• 健康経営アドバイザー
  • 2021.08.23 (最終更新日:2022.03.26)

健康経営のスタートライン「定期健診診断受診率100%を目指そう!!」

目次

定期健診受診の大切さ

健康経営 健康になるために大切なことは、今の自分が健康がどうかを知ることになります。経営者や従業員が健康診断を受けていない状態では、健康経営のスタートラインに立てないことになります。
そのため健康経営実践ではまずこの健康診断が受診実質100%が基本となります。経営者は当然のことながら基本は従業員の方にも健康診断は、従業員の健康を守り・予防する観点からも必要となります。
健康経営の取り組みの項目の中でも必須項目とされております。

健康診断は、労働者の健康を確保するための基本的な取り組みです。労働安全衛生法では事業者には健康診断の実施義務が、労働者には受診義務が課せられています。事業者と労働者が協力して受診率100%目指すことが必要です。

 

健康経営における健康診断の位置づけ

事業者と労働者 一般健康診断や有害業務に対する特殊健康診断は、労働者の健康を確保するための方策として労働安全衛生法やじん肺法の中で事業者にそれらの実施義務が課せられています。
事業者と労働者が協力して受診率100%を達成することが必要です。なかでも、定期検診診断はすべての労働者が対象であり、年1回以上実施する必要があります。
またその項目は生活習慣病に関する問診や診察、検査を中心に一般的な健康状態を評価する内容となっています。
ただし、健康診断を実施・受診するだけでは労働者の健康確保も健康増進による生産性向上を実現することはできません。健康診断の結果を労働者自身が把握して自己健康管理に努めることはもちろんですが、会社も結果を把握して異常があった労働者が安全・健康に働くことができるように医師に必要な就業上の措置の意見を徴収・実行して(適合配置)する必要があります。検診結果
また該当する労働者への保健指導を提供する等によって労働者の健康管理増進の取り組みを支援することが必要です。
さらに会社は健康診断の結果を集団として捉え傾向を分析して対策を講じることにも使えます。

例えば、肥満率や喫煙率を評価して運動プログラムやサポートプログラムなどの企画運営に活かすなどのデータとして使えます。運動プログラム
こうしたことから定期健康診断は健康経営のなかでも、従業員の健康課題の把握のために重要な事項として考えられます。
健康経営優良企業認定における評価項目のなかでも、やむを得ない理由があるものを除き健康診断受診率100%、もしくは同者をのぞき健康診断受診率95%以上で未受診者には早期に受診するように適切な受診推奨を行っていることが求められています。

法令に基づく職域の健康診断の種類

健康診断

一般健康診断

雇入れ時の健康診断
定期健康診断
特定業務従事者の健康診断
海外派遣労働者の健康診断
給食従業員の検便

特殊健康診断

各種有機溶剤に関する特殊健康診断
特定化学物質に関する特殊健康診断
電離放射線に関する特定健康診断
粉じんに関連する特殊健康診断

定期健康診断の項目

既住歴業務歴の調査
自覚症状及び他覚症状の有無の検査
身長体重腹囲視力及び聴力の検査
胸部 X 線検査及び喀痰検査(かくたん)
血圧の測定
貧血検査(血色素量・赤血球数)
肝機能検査
血中脂質検査(コレステロール、中性脂肪)
尿検査(尿糖、尿蛋白)
心電図検査
※医師の判断により省略可能の項目もあります。

健康診断実施受診の現状

定期健康診断 厚生労働省が実施した労働者の健康状況調査では事業場の規模別でみた定期健康診断実施率は事業規模が小さいほど実施率と受診率が低いことが分かっています。

実施していない理由

  1. 健康診断を実施する日程や時間が取れない(取りにくい)
  2. 健康診断を実施する費用がない(費用が高額である)
  3. 健康診断を実施する適切な健康検診機関や医療機関がない(見つからない)
  4. などが上位に上がっています。

定期健診診断を受けなかった理由

  • 健康診断が実地されなかった
  • 他の所で実施した
  • 多忙であったが上位に上がっています

健康診断を確実に実施しさらに受診率を高めるためにはどうしたらよいでしょうか?

取り組みのポイントとしては、まず中小規模事業場(中小企業)では健康診断の実施自体に障壁を感じている場合がありますので、事業者と労働者が双方に健康診断の必要性重要性を理解してもらうようにアドバイザーとして助言をしてもらうことが大切です。そして実施と受診の障壁を少しでも低くできるように健康診断をデザインすることが有用です。

受診率向上のポイント

現状把握

1.健康診断を実施する費用がない費用が高額である

従業員の健康へ投資することによって得られるリターンは、投資額よりも何倍も大きいとする科学的検証もあります。健康診断の実施などを健康対策は単に法令上の義務であるからだけではなく、経営の基盤となる人的資源の安定や拡大のための投資として必要なものと考えられています。
しかし中小企業では経済的な余力が小さく、中長期的な視点での人的資源への投資が難しいと考える場合もあるでしょう。そのような場合には下記に紹介するような助成制度を活用することも助けになります。

