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  • 2021.04.29 (最終更新日:2022.04.06)

業界研究のやり方とは。就活での役割と職種別に必要な能力も解説

目次

まずは業界研究について知ることが大切

業界研究 業界研究に対して、とても大変そうなイメージを持っている人もいると思います。しかし最近では就活生に向けた業界研究の情報誌もありますので、すぐに得られる情報もあるのです。今回のコラムでは、業界研究について解説しました。

就活における業界研究の役割とは

業界研究の大切さは、就職した先輩からのアドバイスやたくさんのWebサイトで言われていることです。ところが業界研究をすることによって何に役立つのかを解説してくれる人が少ないので、「なぜ業界研究が大切なのか」を分かっている人は少ないことと思います。業界研究の大切さを大きく2種類に分けて説明しましょう。「自分に合った仕事や企業が見つかりやすくなる」ことと「選考に通過する力をつけるため」です。

現在日本に存在する、およそ400万以上の企業全てのOB訪問や説明会に行くことはできません。だから就職活動では、条件をつけて企業を選択する必要があるのです。自分に向いている企業を見極められるだけでなく内定を取りやすくなるのが、業界研究になります。就職活動をしていると尋ねられるのが、志望動機です。なぜこの業界に入り、うちの会社を志望しているのかを知りたい企業は多くあります。業界研究がしっかりできていれば、企業の強みや業界の仕組みを軸にして、論理的な志望動機が作れるわけです。

就職活動をしていると、興味のある業界のことを知っているつもりでも「よく研究をしたら全然違うものだった」、ということもあるでしょう。業界研究をすることは、業界の正しい情報を得て入社後のギャップを減らすことに繋がります。業界研究で仕事内容や経営戦略を知れば、自分に向いている業界かどうかを見極められますしその業界で実現できることが分かりますから、自分のためにも役立ちますよ。

業界と職種の違いを理解すること

業界と混同しやすい言葉に、職種があります。たとえばIT業界や広告業界のように、商業や産業の種類を表すのが業界です。これに対して職種は、人事や営業のように仕事の範囲を表す言葉になります。業界と職種を合わせて仕事内容を表現すれば、仕事の詳細が分かるわけです。就職活動の業界研究において、業界と職種は対策方法が異なります。

業界研究と企業分析の違いとは

業界研究と同じく企業分析も、就職活動中によく聞く言葉ではないでしょうか。業界研究では業界の全体像が想像できるような情報を集めるのに対して、企業分析は1つの企業を集中して分析します。企業の内部や取り巻く環境を調査することにより、どんな企業なのかを理解するわけです。企業分析では、興味のある企業が収益を生み出している仕組みや抱えている課題を理解したり顧客の性質や競合他社について調べたりします。

就職活動を進める中で「ホワイト企業に就職したい。」と考える人は多いと思います。当コラムでは、ホワイト企業について情報発信しているので、以下も合わせてご覧ください。

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業界研究のやり方

業界研究

4つの手順から確認

ここでは、業界研究のやり方を4つの手順に沿って紹介します。4つの手順は、以下の通りです。
  1. 業界の種類を理解する
  2. 業界の種類ごとの仕組みや、利益の上げ方を理解する
  3. 業界全体の動向を理解する
  4. 自己分析の結果と照らし合わせて確認する
はじめに、業界の中にどんな種類の企業があるのかを確認してください。今回は、人気の高いメーカー業界で例えます。同じメーカー業界でも、その中にある分野や仕事内容が全て同じ訳ではありません。メーカーには食品やアパレル、医療機器、自動車などがありますが、これら全ての仕事内容や顧客の動向が同じではないことが分かると思います。それぞれ仕事内容や経営戦略、顧客の動向などが異なるので、分野ごとに整理する必要があるわけです。このような理由から同じメーカー業界でも一括りで考えてしまうと、自分が想像している内容とのズレが生じます。「その業界にはどんな分野があるのだろうか」と考えることが、業界研究の始まりだと言っても過言ではありません。

情報収集のやり方

業界研究では情報収集が欠かせません。業界研究の大切さが理解できたら、必要な情報を収集してください。業界研究に必要な情報はたくさんあるので、何をどう活用すればいいのか分からない人も多いことでしょう。ここでは、業界研究に必要な情報を紹介します。たくさんある業界の動向や商品の情報、市場シェアが知りたいときは、業界地図が便利です。情報は図解で解説されているので、分かりやすい特徴があります。業界地図は毎年新しくなりますから、なるべく最新の情報を参考にしてください。業界地図と同じく就活の情報収集に役立つものに、就職四季報があります。就職四季報ではおよそ5000社の中から、業績や経営成績など就活に関する情報を掲載しているので、合わせて確認するのがおすすめです。

