• 健康経営アドバイザー
  • 2021.10.13 (最終更新日:2022.03.26)

意味のない「健康経営」とは?健康経営のメリット・デメリットを解説

目次

健康経営は意味がない??

意味ある 「健康経営って本当に意味があるだろうか」と感じていませんか?
健康経営に興味があってもこのように思っている経営者は多いかもしれません。
意味のない健康経営はゴール設定が曖昧になり、「ただの健康管理」となってしまっている健康経営です。

日々多忙の中、人材育成や売上・社内環境整備などの問題を解決する糸口を探していることでしょう。
そんな企業の経営者の方へ向けて、健康経営のメリット・デメリット・取り組み方法を紹介します。

健康経営とは?

健康経営 健康経営とは、経済産業省の定義によると「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」です。

こうした健康経営の考え方は、もともとアメリカの臨床心理学者であるロバート・ローゼン博士が提唱した「ヘルシーカンパニー」に基づいています。
従来別々のものとして考えられていた「経営管理」と「健康管理」を統合させ、従業員の健康増進を行うことで、結果的に企業の業績向上につながるというものです。

簡単に言うと、「企業の経営目的達成のために、企業で働く人たち一人ひとりの健康を大切にしよう」という取り組みです。

さらに健康経営に取り組む優良な法人を差別化するために認定制度を設けています。
認定制度は、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。

健康経営認定制度について

健康経営認定制度 健康経営優良法人認定の種類は5つあります。
・大規模法人部門
・ホワイト500
・中小規模法人部門
・ブライト500
・健康経営銘柄

健康経営優良法人

健康経営優良法人認定制度は、健康課題に対して健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業の法人を顕彰する制度です。

ホワイト500・ブライト500は、部門(大規模法人・中小規模法人)の中から優れた上位500法人に与えられる認定です。

健康経営銘柄

健康経営銘柄は、原則1業種1社と決められています。
大規模法人部門の中で、東京証券取引所の上場企業の中から優れた企業を選定されます。健康経営銘柄の目的は投資家にとって魅力ある企業として紹介することです。
健康経営優良法人として選ばれ企業は、健康経営がいかに生産性や企業価値の向上に効果があるのかをステークホルダーに発信していく役目を果たします。

年々認定数も増え、健康経営に取り組む企業が増えてきています。
まずはメリットをみてみましょう。

健康経営のメリットとは?

メリット 健康経営に取り組むと様々なメリットがあります。
  • 労働生産性や業績の向上
  • 従業員の心身の健康維持・増進
  • 優秀な人材の確保・採用力の向上
  • 企業ブランドイメージの向上
  • 医療費の削減
  • 離職率低下・定着率アップ
  • 従業員エンゲージメントの向上
  • 従業員の安心感や満足感につながる
  • 多様な人材が能力を発揮できる環境
  • 健康経営に関わる助成金の活用
健康経営のメリットとしてまずあげられるのが、生産性の向上といえるでしょう。
もともと健康経営は労働生産性の向上をし、そこから業績アップを図ろうという戦略的な取り組みでもあります。

そのため生産性の向上というものは、健康経営のメリットであると同時に、健康経営の大きなゴールでもあります。

また健康管理に早期対策することで、将来的な医療費の削減につながります。
健康になれば、不健康な状態でいるよりも業務を効率良くこなすことができますし、メンタルヘルスケアにもつながります。

健康経営に取り組むということは、ワークライフバランスに配慮した会社というイメージを持たれます。特に、健康経営銘柄・健康経営優良法人として発信することで、企業のブランドイメージは向上するでしょう。

健康経営の取り組みの発信が、企業イメージの向上につながると採用力の向上、銀行からの融資を受けやすくなる、ステークホルダーとの取引がよりスムーズに進む、といったメリットも考えられます。

上記だけでなく、健康経営に取り組むことは、世界共通の目標であるSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)にも貢献できます。
SDGsには17のゴールがありますが、健康経営はSDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」の取り組みにつながるでしょう。

さらに社内に浸透・定着することで、目標5「ジェンダー平等の実現」、目標8「働きがいも経済成長も」の2つに関しても達成が期待できます。SDGs

健康経営は株価に好影響!

株価 健康経営は株価パフォーマンスにも好影響を与えています。

調査結果では健康経営度調査の評価は、株価パフォーマンスに比例することがわかりました。(※1令和3年度経済産業省委託調査結果)
健康経営度調査の分析では、スコアが高い企業ほど、相対的に高いリターンを低いリスクで獲得している傾向があるとされています。
(※2)健康経営度調査とは:健康経営の取組状況と経年での変化を分析するための調査です。
さらに「健康経営銘柄」選定および「健康経営優良法人(大規模法人部門)」認定の基礎情報を得るために実施しています。
健康経営度調査のスコア5分位別シャープレオ比較表経済産業省資料

・健康経営度調査スコアの上位20%ずつ5つの組に企業を分けたものとなり、業種で偏りが生じないよう、業務別に組み分けを行った上うえ統合しています。
・リスク1単位当たりの超過リターンを測るものであり、この値が高いほど同じリスクで高いリターンがとれることを意味します。

このように実際に数値化がしてメリットを評価することができている調査結果があります。
健康経営のメリットはご理解いただけましたでしょうか?

