• 取組事例
  • 2021.10.20

ジョブ型雇用とは?特徴やメンバーシップ型雇用との違いをご紹介

目次

雇用のあり方を考えるべき時代に注目されるジョブ型雇用

ジョブ型雇用 とは 働き方改革や直近のコロナ禍の影響で、リモートワークやフレックスタイム制などが進み、人々の働き方が日々変化しています。
働き方が変われば、人々の仕事に対する価値観も変わります。
企業にとっては人材の獲得競争が加速しており、優秀な人材を確保することはとても重要な使命です。
そのための施策として、今の時代にマッチしたワークスタイルの導入や、そもそもの採用・雇用に対する考え方の見直しが必要となってきています。
そんな中で注目されている「ジョブ型雇用」というシステムを、みなさんはご存じでしょうか。
今回はこのジョブ型雇用が従来の雇用システムとどう違うのか、そのメリットや導入にあたっての問題点を学んでいきます。

欧米との雇用制度比較

メンバーシップ型雇用 とは 雇用のシステムは世界各国で異なります。
今回学ぶジョブ型雇用を日本では「欧米型の雇用システム」と表現しますが、これは欧米に限らず世界的にもスタンダードな雇用システムです。
それに対して日本ならではの雇用システムを「メンバーシップ型雇用」と言います。
双方にメリットとデメリットがありますが、まずはそれぞれの概要をご説明します。

ジョブ型雇用とは

最大の特徴は採用において「職務記述書(ジョブディスクリプション)」という書面を作ることです。
この書面は業務の詳細を記しており、社員の職務内容・勤務地・勤務時間などが明確に定められています。
初めに細かく取り決めることで、選考に来る人材をより正確に評価でき、実際の勤務と採用時のイメージとのミスマッチも防げます。

そして社員は契約の範囲内でのみ働きます。
会社都合による部署の異動や転勤、さらには昇進や降格もなく、会社に人事権はありません。
「人に仕事を振り分ける」のではなく、「仕事に人を割り当てる」イメージです。
採用される社員に年齢や勤続年数は関係なく、純粋にその人の持つスキルや経験、挙げた成果が評価されます。
まさに「就職(職に就く)」という言葉がぴったりです。

メンバーシップ型雇用とは

対して日本で主流のメンバーシップ型です。
ジョブ型と異なり「人に対して仕事を割り振る」イメージで、「総合職」と呼ばれる形で新卒者たちを一括採用します。
新人研修を行い、適性を見定め配属先を決めた後は、会社都合による異動や転勤もその時々でありつつ、さまざまな職種を経験させます。
このようにして一つの会社に長く勤める終身雇用の風土と、年功序列によりエスカレーター式に昇給や昇進があることが、日本の雇用形態のスタンダードです。
「就職」というよりは、「就社」という方が正しいでしょう。

ジョブ型雇用のメリット・デメリット

ジョブ型雇用 メリット それではそれぞれの雇用システムのメリットとデメリットを見ていきましょう。
まずはジョブ型のメリットからです。

メリット

従業員視点では、仕事内容が限定的で、専門性が高いことがメリットです。
職務記述書によって細かく定められていることだけをすればいいので、自分の専門職だけに集中できます。
そのスキルを磨きやすく、得意分野・学んでいきたい分野に集中しやすい環境は非常に働きやすいですね。

異動や転勤がないというのも、安心して働けるメリットの一つです。
部署が変われば職務も変わり、今まで培ってきたスキルがほとんど役に立たなくなるケースもあります。
転勤で住む場所も変われば、そこへの適応と新しい人間関係の構築も必要です。
家族がいれば、ともに引っ越すか単身赴任かの選択も迫られるでしょう。
異動や転勤がないだけでこれらの心配をしなくて済むというのは大きなメリットです。

では企業視点ではどうでしょうか。
職務記述書による職務内容の明確なすり合わせは、採用時と実際の勤務開始後でのミスマッチが起きにくく双方にとってメリットです。
給与やポストといった待遇面の評価も、職務記述書に記載してある業務を達成できたかどうかによるため、客観的に把握しやすく、揉め事も発生しづらいでしょう。

そして何より「ジョブ」を重視した採用により、専門分野に強い人材を採用できスペシャリストを育てやすいということは非常に大きなメリットと言えます。
1から教育しなければならない新卒生と違い、最初からその分野に精通している即戦力を採用できるため、企業の生産性を考えた時に非常に効果的です。

デメリット

逆にジョブ型のデメリットですが、従業員に仕事がなくなる懸念が挙げられます。
企業の経営方針や経済状況の変化により、雇用されていた業務が必要なくなれば契約終了の可能性が高いためです。
総合職としてさまざまな業務を社内で経験できないため、仕事のある部署へ回すというのも考えにくいでしょう。
そして初めから専門性を求められるため、新卒者は仕事を得にくいという点もあります。
それでいて新卒者に対するしっかりとした社内の研修も期待できない分、自らが率先して勉強してスキルアップをできないと、業務の遂行が難しくなります。

企業視点では、悪く言えば柔軟性に欠けるのがジョブ型雇用です。
職務記述書が全てで、それ以外の業務を任せたり配置転換をしたりするのが困難になってしまいます。
経済状況の変化や社員の退職など不測の事態が起きた際にも、基本的には職務記述書の内容は守る必要があるため、融通を利かせた対応が難しくなってしまうのです。
人事権を持っておらず、その時々で会社都合の人事を実行できないというのは、非常に大きなデメリットと言えます。

