• 健康経営
  • 2021.05.06

ホワイト物流や物流業の仕事内容、働き方改革の取り組み事例を解説。

目次

ホワイト物流とは何か

物流 物流業に対してマイナスの印象を持つ人もいるかと思いますが、「ホワイト物流」とは一体何でしょうか。

ホワイト物流の目的

ホワイト物流は、以下の目的で国土交通省が増進しています。
  • トラック輸送の生産性の向上
  • 物流の効率化
  • 女性や60代のドライバーも働きやすい環境の実現
ホワイト物流はトラックドライバーにおいて時間外労働の上限規制が導入される、2024年4月1日まで実施される予定です。トラックドライバーは私たちの生活を支えるうえで欠かせない職業ですが、慢性的な人手不足に陥っています。トラックドライバーを含む運送業の実態について、当コラムでも解説していますので、合わせてご覧ください。

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トラックドライバーの仕事には、長時間労働や荷物の積み込み、積み下ろしなど重労働もあります。トラックドライバーの長時間労働を解決するためには、物流業務の効率化が必要不可欠なのです。物流業務を効率化するためには物流事業者以外にも、納品先の企業や荷主企業がお互いのことを理解し合い、効率化に向けて連携することが大切になります。

ホワイト物流への参加で期待できるメリットとは

企業がホワイト物流に参加するには、「自主行動宣言」の必須項目への賛同表明が必要です。ホワイト物流に興味を持つ方の中には、自主行動宣言の提出は必要ないのでは、と考える人もいることでしょう。しかしホワイト物流への参加を発表することは、社内で働く従業員のメリットにも繋がります。

労働環境の改善を図る企業であると公表することにより、社内で緊張感を持って対策への取り組みを行えるわけです。また、取引先との相談がしやすくなります。業界内の各社が自主行動宣言を提出することによって、業界全体で協力して物流の改善を増進しやすくなるわけです。ホワイト物流に参加している事業者との取引を希望する企業もあるため、トラック確保を滞りなく進められることが期待できます。経営するうえでのリスクを認識していると社会に示すことができるので、投資家や社会からの評価の向上が期待できます。

それぞれの立場ごとに取り組みがある

ホワイト物流の取り組みは、全ての立場に関係があります。たとえば荷主企業・納品先企業の場合は、荷待ち時間を削減するために改善案の提案を行ったり予約受付をシステム化したりすることが可能です。その他には、荷役作業をするさいの安全対策や運転以外の作業を分けることが考えられます。物流事業の場合は、荷主企業などへ向けて業務の改善案を提案することや運送業務の適正化などがあります。

ホワイト物流のために私たちができること

関係があるのは物流業だけだと思いがちですが、物流業ではない人でも意識して取り組めることがあるのです。日ごろから生活用品を届けているのは物流業に携わる人々だということを理解し、物流業の効率化に対して理解・協力ができます。また、宅配便の受け取りで気を配れることもあります。普段から再配達してもらうことが多い人は、なるべく1度で受け取るようにしてください。宅配便を1度で受け取るためにコンビニや営業所、宅配ボックスなどが活用できます。

宅配ボックスについては、実際に設置して再配達を減らした事例があるのです。福井県あわら市での2016年の再配達率は49%でしたが、実験的に宅配ボックスを設置した結果、およそ8%にまで減らすことができました。宅配ボックスを設置した世帯も、「ネット通販を利用しているので使いやすい」「子どもの世話で受け取れないストレスが無くなった」と好意的な意見を寄せています。2017年から宅配ボックス設置の補助金制度が始まるなど、再配達を減らす取り組みは積極的に行われているわけです。

参照:外部リンク
パナソニック 「宅配便の再配達がない」まちをつくろう。


引越については、できるだけ混雑している時期を避けるようにし、早めの依頼を心がけます。引越の閑散期は夏場ですが、暑い中で引越をしたくない人も多いことでしょう。しかし夏場の引越には値引き交渉がしやすかったり繁盛期と比べて引越し料金が安かったりするとのメリットもありますので、この時期の引越はコストを重視したい人に向いています。トラックドライバーの業務を滞りなく進めるために、車を運転する方は大型車の駐車スペースにマイカーを駐車しないようにしてください。物流業は私たちの日常生活と深い関りがあるので、普段から気を配ることができます。運送会社がサービス内容の見直しを行う可能性がありますが、そのさい物流業の背景を思い出してご理解ください。

