• 健康経営
  • 2022.06.30

リモートハラスメントとは?リモハラの定義と種類、テレワークでできる対策を紹介

明るい部屋でリモートワークする女性
目次

​​コロナ禍に、リモートワークやテレワークが増えています。そのなかで注目されているのがリモートハラスメントです。リモートワークには対面コミュニケーションにはない難しさがあり、思わぬところでストレスが生まれています。どのような行為がリモートハラスメントにあたり、どうやって対策すればよいのでしょう。

今回はリモートハラスメントの事例と原因、対策をご紹介します。

リモートハラスメントとは?

パソコンの前で不機嫌そうに時計を確認する男性
リモートハラスメントとは、リモートワーク中に起こるハラスメントのこと。リモハラとも略されます。ハラスメントは​​、人に対する嫌がらせやいじめなどの迷惑行為を指します。​​属性や人格に関する言動や不適切な言い方によって、相手に不快感や不利益を与え、尊厳を傷つけることがあります。それは、言動者の意図と関係なく起こるので注意が必要です。言われた方・された方のとらえ方次第で、ハラスメントは起こります。

リモートハラスメントは、リモート環境特有のハラスメントとして、リモートワークが増加傾向にある近年、注目されています。普段からセクハラ・パワハラに気を付けている人も、リモート環境では思わぬところで、加害者になっているかもしれません。

リモートハラスメントにあたる事例

パソコンの前で頭を抱える男性
リモートハラスメントの多くは、モラルハラスメント、セクシャルハラスメント、パワーハラスメントの3つに分類されます。ウェブ会議やチャットで行うコミュニケーション、マネジメントとして指摘するうえで、意図せずリモートハラスメントと捉えられているかもしれません。典型的な事例をご紹介します。

プライバシーの侵害

プライベートに関する批判的な発言は、モラルハラスメント的リモートハラスメントに当てはまります。ウェブ会議に映り込んだ部屋について指摘したり、カメラオンを過剰に要求することは、リモート環境ならではのハラスメントです。上司がリモート作業中の部下を過剰に監視したり、聞こえてくる子どもやペットの声に言及することもプライバシーの侵害といえます。

画面越しに私的空間を共有したことで親密度が増したと勘違いし、踏み込んだ発言をすることで、相手に不快感を与えることがあります。また、コミュニケーションのつもりで言及したことが、相手にとって指摘されたくない内容であることがあるので、注意が必要です。

容姿に言及する

性的な嫌がらせにあたる、セクハラ的リモートハラスメントもあります。ウェブ会議において容姿に言及したり、顔出しや全身を映すように求めたりすることもリモートハラスメントです。また、一対一のオンライン飲みに誘ったり、SNSで個別のつながりを求めることも、嫌がらせと捉えられる場合があります。

対面では多くの人がセクシャルハラスメントにあたらないよう言動に配慮しているでしょう。オンラインでも同じく、相手の気持ちを考え、プライベートに踏み込みすぎないよう心がけましょう。

頻繁に連絡して監視状況におく

職務上の優位性を利用した嫌がらせは、パワハラ的リモートハラスメントにあたります。頻繁に連絡して監視状況においたり、数分程度席を外しただけで過剰な暴言を吐くことは、オンラインならではのハラスメントといえるでしょう。勤務時間外に仕事の連絡をしたり、自粛期間だから時間があるだろうと残業を強いるケースもあります。

ウェブ会議ばかりではなく、リモートワークで利用されるコミュニケーションツール上でのハラスメントも発生しているようです。頻繁に報告を求めたり、矢継ぎ早にメッセージを送ってプレッシャーをかけることもリモートハラスメントに当てはまります。適度な距離感を保ち、お互いにスムーズに仕事ができるような配慮が必要です。

なぜリモートハラスメントが起こるのか

頭を抱える中年上司
新型コロナウイルスの流行とともに、急速に発展したリモートワーク。ルールやマナーが十分検討されないままに普及したため、環境に対する不安や良好な人間関係を築こうとしてストレスになり、ハラスメントを招いているようです。リモートハラスメントの原因について考えましょう。

画面越しに相手のプライベート環境が見える状況

ウェブ会議などで相手のプライベート環境が見え、安易に仕事と結びつけることで、ハラスメントが起こります。また、オンライン上のコミュニケーションは気持ちが伝わりにくいことも要因のひとつです。軽い注意のつもりが強い叱責として受け取られたり、雑談のつもりで触れたことが相手にとっては触れてほしくない事実であったなど、対面であれば回避できたコミュニケーションの問題が、リモートという慣れない環境下で発生しています。

