• 健康経営アドバイザー
  • 2022.01.31 (最終更新日:2022.03.27)

睡眠12箇条とは?健康経営でも注目されている睡眠対策

目次

健康経営でも注目されている睡眠対策

睡眠不足 従業員の中に睡眠に問題を抱えている従業員はいませんか?
日本人の5人に1人は「睡眠で休養が取れていない」「何らかの不眠がある」と厚生労働省の調査で示されています。
睡眠が十分だと健康状態が良くなり、時間当たりの生産性が高まることは多くの研究で立証済です。
睡眠不足がうつ病やヒューマンエラーに基づく事故につながることから健康経営の取り組みにおいても睡眠に対する施策が注目されています。
そこで今回は厚生労働省推奨の「睡眠12箇条」をご紹介します。

睡眠12箇条とは?

残業 睡眠12箇条では、良い睡眠のための生活習慣・環境や睡眠不足・睡眠障害予防などについて、睡眠12箇条にまとめられています。
睡眠に関する科学的根拠をふまえ、具体的な生活に活かせるようにライフステージ・ライフスタイル別記載と生活習慣病やこころの健康に関する記載の充実を図るために発表されました。
参考文献:健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~
 
厚生労働省では、国民健康づくり運動として「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を推進しています。
健康日本21の目的は、すべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会をめざし、壮年期死亡減少や健康寿命(認知症・寝たきりにならない状態で生活できる期間)延伸・生活の質の向上を実現することです。
健康日本21では次の9分野について達成すべき数値目標等を掲げています。
①栄養・食生活
②身体活動・運動
③休養・こころの健康づくり
④歯の健康
⑤たばこ
⑥アルコール
⑦糖尿病
⑧循環器病
⑨がん
健康日本21の③休養・こころの健康づくりとして睡眠12箇条が示されています。

厚生労働省推奨の睡眠12箇条

仮眠

第1条.良い睡眠で、からだもこころも健康に。

睡眠には、心身の疲労を回復する働きがあり、睡眠時間が不足したり、質的に悪化したりすると健康上の問題や生活への支障が生じてきます。
良い睡眠で、人的要因による事故防止に努めることが重要です。

第2条.適度な運動、しっかり朝食、眠りとめざめのメリハリを。

定期的な運動や規則正しい食生活は良い睡眠をもたらす手助けとなります。
一方で、就寝直前の激しい運動や夜食の摂取は、入眠を妨げることから注意が必要です。
朝食は、からだとこころのめざめを促し、生活習慣によって睡眠と覚醒リズムにメリハリをつけます。
睡眠薬代わりの寝酒は睡眠を悪くし、就寝前の喫煙やカフェイン摂取を避けることも大切です。

第3条.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。

睡眠不足や不眠は生活習慣病の危険を高める要因です。
睡眠時無呼吸は生活習慣病の原因になり、肥満は睡眠時無呼吸のもとになります。

第4条.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。

眠れない・睡眠による休養感が得られない場合、こころの病の症状として現れることがあります。
睡眠による休養感が得られなくなると注意力や集中力低下・頭痛やからだの痛みや消化器系の不調などが現れ、意欲が低下することが分かっています。

第5条.年齢や季節に応じて、昼間の眠気で困らない程度の睡眠を。

睡眠時間は加齢で徐々に短縮し年をとると朝型化になるなど、必要な睡眠時間は人それぞれです。
日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠が一番であるということを知っておくとよいでしょう。

第6条.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。

自分にあったリラックス法や環境づくりが眠りへの準備となります。
温度や湿度は季節に応じて眠りを妨げない範囲に保つことや寝室の光や音を心地よい環境にすることも大切でしょう。

第7条.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。

起床直後の太陽光による体内時計
をリセットする生活習慣を行うことが良い睡眠につながります。
休日に遅くまで寝床で過ごすと夜型化を促進するため注意が必要でしょう。

第8 条.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。

日中の眠気があるかどうかが睡眠不足のサインです。
睡眠不足は結果的に仕事の能率を低下させ、睡眠不足が蓄積すると回復に時間がかかります。
午後の短い昼寝を取り入れることで、眠気をやり過ごし能率改善を行うなどの職場での環境づくりも必要でしょう。

第9条.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。

適度な運動は睡眠を促進することで睡眠を安定させ、結果的に熟睡感の向上につながるでしょう。

第10条.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。

その日の眠気に応じて眠くなってから寝床に就くことがスムーズ な入眠への近道です。
眠たくないのに無理に眠ろうとすると、かえって緊張を高め、眠りへの移行を妨げます。自分にあった方法で心身ともにリラックスして、眠たくなってから寝床に就くようにすることが重要です。

第11条.いつもと違う睡眠には、要注意。

睡眠中の激しいいびき・呼吸停止、手足のぴくつき・むずむず感や歯ぎしりは要注意になります。
眠っても日中の眠気や居眠りで困っている場合は専門家に早めに相談することが大切です。

