• 健康経営
  • 2020.10.14

協会けんぽが担っている健康保険組合と健康経営

目次

実は健康経営と結びつきが深い協会けんぽ(全国健康保険協会)

「健康経営」という言葉が広がりつつありますが、まだ健康経営を行っていない事業所は、どんな施策を取れば健康経営ができるのか、また健康経営を行うにはどれだけの投資が必要なのかということだけに注目しているところがあります。

ですが、どうやって健康経営を始めればいいのかって知っていますか?
もし、あなたの事業所が組合健保ではなく協会けんぽに加入しているのなら、まず協会けんぽに健康企業宣言を行う必要があります。この宣言を行うことで、健康経営の準備ができたという扱いになり、健康経営優良法人(経済産業省認定のもの)に申請をすることができるようになっています。

つまり協会けんぽに加入しているなら健康経営を行うには協会けんぽは欠かせない役割を担っているということです。今回はあまり知られていない協会けんぽについて、お伝えしていきます。

協会けんぽがあるからこそ成り立っている社会の健康保険事情

健康保険とは

日本では1961年に国民皆保険の制度ができ、日本に住む人たちは何かしらの健康保険に加入しています。大きく分けると、国民健康保険と健康保険に分かれるのですが、そもそも健康保険とはどのようなものかと言うと、下記のような図のものになります。

健康保険

現在は健康保険を大きく分けると「協会けんぽ」「組合健保」「共済組合」の3つに分類されていますが、その他にも国民健康保険のくくりに入る市町村国保や国保組合、後期高齢者医療制度というものもあります。ただこれらは、少し毛色が違うものです。最初に挙げた三つの保険は被用者保険というくくりに入ります。

また「協会けんぽ」「組合健保」「共済組合」のうち、共済組合は健康保険法に基づいた保険給付が行われるものでもないので、やはりちょっと毛色が違うといえます。

協会けんぽと組合健保の関係

では、協会けんぽと組合健保についても少しお話をしましょう。

協会けんぽは、もともとは国の社会保険庁が執り行っていましたが、問題が相次いだため、2008年10月1日から公法人が担うことになり、現在の形になりました。また組合員が一番多いのが協会けんぽです。協会けんぽは会社員が少ない事業所でも加入できるところということもあり、中小企業者の加入も多い組織といえます。

それに対して組合健保は、事業所ごとに作ることのできる健保です。例えば、社員数が700名を超える事業所であれば、国の許可を得て健康保険組合を設立することができます。また、1事業所の社員数は少なくても、同業種の事業所が集まって社員数が合計で3,000人を超える場合も、やはり国の許可を得れば健康保険組合を作ることが可能です。

但し健康保険組合は、組合によって財政状況が全く違っています。赤字になっている組合もあれば黒字になっている組合もあります。黒字になっている組合では被保険者へのフィードバックも様々あり、保険料率も安いというメリットがあるため、黒字の組合は一層黒字になっていき、赤字の組合は参入企業も減っていきどんどんと赤字になってしまうという面があります。

また協会けんぽとは違い健康保険組合は解散するという可能性もあります。一般企業と同じで、赤字財政が続けば組合は破綻してしまうというわけです。では、解散した健康保険組合に入っていた事業所はどうなるのかと言うと、最終的な受け皿として存在しているのが「協会けんぽ」。

協会けんぽも決して黒字財政というわけではないのですが、健康保険組合が解散した時の受け皿としての役割も担っているため、運営をしていかなくてはいけない組織として存在しています。

その他でも行っていることがある

協会けんぽは健康保険のことを行っているだけではありません。
例えば、「全国健康保険協会次世代育成支援行動計画」というのがあります。これは、次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)に元図いてできた行動計画で、仕事と子育てを両立させることを全職場で目指しています。

計画期間は、平成31年4月1日~令和6年3月31日までの5年間。この間に行っているのが、3つのことです。
  • 育児休業制度の拡充
  • 妊娠中や出産後の女性職員の健康の確保及び男性職員の子育て目的の休暇取得促進のための措置
  • 週に1日以上のノー残業デーの設定

この他に行っているのが、「一般事業主行動計画」。これは女性が活躍できる雇用環境の整備を行うというものです。課題としてあったのが、女性管理職の割合が少ないということ。目標数値は女性管理職比率を20パーセント以上にするということです。
こちらは平成28年度~令和2年度までの5年間が計画期間として設定されていました。

