• 健康経営アドバイザー
  • 2021.07.12 (最終更新日:2022.03.26)

健康経営の価値のある対策【企業の活性化につながる女性の働き方】

目次

企業活性化につながる女性の働き方

女性の健康保持増進 こんな悩みを持っている企業は多いではないでしょうか?
せっかく育てた女性が定着しない、せっかく昇進のポストを用意したのに断る女性が少ないなど。どうしてだろうと疑問を抱いている男性経営者は意外と多いと伺います。優秀な女性の離職を減らし、長く働き続ける人を増やし、女性役員数を増やす企業施策を行っているけど、なかなかうまくいかないとお悩みではないでしょうか?
企業が女性役員数を増やそうと環境や施策を整える努力は行っているのですが、なかなか増えていかないのが多くの企業の現状です。「男性にはわからない女性特有の症状に的確にアドバイスできない」「妊娠をすると周囲が『無理させられない』と感じになり重要な仕事は渡せないという気持ちになってしまう」というのが実際の声です。それは、これまでの男性中心の企業社会では考える必要がなかった「女性の仕事と健康」について重要なポイントを見落としがあるのです。そんな企業の経営者や管理者の方に「女性の働き方」という視点で自社の施策に取り入れてみることをお勧めします。健康経営の取り組みの項目の「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」を価値ある取り組みにしませんか?

健康経営とは?

健康経営とは経済産業省が推奨している政策です。「従業員の健康こそが収益性の高い会社を作る」といった考え方から生まれた経営手法が健康経営です。健康経営に関わる支出を、将来的な発展や利益向上のための「投資」と考え、経営的視点で実践して企業収益を高めることが目的です。今までは人(個人)の健康管理は自己責任のイメージだったのが健康経営では1人1人の従業員の健康が会社の資産です(ヒトを大事にする)ということが健康経営です。従業員一人一人の健康ををサポートすることで会社の生産性をあげて経営力を高めていくという考え方が健康経営です。

「女性の働き方サポート」を国も本腰を入れている理由

日本の課題 実は認定基準に「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」が加わったのは2年前(2019年)です。それまでは項目の「従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策」に女性に対する項目は入っていませんでした。日本では少子高齢化が進むことで、労働力人口が減少していくため、性別や年齢、病気や障害の郵務などを問わず多様な人材が安心して意欲的に働き、その能力を最大限発揮できる会社・社気を作ることで、労働力・生産性を維持・向上させていく必要性が高まっています。
またグローバル化をはじめとする市場環境の変化によって、企業の競争環境の変化や不確実性が加速し、ステークホルダーが多様化しているため、それに適応するためにも企業は多様な人材を活かしその能力が最大限発揮できる機会を提供することでイノベーションを生み、新たな多様な価値を創造していくことが求められているのです。
こうした背景の中、日本では「男女雇用均等法」や「女性活躍躍進法」などの女性の職業生活における活躍推進に関する法律を施行しました。国は2020年までにさまざまな分野の管理職の少なくとも30%を女性が占めることを国家的目標として掲げており、女性の労働参加と活躍が推進されています。
しかし「女性活躍」の裏で多くの企業が気づいていない重要な事実があります。そして国際的な傾向からも企業は「女性を活躍を推進した経営」が求められています。グローバル化また女性が持っている能力は企業にとっても大きな財産となり企業躍進に寄与すると考えられています。また健康経営を積極的に推進する企業においては、特に女性特有の健康問題対策に高い関心が寄せられています。
いままでは、メタボ対策が中心でしたが健康経営の質を高めるには今後は女性の健康について重要視する傾向がみられます。健康経営に関するアンケートでは、最も関心が高いものとして「女性特有の健康問題対策」が56%を占めています。半数以上を占めており関心の高さが伺えます。国際的にも女性の社会進出に関して遅れをとっている日本。今後グローバルな企業として戦っていくうえでも女性の活躍促進は不可欠になることから国としても力をいれているところです。

労働損失4,911億円!!企業として「女性特有の健康問題」を知る

労働損失 労働損失4,911億円!!
これは女性特有の月経随伴症状による金額が試算されたものです。男性には理解しずらい問題ですが、「知らない、わからない」で通り過ぎていける金額ではないことがおわかりでしょう。男性の経営者または管理者そして働く女性自身も「女性特有の健康問題」を知る必要があることが必要です。知ることで回避できることや予防できることもあります。
現在日本の全従業員数のうち約44%が女性を占めている日本の現状からして、女性の健康に対する取り組みを増やすことで企業の更なる活性化につながるのではないでしょうか。また離職という面からも採用から育成までの過程にかかった費用を考えると損失となってきます。女性のライフサイクルの中で結婚、妊娠、介護と不安定要素の多い女性をいかに働きやすい社会環境の整備を進めることが、生産性向上や企業業績向上に結びつくと考えられます。この女性への取り組みは企業として価値のある健康経営の取り組みとなります。結婚

SDGsの目標達成につながる取り組みとなる

SDGs 健康経営の取り組みの「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」は、SDGsの目標5【ジェンダー平等の実現」(ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る】という目標達成ものつながります。そうなることで、女性が働きやすい諸久保作りに寄与し、社員が元気にそして笑顔になることができて会社の組織活性化につながっていきます。
近年、世界的な規模で進められているSDGsに取り組まれる企業も多くなってきています。企業としてSDGsの目標達成に近づくことで外部にアピールすることができるツールのひとつになります。