適時の情報が得られる情報源と言えば、新聞やニュースも忘れてはなりません。新聞には情報を総合的に伝えるもの以外にも、1つの分野に特化して伝えるものもあります。業界の趨勢や経済の動向が分かるので、新聞選びに迷ったら日本経済新聞がおすすめです。新聞紙を読むことが苦手なら、電子版の購読や専用アプリをダウンロードする方法もありますよ。

業界研究でおさえるコツ

業界研究では、業界全体の形を理解するため広く浅くから始めましょう。「情報収集のやり方」の項目でお伝えした業界地図を読めば、業界の全体像をすぐに理解できます。全体像を把握することで分かるのは、どこの企業に入ってどんな働き方がしたいかということです。業界同士の繋がりまで理解できれば、それぞれの業界がお互いに与えている影響が分かるので、社会の仕組みが分かります。最初はあまり興味のなかった業界でも、深く知ることによって新たな魅力が発見できるかもしれません。自分が将来進む道を選択するためにも、業界同士の関係を知ることは大切なのです。

気になる業界を広く浅く理解したら、詳細を調べていきます。このとき、思い込みすぎは良くありません。知っている気になっていた業界でも、詳細を調べるにつれ思いがけないことが分かる可能性があるからです。具体的に調べる内容は「業界の現状」「将来性」「その業界の企業」になります。業界の現状では、業界の規模や市場の状況、趨勢などを確認してください。将来性では、今後成長見込みのある企業や衰退していく事業、新しい技術などを確認します。その業界の企業については、業界で売り上げを出しているトップ10の企業の確認や、大きなシェアを持っている企業などを確認しましょう。
業界研究を進める方法としては、「情報収集のやり方」で紹介した以外の方法もあります。たとえば、OB訪問や企業説明会に参加することです。OB訪問のメリットや、やり方が分からない人もいるのではないでしょうか。OB訪問は媒体からは得られない、貴重な情報を得られるチャンスでもあります。以下のコラムではOB訪問をすることで就活生が得られるメリットと、やり方の手順を解説しています。合わせてご確認ください。

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企業説明会では業界や企業の動向を説明してくれることがありますので、業界の将来性や働きがいを見抜くことに繋がり、業界研究の手助けになります。時間に余裕ができれば、興味のある業界以外の企業説明会に参加してみてはいかがでしょうか。関連業界の動向も知るきっかけになります。

職種別に必要な能力を確認①

営業 職種によって、必要とする能力は異なります。ここで、職種別に確認しましょう。

ものを売る仕事

商品やサービスを顧客に販売するので、ものを売る仕事は企業の売上に繋がります。大きく分類すると、「広報・宣伝」「営業・販売」の2種類です。関係のある職種には、たとえば不動産・流通・小売・住宅などがあります。広報・宣伝の仕事に必要な能力は企画力やコミュニケーション能力、情報発信力などです。対して営業・販売の仕事では、コミュニケーション能力に加えて提案力や相手の希望を的確に掴む力が求められます。

ものを売る仕事全体に言えることは、要領や頭の回転が良い人が向いていることです。たとえ学業で優秀だったとしても、自分の言葉でセールストークを作らなければ商品は売れません。ビジネスマナーをしっかり守るより、対応する相手によって臨機応変に伝え方を変えられる人の方が、実績が高い傾向にあります。説明書通りに内容を伝えるより、自分が商品を使ったときの実話や多少アレンジを加えた話の方が、顧客の心を掴める例もあります。販売業務ではない仕事は地味に感じますが、たくさんの仕事量をこなす必要があるので、要領が良くなければ社内での評価も上がらないわけです。また、欠かさずに情報収集を行い顧客の需要まで会話に入れられるような、勉強熱心な人もこの仕事に向いていると言えます。

ものを製造する仕事

商品・サービスを製造する仕事は、企業の利益を生み出します。大きく2つに分けると、技術・生産と企画・開発です。一口に製造業と言ってもその種類は幅広く、組み立てや塗装をするものから、商品企画や研究開発をするものまであります。また、設備保全のように機械設備の点検やメンテナンスを行うものも製造業に分類されますよ。

