• 健康経営
  • 2022.06.18

部下へのメンタルヘルスの対応とは?復職者への対応や推奨されているケアも紹介

悩む会社員女性
目次

メンタルヘルスケアは、心身への悪影響が出てからではなく、ストレスが少ない状態から始め、常日頃から従業員全員が意識することが大切です。今回は部下に対するメンタルヘルスの対応や、復職者へ推奨されているケアもまとめています。ぜひ参考にしてみてください。

メンタルヘルスへの対応が重要な理由とは

顎に手を当てて考えている女性3人

職場環境や仕事が原因で強いストレスを感じている従業員は、全体の約6割いることが調査結果から分かっています。(厚生労働省「労働安全衛生調査・実態調査」より)

メンタルヘルスの不調は、情緒不安定になるだけでなく、集中力の低下によって作業効率が悪くなってしまったり、ミスが急に増えることがあります。状態がさらに悪化すると、食事が摂れなくなったり、過度な睡眠不足によって顔色が悪くなるといった変化が見られることもあります。

部下へのメンタルヘルスケアに力を入れることで、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐことができます。また、その周りにいる人達の士気が下がることを防ぐことで離職率の低下に繋がります。部下の離職が多かったりメンタルヘルスの不調が目立つようになると、上司や管理職の方へ責任が降りかかる可能性があるため、注意が必要です。

推奨されている4つのメンタルヘルスケア

推奨する女性

1.セルフケア

セルフケアとは、メンタルヘルスケアを従業員がセルフで行うことを言います。管理者からのケアサポートだけでなく、セルフでできるようにならなければ、心の健康を保ち続けることは難しいでしょう。

従業員が正しくセルフケアを行えるように、定期的な研修や社報などで知識を共有することが大切です。

2.ラインケア

ラインケアとは、組織管理者によるメンタルヘルス対策のことを言います。部下のメンタルヘルスに不調が出ないよう、事前にケアをすることが大切です。

たとえば、部下からの相談に真摯に向き合って解決策を一緒に模索する、復職者に対して寄り添ってサポートするなどがラインケアに当てはまります。

3.事業場内産業保健スタッフによるケア

従業員や組織管理者が正しい情報を持っているとは限りませんので、より効果的なメンタルヘルスケアを行っていくために、実際に産業保健の従業員を雇うことができます。

上記で紹介した「セルフケア」や「ラインケア」が正しく行えるようサポートしてくれるので、組織管理者の負担を減らす手助けにもなるでしょう。また定期的に専門的な指導や助言を受け取れる環境を作り出すことができ、従業員のメンタルヘルスを健康的に保ちやすくなります。

4.事業場外資源によるケア

従業員ではなく専門機関や医療機関から定期的に依頼をしたり提携することで、専門的なサポートを受けることを言います。サポートを受けられる例として、精神科・心療内科・臨床心理士・公認心理士・産業保健総合支援センター・産業カウンセラー・労働衛生コンサルタント・精神保健福祉士などが挙げられます。

自分達だけでするのはなかなか難しいので、専門家に頼るところから始めてみましょう。(厚生労働省「職場における心とからだの健康づくり」より)

部下へのメンタルヘルスケアで意識すべきこと

手でおすすめを案内する男女

1.日頃との変化に注意して目を向ける

メンタルヘルスを損なうと、普段当たり前にできていたことが急にできなくなるといった変化が見られることがあります。例えば、遅刻をするようになった・髪型を気にしなくなった・最近急激に痩せた・ミスが多くなったなどが挙げられます。

そういった細かい変化にどれだけ早く気付いてあげられるか、また、気にかけていることが伝わるように質問をしたり、その中で悩みがあれば話を聴いてあげたりすることが、ケアの第一歩として大切です。

2.パワハラなどによるストレスを減らす

パワハラはパワーハラスメントのことで、概念としては「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」の6つの行動によって起こります。(厚生労働省「パワーハラスメントの定義」より)

上司からのパワハラによるストレスが根本的な原因となっている場合も多くあります。悪い環境を改善しなければ、メンタルヘルスが不調になってしまう従業員は増える一方です。

3.過重労働を改善する

長時間労働や休日出勤などが続いてしまうと、メンタルヘルスだけでなく、体に悪影響をきたします。また、メンタルヘルスの不調から集中力が低下したことによって、今までよりも業務に時間がかかってしまい、残業時間が増えて心身がさらに弱ってしまうなど、負の連鎖が続くこともあります。

