• 健康経営
  • 2021.11.11 (最終更新日:2022.03.26)

企業の新たな軸となる「エシカル消費」とは?健康経営との関連性を解説

目次

エシカル消費とは?

キーワード 「エシカル消費」という言葉をご存じですか?最近使われるようになったSDGsに関連するキーワードです。
企業やブランドの評価を左右する新たな軸として注目されています。さらに一歩進んだ成長を目指す経営者は、ぜひ知っていただきたいキーワードです。
この記事では、エシカル消費の意味やメリットをご紹介します。

エシカル消費の意味・定義

エシカル消費エシカル消費は消費者だけではなく、企業にとっても意識すべき重要な課題といえます。
まずは、「エシカル消費」という言葉が持つ意味や定義ついて解説します。

エシカル消費の意味

エシカル消費は、論理的な消費という意味です。
倫理は、「道徳」や「モラル」と言い換えられ、簡単にいうと「人として守るべき行いや道のこと」を意味します。
倫理的な消費とは、自分の損得だけを考えるのではなく、環境や社会、人などに配慮されたものを選ぶなど、社会的な課題の解決につながるような消費をすることです。

エシカル消費の定義

消費者庁では、エシカル消費を「地域の活性化や雇用なども含む人や社会、環境に配慮した消費行動」と定義しています。

エシカル消費が注目される理由

SDGs

エシカル消費が注目される理由には、SDGsとESG問題に関連があります。

SDGsとは?

SDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)とは、持続可能な社会を実現するための目標という意味です。
地球環境の改善・保全やあらゆる社会・人権問題の解決により、今後も長く持続可能な社会を作り上げていこうという考え方になります。
SDGsには、持続可能な社会の実現に向けた17の目標が定められています。

次の2つの目標がエシカル消費と関連しているため、SDGsの実現に向けて企業や消費者が実践できる対策のひとつです。

目標12【つくる責任 つかう責任】として、生産と消費のパターンを変えることを推奨しています。
天然資源や有害資源などの利用、廃棄物や汚染物質の排出を最小限に抑えることを目指しています。
この目標を達成するには、生産と消費のパターンを変える必要性があるでしょう。
目標10【人や国の不平等をなくそう】として、フェアトレードなどの取り組みがあります。
フェアトレードは、貿易のしくみをより公平・公正にすることです。開発途上国の生産者や労働者が、自らの力で貧困から脱却する手助けとなります。
フェアトレードは地域社会や環境を守りながら、持続可能な世界を目指す取り組みです。

ESG問題とは?

ESG問題 ESG問題は、ビジネスの持続を脅かす問題であると同時に、わたしたちが暮らす社会の持続可能性を脅かす問題です。
ESGは、環境問題・社会問題・組織統治問題の頭文字をとって総称したものです。
環境問題Environment)
社会問題Social)
組織統治問題Governance)

ESG問題はビジネスと社会の両面でSDGsの目標「持続可能な世界の実現」と密接に関わっています。
自然災害や資源の枯渇をはじめとする環境問題は、事業拠点の被災や資源価格の高騰といった形でビジネスの成長を脅かしています。

貧困や少子化をはじめとする社会問題は、顧客の購買力低下や市場の縮小といった形でビジネスの成長を脅かすでしょう。
また違法なサービス残業や不正会計をはじめとする組織統治問題は、法的規制の強化といった形で企業の自由を狭め、ビジネスの成長をさらに脅かします。

社会においてのエシカル消費

2017年からは消費者庁もエシカル消費の普及・啓発活動をスタートさせ、エシカル消費が中学校の教科書でも取り上げられるようになりました。
「エシカル消費をライフスタイルに取り入れたい」という感覚を持つ人は、世代を問わず増えていく傾向です。
エシカル消費をおこなう消費者の拡大によって、生産活動の主体となる企業側にもエシカル消費への理解を求める声が大きくなるでしょう。
企業はこれからのESG問題がビジネスに与える影響をリサーチし「具体的な対策」をとることが求められてきます。

エシカル消費・エシカルビジネスのメリットとは?