技術・生産の仕事では、効率よく正確に物事を処理する能力や、応用力、専門知識が欠かせません。企画・開発の仕事には、企画を実現する実行力や情報収集力、分析力などが必要です。ものを製造する仕事では、試行錯誤しながら改善点を発見するので思考力が必要なことが多いですが、研究開発や生産管理の中には高収入が期待できるものもあります。

職種別に必要な能力を確認②

仕事 ディレクター

専門的な仕事

専門的な仕事は大きく分けて「開発・運用」「制作」「営業」があります。専門的な仕事は名前の通り、特定の業界のみに存在する職種のことです。開発・運用の職種にはファンドマネージャーやディーラー、制作の職種にはディレクターやライター、営業の職種にはサービスエンジニアやファイナンシャルプランナーなどがあります。専門的な仕事の中には、公務員や医師、教諭など、資格が必要なものも多いです。

ディレクターの仕事を例にあげると、制作スタッフをまとめるだけではなく、あらかじめ決まっている日程や予算に合わせて制作の指揮を行います。広く浅く制作全般に関わる仕事なので、仕事が始まると途中で抜けることは難しいです。緊急事態に対応したり改善案を出したりするための、知識や技術も必要になります。このような話を聞いてもなお、ディレクターの仕事が楽しそうだと感じた場合は、ディレクターに向いていると言えるでしょう。

ものや人を管理する仕事

企業の仕事が滞りなく進むように手助けするのが、ものや人を管理する仕事です。この分野を大きく分類すると「システム」「運営・調整」の2種類になります。システムには、システム構築はもちろんのこと製造業や流通などもこの中の1つです。運営・調整に関する仕事は総務・経理・人事などですから、企業全体に関係があることだと言えます。素晴らしい商品ができてもその商品に合っている流通ルートへ商品を流せなければ、希望通りの売上を得られない可能性が高いです。商品の販売にも利益を得るための道のりがあるので、その商品に合った流通ルートに流すことが大切になります。そのため、流通や製造業もシステムの分類だと言えるのです。
経理では、企業によって仕事内容が異なることも忘れてはなりません。当コラムでは、経理の仕事の向き不向きを解説しました。企業が関わる業界やどんな作業をしているかによっても、違います。ですから「以前経理をしていたから、どんな会社の経理もこなせる。」と考えるのは少し危険です。以下のコラムを合わせてご確認ください。

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働く人の健康を守る仕事もある

産業医 仕事の中には、働く人の健康に関わる仕事もあります。近年、無理して身体を壊すまで働くよりも健康管理をしながら自分に合った働き方をすることが重視されているので、その流れに乗り健康経営を行う企業も多いです。「従業員の健康を維持することは、企業にとっての経営戦略だ」とする考え方を健康経営と言います。健康経営という言葉を聞いたことがない人も多いかもしれませんが、健康経営を行っている企業は増えており、2020年には優良な健康経営を行っていると認定された法人は6204社になりました。従業員が身体を壊すまで働かせるよりも、プライベートを充実させながら健康に働く方が仕事の効率が上がるので、いずれは業績の向上に繋がるわけです。

しかし企業を取り巻く環境や課題は1つではありませんから、表面上の対策だけでは改善することはありません。健康経営を行う企業は試行錯誤しながら、従業員の健康を維持しています。さまざまな企業が情報発信をして健康経営の情報交換をすれば、お互いの健康経営の質を上げられるわけですね。

産業医や保健師の中には企業で働き従業員の健康に関わる人もいるので、働く人の健康を守る仕事だということです。働く人の健康を守る仕事は大変なことも多い反面、やりがいを得やすくなります。健康経営について調べることは、人々の健康を守る仕事についての理解が深まるのでおすすめです。
当コラムでは、健康経営について情報発信をしています。健康経営について理解を深めるために、以下のコラムがおすすめです。顕彰制度の内容を知りたい方は以下のコラムをどうそ。

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健康経営に係る顕彰制度について

健康経営の基本的なメリット・デメリットを知りたい方はこちらをご覧ください。こちらは企業に向けたコラムではありますが、「なぜ企業が健康経営に取り組むのか」が見えてくると思います。

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健康経営とは? 企業にとってのメリットと取り組む方法

まとめ

業界研究について解説しました。時間がかかりそうな情報収集も効率良くこなせば、エントリーシートの作成や就活マナーの学習など、ほかのことに使える時間が増えることでしょう。業界の仕組みを深掘りすることは、きっと面接などで役立ちます。もし希望の業界の面接には通らなかったとしても、ほかの業界と繋がっていることもありますので、意味のあることだと考えて業界研究に取り組んでください。
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