• 健康経営
  • 2021.12.30 (最終更新日:2022.04.06)

朝型勤務とは?概要やメリット・リスクについてご紹介!

目次

朝型勤務という働き方

朝型勤務働き方
最近では、朝型勤務を取り入れる企業が増え、朝時間の使い方が見直されるようになりました。
朝型勤務は、リモートワークや勤務間インターバル制度、健康経営などと同様に、従業員に新しい働き方を提案できる制度です。

今回は、朝型勤務についての意味や、導入により考えられるリスクについて詳しく解説します。

朝型勤務とは?

朝型勤務とは
朝型勤務は、始業時間よりも早めに出社し、残業をせず定時で退社する働き方です。
夕方よりも時間に限りがある、早朝の勤務を勧めることで、仕事の効率を高められます。

主な目的・効果は、従業員の総労働時間の短縮や、私生活の充実に繋げることです。

朝型勤務のメリット

朝型勤務メリット
ここでは、現在注目される朝型勤務のメリットを紹介します。

通勤ラッシュを避けられる

早朝であれば、人の動きが少ないため、満員電車を避けて通勤でき、心身のストレスも軽減できます。

電車内で座れる確率も高いため、読者や調べ物など、自分の時間に充てられるのもメリットです。
また、車通勤の場合も、渋滞に巻き込まれずに通勤できます。

生産性が向上する

早朝の場合、疲れ切った夕方以降の残業よりも頭がすっきりとしている状態で仕事を行えるため、生産性が高まります。

また、早朝は人が少ないため、周囲の雑音なども気にすることなく仕事を進められることも、生産性を高める理由になります。

余裕が生まれる

仕事を前もって早めに片付けられると、スケジュール的にも気持ちにも余裕が生まれます。

仕事を多めに任された日なども早めに出勤していることで、慌てずに行動できます。

何事も早めの行動を意識しておくと、余裕をもって対応できるでしょう。

健康的になる

朝型勤務には、早起きが必須です。
早起きにより自律神経のバランスが整い、脳が正常に働きます。

また、早起きするために夜更かしをしなくなるため、早寝の習慣が身につき、より健康的な生活を送れるでしょう。

ワークライフバランスが充実する

早朝から仕事をして、定時で帰れれば、仕事後の時間を自分や家族のために使え、充実させられます。
特に、日が長い夏の時期に朝型勤務を行うと、より充実度が高まります。

電気・エネルギー費用を削減できる

朝型勤務をすることで、定時で帰れるようになるため、これまで残業で使用していた電気・エネルギーを使わなくなり、費用を削減できます。

企業にとって、1人あたりの電気・エネルギー量は大きな負担になるため、無駄な出費を抑えられることは、大きなメリットです。

朝型勤務の導入によるリスク


メリットが多い朝型勤務の導入は、今後も進んでいくと予想されますが、その分リスクがあることも忘れてはいけません。

ここでは、朝型勤務を導入するうえで把握しておくべきリスクを紹介します。

残業が増える可能性がある

残業を減らして生産性を高めることを狙いとしているのが朝型勤務です。
しかし、早く出勤したからといって定時に帰れる仕事でなければ、残業時間はこれまでより長くなってしまいます。

実際に、残業時間が増えたことで朝型勤務を中止した企業もあり、取り組む際は向き不向きを見極める必要があります。

モチベーションが低下する

就業時間が決められている場合は、それを守るために、仕事が終わっていなくても強制的に帰宅を促されます。

その結果、仕事が回らなくなり、終わらない仕事を家に持ち帰るようになるため、徐々にモチベーションが低下してしまいます。
従業員に無理な条件を出して、追い込んでしまうのは厳禁です。

機会損失に繋がる

企業を利用したいと考える顧客の中には、夕方以降でなければ時間が合わない顧客もいます。

朝型勤務を理由に夕方以降の対応が出来なくなった場合、顧客にもそのイメージを持たれてしまいます。
結果的に、夕方以降の利用数が減り、機会損失に繋がるでしょう。

企業のイメージダウンにならないように注意することが重要になります。

家庭の事情に配慮が必要になる

従業員の中には、育児や介護のため朝型勤務が難しい人もいます。

それぞれの家庭事情に理解を示し、しっかりと配慮ができなければ、従業員を苦しめることになるため、朝型勤務は上手くいきません。
朝型勤務を取り入れる際は、客観的に考えることも重要になります。

朝型勤務制度の成功事例

朝型勤務事例
ここでは、朝型勤務制度が注目されている中で、取り組みに成功した事例を紹介します。

伊藤忠商事の場合

東京都と大阪府に本社を構える大手総合商社で、2014年5月から朝型勤務制度を正式に導入し、残業代や電気使用量の削減に成功したことで知られています。

元々残業が当たり前の働き方から、長い間抜け出せずにいたため、従業員の意識改革を必要と考え、下記の内容で朝型勤務制度を導入します。

具体的な朝型勤務の取り組み内容
  • 22時~5時の時間外勤務を禁止
  • 20時~22時の時間外勤務は、やむを得ず必要な場合を除いて原則禁止
  • 5時~8時の間に業務を開始した従業員には、9時までの業務時間に対して深夜勤務と同じ割増賃金を支給
  • 8時までに業務を開始した従業員には、おにぎり3つまで、サンドイッチ、スープ、ジュースなどの軽食を無料支給
伊藤忠商事が行った意識改革で注目すべき点は、従業員にとって明確なメリットがあることです。
朝型勤務をすることで、無料で軽食を食べられたり、給料に反映されたり目に見えるメリットがあれば、従業員は動いてくれるでしょう。

企業側が一方的な理想を掲げるだけでは、従業員には響かず失敗してしまいます。
「しっかり働いて成果が出た分、自分に見返りがある」と実感させる取り組みを実施し、従業員に信頼してもらうことが重要です。

オハラの場合

石川県金沢市に本社を構える、ゼリーやプリン、さつまいもペーストなどを製造・販売する、食品メーカー会社です。
当初は菓子事業への進出で、社業は順調に拡大していました。

しかし、新幹線の開通を控えていたため、北陸地方では有効求人倍率が高く、工場では人手不足の問題を抱えていました。
そこで、下記の内容で朝型勤務制度を導入します。

具体的な朝型勤務の取り組み内容
  • 5時~9時までの原則4時間勤務
  • 一般社員はこれまで通りの勤務時間で、9時までの朝型勤務を実施するのは、原則新たに募集した「年齢制限60歳以上」のパートのみ
パート募集時に「年齢制限60歳以上」を設けたのには理由があります。
60歳以上であれば、既に子育てが終わっていて保育所などへの送迎の問題がありません。

また、若い頃に自動車免許を取得していれば、工場がある金沢市郊外への早朝勤務手段も問題ありません。
そして何より、高齢者は早起きで、朝に強いことが朝型勤務の環境にフィットします。

年齢制限を設けて高齢者を雇うことで、パートの充足率は高くなり、人手不足も解消しました。
そして、需要に応じて生産体制を柔軟に活用できるようになり、その余力を独自新商品の開発に充てています。

まとめ

朝型勤務まとめ
今回は、朝型勤務の意味やメリット、リスクについて解説しました。

新型コロナウイルスの影響で、夜遅くまで残業してから飲み会に参加し、翌日2日酔いで出勤し、疲れた状態で働く時代ではなくなりました。

朝型勤務は、リモートワークや健康経営と同様に、従業員に新しい働き方を提案できる制度です。
企業は朝型勤務のメリット・リスクを把握し、従業員にもうひとつ新しい働き方を提案してみてはいかがでしょうか。
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