• 就職/転職
  • 2022.05.22

​​​​​​「転職ネイティブ世代」とは?キャリアに向き合う若者たちのプランに迫る

働く女性
目次

「転職ネイティブ世代」ってなに?

履歴書とスマホとペン

内閣府が発表した「就労等に関する若者の意識」では、約58%の若者が「新卒で入社した企業を離職した」と回答しています。しかも、約56%の16〜19歳の若者が入社後3年以内に離職しているという結果です。このように、近年、新入社員として企業に就職した若者が入社後早いうちに転職する傾向にあり、彼らを「転職ネイティブ世代」と称します。

若者の約半数が転職を経験する

早期に転職を決意する転職ネイティブ世代の離職理由で最も多いのは「仕事が自分に合わなかったため」で、半数近い回答があります。 また、彼らの転職に関する意識を見てみると「転職をしない方が良い」という回答は約17%で、大多数が転職を肯定的に捉えていることがわかります。

「積極的に転職するべき」という回答も10%あり、彼らにとって転職は、ネガティブな出来事ではないのかもしれません。 さらに、仕事をする目的では「収入を得るため」という回答が約85%と突出して多い結果でした。収入の対価としての労働という意識が強く、それにあたって、労働が対価に見合わないと判断した場合、早期に転換するべきという考えが、彼らに早期転職を決意させているのでしょう。

 「転職ネイティブ世代」はなぜ生まれた?

転職ネイティブ世代は、現在10代から20代の新入社員として働き出した若者世代を指します。彼らは「Z世代」とも称され、概ね1990年代中盤以降に生まれた世代です。アメリカを中心に1975~1990年代前半生まれの人を「Y世代」と呼び、それに続いて名付けられたのがZ世代です。「デジタルネイティブ」や「反ブランド主義」といった特徴のほか、「社会問題への意識が高い」「平等性や合理性を求める」といった傾向があるといわれています。

彼らが生まれて大人になるまでは、阪神・淡路大震災やアメリカの同時多発テロ、リーマンショック、東日本大震災、そして新型コロナウイルスの流行と、国内ばかりでなく国際社会を震撼させる出来事の連続でした。こうした時代背景から、Z世代が「安定性を求める」と指摘されることも無理はありません。

一方で、2014年から続く就職売り手市場は、彼らの「転職」の考え方に確実に影響を与えています。人手不足と情報化社会を背景に、転職活動をサポートするサービスが数多く提供されました。ローコストかつ希望条件に合わせて、自分のペースで転職活動を行うことが可能になりました。

こうした時代背景から、Z世代の若者たちは転職ネイティブ世代として、就職し社会人として働いています。

キャリアを考える若者たち

キャリアを考える若者たち

変動する時代のなかで生まれた転職ネイティブ世代は、現行の働き方に多くの疑問を抱いているでしょう。終身雇用制度の崩壊と、年功序列制のミスマッチもそのうちの一つです。企業倒産が発生しないかぎり定年まで雇用され続けるというかつての正社員雇用の慣行。2010年には内閣府経済社会総合研究所が「終身雇用を企業が維持することが困難になった」と発表しました。

いつまでその企業に勤めるかという見通しがつかない中、勤続年数、年齢等に応じて役職や賃金を上昇させる年功序列制に従って働くことは、大きなリスクであると言えます。さらに、大規模災害を経験した彼らにとって、仕事とプライベートのバランスなど生き方の価値観はこれまでの働き世代と比べ大きく変化しているでしょう。これを後押しするように、国は働き方改革を進めています。

長時間労働や非正規労働者の処遇、少子高齢化による労働人口不足など、日本の労働環境にある課題を解消するために提唱された働き方改革。働き方改革とは、一人ひとりの意思やスキル、ライフスタイルに応じた働き方を選択できる社会を目指します。これにより、労働者がより良い将来の展望を持ち、ひいてはそれが国の経済成長に繋がって長期的に国民の生活を豊かに安定させることが期待されているのです。また、健康寿命の延伸による人生100年時代の到来によって、ライフプランそしてキャリアプランの見直しが迫られています。国民一人ひとりに、働くことへの意識転換が求められているといえるでしょう。

まとめ

入社した途端に転職するという「転職ネイティブ世代」は、これまでの働き方においてみると異質な存在かもしれません。しかし、揺れ動く時代を合理的にとらえ、より自分らしい働き方を模索する新しい世代と言えるでしょう。

ライフプラン、キャリアプランの見直しは10代、20代の若者ばかりに求められるものではありません。まずは「どのように仕事に向き合うか」「どのようにして生きたいか」を考えることから始めませんか。

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