【ストレスチェック高ストレス者への対応】面談申し出を高める工夫と実効性の高いフォロー体制
ストレスチェック制度を実施した際、重要となるのが「高ストレス者」と判定された従業員への適切な対応とアフターフォローです。
しかし現場では、「高ストレスと判定されても受診・面談の申し出をしてくれない」「面談を申し出ることで評価が下がるのではないかと不安視される」「医師の面談指導後にどのような措置をとれば良いかわからない」といったお悩みが非常に多く聞かれます。
高ストレス者への対応を放置すると、メンタル不調による休職・離職リスクが高まるだけでなく、安全配慮義務違反を問われるリスクも生じます。
本記事では、高ストレス者判定の基準から、面談申し込み率を高める工夫、医師面談後の具体的な就業上の措置、社内フォロー体制の構築手順までを分かりやすく解説します。
1. 高ストレス者の選定基準と会社が果たすべき基本対応
ストレスチェックにおける「高ストレス者」とは、評価点数が高く、放置するとメンタルヘルス不調に陥るリスクが高いと判断された従業員を指します。
| 項目 | 主な内容・留意点 |
| 高ストレス者の選定基準 | ①ストレス自覚症状の評価が高い者、または②ストレス要因および周囲のサポート状況を考慮し総合的に高い者(全体の10%前後が目安) |
| 個人の結果通知 | 実施者(医師・保健師等)から受検者本人へ直接通知(本人の同意なしに会社へ開示することは法律で禁止) |
| 会社が取るべき基本対応 | 本人からの申出に基づく「医師による面談指導」の機会提供と、必要に応じた「就業上の措置」の実施 |
2. 面談申し出率を高めるための4つのアプローチ
高ストレス判定を受けても「周囲にバレたくない」「人事評価に響くのでは」という懸念から申し出を躊躇する社員が多く存在します。心理的ハードルを下げるための工夫が不可欠です。
① 不利益取扱いの禁止とプライバシー保護の周知徹底
- 具体策:「面談を申し出たことや結果によって、解雇・配置転換・評価等で不利益な扱いを受けることは一切ない」旨を全社規程および個人の結果通知文に明記します。
- 効果:社員の不安感が拭われ、安心して面談を申請できる環境が整います。
② 相談窓口の選択肢を増やす(外部EAP・保健師面談の設置)
- 具体策:いきなり「医師との面談」を促すだけでなく、事前ステップとして外部EAP(従業員支援プログラム)の心理カウンセラーや社内保健師による個別相談窓口を提示します。
- 効果:「医師面談は重苦しい」と感じる社員でも、心理的ハードルの低いカウンセリングから段階的に適切なフォローにつなげられます。
③ 面談申込の手続きを簡略化・オンライン化する
- 具体策:紙の申請書を上司に提出させるのではなく、人事部や外部実施機関へ直接Webやメールで秘密裏に申し込める導線を構築します。
- 効果:直属の上司や同僚に知られることなく、申し出を行えるようになります。
④ 実施者(医師・保健師)からの積極的な面談勧奨
- 具体策:単に結果シートを渡すだけでなく、実施者コメント欄に「一度保健師や医師とお話ししてみませんか」といった温かみのある推奨メッセージを記載します。
- 効果:専門家からの客観的な勧めを受けることで、自己判断で放置するリスクを減らせます。
3. 医師面談後の「就業上の措置」とフォロー手順
高ストレス者が医師の面談指導を受けた場合、企業は医師の意見を聴取し、必要な就業上の措置を講じる義務があります。
【フォローの流れ】
1. 医師による面談指導の実施
↓
2. 医師からの「意見書」の提出(残業禁止、配置転換、休職要否など)
↓
3. 経営陣・人事・直属上司による「就業上の措置」の検討と決定
↓
4. 本人への丁寧な説明と同意形成・措置の実施
↓
5. 措置実施後の経過観察と定期的フォロー(1on1・保健師面談)
- 主な措置の例:
- 残業・深夜労働の禁止または制限
- 業務量の削減・担当案件の変更
- 勤務時間の短縮(時短勤務)やフレックス・在宅勤務への切替
- 職場環境(配置転換・人間関係の調整)の見直し
4. まとめ
高ストレス者への対応は、単に法律上の「面談指導の枠組み」を設けるだけでは不十分です。
不利益取扱いの防止やプライバシー保護の徹底、オンラインや相談窓口の拡充による申し出ハードルの低下、そして医師の意見に基づいた迅速な就業環境の調整が揃って初めて機能します。
高ストレス者への丁寧なケアを組織の当たり前とし、メンタル不調の未然防止と誰もが安心して働き続けられる職場環境をつくっていきましょう。