• 健康経営アドバイザー
  • 2021.09.14

健康経営が「ただの健康管理」にならないための目標設定の具体例紹介

目次

健康経営は「ただの健康管理」ではない

健康経営の取り組みの活動が「ただの健康管理」になってはいないでしょうか?健康管理
健康経営の取り組みでも事業と同様に評価指標を設定し、目標値を決め、目標に対して現状現在の状況を評価し、分析して改善活動につなげていく評価改善を継続的に実施していくことが求められます。具体的にどんな目標設定を行うことで、貴社の経営理念や経営課題からのゴールへと近づくでしょうか?本記事では具体例と目標設定の一例をご紹介します。

健康経営とは?

「企業の経営目的達成のために、企業で働く人たち一人ひとりの健康を大切にしよう」という取り組みです。健康経営

経済産業省は以下のように定義しています。

従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことで、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待される。

健康経営PDCAサイクルの具体例

健康経営の取り組みにおいても目標を立てそれを達成するための計画を立案することが必要となります。さらに、他の事業と同様に計画(Plan)立案後は実行(Do)し、評価(Check)を行いその評価結果に従ってさらに良い成果が得られるように改善(Action)していく PDCAサイクルを継続的に行うことが重要になります。PCDAサイクル


通常事業の活動のPCDAサイクル

現状評価①➡到達目標の設定②➡評価指標の設定③➡事業パフォーマンス改善④➡現状評価⑤➡目標設定➅

現状評価①
  • 売り上げ
  • 営業利益率
  • 顧客獲得率
  • 満足度等
到達目標の設定②
  • 営業利益率の向上
  • 顧客獲得率の向上
評価指標の設定③
  • 営業利益率〇パーセント
  • お客獲得率〇パーセント
事業パフォーマンス改善④
  • 無駄取り活動
  • 業務プロセス改善
  • 業務研修など
現状評価⑤
  • 企業理念
  • 経営課題
目標の設定➅
健康状態が原因で起こる問題(健康経営の活動へ)→経営視点の評価 KPI と目標値の設定
  • 労働生産性の向上
  • 働き手不足の解消

(目標値の例:病気による休業日数○%減)

健康経営の活動のPDCAサイクル

現状評価①➡到達目標の設定②➡評価指標の設定③➡健康づくり施策の改善④

現状評価①
  • 健康診断受診率
  • 喫煙者数
  • 運動習慣保有者数
  • 血圧高値者数
  • 肥満者数
  • 血糖値高値者数
  • メンタルヘルス不調者数
到達目標の設定②
  • 健康受診率の向上
  • 血糖値高知者数の減少
  • メンタルヘルス不調者数の減少
評価指標の設定③
  • 検診受診率100%
  • 血圧高値者○名以下
  • メンタルヘルス不調者○名以下
健康づくり施策の改善④
  • 健診受診しやすい環境づくり
  • 業務中の飲み物を無糖に変更
  • ストレスチェックの実施
  • 相談窓口の設置
これからのPDCAを継続していきながら、評価・分析・改善を繰り返していくことが重要になります。また具体的な取り組みの実践後は、その活動の結果評価を行います。従業員の参加状況や実施状況はどうだったか、取り組みを実施する意義や仕組みが理解されているか、などを評価分析します。

見える化しやすい具体例

たとえば、階段使用のすすめや社内ストレッチの奨励、自動販売機飲料の入れ替え、食堂でのバランスメニューの提供などは、体重や血圧数値の変化等を数値化見える化することでも評価もしやすくなります。
また目標に到達していれば次の目標に向けて取り組みを継続・進化・深化させていきます。例えば従業員の健康診断受診率100%が達成できたのが、次は要再検査の受診率100%目標を進化・深化させていきます。体重計

目標設定を適切にするために

目標に到達していなければなにが目標到達を阻害したのか分析を行います。分析には多くの視点が必要になります。医学的な知識や保健的な視点も必要になるため、産業保健スタッフや保険者と連携して分析するとよいでしょうなかではそもそも設定した目標が適切でなかったというケースもあるため、分析する場合は広い視点を持って行うこともポイントとなります。産業医面談

健康経営の評価項目と目標設定の一例

実際に健康経営に取り組んでいる会社の目標設定の事例をご紹介します。

健康経営に取り組む理由

従業員40名の運送会社は、全国どこでも大切な荷物を運ぶという企業理念のもと、トラックやクレーンで重量物を動かすことを生業としている会社の事例です。
近年は従業員の高齢化に加え、慢性的な人手不足が事業の安定操業や事業継続を揺るがす大きな経営課題でした。企業理念の実現には安全が大前提であり、従業員の健康はその安全と直結しているだけではなく、短期間でも病欠が出ると直ちに経営問題になることがみえていました。
そこで「病気の発症を積極的に予防して年齢を重ねても丁寧まで元気で活躍してほしい」という経営者の想いが、健康経営を実践するモチベーションとなりました。モチベーション