◆労働安全衛生法に関する各種助成を利用する

・厚生労働省のキャリアアップ助成金健康診断制度コース
(ただし、有期契約労働者等を対象とする法定外の健康診断制度を新たに規定し延べ4人以上実施した場合に助成されるもの)
・あんしん財団の人間ドック定期検診診断補助金制度
・労働者健康安全機構の産業保健関係助成金制度
・その他自治地方自治体による定期検診診断補助金制度など
(例:埼玉県川口市の中小企業勤労者の定期検診診断助成金)

◆協会けんぽなどの健康保険組合と連携協力する(補助金など)

また費用については労働者によっても重要です。法律で規定された一般健康診断は会社が費用を負担する必要がありますが、それでも労働者個人が任意の機関で健康診断を受けれるような場合は償還払いの形で先に一旦支払う必要があり、その一時的な負担やその後の申請の手間が大きいと感じてしまう場合があります。

2.健康診断を実施する日程や時間が取れない取りにくい

法律で規定された定期健康診断は受診にかかる時間は労働時間として取り扱う必要がありますが、その日程や時間が全くないという状況は考えにくいでしょう。確かに工場などで生産ラインを止めることが容易でないといった事情はあると思いますが、実際には健康診断の実施計画を事業所や管理監督者が把握することが大切です。
訪問バス検診や施設型また検診を交代で受診できるよう職場や個人単位での業務調整を行うなど、様々な工夫によって多くの企業で日程や時間を確保しています。また事業の年間計画を配慮して事業の繁忙期や他のイベントを避けて健康診断を計画するといった工夫も必要です。日程や時間については労働者にとって重要です。
労働者個人が任意の日程で健康診断を受けるような場合には個人の自由度は高いように思われますが、実際には受け忘れが発生しやすくなってしまいます。この場合は会社側がある程度受診可能期間を限定し、受診推奨の連絡も集中的に行うなどの管理的な工夫が望まれます。健康診断推奨

3.健康診断を実施する適当な健診機関や医療機関がない見つからない

大企業で社内に健康診断を実施する人員と施設設備を持ち合わせているような事例はごく限られていますので、一般的には健康診断は社外の健診機関や医療機関に委託して実施することになります。
その際には健康診断を実施する適当な機関を知らないということが障壁になっているようであれば、全国労働衛生団体連合会や日本人間ドック学会日本総合健診医学会などが認定する有料期間のリストや地域産業保健センターでの相談を活用してみましょう。健康診断
さらにいえば、どの機関で健康診断を実施するかは受診率を高め、安全で効果的な健康診断を実施するために、重要な要素であるためさんに会社に近い料金が空いていた視点だけで選ぶのではなく日程や場所の調整料金や支払い方法など事務的な協力が得られ検査の精度や安全性を管理している優良な機関を選びましょう。
また健康診断結果に所見があった場合には再検査精密検査や治療を受ける保健指導を受ける医師から意見を徴収する(就業の可否判定や就業上の措置の意見)
と言った事後の対応が必要です。
特に中小企業では社内に産業医や保健師がいない場合もありますのでこれらの対応も委託できる期間を選ぶことをお勧めします。健康診断判定

健康診断受診率向上の取り組み

その他にも様々な健康診断受診率向上の取り組みがあります。これらの中から取り組みそうなものから試して取り組んでみることをお勧めします。

利便性の向上

授業の繁閑他の会社行事との日程調整
交替勤務者のシフトの変わり目を含めた日程設定
男女別の時間設定
人間ドック結果の利用についての健康保険組合との調整

推奨活動

健康診断の意義や必要性についての啓発
事業者からの情報発信や社内掲示
衛生委員会での産業医講話
管理職研修や従業員向け研修の利用

その他

未受診者への管理監督者や人事担当者からの受診勧告
未受診者のための施設健診などの利用機会の設定
出向中の労働者の健康診断の取り決め
健康診断前一か月の生活改善キャンペーン

2021年健康経営優良法人(中小企業規模法人部門認定基準)における適合基準

評価項目:定期健診受診率(実質 100%)
本項目は以下①又は②のいずれかを満たすこと思って適合とされます。【選択式】

①やむを得ない理由があるものを除き労働安全衛生法に基づく定期券診断における直近の受診率が100%であること。
②やむを得ない理由があるものを除き労働安全衛生法に基づく定期健康診断における直近の受診率が95%以上であり未受診者に対しては早期に受診するように適切な受診推奨を行っていること。

やむを得ない理由の例

  • 定期健康診断の実施予定日の直近に急遽長期の病気休職となった場合年度内に検診を受けられる時間的余裕がある時期に回復した場合を除く
  • 産前産後休暇及び育児休業により1年を超えて休業している場合
  • 1年を超える期間で海外赴任に当たる場合

実質100%とは?

95%以上の受診率でも、やむを得ない理由があるは適切な受診推奨を行っていることを条件に免除されるという意味です。

まとめ

スタート 健康経営のスタートしていくうえで定期健康診断は基本になります。健康診断実施のポイントは、健康診断の実施や受診の障壁となりやすい事項として、健康診断に関する『費用・時間・場所・機会』がありますので障壁が低くなるよう企画・運営することが重要です。健康経営をスタートの第一歩として、定期健康診断受診率をあげる取り組みを自社にあったアプローチ方法を試してはいかがでしょうか。
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