職場環境につながります。
介護制度利用のハードルを下げるものひとつです。法的に外せないもの以外は、社内で柔軟に設定することをおすすめします。

フレイル対策

さらに一歩進んで、いまいる従業員に対してフレイル対策をすることが重要です。
眼前の問題ではなく、その先に雇用安定につながるでしょう。
フレイルは早めに対策をすれば、要介護状態に陥るリスクを減らせます。
つまり従業員ひとりひとりの健康管理を行うことで、将来の要介護者を減らすことにつながります。それは自社だけではなく社会全体に貢献することになるでしょう。

健康経営とフレイル対策

健康経営健康経営の取り組みのメリットは、取り組んだ企業だけのためではありません。
企業と従業員の双方にメリットがあります。

健康経営とは、企業が従業員の健康に配慮することで、経営面においても成果に上げていくというものです。
もっと簡単にいうと、会社が個人の健康を管理するということになります。

健康経営の取り組みによる運動・栄養・コミュニケーションはフレイル対策としても十分です。
企業は目の前にある介護離職解決に取り組みつつも、フレイルにならないような取り組みが重要となります。企業は、即戦力として長期的に働き続けてもらうためにフレイル対策を行うことが必要となるでしょう。

企業は社会に役立つシニアを輩出する役目がある

元気に働くシニア企業の事業活動を通じて社会的な課題を解決するためにも、フレイル対策は意義があります。
超高齢社会では高齢者の生きがい喪失や経済力低下、社会的孤立、そしてこれから生じる健康問題が大きな社会問題です。

一方で、社会は生産人口の減少による労働力不足や、地域の自然環境や祭礼、伝統文化を維持する担い手不足に悩まされています。

これらの社会問題に対して、社会に役立つシニアの役割が注目されています。
定年退職した従業員が起業したり、NPOや市民団体の活動に参加したりするなどの形で解決に取り組むことができれば、シニアライフと社会の双方にとってのメリットとなることでしょう。

多彩な経験を積んだ人材は、現役時だけでなく定年後にも活用可能な「資産」です。
自社が世の中に役立つシニアを輩出することは、社会の残す財産となります。

企業は健康経営の活動を通じて社会的な課題の解決につながるでしょう。

社会に役立つシニアの輩出は、自社のブランディングに有効なだけでなく、経済的な効果も見込めます。
企業は働く人の定年後も視野に入れたビジネスをとりいれることで持続可能な会社へ成長していくでしょう。
それはシニアが活躍の場を広げることにつながりフレイル予防にある社会参加や他社とのつながりです。
現役時の健康管理や働き方がシニアライフを豊かにします。
そのために企業として、健康経営におけるフレイル対策を実践することをおすすめします。

まとめ

フレイル対策今回は「フレイル」について紹介しました。
フレイル対策をすることで将来の介護離職者を減らす取り組みになることがお分かりいただけたでしょうか?
現役時から健康寿命を延ばす取り組みを企業として取り入れることが大切となります。

そして企業として社会参加ができるような取り組みを取り入れることが、これから迫る社会問題の解決の糸口につながっていきます。

そのために健康経営の取り組みによる「フレイル対策」を自社に取り入れてはいかがでしょうか?
 

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