• 健康経営
  • 2021.11.29 (最終更新日:2022.03.26)

中小企業こそ必要な健康経営とは?必要性と事例を紹介

目次

健康経営実践は急務

中小企業悩み 少数精鋭で事業を経営されている企業の方は、「健康経営は大企業が行う取り組みだ」と思っている方も多いかもしれません。
しかし、中小企業にこそ健康経営は必要な取り組みだと言えます。
2023年4月に施行される【中小企業における割増賃金猶予措置廃止】を見据えてより長期的な観点から健康経営を実践することをおすすめします。
日々多忙の中、人材育成や売上・社内環境整備などの問題を解決する糸口を探していることでしょう。
そんな経営者の方へ向けて、健康経営の必要性と事例をご紹介します。

健康経営とは?

健康経営 健康経営とは、経済産業省の定義によると「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」です。
こうした健康経営の考え方は、もともとアメリカの臨床心理学者であるロバート・ローゼン博士が提唱した「ヘルシーカンパニー」に基づいています。
従来別々のものとして考えられていた「経営管理」と「健康管理」を統合させ、従業員の健康増進を行うことで、結果的に企業の業績向上につながるというものです。
簡単に言うと、「企業の経営目的達成のために、企業で働く人たち一人ひとりの健康を大切にしよう」という取り組みです。
さらに、健康経営に取り組む優良な法人を差別化するために認定制度を設けています。
認定制度は、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的な評価を受けられる環境の整備を目標としています。

健康経営のメリット

メリット 健康経営に取り組むことで、様々なメリットがあります。
  • 労働生産性や業績の向上
  • 従業員の心身の健康維持・増進
  • 優秀な人材の確保・採用力の向上
  • 企業ブランドイメージの向上
  • 医療費の削減
  • 離職率低下・定着率アップ
  • 従業員エンゲージメントの向上
  • 従業員の安心感や満足感につながる
  • 多様な人材が能力を発揮できる環境
  • 健康経営に関わる助成金の活用
健康経営のメリットとしてまず挙げられるのが、生産性の向上です。
もともと健康経営は労働生産性の向上をし、そこから業績アップを図ろうという戦略的な取り組みでもあります。
そのため生産性の向上というものは、健康経営のメリットであると同時に、健康経営の大きなゴールです。
また健康管理に早期対策することで、将来的な医療費の削減につながります。
健康になれば、不健康な状態よりも業務を効率良く進められ、メンタルヘルスケアの効果も期待できるでしょう。
健康経営に取り組むということは、ワークライフバランスに配慮した会社というイメージを与えます。

健康経営の実践で注意すべき点

中小企業 健康経営で一般的に言われるデメリットは次の3つです。
  • 効果が見えにくい
  • 数値化が難しい
  • 担当者・社員の負担が増加

健康経営の最大のデメリットは、すぐに効果を実感できないことです。
実際に健康経営を導入してみたが、「浸透しない」「定着しない」などの声もあります。

また取り組みとして従業員の健康状態を把握するため、定期健康診断やストレスチェック、産業医との個別面談やセミナーへの参加などを求める必要があり、従業員の不満につながる場合もあるため、しっかりと説明をして了承を得るようにすることも必要です。

健康経営は中長期的な取り組みとなるため、健康経営者の担当者はデータの収集と管理など、負担が増加することがあります。 
特に少数精鋭で事業を行なっている中小企業は、担当者の負担が増えることとなるため、健康経営の必要性を理解することが大切です。
健康経営の実践は、経営者によるトップダウンと従業員によるボトムアップの両方が重要になります。
経営者と従業員の関係性が近い中小企業ではこの点は有利になります。
経営者のやる気が従業員に浸透することに成功すれば健康経営の実践は確実なものとなるでしょう。

中小企業にこそ必要な健康経営

割り増し賃金 では、なぜ中小企業にこそ健康経営の導入が必要なのでしょうか。
業種や規模に関わらず日本の構造的問題といえば、従業員の高齢化・生産人口の減少による人手不足などが挙げられます。
そして中小企業に早期対応が求められるのが法制度の施行で、
2023年4月施行となる【中小企業における割増賃金猶予措置廃止※】がその例です。
企業は施行日に向けて、就業規則の諸規程や労働契約書の割増率の条項を変更することが必要となります。
猶予撤廃により中小企業にとっては、人件費の増加が予測されるでしょう。

中小企業における割増賃金猶予措置廃止とは?