まずは、業務量を再確認し効率良く行えるように調整してみましょう。また個々の残業時間についても改善の余地がないか、気にかけてあげてください。

4.従業員のプライバシーを尊重する

仕事の相談は、飲み会などのプライベートな場面で共有するのではなく、面談室や会議室といった個室でプライバシーに配慮しながら行うことが大切です。また、そういった場面で聞いた本人のプライベートに関する個人情報は、安易に他の人へ話さないようにしましょう。

メンタルヘルスの不調が見られる部下については、病名を公にすることはせず、周りの従業員には業務内容の指示を伝えるようにしましょう。注意すべきポイントが細々としていますが、メンタルヘルスはそういった細かい配慮が重要となるのです。

5.職場でできる可能なサポートをする

部下本人との相談や話し合いだけでなく、人事へ希望を伝えたり産業保健スタッフへ問題を引き継ぐなど、その問題の内容によって工夫していくことが大切です。第三者へメンタルヘルスに関する詳細を伝える時は、プライバシーに配慮をし、部下本人の了承を得た上で伝えるようにしましょう。

また、フレックス制度や残業時間の制限、休憩時間を増やすなど働き方の体制を整えていくようにしてください。

復職した部下のメンタルヘルスケアとは?状況ごとに説明

部下の進捗を確認する上司

1.感情論で部下の背中を押そうとしない

部下のメンタルヘルスに問題がある場合、感情で解決できる段階ではなく、本人にとっては毎日がギリギリの状態であることを理解しておきましょう。

感情で部下の背中を押し続けてしまうと、さらに状態が悪化する可能性があります。「頑張って」「気合で乗り切れる」などの言葉はなるべくかけないようにし、具体的な解決策を提案してあげるようにしましょう。

2.着実に仕事を進めていけるよう細かいステップを踏ませる

部下の治療を担当していた主治医に助言をもらうなど、まずは無理なく業務を進めていくことが大切です。ここで「今日はあれもこれも終わらせなければいけない」と、事実であっても本人に伝えるのはなるべく控えましょう。

元の業務量に達するまでは、長期的でプレッシャーのかかる仕事内容ではなく、少しずつクリアしていけるような細かいステップを用意し、少しずつ確実に行えるように指示しましょう。

3.一緒に手伝ってあげることで本人の焦りを抑える

部下が取り組んでいる業務に遅れが出ている場合は、一緒に手伝いをしたり寄り添う気遣いを見せることで、本人の焦りを増幅させないように働きかけることができます。

全体的な動きが遅れてしまうことは問題ではありますが、社員の退職は周りの従業員たちの士気を下げてしまうといった悪影響も及ぼす可能性があります。上司だけでなく、周りの従業員もサポートできると、より効率よく業務を進められるようになるでしょう。

4.否定的な言葉は極力使用せず共感を多用する

復職者は、「迷惑をかけてしまっているのでは」「元通りにきちんと仕事ができるだろうか」と不安感を強く感じています。復職したと言っても、メンタルが強くなったわけではなく、ナイーブになっている部分もありますので、なるべく否定的な言葉を使用しないように気を付けましょう。

またこの時にたくさん共感すると、安心感を覚えてもらいやすく、前向きに考えようと思ってくれるので、言葉選びを工夫してみてください。

組織管理者はメンタルヘルス・マネジメント検定試験を受けよう

書類を書く女性

メンタルヘルス・マネジメント検定試験とは、日本商工会議所が主催している「職場でのメンタルヘルスケアやコミュニケーション能力」に関する知識や対処法を学ぶことができる検定試験です。「Ⅰ種 マスターコース」「Ⅱ種 ラインケアコース」「Ⅲ種 セルフケアコース」と、計3種類のコースがありますので、それぞれの対象と目的をお伝えします。

Ⅲ種 セルフケアコース

一般社員が対象です。従業員自らのメンタルヘルス対策の推進を目的に学ぶことができます。

Ⅱ種 ラインケアコース

管理監督者(管理職)が対象です。上司としての部下のメンタルヘルス対策の推進を目的に学ぶことができます。

Ⅰ種 マスターコース

人事労務スタッフが対象です。社内のメンタルヘルス対策の推進を目的に学ぶことができます。

これらのように自分のキャリアに合わせて段階を踏んで習得できるだけでなく、今後キャリアアップをしていきたい方の勉強にもおすすめの検定試験です。

日本商工会議所「メンタルヘルスマネジメント検定試験」より)

メンタルヘルスケアは無理なく行うことが大切

「特別な対応をしなくては」とプレッシャーを感じ続けていると、管理職の心労まで増えてしまいます。些細なことがきっかけで大きく変化してしまうメンタルヘルスを扱っていくためには、従業員全員が理解し実行していく必要があります。全ての従業員が心身ともに健康に働き続けられるよう、経営者だけでなく、管理職や従業員みんなを巻き込んで、健康経営を推進していきましょう。

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