ホワイト物流の賛同企業はまだまだ少ない

ホワイト物流への賛同企業は、令和3年3月時点で1201社です。国土交通省はホワイト物流の開始当初、およそ6,300社の関連企業に対してホワイト物流への参加を促しました。この要請を受けて、2019年当初に賛同した企業数はおよそ559社だったので、当時と比較すると増えていることが分かります。しかし国土交通省が参加を促した企業数は6,300社なので、まだまだ賛同している企業は少ないです。

物流業の課題となっているのはトラックドライバーの重労働だけではありません。燃料の高騰により運送料金を値上げしなくてはならないのですが、運送業者は荷主に対して立場が弱いため、値下げ交渉をしにくいです。燃料が高騰している中で再配達が多いのも、悩ましいことだと言えます。さまざまな課題があるので、単純に「誘われたから参加しよう。」とはならないのが現実なのではないでしょうか。

物流業の仕事内容とは

物流 物流業で仕事の効率化が難しいのは、トラックドライバーだけなのでしょうか。物流業の仕事では、全体を俯瞰して見ることがポイントです。ここでは、運送業の仕事内容を確認します。

運送業の出荷作業について

運送業では、出荷作業が大切な役割を果たしています。受注があったときに、情報を正しく管理して物品を出荷しなければならないからです。出荷作業の流れは大きく分けて以下の通りです。
  1. 出荷指示書を作成する
  2. 出荷指示書を倉庫担当者が確認する
  3. 倉庫担当者が出荷に向けて準備を行う
倉庫担当者が行うのは、出荷指示書の作成だけではありません。出荷する商品の検品も大切です。確認が済んだら、納品書と共に梱包した物品を積み込みます。物品の引き渡し時には必要書類を確認してもらいます。必要書類を持ち帰って、納品の業務完了です。経理担当者が確認する売上伝票は、納品業務のさいに作成した必要書類を元にして作成されます。売上伝票は経理担当者によって仕分けられるわけです。出荷の作業は金額を伴うので、ミスが許されません。このような作業にクラウドシステムを導入すれば、さまざまな情報の管理を滞りなく行える可能性があります。

運送業の進捗管理について

運送業では、進捗管理も大切な業務です。物品の運送中にどんなトラブルがあるか分からないので、管理者は進捗状況を常にチェックする必要があります。そして業務の完了報告を受け取ったらしっかりと記録に残して、状況を確認するわけです。管理者は物品の運送中に休めません。つまりこの作業を管理者が行っている間は、どんな対策をしても作業の効率が良くなることは望めないのです。そのため作業の進捗状況をリアルタイムで見られるシステムを導入すれば、進捗管理が捗る可能性があります。

運送と物流の違いは何か

物流業界には、物流と運送という言葉がありますが、両者の違いは何でしょうか。物的流通を略した言葉が物流、トラックを用いて物品を配送することを運送と言います。物流は生産者から消費者へ商品が渡るまでの流れのことを指している一方で、運送はトラックを用いることを前提としているので航空機で物品を運ぶことは含まれません。「配送」「運送」「輸送」とは、生産者から消費者へ物品を速やかに渡すための物流の機能です。

物流業界の働き方改革の課題とは

物流 私たちに物品が届く仕組みは、どうなっているのでしょうか。まず工場で生産した物品を預かって、ストックのため各地の倉庫へ運びます。倉庫に運び込まれた物品を各地の運送会社さんが積み込んで、スーパーへ納品するという仕組みです。全体を俯瞰して見るとバトンを渡しながらリレーをしているようなイメージですが、最初から最後までの工程を全部確認している人はいません。それぞれの業務は、次の仕事の人へバトンを渡して1度終了するからです。

そのため自分の業務だけの改善なら難しくはないのですが、取引先を巻き込むとなると話が変わります。倉庫の会社から有無を言わさず「うちの会社の業務内容の効率化に協力して欲しい」と言われたら、運送会社はどう思うでしょうか。運送会社に迷惑をかけることになるので、自分の会社だけ改善できればいい、と言う自己中心的な内容になってしまいます。取引の関係で力を持っている企業は、自分の企業だけ改善する働き方改革になりがちです。このように、一方的に改善を求められた会社で労働環境が厳しくなり、人手不足に陥る例が多くあります。