職場における女性の健康に関する課題

経済産業省が2017年度に行った「働く女性の健康推進」に関する実態調査では、女性従業員の51.5%が女性特有の健康課題や女性に多く現れる症状により、職場で何らかの困った経験があるとし、その多くが月経痛や月経前症候群によるものと回答しています。また女性従業員の42.5%がそうした女性特有の健康課題や女性に多く現れる症状、妊娠や出産・妊活などにより職場であきらめなくてはならないとかんじたことがあるとし、あきらめた事項として「正社員で働くこと」が最多で次に「昇進や責任の重い仕事につくこと」が多い回答でした。こうした個人や会社が置かれた社会的背景とそれに対する現状の課題もあることから会社が女性特有の健康課題を経営課題の一つとして捉え、女性が安心して意欲的に働き活躍できる職場環境を整備する必要性があります。
まずは職場における健康に関するの課題から改善と効果のある可能性を知ることが必要です。

女性が比較的多い職種における課題

メンタルヘルス不調や喫煙率の増加→長期的な人材活用・アブセンティーズムの改善

月経における課題

プレゼンティーイズムの損失やリテラシー不足→プレゼンティーイズムの改善

女性特有の疫病における課題

仕事との両立や婦人科検診の有無→アブセンティーズムの改善

妊娠出産における課題

キャリアチャンスの喪失→長期的な人材活用・エンゲージメントの向上

更年期障害における課題

仕事や介護との両立や職場におけるチャンスの喪失→プレゼンティーイズムの改善・長期的な人材活用・エンゲージメントの向上

※アブセンティーズムとは、なんらかの病気によって会社を休む状態で起こる労働生産性の損失
※プレゼンティーイズムとは、出勤はしているものの体調が優れず生産性が低下している状態で起こる労働生産性の損失

健康経営を通じて女性の健康課題に対応し、女性が働きやすい社会環境の整備を進めることが生産性向上や企業業績向上に結びつくと考えられています。また女性の健康課題が労働損失や生産性等へ影響していること等の情報について、男性や管理職だけでなく女性自身の知識不足も課題となっています。ヘルスリテラシーの高い女性の方が仕事のパフォーマンスが高く企業の生産性においても女性の健康リテラシーが重要であることも示唆されています。

働く女性が会社に求めるもの

女性が会社に求めるもの 最も多い声は「職場の上司・同僚の理解が得られること」となっており全従業員が正しい理解のもとで積極的に母性保護や女性の健康保持・増進に取り組む会社風土を作り出すことが重要なポイントになってきます。
その他の具体的な声としては
  • 会社による業務分担や適切な人材配置などのサポート
  • 受診や検診、治療のための休暇制度や柔軟な勤務形態など両立を支えるサポート
  • 上司や部署内でのコミュニケーション
  • 総務部や人事部などからのアドバイスやサポート
  • 病気や出産・育児などのライフイベント・年齢にかかわりなく活用できるキャリアアップ制度
  • 産業医や婦人科医、カウンセラー、アドバイザなど専門家への相談窓口
  • 保険者によるサポート
  • 事前に予防や意識啓発を図るための健康教育
「働く女性」に対して企業としてどのようなサポート・配慮がされているかがポイントになってきます。現在ではワークライフバランスへの取り組みは比較的進んでいるが、女性特有の健康課題に対する取り組み(リテラシー向上施策や相談窓口等)は制度整備状況が低く生理休暇についても活用状況は2割程度でありあまり活用されていないのが現状です。
生理休暇その理由としては「人員の不足や仕事の多忙で職場の雰囲気として取りにくい」「はずかしい、生理であることを知られたくない」など生理休暇を取得することが難しい職場の雰囲気や、生理であることを知られる苦痛を避けるために、あえて取得をしないという女性が多いといえます。また生理痛は同じ女性であっても痛みの度合いが違ってくるものです。同じ女性であっても職場内で理解を得られないということもあります。このようなことを回避するためにも①リテラシーの向上②相談窓口の設置③働きやすい環境づくりの3つが大切になります。一緒に働く多様なすべての従業員が働きやすくなる風土を作るために企業は教育機会や職場環境、制度などを作ることが重要なポイントなります。

まとめ

女性の働き方 健康経営の考え方にある「従業員一人一人の健康ををサポートすることで会社の生産性をあげて経営力を高めていく」ということを今回は女性の健康にスポット当てて考えてみました。男性に比べてライフイベントによって働き方に柔軟な対応が必要な女性ですが、女性活用は企業の業績やブランディングに貢献すると言っても過言ではないでしょうか?日本の全人口に対する高齢者の割合の上昇、団塊世代の退職に伴う労働人口の減少といった社会現象に対して、男性偏重型とも言える社員構成では、労働人口の減少に歯止めを利かせることができません。働きたいけど働ける環境が整っていないために働くことを諦めている女性の『眠れる労働力』を活用し、男性社員に偏重した組織体制から脱却し、女性の雇用を促進することで視点・センスを活かした企業文化を創造し、グローバル化を目指す企業もあります。また注目すべきは、モノやサービスの購買決定権を女性が持つことが多くなっています。企業にとっては、女性が求めるモノやサービスを理解し、提供する必要性が次第に大きくなってきているのです。企業の活性化につながる女性の働き方の実現を健康経営の取り組みで行われてはいかがでしょうか?
Facebookシェア twitterシェア Lineシェア
Facebookシェア Twitterシェア Lineシェア

関連マガジン

問い合わせ
各種取材やサービスに関することなど、
お気軽に問い合わせください。