• 健康経営アドバイザー
  • 2021.10.08

「守り」の健康経営「リスクマネジメント」とは?企業の労働損失について

目次

健康経営とリスクマネジメントの関係

健康経営とリスクマネジメント健康経営のイメージとして、「健康への先行投資」というイメージが持っている方が多いかもしれません。

しかし健康経営は、「リスクマネジメント」として守りの経営手法ともいえます。

企業にとって、
労働災害の防止・事故不祥事の予防・企業負担の軽減
この3つは避けたい労働災害となります。

健康経営においても、労働災害に対する職場環境の整備と取り組みは重要視されています。

また不安全行動を起こしてしまう従業員の心身の状態についても、企業が取り組みを行うことで回避できる可能性が高まります。

本記事では、健康経営のメリットである「リスクマネジメント」について解説します。

労働災害発生の防止

労働災害労働安全衛生法第1条によると「労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制明確化及び自主的活動促進の措置を講ずる」と規定しております。

まさに労働災害の防止を目的とした法律といえます。

職場における労働災害は、建設業における高所からの墜落・転落事故、製造業における挟まれ事故、職場内外における移動中の転倒事故等、とその類型や原因は多種多様です。

その災害原因となるのは次の2つです。
  1. 作業環境等の「不安全状態(物的原因)」設備・原材料・作業方法など
  2. 労働者の「不安全行動(人的原因)」作業に伴う危険予知不足・技術が未熟など
 
2は、企業の育成や教育を充実させることにより改善や防止は可能ともいえます。ただし、安全に対する意欲の欠如、健康害することで発生してしまうような労働災害については、健康経営の視点から企業が実施する取り組みは有効と言えるでしょう。健康経営の取り組みは、労働災害防止にもつながっています。

リスクマネジメントの分析

リスクマネジメントの分析さまざまな要因が重なることにより、労働災害が発生することも少なくありません。

残念にも労働災害が発生した場合には、速やかに発生状況の確認や、原因の特定を行い、対策を立案する必要があります。

安全衛生委員会を設置している企業では、労働災害が発生した場合は、定期的に状況報告をし、全体的に情報を共有し、防止策を計画・立案し、他の事業場における類似災害の発生を未然に防げるように取り組むことが行われています。

そこでおすすめしたいのは、健康経営の視点を取り入れために、安全衛生委員会と健康経営推進委員の融合を図ることです。
お互いに把握できなかったことや気づかなかったことを分析することもでき、より一層の従業員の健康と安全が守られることに繋がっていくことになります。

事故・不祥事のリスクマネジメント

生産性従業員の健康障害が発生しますと、プレゼンティーズムやアブセンティーズムの状態となり、生産性が低下する恐れもあります。

一方で、損害賠償責任を負担するリスクを抱えることにもなります。

特に、過重労働やハラスメントが原因とする過労自殺などが発生した場合には、労働災害にも認定される可能性が発生します。

民事訴訟ともなれば高額の損害賠償を請求されることが少なくありません。
また企業内における士気の低下やモチベーションの低下、そして対外的な企業イメージの失墜等、膨大な損失を被る可能性があります。また中小企業においては事業の継続が不能となるおそれが生じます。

そのため企業は、労働者の健康管理上の問題について、労働基準法や労働安全衛生法を遵守することは当然とされます。さらに一歩進んで従業員が安全・健康に働けるように配慮する「安全配慮義務」の履行も重要です。

 安全配慮義務を履行するには、労働災害の発生の「危険を予見」し、「その危険を回避する措置を講じる」ことが必要不可欠です。
常日頃から、経営者および管理監督者が職場環境の整備に目を向けて、それぞれの役割を果たすことが重要です。

