• 健康経営
  • 2021.06.29 (最終更新日:2022.03.26)

会社を健康経営やホワイト企業にするための働き方改革

目次

働き方改革が示す、これからの働き方とは

明るい 職場 働き方改革で長時間労働の規制や同一労働同一賃金などの決まりができ、一部業界を除いては全て執行されています。今後は実際に運用をしてみて、どういった効果が出るのかを検証し、さらに新しい法案ができる可能性もありますが、今は効果検証の段階です。

働き方改革で行われていることは、これまでの常識を変えようというものです。これまでの常識とは、長時間働いている人が偉い、定時で帰る人はやる気がない、正社員が偉い、非正規雇用は雑な扱いでよく差別の対象というもの。そんなことはないという人もいるかもしれませんが、そういった感覚を持っている日本人は非常に多いでしょう。それらが差別だと思っている人も、常識だと思っている人も、みんな平等といいながらも無意識で思っている人も含めるとほとんどといっていいかもしれません。これは、正社員で長時間働いている人だけではなく、非正規雇用の人自身も自らを下げて考えている人もいるため、差別はなくなりません。

そういった風習をなくすために長時間労働の規制や同一労働同一賃金などが働き方改革で行われたのです。

日本人特有の考え方

差別日本人は特に島国という性質から、人を差別する考え方が深く刷り込まれています。自分は差別なんてしたことがないと思っているほとんどの人は、無意識での差別を行っているため気づいていません。これからは多様化の時代ですが、その感覚を取り入れるには、まず自分が何に対して差別を行っているのかを知る必要があります。

働き方改革は、そういった点でもフラットにしてくれる改革です。同じ会社での労働時間を統一したり、正規雇用、非正規雇用の扱いを平等にしたりすることで、全員が同じ位置に立つことができるようになります。根強い差別感情がそれだけでなくなるとは思えませんが、気づくためのきっかけ作りにはなるでしょう。

長時間労働が違法なこと、正規雇用と非正規雇用の違いはないというのが常識になれば、これまでのように長時間労働をしている人が偉いとは思わなくなりますし、正規雇用の方が偉いとも思わなくなります。限られた時間の中で、どれだけの成果を上げることができるのかで評価され、正規雇用と非正規雇用の差は勤務時間だけとなるのです。そうすると、働き手は差別に意識を向けるのではなく、自分の仕事により集中できるようになるでしょう。人は差別や優越感がなくても働けるからです。

働き方改革に従うだけでは物足りなくなる企業

勤務 状況 働き方改革で示されてきたことに対して無頓着でいた企業は、この改革で社内の制度を変える必要があるため、それだけで手いっぱいになったことでしょう。ですが、新しい制度を受け入れて、それでも経営を回していくようになってくると、これまでさほど気にしていなかった「健康経営」や「ホワイト企業」に興味を持ち始めるかもしれません。

「健康経営」や「ホワイト企業」には顕彰制度があり、働き方改革前後で出てきたものです。働き方改革を経て、これからの企業とはこういうものだと国が示し、これからの時代を生き抜く会社にするにはどうすればいいのかを考えた先にあるのが、健康経営やホワイト企業と呼ばれるところです。

今でもブラック企業と呼ばれる会社はゼロにはなっていません。ですが、長時間労働が正義だった時代はすでに終わっていますし、正規雇用と非正規雇用の格差も減りつつあるため、10年後、20年後を考えた時に、その企業が生き残っているかというと微妙なところでしょう。

企業が衰退の一途に向かわない為に

職場 将来これまでなかった経営方法を打ち出していくのは、初めは企業として不安があるのは当然のことです。経営方針を変えるには先行投資が必要ですし、投資方法を間違えていれば痛手を負うだけになってしまいます。ですが、ブラック企業のまま、もしくはかろうじてブラック企業という汚名はつけられていないラインにいる企業は、何もせずにいると確実に企業は衰退の一途に向かうことになるでしょう。

働き方改革だけでは不安だと感じるようになったときに、目に留まるのが「健康経営」や「ホワイト企業」です。この言葉だけでは、そうなれればいいけれど、何をすればいいのかがわからないという企業もあります。ですが、顕彰制度をとっているため、健康経営優良法人と認定されるためには、こういった項目をクリアしなければいけない、ホワイト企業に認定されるためには、こういった項目をクリアしなければいけない、というのがHPに載っています。この項目が、指針となるものです。

働き方改革の意図とは全く逆の方向を向いて経営をしていた企業であれば、いきなり「健康経営」や「ホワイト企業」の認定を取ることは難しいかもしれませんが、1項目ずつクリアしていく事はできます。顕彰制度の項目内容は年度ごとに変わっていく事もあるので、毎年チェックをしましょう。

一つずつクリアをしていくうちに、働き方改革で行われていたことが、すべての始まりだったと気づくかもしれません。

健康経営やホワイト企業は誰のため?

