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  • 2021.11.25 (最終更新日:2022.03.26)

女性に多いインポスター症候群とは?健康経営での対処法

目次

優秀な女性社員のジレンマ

インポスター症候群 治療 女性が社会進出して久しい現代ですが、女性の働き方にはさまざまな課題があり、彼女たち自身も多くの悩みを抱えています。
そんな中でもキャリアを積み上げ、管理職に就いたり独立したりする優秀なキャリアウーマンも多いのですが、逆に優秀にもかかわらず自信が持てず、なかなかキャリアアップしたがらない女性も存在します。
そういう方たちは「インポスター症候群」と呼ばれる心理状態になっているかもしれません。
能力があり周りから認められていても、どうしても自分に自信が持てないという方は女性に限らず男性にも多くいるでしょう。
インポスター症候群は男女問わずなってしまうものであり、中でも比較的女性が陥りやすいものです。
今回はそんなインポスター症候群について、概要と原因、主な症状などを紹介し、健康経営により企業が手助けできる対処法もお話ししていきます。

インポスター症候群とは?

インポスター症候群 自己肯定感

まずはインポスター症候群とは何か、概要や症状等を抑えていきましょう。

概要

インポスターとは英語で「imposter(詐欺師・偽物)」という意味の言葉で、詐欺師症候群と呼ぶこともあります。
自分の実力や成功した事実を自分で認められない心理状態のことで、自分が周りを「まるで能力があるかのように騙しているのではないか」と考えてしまうことからこの名が付きました。
インポスター症候群が注目されるようになったのは一つきっかけがあり、「世界で最も有力な女性50人」にも選ばれた、世界的企業であるフェイスブックでCOOを務めるシェリル・サンドバーグ氏が、彼女の著書で自身がインポスター症候群に悩んでいたという過去を明かしたことです。
他にもハリーポッターシリーズで有名な女優のエマ・ワトソンさん、俳優のトム・ハンクスさんも自身がインポスター症候群の傾向があると告白しています。
インポスター症候群の人は自己評価が非常に低く、成功を収め周りから評価されても、「運が良かっただけ」・「周りのサポートがあったに過ぎない」・「自分の力ではない」などとネガティブな思考に陥りがちです。
そのため、管理職やプロジェクトのリーダーなどの打診を受けても尻込みしてしまい、必要以上に謙遜したり自身を卑下したりする傾向が強く出ます。
ここで気を付けたいのがインポスター症候群は病気ではなく、あくまで心理傾向や気質に過ぎないという点です。
しかしネガティブな心理傾向はストレスとなり、悪化して心身がすり減ることで「うつ」のような症状が発生する場合もあります。
仕事だけでなく日々の生活にも支障をきたす可能性があるため、インポスター症候群の傾向にある人は注意が必要です。

主な症状

それでは主な症状の具体例を挙げていきます。

チャレンジしない

自己評価が低く自信を持てないため、今の成功はたまたま調子がいいだけで、その内必ず失敗すると思っています。
失敗自体や、それに伴う批判を恐れる気持ちが強い分、新しいチャレンジはしようとしません。
また失敗したとしても可能な限り自分のせいにしたくないため、事前準備をわざと遅らせることで、失敗を準備不足のせいに仕立て上げます。

必要以上に卑下する

成功しても頑なに自身の能力は認めず、行き過ぎた謙遜をしがちなため、一向に自信が持てず、周りから評価されてもそれをむしろ重荷に感じてしまいます。

成功・評価を恐れる

成功自体に不安を感じる「成功恐怖症」とも呼ばれる状態になり、成功によって周囲の扱いが変わることで、周りから嫌われるのではないかと考えてしまい、自身の変化そのものを嫌う傾向が出てきます。

発症の原因

原因は大きく分けて2つ、「心理的要因」と「文化的要因」があります。

心理的要因

ある経験や心理的負担があると、無意識のうちに「自分は変化・成長してはいけない」と思い込んでしまうということが心理的要因です。

  • 成功に対して周囲からの妬まれた
  • いじめや仲間はずれに遭った
  • 失敗した時に叱責され周囲にからかわれた
  • 成長に伴って業務量が増えたり、難易度が上がったりすることへの抵抗

これらの経験や負担がトラウマのようになり、自身をストレスから守るために、「変化・成長さえしなければ大丈夫」と思うようになります。

文化的要因

子供の頃の教育方針や、女性の社会進出による社会の変化が原因となるケースもあり、「目立つよりも周囲に溶け込もう」・「わたしの成功は望まれていない」などと無意識に刷り込まれ、自身の能力に自信が持てなくなる傾向にあります。

  • 子供の頃「個性」よりも「同調」を重視され、周りに合わせて振る舞うよう教育されてきた
  • 自分の成功よりも、周囲や組織の成功を優先するよう求められてきた
  • 女性は女性らしく、奥ゆかしく謙虚で」というような価値観に多く触れてきた

これら文化的要因の傾向は女性に多いため、インポスター症候群が女性に多くなっています。

 

なぜ女性に多いのか?

