• 健康経営アドバイザー
  • 2022.02.04 (最終更新日:2022.03.27)

健康投資とは?健康経営の実践ガイドブックの紹介

目次

従業員への健康投資は必要?

従業員への健康投資 今関心を集めているのが「健康投資」です。
従業員が病気やケガで仕事ができなくなることの損失を考え、従業員の健康維持・増進するために健康経営を実践する企業が増えています。
その背景として長時間労働や過労死・メンタルヘルス不調が社会問題になっていると考えられるでしょう。
そこで今回は従業員への健康投資となる健康経営の実践について解説します。

健康投資とは?

健康投資とは 健康投資とはその名の通り、健康を重視し健康にお金を投資することです。
企業にとっては、従業員の健康管理に対して投資することになります。
将来病気になるリスクを考慮し、病気になってから治療にお金をかけるのではなく病気になる前の予防にお金をかけることが健康投資です。
健康投資は、想定できる金銭的負担で病気のリスクを大きく減らせる、費用対効果の高い投資となります。
健康に対するリスクマネジメントであり、将来を見据えた合理的な投資といえるでしょう。

企業における健康投資とは?

健康経営 企業が主体となって従業員の健康維保持・増進を推進することは、医療費適正化や生産性向上さらには企業イメージ向上につながります。
こうした取り組みに必要な経費はコストではなく、将来に向けた投資であると捉えること、これが健康投資の基本的な考え方です。
一方、健康投資と似た考えとして健康経営があります。
健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。
従業員へ健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性向上等の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。
企業が主体となって、従業員の健康増進・疾病予防に投資する取り組みを行うという点が共通しているでしょう。

健康投資のメリット

生産性 健康投資によって、生産性低下防止につながります。
従業員の健康が、企業経営に大きな影響を与える可能性があります。
例えば、増加し続ける国民医療費は健康保険組合等の財政悪化を招き、結果として健康保険料の上昇という形で企業負担の増加につながるでしょう。
生産年齢人口が減少し、労働力確保のために雇用延長等を積極的に図らなければならない状況では、従業員の健康状態の悪化は生産性低下を招きます。
企業負担の増加や生産性の低下を防ぐためには、従業員個人に健康保持・増進を委ねるだけでなく、企業が従業員の健康保持増進に積極的に関与することが求められています。

従業員への健康投資を軽視することは、結果的に病気を発症し一時的に仕事ができない状態に陥るなどのリスクや従業員自身のキャリアに深刻な影響が出ることにつながるでしょう。従業員の健康保持・増進・生産性向上は、企業イメージ向上等につながりや組織の活性化・企業業績等の向上にも寄与すると考えられています。

先行事例では健康投資により、株価が優位に推移しており市場から高く評価されていることが健康投資と企業業績との相関を示すデータも存在します。
職場における健康と安全性に対する取り組みが高く評価された企業は、市場においても高く評価されており健康投資によって競争力の優位性を保つことが読み取れます。

このような背景から健康経営による健康投資は注目されています。
健康経営は企業が主体となって、従業員の健康増進・疾病予防に投資する取り組みですが、従業員自身が健康管理を自分ごととして実践することも目的のひとつです。
健康に意識をしていなかった従業員が自ら進んで健康投資を行うことが企業にとっても理想ではないでしょうか。

従業員ひとり一人が病気やケガで仕事ができなくなることを会社と自身の損失と自覚することが健康経営の取り組みの特徴です。
企業が積極的に従業員の健康に投資しても従業員自身の意識変容が期待できなければ投資効果は持続せず、一次的な取り組みとなってしまうでしょう。
そのために企業は健康投資として健康経営を推進・継続することが重要となるでしょう。

健康経営を実践する

健康経営 健康投資として始める健康経営のポイントを企業の健康投資ガイドブックに基づいてご紹介します。
健康経営を実践するにあたって具体的に何をどのように実践するかわからないとの意見を多数伺います。
実践においてはさまざまな組織との連携・連働によって、従業員の健康づくりを効率的かつ効果的に進められるでしょう。
健康経営の取り組みを促進するにあたっては次のポイントが重要です。
1.健康経営の理念・方針と組織づくり
2.従業員の健康状態の把握・計画づくりを立てる
3.保険者の取り組み支援
4.従業員に働きかける取り組みを実施する
5.投資家等に向けた健康経営のメッセージ発信
特に重要となるポイントは、健康経営の基盤となる理念・方針と組織づくりです。
しっかりとした基盤の元、その後の計画づくりや実践が活かされていきPDCAも回るでしょう。

