• 健康経営
  • 2021.06.03 (最終更新日:2022.04.06)

地球温暖化の基礎知識やSDGsの考え方|日本企業の取り組み事例

目次

地球温暖化の影響について

地球温暖化 干潟 SDGsは地球温暖化がもたらす気候変動に対して、具体的な対策をするべきだと考えています。地球温暖化はどのような影響を与えるのでしょうか。

地球温暖化の現状とこれから

世界の平均気温の変化を確認すると、1891年から上昇を続けています。具体的にどれぐらい気温が上昇しているのかというと、100年あたり0.75℃の割合で上昇しているのです。また1901年から100年ほどの間に、海面が19センチメートル上昇しています。100年間の間に著しく海面上昇が起こっており現在も続いていることから、2100年までには最大で82センチメートルもの海面上昇が起こると考えられています。2メートルから3メートルの高潮を想定して整備を進行している大阪湾や東京湾の堤防は、この海面上昇で水没しない可能性が高いです。しかし2018年には21号などの大型台風が上陸しており想定外の被害を出しているため、今後の自然災害についても安心だとは言い切れません。

参照:外部リンク
気象庁

海面への影響

地球の平均気温が上昇すると北極にある氷が解けるため、海面の上昇を招きます。海面が40センチメートル上昇すると聞いて、どのように感じますか。多くの人は「地球の大きさを考えれば、それほど大きな単位ではない。」と感じるでしょう。ところが40センチメートルの上昇で、干潟120メートル分がなくなるので、そこで生活をしている生物に悪影響を及ぼします。1メートル海面が上昇すれば砂浜の9割以上がなくなると考えられているため、海面の上昇はとても危険なことが分かります。

海面の上昇は、干潟だけに影響するわけではありません。洪水や高潮など浸水の危険を招くわけです。日本に住んでいると、陸が海水によってどんどん沈んでいくことは想像しにくいと思います。しかしサンゴで作られた国の「ツバル」では、深刻な問題になっています。ツバルでは、海水が地面から湧き出す現象が深刻化しているのです。この現象が起こる仕組み自体ははっきりとは分かっていません。しかし地球温暖化による複数の原因が影響し合って発生しているのではないか、と考えられています。

生態系への影響

地球温暖化の深刻化により、棲家を失った生物や絶滅した生物は多くいます。今までの環境があったからこそ継続できていましたが、気候の変動によって環境が変わってしまい、継続することが困難になりました。地球温暖化で気温が上昇すると、乾燥が進む地域があります。乾燥が長期的に続くと、大きな森林火災へ繋がるわけです。地球温暖化の原因であるCO2を吸収してくれる森林が減るので、さらに地球温暖化が進むという悪循環になります。

地球温暖化の影響を受けている生物としてホッキョクグマやシロナガスクジラなどは、すぐに思い浮かべることと思います。ほかには陸上生物で最大のアフリカゾウも、地球温暖化の影響を受けているのです。アフリカゾウが体の寄生虫を取り除くためには、定期的に泥浴びや水浴びが必要です。象牙を採るための密漁や生息地の開発などが、アフリカゾウの生活を脅かしています。

私たちの暮らしへの影響

農業は私たちの食生活に欠かせません。しかし気候変動によって農作物が不作になってしまうので、地球温暖化の影響は私たちの生活にまで及びます。気候変動では農作物が不足する他に、自然災害が増加します。台風は水蒸気をエネルギー源としていますが、海水の温度が上昇すれば水蒸気の量も増加するわけです。海水の温度が上昇し続ければ、大型台風の発生が増えて、深刻な被害を与えます。このように地球温暖化で1つの環境の変化があると、複数の被害が発生することが多いです。

地球温暖化のSDGsでの目標とは

環境汚染 地球温暖化のSDGsの目標には、どんなことがあるのでしょうか。ここでは目標の一部を解説します。

具体的に気候変動の対策をすること

地球温暖化では、これ以上気温が上昇しないようにと、世界共通の目標が設定されています。それは世界的な平均気温の上昇を、産業革命以前と比較して2℃以下にすることで、2015年にフランスのパリで決められました。この2℃という数字は何かというと、私たち人間が自然と共存しながら耐えられる限界の数字です。たとえば東京の平均気温が2℃上昇した場合、現在の鹿児島あたりの暖かさになると考えられます。

