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  • 2020.09.24 (最終更新日:2022.03.26)

大学職員はホワイトな業界?それともブラック?大学職員の実態を紹介

目次

「ホワイト度は大学により違う」というのが結論

大学職員 大学職員は、しばしば「ホワイトな業界」だと言われます。ここでは、その実態を解説します。
  1. ホワイト度は大学や部署による
  2. 大学職員の仕事でつらいこととは

ホワイト度は大学や部署による

「大学職員はホワイトかブラックか?」との質問に関する答えは、「結局のところ、所属する大学による」ということになります。定員割れを起こしている私立大学はブラックの傾向が強い一方で、資金がたくさんあるような総合大学や有名な大学はそうでもない場合も多いです。大学は収入の大半を学納金でまかなっています。つまり、学生から人気が出なければ金銭面で厳しくなるわけですね。

もう少し細かく見ていくと、働く部署によって仕事の忙しさも変わってきます。Aの部署では定時に帰宅できていても、Bの部署では終電まで働くこともあるのです。

転職サイトは数が多いですが、大学職員に限らず皆少しずつ言っていることが違うのは、この辺りの事情もあるのではないかと考えています。現在、およそ800校の大学がありますが、800校全部が同じ環境ではないでしょう。例として、高収入になりたくて転職を目指す人が、まず注目するのは大手の企業であるのと似ています。

「努めている企業はどこなのか」は、キャリアを大事にしている人にとってはステータスでもありますからね。大学職員でも同じことで、名の知れた有名大学の場合と、それ以外の大学の場合では待遇が異なるケースがあるのです。

大学職員の仕事でつらいこととは

少子高齢化の影響を直接受ける施設なので、ほとんどの大学で学生を集めることに苦戦しています。学生の志願者数が減れば、大学継続の危機に陥るからです。特に、入試担当になる大学職員は試行錯誤をしながら知恵を出して学生を集めています。

全国を回って大学の説明を聞いてもらったり、オープンキャンパスに来てくれる学生のためにバスを出したりと、サービス提供をすることも多いです。筆者がオープンキャンパスへ行った大学では、オリジナルの文房具を頂きました。

ほかにはない自分たちの魅力を伝えながら、実績を上げて学生から「ここの大学に行きたい」と思ってもらえるようなキャンパス作りをしています。

大学職員は、生徒の要望や相談を受けることも仕事内容の1つです。大学には、様々な価値観を持つ生徒や教員がいます。相談の中には、行事や部活動の件で理不尽な要求があったり、大学へのクレームがあったりするのです。このような相談も、嫌な顔をせず親身になって聞かなくてはいけません。

大学の主役が、そこで学ぶ学生だとすれば、大学職員は裏方に当たるでしょう。いらだちを覚えることや、大学と学生との板挟みになって悩むこともありますが、粘り強く向き合って解決できるよう努力する必要があるのです。

大学職員の仕事、ホワイトな職場の環境について

大学 どういった環境がホワイトなのでしょうか?人それぞれ違いますが、下記に例を上げてみました。
  1. 勤務時間が守られている
  2. 自由な時間を増やせる
  3. ホワイトなのに経験できる仕事は多い
  4. 平均年収が高い

勤務時間が守られている

サラリーマンとして民間企業で働いていると、暗黙のルールで「就業開始時刻の30分前に出社する」とか「上司が残業していたら先に帰宅しにくい」というものがあったことと思います。サービス残業が横行しているので、多く出社した分は当然、残業代がつきません。そのような環境で働いていた人が、大学職員へ転職すると待遇の違いに驚くといいます。

たとえば、前職では就業開始する30分前に出社するのが当たり前の感覚だったのに、大学に所属してからは定時の10分前出社で良いケースがあります。前職がブラックな環境からすれば、この感覚は「ホワイトな職場」だと言えるでしょう。

