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  • 2021.09.28

EAPとは?概要と導入するメリット・ポイントなどご紹介

目次

EAPとは?

EAP メンタルヘルス皆さんは「EAP(Employee Assistance Program)」という言葉をご存じでしょうか。
「従業員支援プログラム」と訳されるもので、企業や団体に向けたメンタルヘルス対策の一つです。
企業の健康経営が注目される昨今、従業員の身体はもちろん心の健康を維持することが企業の責務となってきています。
さらに近年では新型コロナウイルスの影響も手伝って、リモートワークや時差出勤などわたしたちの働き方が変化したこともあり、ますます社員の健康管理と生産性の向上に対する企業の対応が難しくなっています。
そんな中で今注目されているのがEAPです。
今回はEAPとは何なのか、目的や機能、導入することのメリットなどをご紹介します。

なぜEAPは注目されているのか

EAP ストレスEAPが注目されている背景には、日本における近年の社会問題が関連します。

従業員のストレス増加

競合他社との厳しい競争を勝ち抜くために、長時間労働や残業の常態化、行き過ぎたノルマ、さらには人間関係の不良による「職場うつ」といったことが社会問題となっています。
これらを受けて政府は2000年8月「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を発表し、さらに2006年に改定され、企業が従業員の健康のために行うべき「4つのケア」が定められました。
その4つとは、セルフケア・ラインによるケア・事業場内産業保健スタッフ等によるケア・事業場外資源によるケアの4つであり、最後の事業場外資源によるケアとして、EAPは大きく注目されるようになりました。

ハラスメント増加に伴う企業のリスク増加

パワハラやセクハラ、アルハラといったさまざまなハラスメントが社会問題となっています。
職場でこのようなことがあると生産性が下がるばかりか、訴訟まで発展してしまうケースもあり、信頼を大きく落としてしまうため企業にとっては大きなリスクとなっています。
これを受けて2014年6月、「労働安全衛生法」によって従業員が50人以上いる企業についてはストレスチェックが義務付けられるようになりました。

コロナ禍における変化

冒頭でも触れましたが、コロナ禍によってわたしたちの働き方や普段の生活が大きく変わりました。
特に新入社員において、リモートワークによる悩みやストレスを訴える方も多く、それが原因の一つとなり退職に至った新入社員も少なくないようです。
コロナ禍では採用も育成もオンラインで行われることが多くなっているため、気軽に相談できる機会が少なく、職場に馴染みにくいという弊害がでています。
変化に対応するため、従業員の悩みを把握しトラブルを防止、または早期の解決が期待できるEAPの存在が注目されています。

EAPの概要と主な機能

EAP ハラスメントEAPが支援する対象は組織・個人の両方であり、取り組む課題の範囲も健康やメンタルヘルス、アルコールに薬物、経済問題や家族問題、法律関係などとても幅の広いものです。
職務遂行に影響が及ぶ可能性のあるもの全てが対象となり、テーマごとにそれぞれの専門機関と協働して、問題解決の支援をします。
発祥がアメリカにおけるアルコール依存症に対するものだっただけに、EAPはカウンセリングやメンタルヘルスというイメージが強かったですが、「従業員の生産性向上」が主軸となるため、キャリアデザインやワークライフバランス、マネジメントスキルといったことにも対応します。
改めてEAPの役割や目的をまとめてみましょう。

EAPの目的

医療機関や産業医、保険会社は治療や健康の保持・増進、リスクマネジメントを目的として行いますが、EAPにとってそれらは手段の一つです。
生産性向上のために従業員の健康面やメンタル面に取り組んでいくため、医療関係とは少し意味合いが異なってきます。
従業員と企業組織、両者のパフォーマンス改善・向上が最終目的で、それに向けた取り組みが多々あります。

EAPの対象

すでに述べたように、職務遂行に影響のあるもの全てが対象となる上、従業員個人だけでなく企業に向けた取り組みも行います。
仕事のパフォーマンスを下げる要因である個人のストレスやハラスメント、各種トラブルに加え、パフォーマンスを上げる要因としての企業のマネジメント面、コンプライアンス問題へのアドバイスも行います。

予防・特定・解決

EAPは未然予防に力を入れており、50人以上社員がいる企業の義務となったストレスチェックを導入・実施する手助けや、社員のカウンセリングによって悩みや課題を整理し問題の特定を行います。

EAPの提供手段

EAPは社員一人ひとりに加え、管理職や人事部に対してもマネジメントの観点からコーチングやコンサルティングを行います。
社員個人のカウンセリングを単発化せず、効果を最大限にするためには上長にも知識がないとその後のフォローができないためです。
1対1の形式だけでなく座談会や、演習を組み入れたグループワークなどにより、従業員・管理職・経営層それぞれに対する啓発活動やセミナーを行います。

EAPを導入するメリット

EAP 環境改善EAPの導入には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

職場の現状把握

EAPのプロセスにより、職場内のメンタルヘルスに関する現状を把握できるというメリットがあります。
従業員個人のストレスチェックだけでなく、組織の生産性にも目を向けるため、企業が抱える問題点が明らかになります。
問題が明らかになれば手を打ちやすくなりますね。
管理職も従業員個人も課題を認識することで、EAPやメンタルヘルスに関する啓発にもつながっていきます。