コミュニケーション 健康経営をしたり、ホワイト企業になるために会社が努力するのは誰のためでしょうか?

健康経営は従業員の健康を考えた経営方法で、ホワイト企業は従業員が差別なく働きやすい環境が整っている会社です。そのため、健康経営やホワイト企業というのは、従業員のためだけにあるようにも感じられますが、実際は違います。確かに従業員のためという側面もありますが、健康経営やホワイト企業であるということは、従業員のパフォーマンスを最大限に引き出すことができるということに繋がっています。

パフォーマンスが上がれば、同じ時間でも上がってくる成果は増えます。経営者は少ない従業員で大きな利益を上げることができるためコストパフォーマンスがよくなります。たとえ利益を上げた従業員の給料を上げたとしても、20人でできていたことが、10人でできるようになったとすれば、給料を1.5倍にしても儲けは十分にあります。従業員からしても、自分の仕事を認めてもらったという肯定感と給料が1.5倍という報酬がもらえることで、やる気もアップします。つまり、双方にとってプラスになることです。

風通しのいい職場づくりを

風通しが良い職場さらに人の定着率という観点からしても、健康経営やホワイト企業にはプラスになる要素があります。なぜならどちらも、従業員の働きやすさをマネジメントしているため、パワハラなどのハラスメントを抑えることができ、風通しのいい職場づくりができるからです。そうした職場では、人は退職しようとは考えません。

また、育児、出産、介護等で時短で働かなくてはいけなくなった人でも、働き方改革での同一労働同一賃金という法律とメンタル面でも守ってくれる健康経営やホワイト企業であれば、他の人に負い目を感じることもありませんし、他の人から差別を受けることもなく働けるため、退職を考えたりもしません。それどころか、そういった立場になった時も守ってくれる会社に好感を持ち、ブラック企業で困っている人や仕事を探している人に、自分が働いている会社を勧めたりします。そうなると、企業は求人コストを抑えながら新しい人材を手に入れることができるようになるということです。もちろん、定着率が高いので、仕事を覚える前に辞めたり、仕事を覚えてから辞めたりということもないため、効率的に仕事を進めることもできるので、経営者はだんだんとそういった部分にお金をかけなくてもよくなるという利点があります。

そう考えると、繰り返しにはなりますが、健康経営やホワイト企業は従業員のためだけではなく、経営者のためでもあるということになるのです。

働き方改革で制度を整えて安定してきたら

企業改革 2020年4月に中小規模の企業でも同一労働同一賃金が適用され、大規模法人、中小規模法人ともに同じ状態になりました。医療の現場など、一部の業界ではまだ働き方改革の内容が適用されていないところもありますが、ほぼほぼ実施済みです。

働き方改革で企業の改革が迫られることがない今が、独自で今後の経営をどうしていくのかを決めるのにいい時期です。働き方改革で無理やり替えられた部分だけ死守し、できれば抜け穴を見つけて、以前のような経営方針を貫く企業もありますし、経営方針の方向転換をする企業もあるでしょう。

これから10年、20年、さらに50年先まで続けていくのであれば、どういった経営をしていくのがベストなのかを考える時期に来ています。老舗の企業でも、初代からずっと経営方針を変えずにここまでこれたのだから、これからも同じ方針で行くと決めるのもいいでしょう。ですが、これまでは良かったけれど、本当にこれからの時代を生き抜く企業にするために、今が変わり時なのかもしれないと思ったらすぐに行動を起こすことをお勧めします。

健康経営やホワイト企業は国が推進しているということもあり、健康経営に切り替えたり、ホワイト企業を目指したりしている会社に対して支援を行っています。この支援は永続的にあるものではないでしょう。この先、やっぱり健康経営やホワイト企業に切り替えるかと思った時には、支援はなくなっているかもしれません。それなら、今、とりあえずでもいいので方向転換を計ってみることにすれば、国からの支援を受けつつ改革ができるので費用を抑えることができます。

健康経営やホワイト企業が合わないと感じれば、途中でやめたとしても企業として深い傷が残るわけでもないので、少しでも興味があるのであれば、今始めてみてはいかがでしょうか?新しい可能性を見つけることができるかもしれません。
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