• 健康経営アドバイザー
  • 2021.06.16 (最終更新日:2022.03.26)

2022年認定評価強化項目「喫煙」対策と事例を解説

目次

2022年認定要件案向けて「喫煙対策」

健康経営メリット 今までは人(個人)の健康管理は自己責任のイメージだったのが健康経営では1人1人の従業員の健康を会社がマネジメントし従業員を資産(ヒトを大事にする)と考えることが健康経営です。従業員一人一人の健康ををサポートすることで会社の生産性をあげて経営力を高めていき「従業員の健康こそが収益性の高い会社を作る」という経営手法です。
健康経営には以下のメリットがあります。
①労働生産性の向上
  • 体調不良に伴う労働生産性損失の抑制
  • 従業員の活力向上
②社会的評価と企業イメージの向上
  • 会社の知名度向上
  • 財務面のメリット
  • 売り上げ面のメリット
  • 従業員の福利厚生の向上
  • 採用活動で人が集まる  

などのメリットがあります。健康経営を実践することは企業の信頼を内外にアピールすることができ今注目されています。健康経営はだんだん認知されてきて年々認定数も増えてきています。大企業で取り入れているイメージが多かったのですが現在は中長規模の企業にも普及されています。そのためさらなるブラッシュアップを図るため年々認定要件の内容もハードルが上がってきているのが現状です。2022年の認定要件案では、追加変更が検討されています。その中でさらに強化を求められているのは「喫煙対策」です。昨今の新型コロナの災渦で健康意識がさらに高まり企業にとって健康経営の新たな課題として「喫煙対策」の項目の「受動喫煙対策」に加えて「従業員の喫煙減少に向けた取り組み」とされています。2022年認定に向けて「喫煙対策」の事例をもとに解説致します。

「喫煙対策」経営者の最大の悩みとは??

社用車禁煙対策 喫煙対策で頭を悩ませている経営者の方は多いかと思います。それはタバコは嗜好品であり個人(従業員)の嗜好の自由だからです。喫煙は健康には良くないことは多くの人が分かっている事実です。従業員が大切だからこそ経営者としては禁煙して欲しいのです。さらに業種によっては社用車での喫煙は車に匂いがつくことによって車の下取り価格に影響を及ぼすなども頭を悩ましている経営者の方もいらっしゃいます。しかし従業員のストレス発散のためや長距離運転手の場合は眠気防止のためなどもあるため強く禁煙を勧めにくいなどの理由もあります。
また喫煙者(従業員)側からすると
  • 喫煙所でしか吸っていない。
  • 周りの人に迷惑を掛けているわけではない 
  • たばこは嗜好品。
  • とやかく言われたくない。
  • 高い税金を払っている。逆に感謝されたいくらい
  • そもそもやめる気がない
という声を耳にしたりにてなかなか喫煙対策が進まないと伺います。
こういった方達の意識を変えることが喫煙率の低下に直結することが大切になります。
「受動喫煙対策」と「従業員の喫煙減少に向けた取り組み」を健康経営の取り組みとしてトップダウンで段階的に進めていくことが大切です。ある日突然「今日から敷地内禁煙です」と宣言されても従業員はビックリしましよね?そして反発が起きては逆効果です。
健康経営を通じて少しずつ「喫煙対策」を進めていくことで、会社にとっても従業員にとっても労働安全という事故を予防する対策としても重要になります。トップダウンをしつつ最終的に従業員の理解を得てボトムアップしていくことです。
 

トップダウンで進める喫煙対策ポイント

ポイント1:コミュニケーションをとる(理解を得る)
全社で禁煙を進めることを表明
安全衛生委員会で調査審議健康投資禁煙対策を段階的に遂行
ポイント2:健康投資
喫煙外来の進め(一部負担するなど)
環境改善
ポイント3:環境改善
職場環境の改善 喫煙室を廃止しリフレッシュルームに改装するなど
敷地内禁煙の実施

職場の受動喫煙防止の方法として空間全体の「禁煙」と空間全体の「分煙」の2つがあります。「禁煙」は喫煙場所を設置せずに全体を禁煙とする方法で「分煙」は独立した喫煙場所を設置し、その場所以外は禁煙とする方法です。効果的に受動喫煙防止対策を行うために、喫煙者・非喫煙者双方の利益を調整し受動喫煙にさらされないための環境整備を確実に実行しましょう。
ますは職場における喫煙実態や空気環境の測定結果、受動喫煙対策に関する喫煙者・非喫煙者双方から意見要望等等の情報収集を行い、職場の喫煙に関する現状と課題を把握します。そのうえで、実践可能な対策の中で最も効果的なものを選択します。職場の中で喫煙対策を円滑に推進するには、喫煙者と非喫煙者の双方の理解を得ることが重要です。
喫煙室の設置や設置場所・タバコの煙とにおいは屋外に排出・職場の空気環境と気流の確保に配慮することも大切になってくるポイントです。禁煙対策

