• 健康経営
  • 2021.04.02 (最終更新日:2022.04.06)

社員食堂で社員の健康を管理する意味とは。健康経営にも注目しよう

目次

社員食堂で健康を管理する意味とは

社食 社員食堂 一昔前まで健康管理は個人で行うもの、という考え方が一般的でした。しかし時は流れて、現在は会社が社員の健康管理を行う時代になっています。社員食堂で健康を管理する意味はなんでしょうか。昼食の大事さから見ていきましょう。

昼食を適当に済ませるのはなぜ問題なのか

昼食は1食のうち3分の1を占めています。午後の生活に必要な栄養素やエネルギーを補ったり、食事によって疲れをリフレッシュしたりする役割があるのです。しかし昼食は、外食をしたり給食で食べたりする機会が多くあります。外食で栄養バランスを意識した食事を摂るのは、難しいです。また、朝昼兼用であったり時間がないからと菓子パンなどで済ませてしまったりすることもあるでしょう。午後の生活に必要なエネルギーを補う昼食を適当に済ませてしまえば、栄養バランスが崩れてしまうことはよく分かるのではないでしょうか。

社員食堂で健康維持をするメリット

社員食堂で健康維持をするメリットはなんでしょうか。
  • 社内で手早く食事ができる
  • 値段が安い
  • コミュニケーション活性化に繋がる
  • 心の健康にも繋がる
飲食店を探さなくても、社内の食堂ですぐに食事が可能なのがメリットです。昼食を手早く済ませれば後は休憩時間に使えるので、生産性の向上に繋がります。また、値段が安いので毎回外食やコンビニで購入するより値段を抑えられるのです。しかし値段のわりに量が少ないと感じる人もいます。ほかの社員と一緒に食事を摂ることにより、コミュニケーション活性化に繋がるメリットもあるのです。食堂はオフィスよりも気楽に会話できる雰囲気があるので、仕事の話だけに限らずプライベートの話題もしやすくなります。

社員食堂で健康維持ができるようになれば、心の健康にも繋がるのです。ストレスを理由に好きなものを食べたり飲んだりする行動が慢性化すると、身体にも心にも不調を来します。栄養バランスの整った食事をすることによって、ストレスへの抵抗力が上がると言われているのです。美味しい食事は、心の健康にもメリットがあるのですね。

社員食堂のデメリットとは

社員食堂を上手に利用すると、いろいろなメリットがあることが分かりました。しかし、社員食堂をなかなか導入しない会社もあります。それはなぜでしょうか。会社の視点で見てみましょう。社員食堂の導入には、コストがかかるのです。設備を設置するには費用がかかりますし、備品の費用もかかります。厨房機器はメンテナンスが必要なうえ、食材費・水道光熱費も忘れてはいけません。およそ300万円から500万円の費用がかかると言われていますから、安易に設置できないことが分かります。

社員食堂を導入するためには、場所の確保も必要なのです。そのためテナントビルにオフィスのある会社は、必然的に設置が困難になります。飲食だけではなく、厨房の空間も必要です。それなのに、いくら時間と費用をかけて準備を行ったからと言っても、全ての社員が社員食堂を利用してくれるわけではありません。後の項目でもお伝えしますが、社員食堂の利用頻度は決して高いとは言えないのです。これらの不安から、社員食堂を簡単に導入できない会社もあります。

健康経営で活用される社員食堂

社員食堂

社員食堂の利用の実態とは

社員食堂がある会社の社員は、昼食で利用しているのでしょうか。株式会社リクルートライフスタイルの行った調査では、社員食堂の利用頻度は平均して週に2.1日なことが分かりました。昼食を摂りに外出するのが面倒な人や、食事に安さを求めている人が積極的に利用しています。社員食堂を利用しない日は、コンビニで購入したりお弁当を持参したりしているとのことです。社員は季節感や栄養バランスの摂れるメニューを、社員食堂に期待しています。しかしメニューの種類が少なかったりおいしくないと感じたりして、続けて社員食堂を利用しないことも多いのです。安さや利便性は良いから利用したいと思っているものの、内容が魅力的ではなく飽きてしまうということが、この調査から分かります。

参考:外部リンク
社員食堂の利用実態や改善要望を調査

社員食堂の活用事例

社員食堂は利用していない人も多いですが、近年社員食堂に変化をつける動きがあります。健康経営という考え方が広がっており、健康経営の一環として社員食堂を活用する会社が増えているのです。健康経営とは、社員の健康管理を行えば会社にもメリットがあるとする考え方のことです。健康と食事には深い関りがあるので、食事を提供する社員食堂に注目したということですね。
当コラムでは健康経営について情報発信をしています。なぜ会社が健康経営を行うのか詳しく知りたい方は、以下も合わせてご覧ください。メリット・デメリットを解説しています。