メリット エシカルビジネスとは、サプライチェーン※におけるESG問題に配慮したビジネスの考え方や方法論です。
※サプライチェーンとは、製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費において流れのことをいいます。 サプライチェーン(Supply Chain)は、日本語では「供給連鎖」といわれています。

エシカルビジネスやエシカル消費に取り組む重要性やメリットに疑問を感じる方は多いでしょう。企業が取り組むことで、以下のような3つのメリットがあります。

1.イメージアップにつながる

エシカル消費を意識することは、環境問題や人権問題など世界中のあらゆる課題に取り組むことを意味します。
社会的に意義がある活動を行っている会社として消費者によいイメージを与えることにつながるでしょう。
エシカル消費に配慮した商品として選ばれやすくなり、イメージアップにつながります。

2.企業価値が高まる

機関投資家の中には、ESG投資に重点的に取り組む企業を高く評価する傾向があります。エシカル消費に取り組む企業は、投資の対象として積極的に選ばれやすくなり、企業価値が高まることが予想されるでしょう。
ESg情報

出典:経済産業省「ESG投資に関する運用機構向けアンケート調査」令和元年12月

3.新たなビジネスチャンスや競争力を得られる

エシカル投資の重要性を認識する企業はまだ少ない傾向です。
そのため、エシカル投資を重視した形でビジネスモデルを構築すれば、他社との差別化による競争優位性を確立できる可能性がでてきます。
また、これまで取り扱ってこなかった領域に着手することで、新たなビジネスチャンスを生むことになるでしょう。

以上のように、長期的な収益源の確保につながる可能性がある点でも、エシカル消費に取り組むメリットは大きいと考えられます。

エシカル消費と健康経営の関連性

関連性 健康経営とエシカル消費の関連性を見てみましょう。
健康経営とは、「企業の経営課題を解決し経営目的達成するために、企業で働く人たち一人ひとりの健康を大切にしよう」という取り組みです。
ESG問題がビジネスの成長を脅かす制約要因である以上、企業にとって「ESG問題」の対応は「経営課題」となります。
経営課題解決という目標に対して、どのような方法で解決していくのかという方法が健康経営やエシカルビジネス(消費)の取り組みです。

健康経営に取り組むことは、世界共通目標であるSDGsの目標につながります。
目標3「すべての人に健康と福祉を」
目標5「ジェンダー平等の実現」
目標8「働きがいも経済成長も」

同じくエシカル消費もSDGsという目標を実現するための方法論であり、SDGsへアプローチするための考え方です。 

見せる化が「選ばれるチカラ」の実現へ


健康経営の取り組みにおいても、エシカル消費においても情報の発信は重要です。 
自社がどれだけ健康経営やSDGsの実践を通してステークホルダーのニーズに応える準備ができていても「見える化」ができていなければ彼らにとって存在しないと同じです。
だからこそ企業は、記録に基づいた見せる化に取り組み、選ばれるチカラを高める必要があります。

健康経営やSDGs・エシカル消費に関する取り組みの情報は、企業にとって預金や機械設備と同様の「資産」です。
その資産を社外に「見せる化」することで、ステークホルダーからの「選ばれる力」となります。
実際にESG投資に関する健康経営アンケートでは、情報開示が大きな課題となっています。
SDGsの促進により企業は、より広い観点でESG問題を捉えることを求められてくるでしょう。特にESGのS(社会問題)について情報開示を促進することが重要とされます。
企業は、ステークホルダーに合わせて「見せる化」することを意識することが企業価値を高めることにつながるでしょう。
ESG


出典:経済産業省「ESG投資に関する運用機構向けアンケート調査」令和元年12月

エシカル消費の促進には発信力が必要

見せる化の基本となるのが、サステナビリティレポートやCRSレポートです。
企業によってとらえたかは様々ですが、サステナビリティレポートは社会的視点によるもの、「CSRレポート」は、企業視点によるものでまとめられています。

「サステナビリティレポート」は、持続可能な社会の実現に向けて、企業がどのような取り組みをしているかをまとめています。
「CSRレポート」は、自社が果たしている社会的責任について報告するものです。自社がビジネスを通じて社会や環境に与える責任という視点でまとめている傾向です。
さらにレポートと並行して「日常的な見せる化」が必要です。
これまでの記録に基づいた自社サイトやSNSでの発信、店舗のポップやチラシなどの販促ツールを通じた発信などがその典型的な取り組みです。店舗による発信は、エシカル消費の促進にもなります。

まとめ

チャンス 今回は「エシカル消費」について紹介しました。
エシカルは企業の価値やイメージの向上などを期待できる、大きなチャンスになることがお分かりいただけましたでしょうか。企業の間で重要性が理解されていないタイミングだからこそ、取り組む意義はあります。
ぜひ自社でエシカル消費への取り組みにも注力してみてはいかがでしょうか?
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