物流業界の働き方改革の取り組み事例

物流 課題も多い中で、上手に対策を取り入れた企業もあります。ここでは、物流業界の働き方改革の事例を見てみましょう。

ドライバーの待機時間の削減を目指す

業務を調査したところ、朝一番で荷下ろしを行うためにトラックが昨日から並んでいることが分かった例があります。1度に倉庫へ荷下ろしできるトラックの台数に限度がある場合、最後の方に来たトラックには時間待ちが生じるわけです。時間待ちが長くなれば長くなるほど次の仕事に影響が出てしまうので、前日から並ばざるをえなくなります。時間待ちの間車内で過ごしているドライバーは、家族が待つ自宅へ帰宅することもできません。

ある会社ではこの状況に対して、「ならば、予約制にしよう。」と声が上がりました。ところが、予約制にしたから解決するような、単純な問題ではなかったのです。トラックドライバーがインターネットを利用せず、待った方が確実だと考えたからですね。紙での対応を中止したところ、インターネットを利用してくれるようになったとのことです。

属人化の対策をして精神的なストレスを削減

また別の会社では業務部門の支店長や部長を招集し、なぜ働き方改革が必要なのか説明しました。その後に対談の時間を設けて支店長や部長の決意を発表したところ、高い目標を持っている方もいたわけです。その後は、改善に向けてのチームに人材を配置しました。この会社では海外との取引があったため、24時間仕事をしているなど、たくさんの課題を抱えています。人材を配置した当初は、なぜ自分が働き方改革のチームへ配置されたのか、疑問を抱く人も多かったのです。しかし人材を育成するためには働き方改革が必要だと分かれば、積極的に肯定的な意見を述べる人も出てきました。現在もチームが目標へと進むために、改善点をアンケートで聞き出すなど、さまざまな取り組みを行っています。

当時同社では、取引先の仕事が止まってしまうことを懸念して、休みが取りにくい雰囲気の部署がありました。そこで、1つの取引先ごとに複数名で担当する制度を取り入れて、それぞれの担当の役割をはっきりさせたわけです。別の人がフォローできるような環境にしたところ、全員月に1度有給休暇の取得が可能になりました。

時間管理の徹底や今までの意識を変えた取り組み

また同社では、1日のスケジュールや優先するべき業務、抱えている課題などを共有するために10分単位の会議を行いました。この対策によって課題が素早く共有されるようになったので、チーム内でのフォローが可能になり、ストレスの減少に繋がったのです。仕事を1人で抱え込むのではなく、チームでフォローし合う仕事場に変化したわけですね。

コミュニケーション活性化のための取り組みでは、パソコンの配置を変更して従業員同士の顔が見えるようにしています。その結果コミュニケーションが増加し、「報連相」がしやすくなったり若い従業員の教育がしやすくなったりした、と評価されました。またパソコンの配置をした頃に、「パソコンの向きが違って仕事がしにくいから、新しい机を購入したらどうか」との提案がありました。

これまでも同社では残業削減に向けて対策を練ってきたのですが、多くの従業員は企業がコスト削減を目指しているものだと思っていたのです。そのため取り組みを実施しても思うような結果が得られず、気づけば過去のことになっていました。しかし幹部が自ら机の購入を提案したことによって、コストをかけても取り組みを行うものだと、従業員に伝わったわけです。幹部が提案をすることにより、働き方改革を本気で考えていることが従業員へ伝わったということですね。

ホワイト企業を目指して健康経営を行う会社がある

健康経営 近年、健康経営という考え方が広がっています。企業のために身体を壊すまで働くのが良いとする考え方ではなく、個人のワークライフバランスを尊重しようとの考え方に変わってきました。健康経営には「健康経営優良法人認定制度」という認定制度があるので、本制度に認定されると健康的な運営をしている企業である、と社会に伝えることができます。健康経営のメリットを理解して本制度に取り組む企業は増えており、2020年では6204もの法人が選出されました。詳しくは以下のコラムも合わせてご覧ください。

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長時間労働やパワハラ・セクハラが多いことなど、日本の企業に対してマイナスなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかし少しずつではありますが、変えようとする動きが出てきています。就職活動での情報収集の一環として、健康経営に目を向けてみてはいかがでしょうか。

まとめ

ホワイト物流や物流業界の仕事内容などを解説してきました。長時間労働や重労働の印象が強い業界でも、改善の動きがあるわけです。また、再配達の予防や運転での注意など、私たちにもできることがあると分かりました。私たちの生活は物流業の方達に支えられていることを意識してみてください。

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