効果的な受動喫煙の進め方

受動喫煙防止 事業場において効果的な受動喫煙対策をするためには、経営幹部、管理職および労働者が受動喫煙対策の必要性と意義を理解しそれぞれの役割をはたしつつ協力して推進することが重要です。また担当部署や担当者を決め年間の労働衛生計画等に受動喫煙対策の推進を盛り込むことや現場レベルでの計画推進のための体制を整えるなど組織的に取り組むことが効果的です。
「健康経営優良法人2019」より受動喫煙対策に関する取り組みは必須項目となっておりとりわけ経営幹部においては率先して事業場の実情に合わせた適切な受動喫煙対策を推進する立場に位置つけられているといえます。したがって経営幹部が受動喫煙防止にかんする基本方針を明確に示すことによって、この対策の実効性を一段と高めることが可能となります。
なお、妊娠している従業員(妊娠の可能性がある従業員)、呼吸器や循環器等に疾患を持つ従業員、および未成年である労働者については健康への影響をより受けやすいことから格別の配慮が必要になります。

従業員の喫煙減少に向けた取り組み事例

新たに2022年の認定要件案として検討されています「「従業員の喫煙減少に向けた取り組み」ではどのような取り組みをすべきでしょうか。参考事例としてご紹介します。
  • 喫煙の健康被害に対する意識をもってために協会けんぽの保健師に「禁煙のすすめ」セミナーを実施してもらい従業員の健康意識を高めてもらう
  • 喫煙者全員にアンケートを行い、現状および喫煙について意見を聴取し禁煙している従業員には「毎月禁煙手当3,000円」を支給するなどインセンティブを設ける
  • 電子タバコの体験会を社内で行い最終的に禁煙に向かう働きかけを行うことでまず本数を減らしてもらうこと

「お金を払って不健康になるより禁煙手当をもらって健康になるようがよい」という声や電子タバコ体験会では1日に吸うたばこの本数が減った従業員や最終的に禁煙できた従業員もいたなど声もあがっています。まずは自社の現状を把握しどのような施策が効果があるのか考えてみるのもいいかもしれません。

世界・日本の受動喫煙の防止に関する法律・ガイドライン

喫煙対策 世界共通の受動喫煙の防止規制の条約として受動喫煙の防止を各国の責務として定めた「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(FCTC)が2005年に発効されています。たばこの消費が健康に及ぼす影響から現在および将来の世代を保護することを目的とし公共の場での受動喫煙対策を実施・促進することを求められています。この条約の締約国は、日本を含め世界182か国(2020年6月現在)となっています。
日本では、厚生労働省により「健康増進法」が施行されており公共施設等の多数の人が利用する施設の管理者に受動喫煙防止の努力義務が課せられました。これによりレストランや公共施設・公共交通機関での分煙ないし禁煙が進みました。また職場における受動喫煙の防止のため「労働安全衛生法」ではすべての事業者が適切な措置をとるように義務づけられました。世界でも「喫煙対策」が当たり前となっているのが現状です。
しかし、日本では国民皆保険制度があるため「自分の健康を自分で守る」という観点では発展途上の段階といえる。そもそも、日本の受動喫煙対策の遅れは、屋内対策より先に、屋外対策を進めてきたことや、歩きタバコやポイ捨てなど、健康への害と喫煙マナーの啓蒙を同時進行してきたことなどが要因とも言えます。また、海外と比較して日本のタバコの値段が安すぎることも、喫煙者が減らない大きな理由の1つと言われています。そのため厚生労働省は、中小企業事業主による受動喫煙の防止のための喫煙室等の設置に対して助成を行っています。厚生労働省はまた受動喫煙防止の相談支援・周知啓発業務も行っています。いま「喫煙対策」は世界や日本の中でもモラルとして企業や個人に求められています。
厚生労働省2020年受動喫煙防止助成金:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049868.html

まとめ

健康経営 2022年の認定項目で強化されつ「喫煙対策」は2019年度からの「健康経営優良法人における受動喫煙対策の必須項目化」そして近年の健康意識の高まりにより、企業はますます「喫煙対策の強化」を求められることになるでしょう。しかし、多くの企業は、先を見越して喫煙対策に既に乗り出しています。優良企業として事業を存続させていくためには、最低でも認定の基準を満たすレベルの対策はしておく必要があります。健康経営という枠組みの中で「喫煙」は大きな意味を持ちます。快適な職場をつくるという意味でも「喫煙対策」は避けては通れない取り組みになります。最終的には敷地内禁煙をめざしていくことが健康経営の視点から大きな成果と言えるでしょう。
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