自由な時間を増やせる

前の項にて、「大学職員のホワイト度は環境による」とお伝えしました。私立大学の職員の場合、1週間の前半には1週間分の仕事が全て終了していることもあります。それ以外にも、定時で帰宅できたり夏休みや冬休みがあったりするので、民間企業で働いていたときと比較しても、自由な時間を増やせるのが魅力です。

そのため、本業の仕事をしながらスキルアップに励んだり、副業に挑戦したりできる環境が整っています。通信制の大学に通い、さらにスキルアップを目指している人もいるそうですよ。休暇では、旅行に行くのもいいですし自分の時間を楽しみに使いたいですよね。

ホワイトなのに経験できる仕事は多い

大学職員は、比較的ホワイトな環境でありながら経験できる仕事が多いという素晴らしい仕事だと思います。なぜなら、経験できる仕事が多い職種は、やることが多いということなのでたいていの場合激務になりがちだからです。

専門性が高い仕事ではないものの、部署を移動しただけで「転職でもしたのでは」と錯覚するほど違うことがあります。ホワイトな職場環境でありながら、自分の経験値が増えていくのはとても羨ましい環境ですよね。前の部署でおこなっていた業務が、異動先の部署でも活かすことができて「経験してきて良かった」と感じることもあります。

平均年収が高い

大学職員の平均年収は、「600万円以上、700万円未満」程度です。しかし、平均年収も所属している大学により異なります。国立大学の場合は、おおよそ550万円程度です。日本の平均年収がおおよそ430万円と言われている中で、この年収は高収入だと言えるのではないでしょうか。ホワイトな環境でありながら高収入と、大学職員が人気の就職先である理由が分かりますね。

大学職員になりたい人へ。必要なものは?

講義 大学職員になるために、必要な条件をチェックしましょう。
  1. 必要な条件について
  2. 就職先が母校以外でも問題はない
  3. ほかの業種からの転職はできるのか

必要な条件について

まずは学歴ですが、大卒以上の学歴が必要です。卒業していなければ、応募の資格すらないことが多いですから気をつけてください。必要な学歴については、求人の「応募条件」の項目に書かれていますよ。

大卒以上であることが求められるだけなので、院卒だからといって有利に運ぶわけではありません。評価されるポイントは、院卒かどうかよりもどの程度志望しているのか、学生時代にどのような経験をしてきたかというところです。

就職先が母校以外でも問題はない

「大学職員になるには、まず母校から始める必要がある。もしくは、母校でなくてはならない。」このように考える人も多いことでしょう。しかし、母校であるかどうかは特に大切な条件ではありません。母校以外への就職もできますから、母校を受けたら有利になるということはないのです。お伝えした通り、就職で評価されるポイントはあくまでも「どの程度志望しているのか」。

そのほかには、どの程度大学のことが好きか、学校の考え方に共感しているかが大事です。母校なら、大学への思いをアピールしやすいので「就職するのなら母校が良い」と言われているのだと思います。

ほかの業種からの転職はできるのか

民間の企業でサラリーマンとして働いていた場合と、ほかの大学で大学の職員として勤務していた場合とでは、どちらかが不利になることはあるのでしょうか。結論から言えば、その判断はそれぞれの大学によって異なります。経験者を求めている大学もあれば、逆に「どうして前の仕事を辞めたのか」とネガティブに考える大学もあるのです。

逆に、民間企業で勤めていた経験があれば、「社会人としての常識やマナーを身につけている」と判断されるわけでもないのが大学職員の仕事です。それぞれの大学の判断によりますから、何が有利に運ぶ条件なのか見極めるのは難しいのですね。

大学職員になるメリットを紹介。いいところも知りたい

教科書 ホワイトな業界と言われているだけあり、メリットも多い大学職員。1つずつ確認していきましょう。
  1. 客商売ではない
  2. 安定していて、離職が少ない
  3. 大学の施設を職員も利用できる
  4. 仕事にやりがいを感じられる