経営者は、健康管理に関する会社の方針を明らかにするとともに、従業員の生命・健康を損なうことがないように全社的な視点に立った体制を作ることが求められています。

また管理監督者は経営者に代わって、実際に安全配慮義務を実践する履行補助者に該当します。
従業員の健康管理に努め、的確な安全配慮義務を履行することが必要です。一方、従業員にもみずからの健康状態に留意し、必要に応じて医療機関を受診して管理する「自己保健義務」があります。

その義務を遂行することにより経営者側の安全配慮義務に協力することになり経営者と従業員が一体となって、事故や不祥事を未然に防ぐことになり企業の発展と従業員の幸せに寄与することはできます。

企業負担のリスクマネジメント

健康経営健康経営の視点から考える企業負担の軽減のポイントは、経営者自身の働き方になります。
経営者と従業員の距離が近い中小企業では、経営者の働き方が従業員の働き方や生活習慣と健康維持に大きな影響を与えることが少なくありません。

例えば、経営者自ら健康に留意することなく、一日の大半を仕事に没頭している状況であったり、飲酒することが自分へのご褒美になり大量の飲酒につながったり、経営者が喫煙者であるために職場における受動喫煙対策が進まなかったりするケースが見られます。

また、経営者が15時間仕事をしても、次の日の出勤時間を調節したり、他の日に休養したりと、自身の裁量で時間を調節することはできます。しかし従業員は、経営者のようにコントロールできません。

労働時間は管理された裁量も経営者ほどはありません。
知らず知らずのうちに負担をかけ、無理を重ねている従業員も存在するかもしれないということを把握する必要があります。

したがって、経営者は自身の働き方が従業員に影響を与えていることを自覚することが大切です。
そして平時から、人事労務問題・職場環境・人間関係に目を配る必要があります。
特にメンタルヘルスについては家族が気づけない場合も多くあるため、普段から適切な人事労務管理が必要です。

メンタルヘルスでのリスクマネジメント

メンタルヘルス近年、メンタルヘルスと企業業績の関連について検証も行われています。

メンタルヘルス休職者の比率が上昇した企業は、それ以外の企業と比べて売上高利益率の落ち込みが大きくなっています。

一般的に中小企業では、年次有給休暇が取りにくい状況にあります。

その理由として、代替要員がいないなどがあげられます。厚生労働省の調査によると、従業員1,000人以上の大企業での年次有給休暇の取得率は58.4%ですが、従業員30人以上100人未満の企業では44.3%で14.1ポイントも低い状況にあります。

また、私傷病等の理由により体調不良が長期間わたる場合、就業規則の規定により「休職復職制度」を利用することがあります。

特に中小企業においては、労務の提供がない場合は、退職や解雇につながることもあります。

実は休職期間とは、解雇に至るまでの猶予措置の機能もあることを認識しておくことも必要です。

従業員が少なくて代替え要員が確保できない中小企業は、健康障害による従業員の不在は経営に大きな影響を受けてしまいます。

大企業においても、従業員の長期休職は企業にとって労働損失となります。負担がかからない部署への配置転換の措置などを講じることなどの対応に追われます。企業の資産である従業員に病気の兆候があれば早期に察知し重症化する前に対処することがリスクマネジメントとなります。

従業員の健康維持・増進に取り組むことは、少数精鋭で事業を運営している中小企業にとっても大企業にとっても、健全な発展をするために非常に重要なことといえるでしょう。なお健康経営への取り組み度合いが高い企業ほど従業員の健康リスクや医療費を低減できるているという分析結果が出ています。このことからも健康経営の取り組み推進によって、企業負担を軽減することが期待できます。

まとめ

守りの健康経営健康経営の取り組みは、労働災害防止にもつながっています。守りの健康経営として「リスクマネジメント」を行うことが企業基盤を強くします。そのためには健康経営の取り組みの中にある「従業員の健康づくりに向けた具体的対策」が大切です。定期的な運動、食生活、睡眠といった生活習慣の改善が少しでも労働災害発生のリスクを減少させられことにつながるのではないでしょうか。

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