地域ごとの環境にもよるため単純な話ではありませんが、東京で育つ農作物の変化や動物・昆虫などの生態系も変化するわけです。SDGsでは地球温暖化の進行を受けて、気候変動やその影響を軽減するために緊急対策が必要だと考えています。全ての国がターゲットとなる対策として、気候が原因の災害に対する適応力が必要だと述べているのです。

海の豊かさを守ること

海の豊かさを守るという目標も掲げています。たとえば2025年までに、あらゆる海洋汚染を防止して大幅に削減することを目指しています。生活排水のほか、工場から化学物質が流出することも海洋汚染の原因です。工場排水が含んでいるメチル水銀を魚が取り込むことで、その魚を食べた人が水俣病になった事件がありました。規制されたおかげで有害な工場排水の流出は軽減したものの、全てなくなったわけではないのです。

海洋汚染の影響で海洋瀬物が減ってしまうと、私たちがこれまで食べてきた魚介類が減少します。魚介類が減少すると、多くの魚介類を食べられなくなるだけではなく、漁業者に大きな打撃を与えます。漁業者は海洋の環境を守る活動を行っているので、数が減少すると海洋汚染が進行する可能性があるわけです。
当コラムでは、健康経営について情報発信をしています。SDGsは全ての人の健康や働きがいも目標にしているので、取り組めば健康経営に繋がるのです。以下ではSDGsの意味や作られた理由など概要を解説しているので、合わせてご覧ください。

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地球温暖化と企業の関係とは

製造 生産 地球温暖化と企業はどのように関係しているのでしょうか。CO2は運送や輸送などの活動のほか、製品の生産や加工の過程でも排出されています。企業・公共部門から排出されるCO2は、およそ8割にものぼることが分かっています。近年の新型コロナウイルスの影響により経済活動の自粛を行ったところ、CO2の排出量は世界的に減りました。これによってCO2の排出と企業活動は、関連性があると分かったのです。海面上昇による危険性としては、沿岸を拠点としている工場が浸水して操業できなくなる可能性があったり農林水産業での収穫に悪影響を及ぼしたりすることが考えられます。地球温暖化が企業に与える影響には、上記のように直接影響を受ける現象と、直接的な影響に付随して起こる現象があるわけです。付随して起こる現象ほど、実際に企業が受ける影響や発生の確立の予想が立てにくいのです。

近年のSDGsや環境保護意識の浸透により、企業の地球温暖化対策が注目されています。日本はとくにCO2の排出量が多い国であるため、日本企業は地球温暖化対策と向き合う姿勢を強く求められるわけです。地球温暖化対策を行うことは、企業にとってもメリットがあります。エネルギーの効率化によりコストを減らせることは、よく挙がる例です。そのほかには、地球温暖化に適応するための対策が新しいビジネスのきっかけになる可能性もあります。

地球温暖化に関する企業の取り組み事例①

森林 環境問題

気候変動の取り組み

イギリスの調査によると、気候変動の対策で高い評価を得た日本企業は38社あります。これはアメリカの35社、フランスの22社を上回った数字です。写真フィルムなどを扱うある企業では、気温上昇が2℃未満であっても社会が受ける被害は大きいと考え、より一層気候変動に対する取り組みを強化しています。海洋汚染に関する問題では、プラスチック資源の再利用が重要だと考えているわけです。同社では新規事業を拡大するときに、プラスチックの輸入が増え廃棄物量が前年と比べて増加していました。製品設計の段階から廃棄物が少ないものを作成したり製造時でも不良品の発生率を抑えたりして、再利用に配慮しています。

分別済みのプラスチックの廃棄物は、断熱材や衣服、パレットなどに再利用します。パレットは物流業などでよく使用されますから、化学メーカーの企業が再利用した製品が物流の企業に渡っている可能性があるのです。業界同士の繋がりは製造や顧客だけに限らず、環境問題でも起こり得ます。また採掘工事から発生する泥状の採掘物はや研磨剤などは、建築用資材やセメントなどに再利用しています。

同社では2004年から、産業廃棄物処理業者を調査したり評価したりする仕組みを作り、運営を始めました。産業廃棄物処理委託先を現地確認することは、自治体の条例で決められています。必要に応じてこの仕組みを見直し、改善を続けているので、今後も質の高い調査に繋がるわけです。

