• 健康経営アドバイザー
  • 2021.07.18

出産・育児退職を防ぐために女性の働き方を支援するために企業は何をすればいいのか?

目次

企業損失を生む出産育児退職

出産育児退職現在女性がビジネスシーンで活躍する機会が増加しています。しかし、その反面新たな問題が発生しています。それは、出産・育児退職者の増加です。女性の活躍が推進されている一方で、出産・育児退職者は第一子出産後に退職する女性は約4割近くとなっており依然として減っていません。しかし実際には86%(※1)の女性が就業したいと希望しています。ライフイベントを経て何らかの形で働きたいという意欲の高い女性が多いことがわかります。
しかし家事や育児などのプライベートの両立で雇用のニーズはあるが正社員となるとハードルが高いなどの理由で就業を諦めている女性が多くいます。この溝を埋めるために企業としてどのような対策をとればよいでしょうか??そこで今回は、出産・育児退職でお悩みの人事担当者様は是非、参考にしてみてください。
※1:国立社会保障人口問題研究所がこどもを生み終えた無職の女性を対象に今後の就業希望の有無について調査を行った結果です。
 

企業としての出産育児退職の損失を考える

「せっかく育てた女性が退職するのは、企業にとっても損失。」
出産を機に退職する女性の割合は、およそ半数の女性が出産を機に第一線から身を退いています。 実際に民間研究所試算では出産退職者が年20万人そして経済損失1兆2000億円というデータがあります。女性の退職に伴うノウハウの機会損失など企業側の損失も企業が生産活動で生む付加価値には、企業の得る利益や労働者の得る所得が含まれています。付加価値のおおむね半分を労働者の所得が占めるとみなされています。日本のジェンダーギャップ格差この現状を解消するために企業は、女性が働き続けられる制度や福利厚生が整った職場環境を用意する必要があります。そのために企業は「望ましい母性管理体制」と「長くはたき続けるための支援体制」の両面からの支援が必要になります。

長く働き続けるための支援体制

女性の働き方女性の継続就業状況としては平成9年より共働き世帯数が専業主婦世帯数を逆転し、最新の調査では女性が就業を継続する割合は53.1%まで上昇しています。就業継続をしている人の大半は育休を利用していることがわかります。「産休」及び「育休」の需要性がとても高いということです。しかし出産前後に何かしらの理由で離職をしてしまっている人が多いのが現状です。
自発的な離職を除き、妊娠・出産時の退職理由として最も多かったのが、「就業時間や勤務時間への不満」です。産休や育休制度を使用しても、復帰後の勤務時間や業務内容の不都合などを理由に、退職してしまう労働者が多いということです。「勤務先の両立支援制度が不十分」など、企業の育休・産休に関する制度や、育児と仕事の両立支援への意識の不十分さが、出産・育児離職者の主な原因となってしまっています。
企業は、増加の傾向にある女性労働者を減らさないようにする必要があります。妊娠・出産前後に退職した人の理由としては、仕事を続けたかったが両立の難しさを感じさせる事情が強く感じます。(財)女性労働協会の調査によると(仕事に関すること)として以下のような意見があります。

妊娠・出産を機に退職しようと思う理由

ハラスメント
  • 会社の制度が整っていないため
  • 制度はあるが上司・同僚等の理解が無く利用しづらい
  • 妊娠・出産後、仕事を継続した前例が無い
  • 勤務時間が不規則である
  • 労働時間が長い
  • 仕事の負担が重い
  • 就業環境が悪い

働く意欲はあったけど退職選んだ理由

妊娠
  • 勤務時間があいそうもなかった
  • 職場に両立を支援する雰囲気が無かった
  • 自分の体力がもたなそうだった
  • 育児休業をとれそうもなかった
  • 保育園等に子供を預けれそうもなかった
  • 会社に育児休業制度がなかった
  • つわりや産後の不調などの妊娠出産にともなう体調不調のため

妊娠中・産後身体的に仕事上辛かったこと

職場内の喫煙
  • 休憩する場所がない
  • 職場内の喫煙
  • 通勤時のラッシュ
  • 上司や同僚の心ない発言・無理解
  • 超過勤務がなるなど労働時間が長い
  • 作業の負荷が重い
  • 換気不足・騒音などの作業環境
  • 健診時の休暇が得られない
妊娠しながら働く女性の6割以上の女性が仕事上辛かったことがあると答えております。とりわけ、妊娠・出産前の時期は、心身ともに負荷やストレスの高い不安定な状態に置かれるため、早期の離職等にもつながりやすくなります。企業は、育児休業やその後の復帰支援にポイントを置きがちであるが、母性健康管理を含めてその前段の対応から注目すべきです。企業はハード面だけでなくソフト面でも支援が大切になります。妊娠・出産前の時期には、出産・育児というライフイベントと出産後の育児との両立の双方に対する精神的不安感が混合しており産後うつにつながることもあります。勤務時間の配慮や休業・休暇、あるいは短時間勤務制などの働き方の選択肢といった制度整備だけでなく、企業は育児と仕事の両立を望む女性労働者の悩みを理解し、育児中でも安心して働き続けられるように支援する必要があります。
上司と部下