このように、協会けんぽでは健康保険だけではなく、様々な取り組みを行っている組織です。

健康経営における協会けんぽの役割とは

協会けんぽそれではここからは、協会けんぽと健康経営の話に入っていきましょう。

健康経営のシステムを取り入れているだけでは、健康経営優良法人とは認められません。認められるためには手順を踏む必要があります。
初めにも少し話をしましたが、健康経営を始める前には「宣言」をします。
※ここでいう健康経営を始めるというのは、経済産業省「健康経営優良法人顕彰制度」のことです。
※大規模法人部門はこれにはあてはまりません

ただ、「宣言」をするといっても、何をどうすればいいのかがわかりませんよね。協会けんぽにおける「宣言」の説明をします。
宣言の方法は、協会けんぽの支部ごとに違いがあります。ここでは東京支部の場合のお話をさせていただきます。
まず、協会けんぽに「これから健康経営を始めますという宣言をする」と、協会けんぽからチェックシートが渡されます。それにチェックをして申し込み、ここからが取り組みの開始です。取り組み期間は最低6か月が必須。1、2か月行っただけでは、健康経営に取り組んでいるとは認められず、申請から最低でも6か月以上は認定証をもらうためには時間がかかるということを覚えておきましょう。

その後、6か月以上の取り組みの振り返りを行い、実施結果レポート確認書類を提出し、協会けんぽ東京支部が認定すると「健康優良企業」銀の認定証をもらうことができます。
※「健康優良企業」銀の認定証は、健康経営優良法人の認定とは別のものです
※今回は東京支部を例にとっているため銀の認定証と言っていますが、他の支部では別の言い方をそれぞれしています

中小規模法人であれば、この「健康優良企業」銀の認定証を取ると、今度は経済産業省の「健康経営優良法人」中小規模法人部門に申請できるようになります。
また協会けんぽ東京支部では、銀の認定証を会得するまでがSTEP1で、その次のSTEP2にも申請することができるようになります。

STEP1では、健康経営を行うために職場の健康づくりに取り組む環境を整えることが目的とされていましたが、STEP2では、職場の健康経営・健康づくりをさらに進め、安全衛生にも取り組むことが目的となっています。
流れはSTEP1の時と同じで、最後に実施結果レポート確認書類を提出し、協会けんぽ東京支部が認定すると「健康優良企業」金の認定証を得ることができます。

健康優良企業のリーフレット

また、STEP1、STEP2のシステムは他の支部でも行われており、各支部で健康優良企業を増やそうとしています。
※各支部の宣言の名前は、それぞれの支部のHPでご確認ください

健康経営を後ろから支える様々なシステム

インセンティブ協会けんぽでは健康経営を行っている事業所に様々なインセンティブ制度などを設けています。インセンティブを受けるために健康経営を行うというのは、「健康経営」の概念からは少しずれていますが、そうではなく、健康経営を推奨している協会けんぽだからこそ、健康経営を頑張っている事業所のためにできることをしたい、という気持ちで様々な取り組みを行っています。

例えば資金調達の支援や外部専門機関による健康課題解決のサポートを受けられたり、信用保証料率の優遇を受けられたり、表彰制度を設けており優秀な事業所は宣伝効果を得られるなどがあります。

協会けんぽによる詳しいインセンティブ制度については下記の記事をご確認ください。

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  協会けんぽのインセンティブ制度と保険料

協会けんぽは各支部で行っていることが違う

協会けんぽはひとくくりにして考えられていますが、実は各支部によって色々と違っているところがあります。特に健康経営に関する健康づくり活動は独自性が強く、各支部によって様々です。

健康経営の普及率や事業所との取り組み方、商工会議所との取り組み方などに違いがあるため、支部ごとに紹介していきたいと思います。

各支部の活動はこちらからご覧ください。

各支部の取組

熊本支部
またなぜ、このように支部ごとに行っていることが違うのかというと、協会けんぽ47都道府県で、取り組みについての順位付けがされています。この順位が何になるのかと言うと、上位に該当した支部には報奨金が渡され、保険料率の引き下げが行われています。これは2018年度から導入され、毎年度の取組結果が翌々年度の保険料率に反映されるようになりました。

地域のために協会けんぽとしても、何かできることはないかと真剣に模索できるように、こういった制度が作られたのでしょう。そのため、支部ごとの特色の違いが強く出るようになりました。

まとめ

協会けんぽでは、このように健康経営にまつわる多くの取り組みに関わっています。特に中小規模の事業所にとっては、協会けんぽが健康経営の入り口です。初めはどこから始めればいいのかわからないという場合には、協会けんぽに相談をしてみると、健康経営への道のりが見えてくるでしょう。

協会けんぽも健康経営を行う事業所を増やしていきたいと思っている組織ですので、親身になってくれます。もしかすると、すでに健康経営の形をとっていたという可能性もありますので、ぜひ話だけでも聞いてみてはいかがでしょうか?

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