客商売ではない

大学職員の仕事は、顧客に商品を販売してその利益で成り立っている「客商売」ではありません。今は、大学への志願者はほとんど全員入学できる時代ですから、有名でない大学などではそうともいかなくなってきていることも事実です。お伝えした通り、学生を確保するために様々な工夫が必要になっています。

そのような背景があるとはいえ、やっぱり客商売である民間企業とは心の持ち方が異なるのです。営業の仕事では、自分が販売した商品やサービスの利益が、自分自身の収入に直接関わることでしょう。頑張った分、稼げるということでもありますが、重圧がかかることでもあります。

大学職員の仕事では、教育という学生への責任がある仕事です。営業のようなノルマがあり実績に応じて自分自身の収入へ直接繋がるような仕事でない為、考えかたよっては面白みに欠け、違う観点では安定的なお仕事でしょう。

安定していて、離職が少ない

現在は、定員割れをしている大学もたくさんあるため一概には言えないところもあります。数年先の存続すら危険な大学なら、職員の新規採用はおこなっていないことでしょう。しかし、多くの人が知っているような有名な大学であれば、安定しているため離職する人も少ないです。

仕事を辞めたいと考えることはあっても、今の仕事は安定している環境だと思えば、考え直して仕事を続ける人も多いですよね。大学にもよりますが、大学職員の仕事は離職が少ない特徴もあります。

大学の施設を職員も利用できる

これは、大学職員になる大きなメリットのうちの1つではないでしょうか?大学に入っている大きな施設を、職員も自由に利用できるのです。本が非常にたくさんある大学の図書館で本を借りられますし、休み時間にグラウンドで簡単なスポーツができます。民間企業で働いていて、きちんと運動しようと思ったら会社が終わってからジムやヨガに通う必要がありますから、夢のような環境です。

大学の敷地は、ほとんどの企業より広い造りになっています。筆者も、校舎からスクールバスのバス亭まで向かうのがいつも大変でした。そんな中で、緑が豊富なところも多く散歩をすれば息抜きにもなりますよ。また、職場の空間もたいていの場合ひろびろと造られているのも特徴です。

仕事にやりがいを感じられる

大学という施設に所属して働いていると、仕事にやりがいを感じられるケースが多いです。理系の研究などをおこなっている場合は、世の中の役に立っていることを実感できるでしょう。一般的な事務の仕事では、書類作成や伝票を切るなど目立たない作業も多いです。しかし、将来を担う学生を育てる施設の一員として働いていれば、多くのやりがいを感じられることと思いますよ。

大学職員になるデメリットを紹介。

大学 就職先の環境には、良いところもあれば悪いところもあるものです。
  1. 業務の忙しさは部署ごとに異なる
  2. 閉鎖的な空間の大学も多い

業務の忙しさは部署ごとに異なる

お伝えした通り、大学職員の業務の忙しさは部署ごとに異なります。「大学職員の仕事は手持ち無沙汰になるくらい楽なものだ」と聞いていたら、自分の配属された部署は思いがけず激務で意外・・ということにもなりかねません。

忙しい部署に所属することになったら、しばらくして異動があるまで根気よく頑張らなければならないのです。たとえば、部署の中でも広報課や新規に立ち上げた部署などは忙しい部類に入ります。

広報課なら、宣伝に力を入れている学校であれば全国を回って学生を獲得しに行くのです。新規に立ち上げた部署では、先輩がこれまでおこなってきた仕事のマニュアルなどがありませんから、自分たちで仕事のやり方を決めていかなくてはならず、責任が重大ですよ。

このような部署に配属されると、感覚としては民間企業で働いている場合とほとんど変わらずに、辞めたいと悩んでいる同僚の声を聞く事もあるようですね。

逆に、前職がブラック企業だった人が、楽な部署に配属されると「仕事でやることがなさすぎて辞めたい」との感覚に陥るのです。ブラック企業に所属していたときは、年収は高くなくても構わないから休日が欲しい、と思っていたのに仕事量が少ない大学の部署に配属されたら、今度は暇で辞めたい、と感じるようになります。人間のないものねだりな部分がよく表れていると思いますが、誰しもこのような感覚はあるのではないでしょうか。

