• 働き方改革
  • 2021.09.02 (最終更新日:2022.03.26)

ワーケーションとは?新たな働き方として注目される背景について

目次

近年、働き方の多様化が進んでいる

ワーケーション とは 「ワーケーション」という働き方が今注目されています。
近年日本では、働き方改革も手伝って企業の体質改善が進み、私たちの労働環境はどんどん変化しています。
そして特に最近ではコロナ禍の影響で、私たちの日々の働き方がさらに大きく変わってしまいました。
当たり前にしていた毎日同じ時間に家を出て、電車に乗って会社に行き、同じ時間に会社を出るという生活から、テレワーク・フレックスタイム制度・時差通勤などの導入により、出社時間や労働時間、ひいては仕事をする場所まで従業員によって異なるようになりました。

今回はそんな多様化した働き方の中で、ワーケーションというものに焦点を当てていきます。
ワーケーションとは何か、どのようなメリットとデメリットがあるのか、このコロナ禍との関係など、それぞれ詳しく見ていきましょう。

ワーケーションとは?

ワーケーション 特徴 まずワーケーションとは何かですが、「work(仕事)」と「vacation(休暇)」の二つの言葉を組み合わせた造語です。
意味合いとして正反対に思える二つの言葉が融合しているのは面白いですね。
休暇にはみなさん旅行に行くこともあると思いますが、ワーケーションとはそういった観光地やリゾート地に赴き、そこで仕事をするという働き方です。
連休を取りたいなと思っても、人手不足や外せない要件など、理由はさまざまですが長期の休暇はなかなか取るのが難しいものです。
そうなれば旅行も日帰りや1泊。2泊できれば万々歳といったところでしょうか。
それがワーケーションであれば、旅行に行けて仕事の合間にその地を満喫できます。
有給と合わせて利用できれば、1週間ほどは旅行先に滞在できるのではないでしょうか。
会社以外の場所で仕事をするという点でテレワークと似ていますが、どちらかといえば旅行ありきで、より休暇要素の強い過ごし方ができるのがワーケーションの特徴と言えます。
「休暇なのに仕事をする」のではなく、「仕事がある中で旅行ができている」という捉え方が正解です。
目の前の仕事を片付ければ、この後ゆっくり温泉に入れて、その土地馴染みの料理やお酒がいただけると思うと、普段の出社や自宅でのテレワークよりも仕事が捗るでしょう。
ワーケーションの導入にはメリット・デメリット双方ありますが、現代の私たちの生活で非常に有意義なものと言えます。

なぜワーケーションが注目されている?

ワーケーション メリット ワーケーションが何かを説明しましたが、ではなぜ今注目されているのか、誕生した背景と現代社会との関わりをそれぞれ見ていきます。

ワーケーション誕生の背景

ワーケーションのそもそもの発祥は2000年代のアメリカです。
その頃のアメリカは有給消化率の低さが課題でした。
有給消化は従業員の権利であり、企業からしても消化してもらわなければ困るものです。
しかし、有給をしっかり消化する風土が社内で根付いていなければ、休むことへの罪悪感のようなものからなかなか消化が進みません。
ここでワーケーションという働き方が非常に有効で、旅行先での仕事を有給とみなすことで、従業員にとっても完全なオフではない分罪悪感が薄れ、それでいて長期休暇としての旅行ができるのです。
これにより有給消化率が上がり、従業員満足度も高まります。