第12条.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

相談できる人を持つことは大きな助けとなります。
苦しみをわかってもらうだけでも気持ちが楽になり、さらに睡眠習慣についての助言を受けることで睡眠が改善する可能性があります。

「睡眠は従業員個人の問題では?」と思われるかもしれませんが、睡眠不足によって企業に及ぼすリスクは大きいでしょう。
睡眠不足になる主な原因としてあげられるのが長時間労働ですが、その他にも従業員個人の生活習慣にも起因することが考えられます。
例えば、仕事から帰宅後にスマホ・テレビ・ゲーム等の余暇時間によって睡眠時間が低下している場合もあるでしょう。
大切なのは従業員自身も睡眠に対する考え方をしっかり理解して、睡眠の質を高める方法を取り入れることです。
会社側が積極的に推進することで従業員の意識啓発につながります。

睡眠不足が企業活動に及ぼすリスク

リスク

労働災害の発生

睡眠不足によって注意力が散漫になり判断力低下など、仕事をする上でさまざまな問題を引き起こす要因となるでしょう。
大事故には至らないまでも、「寝不足で頭がはっきりせず、仕事に集中できない」といった状態は、誰もが経験したことがあると思います。
従業員の睡眠不足による人的なミスが原因で労働災害にもつながりかねません。
事故の背景に睡眠不足があることが多いことなどから社会的問題としても認識されてきています。
従業員の睡眠不足はどの会社にとっても人ごとではありません。
注意力の低下を防ぎ労働災害を防止するという観点からも、従業員の睡眠不足の解消は重要であることが分かります。

生産性の低下

睡眠には心身の疲労を回復する働きがあり、量的に不足したり質的に悪化したりすると健康上の問題や仕事や生活への支障が生じてきます。
6時間睡眠を続けるだけで脳の機能が著しく低下し、二日酔いの状態で仕事をしているのと同じ状態になることがわかっています。
睡眠不足の人は、本来持つ自分の能力の2割も低い能力で毎日仕事をしていることが様々な研究で明らかになっており、集中力・注意力・判断力・作業記憶・気分・感情など機能が低下します。
慢性的な睡眠不足による仕事のパフォーマンス低下により作業効率落ち、残業が必要になり睡眠時間を削らざるを得ないという悪循環となります。
生産性の向上や残業時間を削減するためにも企業として睡眠対策に取り組む必要があるでしょう。

従業員の心身の健康

厚生労働省の健康情報サイトでは、不眠がうつ病のようなこころの病につながることや糖尿病や心筋梗塞、狭心症などの生活習慣病になりやすいことが指摘されています。
睡眠障害は高血圧や糖尿病の悪化要因として注目されています。
睡眠は健康の3本柱の中でも睡眠は体を休養させ回復させる重要な役割です。
睡眠不足の状態では、健康を保つために運動する元気も湧きませんし栄養に配慮することは難しいでしょう。
従業員の睡眠不足は生産性低下につながり、長期的には労働災害や心身の健康悪化によって、休職や離職の原因となり得ます。
睡眠不足の状態は「出勤はしていても、心身の不調によって従業員の能力が十分発揮できていない」状態であるプレゼンティーズムです。
プレゼンティーズムがまん延した職場では、従業員がいきいきと働けず業績にも悪影響を及ぼしかねません。
そうした意味でも従業員の睡眠の量と質に対する支援は経営課題と言えるでしょう。

健康経営での睡眠対策

健康経営 企業の経営目標達成のために従業員ひとり一人の心身健康を大切にするという取り組みが健康経営です。
生産性低下に関連する生活習慣等と合わせて従業員の睡眠を支援することで、従業員個人の健康を支援し、結果としてプレゼンティーズムの減少に成果をもたらすでしょう。
睡眠を見える化するアプリや健康グッズなどにより脈拍や睡眠の様子で客観的に測定するなど実際に取り組みを取り入れている企業もすでにあります。
そういった取り組みを取り入れることも従業員に睡眠に対する意識を変えるために有効となるでしょう。
睡眠不足の社員が快適な睡眠をとれるよう支援することは、生活習慣病や疫病対策などの一部にアプローチすることよりも効果的です。
健康な人がより健康になり、またそうでない人も職場全体で睡眠に対して意識することにより、プレゼンティーズムの減少や生産性アップにつながり健康経営の実践がより効果的なものとなるでしょう。

まとめ

健康 今回は厚生労働省推進の「睡眠12箇条」について紹介しました。
従業員の睡眠不足によるが企業に及ぼすリスクを無視できないでしょう。
長時間労働や従業員の生活習慣など簡単に睡眠時間を延ばせない現状があると思いますが、まずは睡眠不足の影響を知り、睡眠時間を延ばせる工夫が企業に求められます。
ぜひ睡眠12箇条を活用してはいかがでしょうか。
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