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ここからは、会社が社員食堂で行っている風変わりな取り組みを紹介しましょう。ある会社では、社内で栽培された野菜が料理に使われます。健康的な食事ができる上、オフィスにある緑としてリフレッシュの効果も期待できる、メリットの多い仕組みです。また別の会社では、社員食堂の空間にこだわっています。窓際の景色が見える場所に席を設置したり天井板を外して開放感を出したりしているのです。ランチで提供している低カロリーのメニューは、人気を集めています。

社員食堂に漫画やゲームのコーナーを併設している会社もあるのです。1人での利用や打ち合わせなどさまざまな場面で活用できるように、座席もさまざまなタイプを設置しています。取引先の方とも食事ができるように、仕切った空間に設置した席もあるのです。打ち合わせなどでわざわざ外のお店を予約しなくとも、気軽に社員食堂が利用できますね。

午後の仕事に悪影響。食事中の習慣に注意

会社 昼休み 会社の昼休みは、食事だけに気を配ればいいわけではありません。ここでは、午後の仕事にデメリットをもたらす食事中の習慣を紹介します。

いつも自分の机に座り1人で食事を摂ること

昼食は外出せずに職場で食べる人も多いです。その場合、自分の机に座って1人で食事を摂るのはおすすめしません。普段誰かと一緒に食事を摂っている人の中にも、本音では「1人で食べたい」と思っている人がいます。それぐらい、気楽に食べられる1人の食事が好かれているのです。しかし机で静かにご飯を食べていると、自分には分からなくても周囲の人が近寄りにくい雰囲気になってしまいます。

いつも1人で静かにしている人を見て、「声をかけてもいいのだろうか。」と戸惑った経験はありませんか。自分は知らないうちに周りを困惑させてしまう可能性があるので、1人で食事を摂る場合は外食するのがおすすめです。1人で過ごすこと自体が悪いのではなく、普段から周囲にそのような姿を見せるのが良くないのです。

いつも同じグループと食事をすること

いつも1人でいることとは反対に、いつも同じグループと食事をすることもおすすめしません。どれだけ仲がいい間柄でも昔からの親友同士というわけではありませんから、常に一緒にいると緊張がほぐれないのです。昼休みの過ごし方として適切なのは、身体の疲れをリフレッシュすること。それなのに緊張感がほぐれずストレスを溜めているのは、本末転倒です。心身の疲れを感じたら、1人で食事を摂ってリフレッシュしてください。

会社によっては、皆で昼食を摂る習慣が出来上がっていることがあります。誘いを断りにくいときは仕事の用事があることにすれば、波が立ちにくいです。仕事のパフォーマンス向上のために、1人でリフレッシュする時間も作りましょう。

他の人の悪口で盛り上がること

昼食の時間は、社内の人とコミュニケーションがとれる絶好の機会です。しかし人間関係のメリットになるものとデメリットになるものがあるので、注意してください。人間関係のデメリットになる分かりやすい例は、他の人の悪口で盛り上がることです。昼食の最中に誰かの悪口が出たら、素早くその場を離れるのがいいでしょう。悪口を言っていると人間関係のトラブルに巻き込まれる可能性がありますし、仕事のパフォーマンス低下に繋がることもあります。

悪口の怖いところは、同じ場所にいただけで同調したと思われるところです。同調だけならまだしも、主犯にされてしまう場合もあります。知らない間に悪口の主犯だと広められていて、人間関係が悪化したうえ仕事にまで悪影響が出る例は多いです。決して仕事と関係のない話ではないので、悪口が始まったら席を立つのがいいわけですね。

仕事を詰め込むこと

仕事が詰まっているからといって、食事を簡単に済ませて机に向かっていることはありませんか。昼休みにまで仕事を詰め込むのは、自分だけではなく周囲も気を使わせてしまいます。仕事ができる人はメリハリをきちんとつけて、周囲にも気を遣わせません。周囲に人がいることを頭に入れつつ、適度にリラックスするのがいいでしょう。

社員食堂はなぜ安いのか

ワンコイン 社員食堂は外食と比較しても安く感じますが、それはなぜでしょうか。

社員食堂が「安い」基準はいくらから?