森林保全に関する取り組み

ある電気機器メーカーの企業では、森林保全に関する取り組みを行っています。同企業は環境活動によって、技術の改新や事業活動を行い企業イメージの向上も目指しています。自社が環境に与える影響をなくすために、長期的な目標を設定しました。製造した製品が市場に出てから退場するまでの段階ごとに具体的な目標を設定したわけです。その結果目標に向けて行動しやすくなり、2015年にはほとんどの目標達成が実現できました。

スマトラ島は、生物の多様性がある熱帯林です。ところが30年の間に熱帯林が著しく減少したので、たくさんの生物が絶滅の危機になっています。同社ではスマトラ島南部の国立公園を中心とした、森林保全活動を開始しました。熱帯林の伐採がこのまま進むと、近いうちに熱帯林が消滅すると考えられています。また森林火災で発生する煙害は、シンガポールやマレーシアなどの近隣国にも影響を与えています。電気機器メーカーの得意分野を活用したり、環境破壊の問題を広く伝える活動の手助けをしたりしているわけです。

地球温暖化に関する企業の取り組み事例②

レストラン 結婚式場やレストランを経営する企業では、海の豊かさを守る取り組みを行っています。海洋汚染を軽減するために、使い捨てのプラスチックストローの提供を廃止しました。ストローを使いたいお客さまには、プラスチックに代わる素材を用いたストローを提供しています。なぜストローのように小さいものが環境に良くないかというと、小さなプラスチックこそ海に残りやすいと考えられているからです。使い捨てゴミとして扱われたプラスチックは、廃棄物管理の隙間を通り抜けてしまい、たくさん海に流れています。

ごみ袋がごみ箱から移動する場面には、たくさんの抜け道があるわけです。多くの人は「分別された袋に捨てれば問題ないだろう」と考えます。しかし作業員がごみの一部をこぼしてしまうこともありますし、途中で袋が破ける可能性だってあります。プラスチックストローのように小さいごみは、特に落としやすいです。このまま海に流れ続けると、2050年には魚の総重量をプラスチックごみが上回ると考えられており、早急に対策を取る必要があります。飲食店を経営する企業が海のためにできる取り組みの1つが、プラスチックストローの廃止なのです。

SDGsと健康経営の関係とは

健康 医療 当コラムでは、健康経営について情報発信をしています。SDGsには今回取り上げた環境問題を含む、17種類の目標があります。17種類の目標の中には、健康経営と直接繋がるものや間接的に繋がるものがあるわけです。SDGsの8番目には仕事によって働きがいや経済成長を得られるようにしよう、という目標があります。従業員に働きがいを感じてもらい、仕事におけるパフォーマンスの向上を図るという考え方が健康経営にもあります。そのため8番目の目標は健康経営と直接関わるものだと言えるでしょう。

SDGsの5番目には、ジェンダー平等を実現しようとの目標があります。これはあらゆる女性や女児に対するあらゆる差別を撤廃するのが目的です。近年ジェンダーの問題がよく取り上げられているため、うんざりしている人もいるのではないでしょうか。しかしジェンダーの問題は身近に潜んでいるため、うんざりしている人ほど他人事ではない可能性も高いです。「あらゆる差別を撤廃」ですから、たとえば障がいを持つ人を平等に扱わないことも当てはまりますし、女性を既婚・未婚によって不平等に扱うことも当てはまります。

差別されたかされていないかは個人の捉え方の部分もありますから、難しい問題です。しかしジェンダーの問題が取り上げられていることを頭の片隅に置いて、少しでも「この発言をしたら、相手の人はどう感じるだろうか。」と考えていれば、相手にも伝わるのではないでしょうか。
SDGsと関係の深い、健康経営について知りたい方は以下のコラムも合わせてご覧ください。以下は企業に向けた記事ですが、企業が健康経営に取り組む理由や、健康経営が注目されるようになった理由を解説しています。

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まとめ

今回はSDGsについて、特に環境問題を中心に解説しました。環境問題はどんな業種の職場でも関わっていることなので、1人1人が自分ごとだと考えて取り組むことが大切です。自分ごとだという意識を持つ人が増えることによって、環境問題の改善に繋がるのではないでしょうか。
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