1.健康経営の理念・方針と組織づくり

  • 健康経営を経営理念・方針に位置づける経営方針を社内に示すこと
  • 担当者の配置を行う
経営トップが意義や重要性をしっかり認識し具体的に何をどのように実践していくのか方針を立てることが大切です。
健康経営を経営理念・経営方針に位置づけ、これから健康経営を実践していくことをまず従業員に示すことが第一歩です。
理念に基づき方針を定めた次のステップとしては、従業員の健康保持・増進に向けた実行力ある組織体制を構築するが必要です。
組織構築にあたっては、専門部署の設置や人事部など既存部署に専任職員・兼任職員を置くなどの対応が求められます。
健康保持・増進の取り組みに関する取り組みについては、企画立案段階から役員会での討議事項とする等の体制を整備することが重要です。

2.従業員の健康状態の把握・計画づくりを立てる

  • 保有する健康情報を分析する
  • 分析結果から自社の健康課題を検討する
  • 課題に応じた保健事業を計画する
  • 健康保持増進の取り組み全体を俯瞰し企業としてできる内容を整理する
健康に関する情報提供や運動機会の提供といった取り組みを通じて従業員全般の意識向上を図ることなどが大切となります。
健康を分析するにはどんなデータが利用できるでしょうか。
従業員の健康状態について、企業や健康保険組合は既にデータを持っています。
企業は定期健康診断結果に加え勤怠状況等に関する情報を保有し、保険者は従業員の特定健康診査の結果や治療・処方箋に関するレセプト情報等を保有しています。
企業や健康保険組合等の持つデータを分析することで、従業員の健康課題は何であるかを検討可能です。
例えば、特定部署に健康状態の悪い従業員が集中している場合、職場環境が個人の健康状態を悪化させ、それにより職場全体の生産性を低下させている可能性があります。
職場の年齢構成に照らして従業員の肥満割合が高い場合、将来的に多くの従業員が糖尿病等に罹患し医療費負担や通院時間を要する可能性があることが予想されるでしょう。
計画立案に際しては、企業が率先して実施できる内容を整理し必要に応じて健康保険組合などに実施依頼することも考えられます。

3.保険者や外部事業者との連携

健康投資をより効果的・効率的に実施するため、企業と健康保険組合等とが適切に連携していくことも大切です。
また、健康保険組合や企業内スタッフでの対応が難しい部分については、外部事業者を積極的に活用すること視野に入れるとよいでしょう。

4.従業員に働きかける取り組みを実施する

職場環境改善や生活習慣改善のモチベーションを向上させる取り組みや行動変容を促進する取り組みを実施します。
禁煙ルールや社内食堂整備・長時間労働抑制や休暇取得促進など、働き方への配慮を行うなどの取り組みが考えられるでしょう。
例えば、健康診断の結果生活習慣病のハイリスク群であると認められる従業員に対し、定期的に電話や面談等による保健指導を行い、生活習慣改善を促すことなどの配慮も必要です。

5.投資家等に向けた健康経営のメッセージ発信

健康経営実践のPDCAが回り始めたら次のステージとして行っていただきたい施策が情報発信です。
企業による健康経営・健康投資に係る情報発信は、リクルート市場や自社従業員、投資家など、社会におけるさまざまなステークホルダーへの訴求につながっています。
健康経営銘柄の好影響もあり、多くの企業で従業員の健康投資に係る取り組みが加速化していますが、効果的に見える化できておらず投資家への訴求ができていない現状もあります。
リクルート市場や従業員への情報発信については企業ごとに創意工夫を行い情報発信の取り組む必要があるでしょう。
効果的な発信については多岐に渡るため、詳しくは以下のガイドブックを参考にしてください。
出典元:企業の「健康経営」ガイドブック

まとめ

従業員の健康投資 今回は健康投資について紹介しました。
健康投資は企業にとっても従業員にとっても必要な取り組みとなるでしょう。
企業は労働生産性向上や労働力確保のために、従業員自身はキャリアや将来の健康リスクを軽減させるために必要な健康投資となります。
従業員への健康保持・増進に関する取り組みは、市場や社会における企業価値の向上を図っていくことが、今まで以上に重要視されるでしょう。
企業の成長や存続のために健康投資に注視してはいかがでしょうか。
Facebookシェア twitterシェア Lineシェア
Facebookシェア Twitterシェア Lineシェア

関連マガジン

問い合わせ
各種取材やサービスに関することなど、
お気軽に問い合わせください。