メンバーシップ型雇用のメリット・デメリット

メンバーシップ型雇用 メリット 続けてメンバーシップ型のメリットとデメリットです。

メリット

従業員にとっては雇用の安定が一番ではないでしょうか。
終身雇用が前提であり、年齢が上がるにつれて昇給・昇格も期待できるため、例えばパートナーと結婚し家族を作る際にも将来の見通しが立ちやすく、安心したライフプランを設計できます。

また新卒一斉入社ということは会社が一から教育をするということです。
充実度は企業によって差があるでしょうが、新人研修に始まりその時々で適した教育プログラムがあるため、初めて覚える仕事でも安心して覚えやすく、それを受ける中で自らに合った仕事、やりがいのある業務内容を見つけることもできるでしょう。

企業にとっても雇用の安定のメリットは同様です。
同じ研修を受けさせることで、従業員が等しくあらゆる業務をできるようになります。
長くこの会社で働ける下地ができ、離職率の低下や求職者へのアピールにもなるでしょう。
またメンバーシップ型であれば、人手不足の部署に回す、より強化したい分野に人材を投入するといった会社都合の人事異動もしやすいため、経営の柔軟性が高く大きなメリットと言えます。

デメリット

人事異動があることは従業員にとってデメリットになりえます。
長く親しんだ土地や部署を離れるのは辛いことですし、家族がいればなおさら、引っ越しを伴う異動は簡単に受け入れられないでしょう。

またメンバーシップ型が前提としている終身雇用・年功序列が昨今では崩れつつあるというのも不安要素です。
転職も当たり前になり、一つの企業にしがみつくのではなく、個人でスキルを身に付け強く生きていかなければなりません。
そうなると専門性の低い総合職採用のメンバーシップ型は現代を生き抜いていくには少々心許ないとも言えます。

企業側のデメリットとしては総合職採用の弊害として、専門性の強い社員が育ちにくいという点があります。
専門性が弱いと競合他社との争いに勝てず、優秀な人材の流出につながりかねません。

ジョブ型雇用が注目される背景

ジョブ型雇用 課題 ここまで雇用システムを比較しながら見ていましたが、なぜ今ジョブ型が注目されているのでしょうか。
その理由は以下のとおりです。

世の中の変化

2020年1月に、経団連が従来の雇用を見直すべきと提言したことが一つのきっかけです。
国際的な競争力を上げるためにも、専門職が育ちにくい新卒一括採用ではなく、ジョブ型の採用方針への転換が謳われています。

またコロナ禍によって加速した働き方の多様化も大きな要因です。
テレワークや時差通勤といった柔軟な働き方が求められることで、社員を一律の時間で管理・評価することが難しくなっています。
ジョブ型であれば業務内容・時間・評価基準が明確なため、リモートであっても管理がしやすく、時間や場所に囚われない勤務形態と相性がいいのです。

健康経営の側面

働く条件面が明確であり、それが確実に守られて働けるのであれば、社員は不満に思うことなく職務を全うできます。
ミスマッチが起きることで不信感やストレスが溜まるため、それが起こりにくいジョブ型の雇用は社員の働きやすさにつながるでしょう。
社員の働きやすい環境づくりが企業の健康経営にとって非常に大切です。
健康経営のできる企業は社員の満足度も高く、離職率も低い傾向にあります。
求職者へのアピール力も強いため、人材の獲得においても他社を出し抜けることでしょう。

導入にあたっての課題

ジョブ型雇用 導入 ジョブ型のメリット・デメリットを挙げてきましたが、今後日本でも浸透とはそう簡単にはならないでしょう。
転職が増えてきたとはいえ、ジョブ型が主流の欧米程、転職市場は活発ではありません。
少なからず転職がしづらい環境ではあります。
また法律でも解雇権の乱用を防ぐ規定がされているため、必要なくなった業務に就いている社員をあっさりクビにするというジョブ型ゆえの人事ができるかといえば疑問です。
となると実際に導入が容易そうなのは、転職先としてのグループ企業が複数あり、専門職も安定して存在する大手企業に限られてきそうです。
やはり現在ではまだまだメンバーシップ型の方が、特に中小企業においては安心できる部分が多く、企業側が制度を整えないと導入は難しいでしょう。
テレワークを加速させ、それに伴う安全なインフラ環境を整え、給与体系や評価制度の見直しなど、かなりの企業努力は必要になってきます。

日本での導入事例

ジョブ型雇用 事例 実際に日本ではどのように導入されているのか、いくつか例を見てみましょう。

日立製作所

海外の人材や経験者の中途採用が増えたことに伴い、ジョブ型を推進しています。
初任給が一律ではない個別の処遇設定を盛り込んだ「デジタル人材採用コース」を新設し、2021年3月まででほぼ全社員の職務経歴書を作成、4月からジョブ型の制度運用を開始しました。

カゴメ

等級制度を「年功型」から「職務型」に改訂し、まずは社長と役員について、業績に連動して報酬が変動する「取締役評価・報酬制度」を施行しました。
年々制度は拡大していき、2015年には課長職まで拡げた「課長職評価・報酬制度」を導入しています。
これにより、あらゆる仕事に対して公正な評価・処遇を実現するグローバル人事制度を実現しました。

まとめ

ジョブ型雇用 メンバーシップ型雇用 世界で主流のジョブ型雇用、大きなメリットも多々ありますが、日本で染み付いているメンバーシップ型からの移行は簡単ではないでしょう。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、導入するかどうかは会社次第ですし、それにあたっては大きな変革も必要になってきます。
新卒一括採用がなくなれば、学生のうちから希望する分野のスキルを身につけておいた方がいいでしょう。

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