閉鎖的な空間の大学も多い

学校という組織の体質なのか、一般的な企業と比較してみても閉鎖的な部分が多いとも言われています。ほかの業界に努めている人と関わる機会がありませんから、視野も狭くなりがちで風通しが良くない職場でもあるのです。年功序列の傾向が強い組織も多いため、若者が意見を言いにくい雰囲気でもあります。

関わりの少なさは、ほかの業界の人だけに限らず部署同士での交流にも言えるのです。基本的に、自分の仕事にばかり集中していてほかの人の仕事には関心を持たない空間となっています。ほかの人の責任を負わなくて良いという点では、いいことかもしれません。しかし、それは逆に仕事が忙しくても進んで手伝ってくれる人が少ないということでもあるのです。

大学職員の志望者の中には、チームワークで仕事をしているイメージを持っていた方も多いことでしょう。しかし、お互いに干渉し合わずチームワークができていないことも多いのです。

大学職員に向いている人はどんな人?適性を確認しよう

大学
  1. 淡々と仕事をこなせる性格の人
  2. 指示が素直に聞ける人
  3. アナログ作業が好きな人

淡々と仕事をこなせる性格の人

多くの場合、大学職員が1年間でおこなう仕事内容は決定しています。大学職員として事務作業をしていると、1年程度で仕事内容が覚えられるのです。書類の作成でも、決まった書き方がありますから覚えるだけでなんとかなります。大学での事務職は、スキルアップのために特に勉強が必要というわけでもありません。頭を使ってあれこれ考えるような仕事内容ではないのです。

機械ができるような作業を、毎日こなしているような状態なので、淡々と仕事をこなせる性格の人が大学職員に向いていると言えるでしょう。

指示が素直に聞ける人

上司から、どんな仕事内容を指示されたとしても、素直に聞ける人が大学職員に向いていると言えます。大学の部署によって、仕事が慣れたころの職員が退職してしまうケースが多いです。抜けた人が担当していた仕事は、下の人間に回ります。仕事はたくさんしたくないけれど、指示するのが好きな人が上司である場合もあるのです。

上司が、仕事できる人に業務を振っていった結果、仕事ができない人は暇になることもあります。仕事が忙しくても、少し理不尽だったとしても、素直になんでもやる人は大学職員の仕事が合っているでしょう。

アナログ作業が好きな人

大学職員は、紙の作業に触れる機会がほんとうにたくさんあります。会議の膨大な資料が1枚1枚、紙で作られているなんてこともよくあるのです。最近の若者なら、「オンライン会議にして、データの資料を見せ合えばいいのでは・・」と疑問に思うかもしれません。

IT化の時代に、紙の資料でのやり方を変えない理由も「昔からこのやり方でやってきたから」という、いかにも年配の世代が言いそうな理由だったりするわけです。有名な大学だったとしても、偉い立場の方は年配の方が多いのでこの感覚はほとんど変わりません。今の時代にアナログ作業をするのが平気な人は、大学職員に向いていると言えるでしょう。

まとめ

大学職員のホワイト度や、メリット・デメリットをお伝えしました。
 
  1. ホワイト度は大学や、配属される部署によって異なる。
  2. ホワイトな部署の場合、様々な面で実感できる
  3. 必ずしも、就職で母校が有利になるわけではない
  4. 良い面も悪い面もある。良い面だけ見て「ホワイトな業界だ」と思い込むのは危険である

ホワイト企業に就職したくて、「この業界はホワイトなのか?」と検索する人は多いと思います。しかし、前職がどんな環境だったかによってもホワイトの感じ方は異なりますし、もっと言えば「ホワイトの定義」も人それぞれなのです。

結局のところ全てに言えるのは「どこの部署に配属されるか」ではないかと思うのです。自分自身が求めている条件を今一度見直して、就職・転職活動をおこなってください。
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