しかし健康経営を意味ある形で進めていくためには、意味のない健康経営に陥りやすい要点を理解する必要があります。

健康経営にもデメリットがある!!

デメリット 一般的に言われるデメリットは次の3つです。
  • 効果が見えにくい
  • 数値化が難しい
  • 担当者・社員の負担が増加
健康経営の最大のデメリットは、すぐに効果を実感できないことです。
また健康を数値化することが難しく見える化しづらい点があります。

健康経営を導入してみたが、「浸透しない」「定着しない」などの実際の声もあります。
また取り組みとして従業員の健康状態を把握するため、定期健康診断やストレスチェック、産業医との個別面談やセミナーへの参加などを求める必要があります。

従業員の不満につながる場合もあるので、しっかりと説明をして了承を得るようにすることも必要です。
健康経営は中長期的な取り組みとなるため、健康経営者の担当者はデータの収集と管理など負担が増加することがあります。 

デメリットを理解して健康経営を実践することが大切

健康経営の実践は、経営者によるトップダウンと従業員によるボトムアップの両方が重要になります。強引に健康経営の取り組みを推進しても効果は見られないでしょう。
誰でも新しいことを取り入れることは、ストレスとなります。
現場の意見を拾い、まとめあげ、各部署に浸透する必要があります。

担当者の負担が増える場合は、外部委託などの視野に入れるといいでしょう。
健康経営を実践することで活用できる助成金もありますので、活用するのもひとつの手です。

意味のある健康経営にするには?

ポイント 会社で新しい取り組みを浸透させるには、なにから取り組みべきでしょう。
健康経営の取り組みも業務の一環と考え、経営視点で行うことです。

ゴール設定と目標値をあらかじめ決定しておくことで、健康経営を一時のブームで終わらせず会社の経営改善手法のひとつとして継続して発展させることができます。

反対にゴール設定が曖昧たっだり不適切な目標だったりするとただの健康管理になり、意味のない健康経営になってしまいます。

では実際に「意味のある健康経営」にするために実践ポイントをご紹介します。

健康経営の実践ポイント

1.経営陣が健康づくりに取り組みこと

自社になぜ健康経営が必要なのか明確にすることです。経営者自身のメッセージ=「健康宣言」を従業員に向けて経営者の言葉で語ることが重要です。
従業員を大切にしている会社であるということを社内外に発信することにもつながります。
また経営者自身が発信することにより、従業員の健康経営への関心度も高まります。

2.ゴールの設定

健康経営の成果とは何でしょうか。
自社が抱える経営課題が解決された状態がめざすゴールになります。
ゴールイメージをより明確にし、従業員と共有しながら取り組みことが大切です。

ゴール設定の4つポイント

・経営課題解決につながる
・改善可能である
・数値で評価できる
・評価が難しくない
たとえば、「ヘルスリテラシー向上」だとどう評価していいかわかりません。「がん検診の受診率向上」だと数字で評価しやすい評価指標になります。

3.目標値の設定

単年度だけでなく、3年後・5年後などの長期の目標値を決めておくことが大切です。

目標設定の4つのポイント

・経営者と目標を共有する
・最終目標達成に向けたステップごとに目標値を設定する
・改善の期待度にそった適切な目標を設定する
・専門職の見解を考慮する

4.取り組みの改善

健康経営の取り組みが「ただの健康管理」にならないように定期的に確認することも必要です。
・取り組みのモチベーションが企業理念や経営課題と矛盾していないか
・企業発展のための施策としてとらえられているか

実践ポイントを参考にゴール設定・目標設定から改善活動をルーチン化させる社内体制の構築が意味ある健康経営にするために最も重要になります。

健康経営の実践が必要な会社は?

必要 次のような課題がある企業は健康経営の実践が急務です。
従業員の健康状態が事業のリスクにつながる業種は、従業員の健康管理によって改善できるでしょう。
  • 不健康によるリスクが生じる
  • 残業代のコスト増加
  • 従業員の健康を損なう(過労気味)
  • 離職率が上がる
  • 仕事の意欲低下
  • 生産性や創造性が低下
  • 従業員のストレス増加
  • 職場の雰囲気悪化
上記にひとつでも当てはまるようでしたら、健康経営の実践をおすすめします。

まとめ

ゴール 意味のない健康経営にならないための方法がお分かりいただけましたでしょうか?
健康経営の実践には、「ゴール設定」と「見える化」がポイントです。

そして健康経営の活動では、会社全体の意識を変えるということにある程度時間がかかるので地道に継続して取り組んでいくことが大切です。
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