「社員食堂はなぜ安いのか」を知る前に、安さの基準はいくらなのかを確認しましょう。産労総合研究所が発表した多機能化する社員食堂の実態に関する調査では、300円から500円という結果でした。外食でも値段の安いもので済ませる場合は800円以内ですが、しっかりしたランチを食べようと思うと、ほとんどが1,000円を超えてしまいます。コンビニでお弁当とお茶を合わせて買う場合でも、およそ600円です。最近お弁当の量が減っているので、追加で食材を購入すると1,000円ぐらいになります。社員食堂ならワンコイン以内で昼食が食べられると考えると、確かに安いと感じますね。

参照:外部リンク
多機能化する社員食堂の実態に関する調査

会社が食費を補助しているから

社員が考える安さの基準は分かりましたが、どうしてここまで安くできるのでしょうか。社員食堂は食費の全額もしくは一部を会社が補助しているから、安く提供できるのです。安い食材ばかりを使っているわけでも、人件費を安くしているわけでもないのですね。多くの会社は、社員食堂を会社の福利厚生の一環として提供しています。社員が栄養バランスの整っていない食事ばかりを毎日続けて身体を壊すと、会社にとってマイナスになるのです。そのため栄養バランスの整った食事を提供することで、健康を維持してもらえば会社にもメリットになります。

外食だけに限らずコンビニよりも安い値段で昼食が食べられるのは、会社が補助しているからなのです。その他には、ケータリングやデリバリーなど業者に委託する形式を取っている会社もあります。諸々の人件費を抑えて低価格に運営できるので、近年広がっている形式です。
 

社員食堂の仕組みとは

ここでは、社員食堂の運営の仕組みを見てみましょう。社員食堂の運営方法は3種類あります。「直営」「準委託」「外部委託」です。栄養士や調理師を会社が直接雇って運営する形式が、直営になります。給食業務を設立した給食会社に任せるのが、準委託です。給食業務の運営・管理の一部またはすべてを、委託先の会社に任せるのが外部委託になります。割合で見ると、直営の会社が少なく委託や準委託の会社が多いです。

社員食堂の導入にあたり、直営であっても外部委託であっても厨房設備は会社の負担になります。安い社員食堂を実現するには、さまざまなコストがかかるのです。

社員食堂以外にも、さまざまな形の食事補助

お弁当 福利厚生の1つである食事補助は、社員食堂の提供だけに限りません。社員の健康に配慮してくれると、会社に対する愛着心も増えますし、仕事へのやる気に繋がるものです。ここでは、いろいろな食事補助型の福利厚生を紹介します。

チケットを配布するタイプ

社員にチケットを配布するタイプの食事補助があります。業務上の理由で社外にいる社員の多い会社では、社外にいても利用できるチケットサービスを導入しました。社外にいても利用できるということで、加入は自由だったにも関わらず多くの社員が導入されてすぐに加入したといいます。活動の拠点で格差が起きず、全社員が平等に利用できるのが特徴です。ニーズを見極めたからこそ、社員に利用してもらえる福利厚生を提供できたといえます。

お弁当などを現物支給するタイプ

ネットや電話を利用してあらかじめお弁当などを注文し、会社に届けてもらう方法もあります。現在は、法人が食事補助の福利厚生に活用できるような宅配サービスを提供している業者も増えているのです。宅配サービスの中には会社の一角に専用ボックスを配置するだけで、社員に健康な昼食を提供できるものもあります。管理栄養士がメニューを管理しており、商品の安全や品質にこだわっている宅配サービス業者もあるのです。また、会社に代わってお弁当の業者を探してくれるサービスもあります。このサービスは社員が自分でスマホから注文できるので自由度が高く、利用しやすいです。

健康管理を気にするなら健康経営に注目しよう

健康 仕事のパフォーマンスを発揮しながら健康にも気をつけることは、1人ではなかなか大変です。もし気になる会社があったら、健康経営の取り組み内容も合わせて調べてみてください。健康経営を行っている会社の多くは、公式Webサイトで自社の取り組みを公表しています。社員の健康維持のために社員食堂を改善する会社もあれば、ウォーキングやヨガなど独自の運動を取り入れているところもあるのです。

健康経営に取り組む会社の中には独自の料金システムなどユニークな取り組みもあるので、全てが堅苦しいイメージなわけではありません。以下のコラムも合わせてご覧ください。誰もが知っている有名な会社の取り組みも紹介しています。

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まとめ

一昔前まで、「社員食堂は美味しくないもの」というイメージを持っていた人も多いことと思います。しかし社員食堂の改善を図る会社が増えていることを知れば、美味しくないものというのは、古い考えであることが分かるのです。社員食堂で美味しい食事を摂ることは、夢のような話ではありません。食事補助のサービスに詳しくなって、会社に提案してみるのもいいのではないでしょうか。
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