評価指標の設定

従業員の病気や不調による欠勤日数を評価指標とし、欠勤日数50%減を目標にして健康経営を始めることにしました。健康経営エキスパートアドバイザーが会社を訪問し、検診結果を管理している総務課長の立会いのもと、健康診断の結果を経営者・健康づくり担当者と一緒に集計しました。健康診断

見える化の為のリスト化

集計した項目は、健康受診率・肥満者数喫煙者数・血圧高値者数・血糖値・ HbAlc高値者数・コレステロール値異常者数などでひとりずつ検診結果を数えていきました。集計後検診受診率は80%で2割の従業員は未受診であること、血圧が何年要治療判定のまま治療を受けていない者が複数名いること、全項目の中で最も以上が多い項目は血糖値であることなどの問題点が見える化できました。健康診断用検査

個人情報の取り扱いについて

健康診断の結果は社内の機密情報である外部の者が個人情報の手続きなくデータを受け取ることはできません。健康経営エキスパートアドバイザーなど外部の人がこれらの情報にアクセスするためには、会社を訪問し社内で健康結果を管理している方が立会い、一緒に個人が特定できないようにマスキングしたデータを見せるなどの配慮が必要になります。個人情報

第1目標の設定

見える化した情報から「健診を全員が受けること、健診結果で異常が見つかったらきちんと治療や生活指導を受けること」という第1目標を立てました。検診は1年に1回のイベントであり、まず健康状態を知ることが第一歩と考えました。

第2の目標の設定

日常的に健康づくりに取り組むことも重要と考え第2の目標は「仕事中に血糖値を上げないこと」としました。

目標に沿った具体策

  1. 健診受診体制の変更。1年間いつ受診しても良いとしていた検診期間を4月から9月に短縮を提案。9月末までに未受診であった者に対して会社から文章で受診勧奨を行い年度末までに必ず受診させることとするようにしました。
  2. 健診後の受診内容の確認。要治療だったものに対し、医療機関の受診の有無と結果を社内健康づくり担当者に報告するようにすることを徹底することとしました。
  3. 飲料自動販売機の内容の変更。飲み物にカロリー表示を行い、ゼロキロカロリーの商品をすすめる。業者と交渉して、段階的にゼロカロリーの商品の比率を高める。
これらに対する評価指標と目標値を以下のように設定しました。

初年度の目標:従業員の病気や不調による欠勤日数50%減

  • 健診受診率:(次年度)100%
  • 健診後の医療機関受診率:(次年度)50%(2年後)70%(3年後)100%
  • 血圧値高値者:(次年度)20%
  • 自動販売機の無糖飲料の割合:(次年度)30%
  • 目標を立案した年度末に評価した結果は以下のようになりました。

1年後の評価:従業員の病気や不調による欠勤日数30%減

  • 検診受診率:95%→未達成
  • 検診後の医療機関受診率:60%→達成
  • 血糖値高値者:10%減→未達成
  • 自販機の無糖飲料の割合:50%→達成

具体的取り組みの改善

これらの結果から、多くの従業員の健診受診を促せた一方で、次年度は健診受診を拒否する小数に対するアプローチ方法を検討する必要性があると分かりました。また血糖管理については一定の成果はあったものの、これまでの社内での取り組みに加え医療保険者や地域産業保健センターなどの機関を利用してヘルスケアの専門家のアドバイスを受けることも視野に入ってきました。

取り組みの評価

これらの健康経営施策を1年間行うことで病気や不調による欠勤日数は前年比で30%削減となり、昨年より事業の運営もスムーズに行えるようになり経営上のリスクも低減しました。このことから今回実施した健康経営の施策が自社の経営課題の解決に寄与することが分かったため、施策を継続することとしました。改善

まとめ

健康経営も経営視点での評価指数と目標値をあらかじめ決め、さらに具体的な各施策に対して評価指標と目標を前もって決めておくと健康経営を一時のブームで終わらせず、会社の経営を改善する手法の一つとして PDCA を回しながら取り組みを継続して発展ができます。継続
健康経営の取り組みが、「ただの健康管理」にならないよう①取り組みのモチベーションが企業理念や経営課題と整合性が取れているかどうか②企業を発展させるための施策としてとられているかどうかの2点を定期的に確認することも必要です。貴社の取り組みはいかがでしょうか?この機会に健康経営における自社の健康経営の方向性を見直し、PDCAを習慣化し、健康経営を見える化してみてはいかがでしょうか?

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