インポスター症候群 診断テスト インポスター症候群について説明してきましたが、なぜとりわけ女性がなりやすいのか、その背景についてお話ししましょう。
女性が社会進出をし、昨今では男女の雇用における差を無くしていこう、女性も活躍できる社会にしていこうという動きが活発になっています。
仕事と家庭の両立のために、休暇制度や短時間勤務制度など、男女ともにより働きやすい環境を目指して、各企業独自の制度作りも進んでいます。
しかしこういった女性の働き方改革、女性活躍社会という流れにむしろ尻込みしてしまうのが、インポスター症候群の傾向にある女性たちです。
女性の活躍を謳い、管理職への登用が積極的に行われることで、「会社に都合よく使われているだけ」・「女性活躍の一環として数合わせで選ばれただけ」という心理が生まれてしまいます。
それに加え、上述したとおり、発症の原因となる文化的要因の影響を受けやすいのが女性であることから、インポスター症候群は男性よりも女性に多くなりがちです。

インポスター症候群の対処法・予防法

インポスター症候群 精神科

それではインポスター症候群にならないために、あるいはなってしまった場合にどうするか、いくつか対策をご紹介します。

過去を振り返る・現在に集中・未来を心配しすぎない

時間軸ごとに自らを整理してみましょう。
心理的・文化的要因で述べたように、過去の経験がトラウマとなっているケースが多いため、その当時を改めて振り返ってみて、その時の自身の振る舞いや言動は本当に否定されるようなことだったのかを確認することで、過去との決別・トラウマの克服につながります。
次に現在に目を向けることです。
ネガティブな思考に囚われ未来に不安を抱きがちなインポスター症候群の人は、心身ともに疲れが溜まり、目の前のことに集中できなくなります。
未来は今の積み重ねという意識を持ち、常に目の前のことを一つひとつ集中してこなしていくことで、周囲の目や声が気にならなくなり未来の不安もシャットアウトできるでしょう。

完璧主義をやめる

インポスター症候群に悩む人は100%を求めがちであり、それだけ思い描く完璧な自分と自信が持てない今の自分とでギャップを抱いてしまいます。
さらにその価値観を他人にも強いてしまい、トラブルの原因にもなりがちです。
自分にも他人にも行き過ぎたプレッシャーを与え追い込んでしまうことになるため、80%程度を目指す意識を持つようにしましょう。

周りの人を頼る

症状を悪化させる原因の一つとして、「自分に対する過度な期待や責任をもってしまう」ことがあります。
そこで自分より優秀な人がいる中に身を投じることで、自らが勝手に背負っていた期待や責任が少なからず軽くなり、よりリラックスした状態で物事に取り組めるでしょう。
分からない点、不安な点は周りがサポートしてくれるという環境があれば心理的負担は軽減できます。

自分で自分を褒める

自己肯定感が極度に低いのがインポスター症候群で、普段から必要以上に卑下したり自己否定をしたりすることはもはや癖と言えるでしょう。
そのため、周囲から褒められても素直に受け入れられず、行き過ぎた謙遜をし、過小評価が止まらず自らの可能性を狭めてしまっています。
小さな成功でも自分を褒めてあげる習慣を作りましょう。
簡単に達成できる小さな目標を立てて、それらをクリアし、その度にしっかりと褒めてあげることで、自己肯定力がだんだんと向上していきます。
自己肯定力が高まれば、周りから褒められた時にも素直に受け止められるように、次第になっていくでしょう。

健康経営に関連するインポスター症候群の取り組み

インポスター症候群 対処 最後に健康経営の視点から、インポスター症候群にアプローチしていきます。
健康経営のためには従業員が働きやすい環境を整備することが大切であり、この記事においては、インポスター症候群の傾向にある従業員にどう対応すべきかという点を考えてみましょう。

以下で紹介するポイントを意識すれば、インポスター症候群の傾向にある社員も、不安を最小限に抑えて働けるでしょう。
「謙虚」と「卑下」のラインを上司が上手く引いて教えてあげることも、部下をマネジメントするうえで大切になってきます。
経営層や管理職の社員が、病気とは異なるこのインポスター症候群について、しっかり理解することがスタートラインです。
就業環境の整備、マネジメントする管理職への研修等、ストレスを溜めない働き方ができるように働きかけていきましょう。

上司が意識すべきインポスター症候群に関するポイントは大きく3つあります。

相手を肯定する

自分を卑下しがちな相手に対し、頭ごなしに否定せず、肯定しながら話を進め、理解しようとしている姿勢を見せることが大切です。
その人の仕事や言動で良い点を見つけ、前向きな言葉で伝えるポジティブフィードバックの意識を持ちましょう。
結果だけでなく過程も含めて良かった点を伝えることで、意欲や能力の向上・さらなる自発的な成長を促す効果があります。

マンツーマンで話す

周りに聞かれる心配をなくすためにも、1対1で話をするのが一番です。
本心を打ち明けやすい環境を作ってあげ、上司自身は聞き役に徹し、部下の言葉に傾聴しましょう。
不安を多く抱えがちな部下であるため、月に1回あるいは週に1回のスパンで定期的に話を聞いてあげるのが理想です。

能力に合った責任を与える

自分への評価や賞賛を拒むインポスター症候群は、いずれ失敗してしまうという不安からくるものです。
そのため失敗しないであろう仕事を振り、確実にこなしてもらいましょう。
責任を全うでき、心の余裕ができるはずです。

まとめ

インポスター症候群 治し方 あまり聞き馴染みのないインポスター症候群でしたが、謙虚すぎる人を思い浮かべてみたらみなさんの知り合いにも何人かいるのではないでしょうか。
意外に身近な存在であり、病気じゃない分明確な治療法もなく、仕事や生活にも悪影響を及ぼしかねない非常に厄介な症状です。
発症の一因となった、トラウマ的な経験を忘れることは困難ですが、克服するための方法や意識するポイントはご紹介したとおり多々あります。
もし周りに、インポスター症候群の傾向にある人がいたら、この記事を参考にして接してくださると幸いです。
企業はこの症状に悩む社員を男女問わずサポートできるよう、日頃から研修や1対1のコミュニケーションを欠かさず行い、組織全体でインポスター症候群への理解を深めていきましょう。
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