企業として支援できること

  • 必要な知識・ノウハウ等のマニュアル化
  • 出産経験のある先輩女性による助言・相談の実施など個別の援助を強化
  • 上司との面談機会等を通じて日常的に抱える悩みや不安について把握・対処
  • 将来のキャリアデザインを支援
女性が活躍できるような企業や職場であるための条件・環境整備を通じて、働く意欲を高める努力が企業として重要になります。「産休」「育休」制度の導入及び取得の推進はもちろんのことフレックスタイム制などの柔軟な働き方を可能にする制度の導入や妊娠・出産に関するハラスメントの防止を強化などその運用面での工夫が重要になります。したがって、出産・育児というライフ面と同時に、育児休業を含め育児期以降のワークキャリアへの展望が不可欠になります。

企業における母性健康管理の課題

企業の中でどのような母性健康管理体制を構築すべきかは基本は同じでも企業規模に企業規模や業種の違いで工夫が必要になります。、特に規模によって存在する産業医や衛生管理者などの専門資源は異なっています。自社に存在する内部資源をできるだけ活用して、母性健康管理の体制を検討する必要があります

母性健康管理の課題点

企業における母性健康管理について、制度化が浸透していないのが現状です。女性の従業員が安心して働きやすい環境を作るうえで母性健康管理に関する措置が社内制度として明記されることが望ましいです。しかし就業規則に規定がない企業が約6割~7割と就業規則の必要項目になっていないのが大きな問題です。また女性従業員が上司を相談窓口であるとする割合が大きいにもかかわらず、上司に対してほとんど研修が行なわれない実態が明らかになっています。相談窓口として、人事以外に上司の役割は大きいものがあります。そのため、管理職が、母性健康管理に関して上司としての対応ができるだけの理解をもつことが必要になります。しかし、研修を行なっている企業の割合は10.5%とであり、そのうち管理職研修を行なっている割合は40.5%、すなわち全体の4.3%に過ぎないことが分かりました。

企業と女性従業員のミスマッチ

母性健康管理措置の利用状況と会社の対応については、必要な措置が行なわれた項目として通勤緩和、休業については90%以上が行なわれていますが、休憩、勤務時間の短縮、作業の制限の順に実施率が低くなります。
実際に女性従業員が求めるものとのミスマッチが生まれてきているのがわかります。

およそ3割しか知らない母性健康管理指導事項連絡カード

母性健康管理指導事項カード(※1)が活用されるためには、女性労働者がその存在と利用方法を知っていることが必要になります。
妊娠出産経験のある女性労働者が、妊娠した当時から知っているとする割合は30.4%、妊娠した当時は知らなかったとする割合が8.0%、知らないとする割合が61.1%と、妊娠出産を経験した女性の中でも、認知度が不十分なのが現状です。母性健康管理を円滑に進める上で、母性健康管理指導事項連絡カードの活用は企業にとっても女性にとっても重要であり、企業担当者としても女性従業員に利用を促進する必要があります。

※1:母性健康管理指導事項カードについて合わせて読みたいコンテンツ
3分でわかる!あなたの会社の母性健康管理取り組み診断ができるお役立ちサイト紹介
https://niziiro.jp/column/detail/2102/?preview=QEBAZTVlNmI0YjBkMzI1NWJmZQ==
資料出典:(財)女性労働協会「企業における妊産婦の健康管理体制に関する実態調査報告書」平成20年)

母性健康管理

企業の健康経営の取り組みと女性のキャリア構築の関係性

「働き方改革」に伴い、女性の活躍が推進され、女性の総労働者数は年々増加している傾向にあります。優秀な人材を確保するし経営力を上げるためにも企業努力は必要になってきます。
健康経営を積極的に推進する企業においては、特に女性特有の健康問題対策に高い関心が寄せられています。女性のライフサイクルの中で結婚・妊娠・女性特有の病気や介護と不安定要素の多い女性をいかに働きやすい社会環境の整備を進めることが、生産性向上や企業業績向上に結びつくと考えられているからです。そのために出産育児退職を防ぎ女性のキャリア構築に結びつく取り組みが必要になってきます。
従業員一人一人の健康ををサポートすることで会社の生産性をあげて経営力を高めていくという考え方が健康経営です。女性従業員の健康意識を高めていくことは企業全体の活力となり母性健康管理の取り組みは企業として価値のある健康経営の取り組みとなることでしょう。そのために企業は「女性は出産、育児で会社を辞めるもの」という従来の考え方を捨て、育児と両立可能な働き方を実現するための投資が求められるのです。
働き方改革

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