コロナ禍とワーケーションの関わり

さらにコロナ禍の現代にもワーケーションはマッチします。
理由の一つはコロナ禍で注意すべき「三密」の回避ができることです。
最近では旅行の目的や旅行先の選択基準が、「安心安全であるか」「三密が避けられるか」というコロナを意識したものに変化しています。
例えば海や山といった自然の中のリゾート地や観光地であれば、日常過ごしている自宅界隈や勤務地と比べて開けた場所であるため三密の心配はありません。
する仕事が同じであれば、自宅やその周辺でのテレワークよりも、ワーケーションによるリゾート地や観光地でのテレワークの方が、コロナの感染リスクは低いと言えるのです。
また、従業員のヘルスケアの面でもワーケーションは効果的です。
コロナ禍においては度重なる行動制限による自粛疲れや、テレワークの場合自宅勤務によって新たに生まれたストレスなどからくる「コロナ鬱」という症状も問題となっています。
通勤という形での多少の運動すらも無くなり、1日の歩数が約30%減少したデータもあり、運動不足もさらに深刻になりました。
ワーケーションで旅行に出かけることで、豊かな自然環境に囲まれて非日常を味わい、心身共にリフレッシュができます。
アクティビティーの体験施設もあれば、日頃の運動不足も一気に解消されるでしょう。
観光地側の視点に立ってみても、ワーケーションは非常に有意義なものです。
コロナ禍によって一番打撃を受けたのが観光業と言えるでしょう。
不要不急の外出自粛・県をまたぐ移動の自粛は、観光地からすれば耐えがたい要請です。
ゴールデンウィーク・お盆・年末年始といった、例年多くの人が移動する時期は特に厳しく呼びかけがあったため、ここが書き入れ時であるはずの観光業界は大打撃を受けました。
ここでワーケーションという新しい働き方が普及することで、プライベートの旅行では行きづらい観光地に、仕事という目的も同居する旅行
によって人が訪れるようになります。
実際に自治体をあげてワーケーションに積極的な県もあります。
ワーケーションは、コロナ禍による私たちのストレスの多くを解消してくれる、救世主的な働き方なのかもしれません。

ワーケーションのメリット・デメリット

ワーケーション 打ち合わせ それではここで、ワーケーションのメリットとデメリットをそれぞれご紹介します。

ワーケーションのメリット

まずは企業目線のメリットです。
ワーケーションによって従業員がリフレッシュしながら働けるので、従業員満足度は上がるでしょう。
これは離職率の低下にもつながる上に、一人ひとりのストレスが軽減されることで、仕事の生産性も上がることが期待できます。
また求職者に対しての企業のアピールポイントになります。
テレワークすら浸透しきっていない日本の企業で、ワーケーションを取り入れているとなればかなりの強みです。
新卒生にしろ、最近の若者は多くの知識を持っており、ブラック企業にも敏感です。
どんな働き方ができるか色々調べていく中で、ワーケーションが導入されている企業というのは先進的でとても魅力的に見えます。
導入することで優秀な人材を確保するチャンスが広がるのです。
従業員目線のメリットは、先に書いたように休日を取りやすくなることが大きな魅力です。
平日全てワーケーションだとして、土日と合わせて1週間の連休が取れるため、普段なかなか組めないスケジュールで旅行もできるでしょうし、家族や友人との時間をゆっくり取れます。
仕事の合間に温泉や観光ができると思うとワクワクしますね。
また普段と違う場所、非日常の中で仕事をすることで、新たな発見・創造が生まれるかもしれません。
同じテレワークでも、自宅で作業するのとリゾート地で作業するのとでは、感じ方が大きく変わってきます。
いつものルーティン業務にも、ふと改善点や疑問点が見つかるかもしれませんね。