【2023年4月施行】中小企業も月60時間超の時間外労働で法定割増賃金率50%以上になります。
労働基準法では、1ヵ月の時間外労働が60時間を超える場合、その超えた時間に対して通常賃金の50%以上の割増率で支払うことが規定されています。
しかし、中小企業においては、2023年4月までは猶予期間とされており、60時間を超えても割増率は25%と猶予が認められていました。

この施行により短期的に見ると人件費が増加する可能性が高く、デメリットに感じるでしょう。
しかし、視点を変えることで、デメリットも今後の成長につながる観点として捉えられるかもしれません。
長期的な観点からは、時間外労働を減らす取り組みをすることが成長へつながると期待できるでしょう。
健康経営の取り組みにおける最大のメリットである、生産性の向上がその取り組みとなります。
さらに労働時間の適正把握・業務の効率化・勤怠システムの整備・代替休暇の検討なども外せないポイントです。
健康経営の取り組みにより職場環境や改善や業績アップなども同時に可能になるということが見込めるでしょう。

選ばれる力になる健康経営の認定制度

優良法人 人手不足に悩まされているのであれば、認定制度を活用して優良法人を目指してみてはいかがでしょうか。
自社ホームページなどで魅力的な企業であることをアピールすることにより、リクルート面での有利な働きかけが可能になります。

健康経営の認定制度について

健康経営優良法人認定制度は、健康課題に対して健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度です。
さらに中小規模法人部門の中から優れた上位500法人に与えられる認定が「ブライト500」です。
これらの認定によって見せる化し、企業の選ばれる力となっていくでしょう。

健康経営の課題

中小企業では経済的な余力が小さく、中長期的な視点での人的資源への投資が難しいと課題を持っている企業もなかにはあります。
従業員の健康へ投資することによって得られるリターンは、投資額よりも何倍も大きいとする科学的検証があるのも事実です。
健康診断の実施など健康対策は単に法令上の義務事項であるからだけではなく、経営の基盤となる人的資源の安定性や拡大のための投資として必要なものと考えられます。

経済面で難しく健康経営の実践をためらっている場合には、活用できる助成金もありますので活用するのもひとつの手です。

各種助成金例

  • 厚生労働所のキャリアアップ助成金健康診断制度コース
  • あんしん財団の人間ドック・定期健康診断補助金制度
  • 労働者健康安全機構の産業保健関係助成金制度
  • 地方自治体などによる定期健康診断補助金制度
  • 協会けんぽの健康保険組合と連携協力する(補助金など)

事例紹介

中小企業 健康経営のさまざまな取り組みによる成果をあげている事例をご紹介します。

事例1:ストレスチェック集団分析結果の数値大幅改善に成功

課題➡従業員同士のコミュニケーション不足に課題であった
改善策:席を固定しないフリーアドレス制導入・年2回の食事会・従業員MVP選定・社内サークル費用補助制度・メンタルヘルス予防セミナー・休職復職支援の拡充

事例2:生産性の向上に成功!ケアレスミスの減少・業務がスムーズに進行

課題➡採用難・従業員の高齢化
改善策:ヘルスリテラシー向上セミナー実施・朝礼時にラジオ体操・運動の促進

事例3:職場の活性化により社内が明るくなった

課題➡組織体制の構築
改善策:経営理念の明確化・仕出し弁当の導入・運動の取り組み・サンクススピーチの導入

事例4:離職率の改善

課題➡従業員が定着しない
改善策:出勤時間の柔軟な対応・コミュニケーション手法(グッド&ニュー)を取り入れる・スマートウォッチ購入補助

事例と改善策を紹介しましたが、健康経営の取り組みに決まったやり方はありません。
自社にできるリソースの中で必要な取り組みを実践することが大切です。

まとめ

中小企業 今回は中小企業における健康経営の必要性や事例を紹介しました。
長期的な観点からも健康経営を実践することの重要性をご理解いただけましたでしょうか。
健康経営は大企業だけではく、中小企業にも必要な経営戦略です。
より事業の発展を目指している経営者の方は、ぜひ実践していただきたい取り組みとなります。
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