メンタルヘルス対策は「4つのフェーズ」に分かれています。
  • 0次予防→メンタルヘルスに不調が出ないような職場環境を作るフェーズ
  • 1次予防→日々のストレスチェックを活用して、不調を防止するフェーズ
  • 2次予防→不調がある従業員を早期に発見して、適切にケアをするフェーズ
  • 3次予防→メンタルヘルスにより休業してしまった従業員の復帰支援をするフェーズ
このフェーズが進むにつれて、職場への影響や企業にかかるコストも大きくなるため、現状の把握を常に行い、早い段階で予防に取り組むのは非常に効果的です。

問題の予防や早期解決

問題を可視化することで、未然の予防や早期解決につながります。
個人の問題は健康面以外にも、周りに言いづらいプライベートなことなどがあります。
管理職にも把握が難しく、いざ相談に来た時にはすでに退職を決めているというケースも少なくありません。
定期的に、継続的に従業員に対するフォローをしていき、日頃からコミュニケーションを取ることが大切です。
相談がしやすい環境、関係性ができていないと、従業員はストレスを抱えたまま働いてしまい、管理職も従業員の変化に気付いてあげられません。
企業の環境づくりが大切になってきます。

管理職やリーダーの育成

セミナーやグループワークでEAPにまつわる知識がつくことで、管理職やリーダーたちの育成にもつながります。
企業が変革するためには、従業員個人はもちろんですが、やはり手本となるべき管理職やリーダーたちの振る舞いが重要になってきます。
チームメンバーとのコミュニケーションの方法や、問題発生時の向き合い方などを継続的に学ぶことで、管理職やリーダー自身がスキルアップし、それを見る従業員にもいい影響を与えるでしょう。

中立的な意見が聞ける

外部の第三者機関による支援であれば、俯瞰で見た客観的かつ中立的な意見が聞けます。
利害関係や上下関係がない分、従業員も経営層も、身内に言われるよりも意見に耳を傾けやすいという効果もあります。
社内の慣習、偏った見方のない客観的立場からのアドバイスは新たな気付きを生むことも多いでしょう。

タイプ別EAPのメリット

EAPには内部EAPと外部EAPの2つのタイプがあり、前述のメリットは外部EAP(EAPサービスを扱う外部の機関)を利用する場合です。
外部EAPのメリットは他にも、
相談員が常駐でない分低コストで済む
24時間365日対応のサービスが多い
相談後に医師に取り次いでくれるフォロー時のサービスもある
といったように、ただ相談しやすい以外にもメリットがあります。

逆に内部EAPは、相談員常駐によるコスト面でデメリットがありますが、相談から問題への対応がスムーズにいく場合が多かったり、社内の事情や企業文化・風土を理解している点がむしろ相談しやすかったりというメリットもあります。

導入・運用のポイント

EAP 従業員満足続けて、EAPを導入・運用する際に押さえておくべきポイントについて解説します。

導入時のポイント

「従業員が相談しやすいこと」が大前提です。
また、相談後の対応についてもカバーされていれば従業員も企業も安心でしょう。
EAPのサービス内容はその外部企業によって違うため、自社にあったサービスを選ぶために事前の情報収集を欠かさないようにしましょう。
以下が押さえておきたいポイントです。
  • 24時間365日対応のサービスである
  • 相談員が医師や保健師など、資格をもつ専門家である
  • メンタルヘルスだけでなく身体の健康についても相談できる
  • 従業員の家族も利用可能である
  • 相談に応じて、専門の医師に取り次いでもらえる

運用時のポイント

効果的な運用のためには企業が体制を整え、従業員に周知徹底することが不可欠です。
導入しても利用がなければ意味がありません。
まずは気軽に利用・相談がしやすい環境を構築していきましょう。
それに加えて意識するポイントを以下にまとめます。

データや情報を集合知化する

現状の正確な把握には、多くの定量的データ・定性的データが必要になります。
EAPによって得た知見はデータ化・マニュアル化し、企業の情報資産としてストックしておきましょう。
経年データがあればあるほど、変化を俯瞰的に正確に把握できます。

社内体制と社外ネットワークの構築

EAPは継続的に取り組むからこそ効果が発揮されるため、外部の専門家も含めた体制づくり、窓口や担当者の設置が必要不可欠です。
EAPはカバー範囲が非常に広く、発生した問題を社内だけで対応するのは実質不可能なため、外部の専門家も上手く利用しましょう。
サービスによっては、こうした社内の体制づくりを助けてくれるものもあります。

人事の重要性

EAPは外部の第三者、ある分野におけるプロフェッショナルです。
だからこそ相談しやすいのが外部EAPの強みですが、人事担当が従業員のよき理解者でいるべきなのは変わりません。
EAPという社外の機関でなく、社内の人間だからこそ理解できる悩みや問題も多いでしょう。
EAPを最大限生かすためにも、現場で見聞きする情報は大切にしていくべきです。

経営層を巻き込む

またEAPに伴う組織変革において、経営層の行動を変えることが最も重要です。
EAPの提供企業と従業員個人、管理職や経営層との間を取り持ち、組織全体を巻き込んでいくことも人事にとって重要な役回りです。

まとめ

EAP 役割EAPの役割や必要性、ご理解いただけたでしょうか。
聞き馴染みのなかった言葉ですが、今のご時世において非常に大切な取り組みでしたね。
従業員の心身の健康と企業の生産性の向上、どちらにも目を向けた有資格者による専門的なアプローチということで、健康経営を考えるにあたって非常に効果的です。
ストレスに溢れ、企業にとってもリスクマネジメントが非常に難しい現代社会、EAPの導入・活用は必ず企業の手助けになります。
自社に合うサービスをしっかり精査して、ぜひ検討してはいかがでしょうか。

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