ワーケーションのデメリット

逆にデメリットとしては、企業目線ではまず初期投資の大変さが挙げられます。
従業員が旅行先でも滞りなく安全にワーケーションするために、パソコンやスマホ、モバイルルーターといった必要機器の準備に加え、セキュリティ対策も万全にする必要があります。
旅行先とはいえ仕事をしてもらうことを考えれば、快適な椅子や机の確保も大切です。
Wi-Fi環境やチャットツール、Web会議のシステムなども必須ですね。
これらの初期費用・運営費用はデメリットの一つと言えます。
また従業員の労働管理の難しさがあります。
単純なテレワークの際も同様でしょうが、ワーケーションとなれば仕事場がかなり遠方になる可能性もあるため、上司は部下の進捗状況が尚更把握しづらいでしょう。
さらに実際にどれだけ働いたのか、実働時間の管理も難しくなります。
成果物をあげればいい仕事であれば問題ありませんが、労働時間で給与が左右されるのであれば、ここの勤怠管理はトラブルの元になりかねません。
社内のルールを整える必要があります。
従業員のデメリットで言えば、メリットの裏を返す形で、公私の曖昧さが仇になるケースです。
休む時は休む、仕事する時は仕事すると、自らを律することが得意な方なら向いていますが、苦手な方だと休暇として上手く過ごせないか、もしくは仕事が思ったように進まず生産性が落ちるかです。
ワーケーションは良くも悪くも観光地にいるため、行きたい場所・食べたい物・やりたいことなど誘惑が非常に多い。
公私の線引きは自分次第です。
気を付けないと、何も出来ずにただ旅行をした人になってしまいます。

ワーケーションに関する企業の課題

ワーケーション 課題 ワーケーションに関する企業の課題として、やはり従業員の勤怠管理が最重要課題として挙げられるでしょう。
いくら有給による旅行といっても、ワーケーションという形をとる以上は仕事もこなしてもらわなければ困ります。
成果物の提出に伴う判断ができないような仕事であれば、実働時間の管理をどうするかは大きな課題です。
そこの把握ができなければ適正な評価も行えません。
企業と従業員で不信感が生まれてはいけませんから、早急にシステムを整える必要があります。
セキュリティ管理も大切です。
旅行という開放的なシチュエーションでは、従業員のリスク管理もゆるくなりがちでしょう。
社内備品の盗難や紛失、のぞき見などで社外秘の情報が漏れてはいけません。
また不正アクセスの危険があるため、
公共のWi-Fiも利用しないに越したことはないでしょう。
企業がポケットWi-Fiの貸し出しをできれば理想です。
セキュリティ管理に関しては、企業も対策をとるべきですが、何よりも従業員の意識が大切です。
ハメを外しすぎないよう、会社の備品・情報などの管理は厳重にしましょう。
また万が一、ワーケーション先で事故が遭った場合、労災の扱いをどうするかも課題になります。
ワーケーション時の移動や活動を、仕事内とみなすか、休暇でのこととみなすかで労災適用の可否が変わってきます。
事前にワーケーション先での業務活動を申請させておくのがいいでしょう。
企業側が把握し、承認済みの活動中のことであれば労災認定という運用がベタです。
しかし状況の把握はどうしても難しいため、平時よりは労災認定されにくいリスクがあるよ、と従業員には説明しておくのが望ましいですね。

まとめ

ワーケーション コロナ 今回で、ワーケーションという言葉を初めて知った方も多いでしょう。
働き方改革の流れ、さらにはコロナ禍の現代日本において非常に効果的な働き方ではないでしょうか。
どんなものにもデメリットはあります。
しかしワーケーションにおけるデメリットは、従業員本人の意思による部分も多く、企業からすれば、初期投資こそあれど導入は前向きに考えるべきだと思います。
毎年旅行や帰省を楽しんでいたのに、自粛でどこにも行けずストレスを抱えている方々は大勢います。
仕事の面もありながらでも、観光地に長く滞在できるというのは、今のご時世最高の贅沢と言えるでしょう。
従業員のリフレッシュ・ヘルスケアこそ、企業にとって大きなメリットです。
会社は人。従業員あっての営業利益です。
テレワークができる職種の企業は、ぜひワーケーションの導入も考えてみてはいかがでしょうか。
Facebookシェア twitterシェア Lineシェア
Facebookシェア Twitterシェア Lineシェア

関連マガジン

問い合わせ
各種取材やサービスに関することなど、
お気軽に問い合わせください。