仕事とプライベートの線引きがあいまいになる

映像や音声を通してプライベートが垣間見える状況に、関係を測り間違えることもあるでしょう。仕事とプライベートが曖昧になって、距離が近くなったと勘違いしてしまうケースです。業務に関係ない指示や言及はハラスメントに該当するという、テレワークに対する理解不足も影響しているといえます。また、ウェブ会議やチャットルームは職場と比べてクローズな空間なので、つい気が緩み、大胆な言動をしてしまうこともあるようです。

管理状況の不安による過剰対応

オフィスワークで確立していた管理体制が、リモートワークへの移行によって崩れ、マネジメントに不安が生じることもあるでしょう。常に視界内にあるわけではない状況に、マネジメントやコミュニケーションがうまくいかないと考え、過剰に干渉するケースです。組織内でリモートワークのルールが整備されていないことや、業務・勤怠管理システムの不足が原因といえるでしょう。

未然に防ぐために心がけること

笑顔で仕事をするスーツ姿の女性
快適なリモートワークのために、管理職も従業員もお互い配慮しなければなりません。また、行き過ぎたハラスメント対策は逆パワハラにあたる場合があります。優越的な関係を背景に起こるパワハラですが、ちょっとした注意をされただけで「パワハラで訴える」と言ったり、業務に必要な指示をされても「あなたの指示には従わない」と言うことは、逆パワハラにあたります。リモート環境においても、誰もが気持ちよく働くために次のポイントを心がけるとよいでしょう。

【管理職】リモートハラスメントをしないために心がけること

まずは、どのような行為がリモートハラスメントにあたるか理解しましょう。業務に関わりのないことは言及せず、過度な連絡は控えて、指導や注意が正答の範囲内か考えることが大切です。また、仕事上の関係であることを常に意識することで、相手のプライベートにむやみに踏み入るリスクを回避できます。さらに、リモートワークにおけるルール作りを行なって共通認識をもつことで、リモートハラスメントを未然に防ぐことが可能です。

【従業員】リモートハラスメントをされないために注意すること

プライベートな環境とはいえ、仕事中であることに変わりありません。仕事に臨む姿勢を大切に、自らの言動を振り返ってみましょう。服装や身だしなみに気をつけて、業務時間内は速やかな反応を心がけます。背景が映らないよう配慮したり、生活音が入らないよう作業環境を工夫すると、リモートハラスメントを未然に防げるかもしれません。

万が一、リモートハラスメントの疑いが生じた場合に備えて、ウェブ会議の様子を録画しておいたり、メッセージのやりとりを保存しておくことも大切です。仕事をしているという意識を前提に、リモートワークならではの対策を検討しましょう。

企業がとるべき対策

オフィスビル


ハラスメント対策が企業に義務付けられている近年、テレワークについてもその防止策を講じなければなりません。厚生労働省が令和3年3月に発表したテレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインでは、企業はテレワークの際にも、オフィスに出勤する働き方と同様の関係法令・関係指針に基づいたハラスメント防止対策が求められています。

具体的な対策として、まずはリモートハラスメントとはなにか、共通認識をもちましょう。嫌がらせやいじめにおいて、不快に感じるポイントは人それぞれです。時には意図しない言動によってハラスメント加害者になってしまうケースもあります。ハラスメントを指摘されても、その原因を理解できないこともあるでしょう。そのような場合、テレワーク時のハラスメント防止規定を明確にしておくと安心です。具体的にどのような行為がリモートハラスメントにあたるのか、業務に必要なことと不要なことの線引きをはっきりとさせておきます。ルール表などで明文化して周知することで、共通認識をもち、理解につながるでしょう。これに基づいて社内研修やマネジメント研修を行うと、より効果的です。

さらに、相談窓口を開設しておくと、万が一リモートハラスメントが発生した際に、原因の特定から解決までを速やかに行うことができます。都道府県が開設する相談窓口をはじめ公的機関が相談に応じていますが、社内で対応することで実態を把握しやすくなるでしょう。被害者にとっても相談するハードルが下がるので、社内での相談窓口の開設がおすすめです。

メンタル面の健康という観点では、健康経営の取り組みにも通じます。従業員が健康に生き生きと働くことで、経営面に成果を期待する健康経営。同じ時間・場所を共有していなくても、従業員が生き生きと働くために環境をサポートすることが重要です。しっかりと環境を整備し、従業員からの意見や要望に真摯に向き合いましょう。

対策をとって、リモートでも働きやすい職場に


リモートハラスメントの事例や原因、対策をご紹介しました。リモートハラスメントは、誰もが被害者・加害者になり得ます。普段とは異なる環境で働くからこそ、配慮の気持ちを忘れずにコミュニケーションしなければなりません。パワハラやセクハラと同様、不快感を与えたり尊厳を傷つけていないか気をつけながら、働きやすい職場づくりを心がけましょう。

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